市場へのメッセージ(令和2年9月17日)

<目次>

  1. 株式会社FXプライムbyGMOに対する検査結果に基づく勧告について
  2. 「令和2事務年度 証券モニタリング基本方針」について
  3. 合同会社GPJベンチャーキャピタル及びその代表社員等2名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

1. 株式会社FXプライムbyGMOに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和2年8月4日、金融庁に対して、株式会社FXプライムbyGMO(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました
 
【事案の概要等】
 当社は、提供する店頭FX取引の取引ツールについて、スリッページの発生を排除できない仕様となっていることを認識していたにもかかわらず、ウェブサイトでの広告等において、「スリッページなし(0%)、A社調べ」との記事を掲載し、著しく事実に相違する表示を行いました。
 当社は、スリッページの発生率等に関して外部の調査会社であるA社に調査を依頼し、その調査結果では実際にスリッページが複数回発生しており、A社からスリッページが発生していることをうかがわせる報告を口頭で受けていました。しかし、調査の報告書において、スリッページが発生していたとの調査結果が記載されていなかったことから、この報告書を引用する形式であれば問題ないと考え、上記記事を掲載しました。
 今後も、投資家保護上問題のある行為に対しては、厳正に対処していきます。
 
(参考)
 スリッページとは、FX取引の成行注文等において、顧客が発注した時点の価格と約定価格の相違のことをいいます。
 
 なお、当社に対しては、令和2年8月19日に、関東財務局長から業務改善命令の行政処分が行われています
 

2. 「令和2事務年度 証券モニタリング基本方針」について

 証券監視委は、令和2年8月4日に、「令和2事務年度 証券モニタリング基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を公表しましたので、ポイントについて解説します。
 
○今事務年度の取組方針 
  • 証券モニタリングにおいては、業態、規模だけではなく、ビジネスモデルを含めた多角的な観点でリスクアセスメントを行い、リスクベースでオンサイト・モニタリング先を選定するオン・オフ一体の取組を継続していきます。
  • 金融商品取引業者における海外の金融商品や高収益のファンドなどの取扱商品を拡大する動きや、新型コロナウィルス感染症が金融商品取引業者の経営環境や業務運営に与える影響等も注視しながら、積極的にオンサイト・モニタリングを行っていきます。
  • オンサイト・モニタリングにおいては、単に問題点を指摘し行政処分勧告等を行うにとどまらず、問題の全体像を把握し、原因を究明することにより、実効性のある再発防止策の策定につながるよう取り組んでいきます。
  • 問題が顕在化していないものの、業務運営態勢等について改善が必要であると認められる場合には、問題意識をモニタリング先と共有し、実効性ある内部管理態勢の構築等を促していきます。
  • 無登録で金融商品取引業を行っている業者については、情報を積極的に収集・分析して調査を行い、裁判所への違反行為の禁止命令等の申立てを行うなど、関係機関と連携し、投資被害の拡大防止に向けた取組を積極的に進めていきます。
 
○業態横断的なテーマ別モニタリング事項
 業態横断的なテーマ別モニタリング事項として、次の5つを掲げています。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響下における顧客対応やビジネスモデルの変化
  • 適合性原則の明確化を踏まえた適正な投資勧誘等に重点を置いた顧客本位の業務運営の定着状況
  • サイバーセキュリティ対策の十分性やブロックチェーンを活用した証券ビジネスを含めたシステムリスク管理の対応状況
  • マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策に係る内部管理態勢の定着状況
  • 内部監査の結果及び自主規制機関の監査等で指摘された事項に係る改善策及び再発防止策の取組状況
 
○規模・業態別の主な検証事項
 業務内容に応じた主な検証事項の一部を紹介します。詳細は基本方針を参照してください。
  • 大手証券会社グループ:プリンシプルに則した実効性のあるコンプライアンス態勢確立への取組、顧客本位の業務運営の浸透・定着に向けた取組等
  • 外国証券会社:バックオフィス業務の海外委託の進展状況やビジネスモデルの構造的な変化に対応した内部管理態勢の整備状況等
  • ネット系証券会社:取扱金融商品の増大や金融商品仲介業者を活用した対面営業への進出・拡大を踏まえた内部管理態勢の整備状況、システムリスク管理の実施状況等
  • 準大手証券・地域証券会社等:適合性原則への対応等や、主要株主や経営体制が変更された証券会社については、ビジネスモデルやガバナンスの観点からの検証等
  • 投資運用業者:利益相反管理態勢や外部委託運用に対する運用管理態勢等
  • 投資助言・代理業者:顧客に誤解を生じさせる広告手法、虚偽の説明による勧誘等
  • 第二種金融商品取引業者、適格機関投資家等特例業務届出者:高利回りを掲げたファンドや出資対象事業の実在性等
  • 高速取引行為関連の業務については、注文管理態勢やシステム管理態勢等受託業務における内部管理態勢の整備状況等を検証していきます。
  • 暗号資産デリバティブ、電子記録移転権利、商品先物等に係る業務については、各業態のリスク特性に応じた検証を行っていきます。
 
○関係機関との連携等
  • 証券監視委と各財務局等とは、オフサイト及びオンサイト・モニタリング双方の計画策定から、緊密に連携し、合同検査を実施していきます。
  • 自主規制機関とは緊密に連携し、金融商品取引業者等の監査関係者及び社外取締役に対しても、検査結果を講評時等において共有する等により、改善に向けた自主的な取組を促していきます。

3.合同会社GPJベンチャーキャピタル及びその代表社員等2名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

 証券監視委は、令和2年3月13日、東京地方裁判所に対して、合同会社GPJベンチャーキャピタル(以下本節において「当社」といいます。)、当社の代表社員である松橋知朗及び当社の専務執行役員であり営業全般の総括責任者である渡邉貴文(以下、当社とその役員らを併せて「被申立人ら」といいます。)に金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました
 なお、本申立てのうち、当社が行う当社社員権の取得勧誘については、令和2年内閣府令第35号(令和2年5月1日施行。以下「本改正府令」という。)により、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第14条第3項第2号が改正されたことにより、合同会社の社員権が特定有価証券に該当しない場合、当社が行う当該合同会社の社員権の取得勧誘については金融商品取引業登録が不要となったこと及び本申立てが将来の違法行為の差し止めを目的としていることを踏まえ、証券監視委は、本改正府令施行後においても本申立ての一部(被申立人らが、無登録で、合同会社社員権について、募集又は私募の取扱いを業として行うことの禁止又は停止を裁判所が命ずることを求める申立て)をなお維持すべきかどうかを検討し、令和2年8月7日付けで当該本申立ての一部を取り下げました
 もっとも、証券監視委は、令和2年4月30日までに当社が従業員に行わせていた社員権の取得勧誘は、金融商品取引法違反行為(無登録金融商品取引業)に該当するとの見解を維持しており、また、当社の行う当該合同会社の社員権の取得勧誘が金融商品取引法違反に当たらないことを保障するものではなく、又、当該合同会社の社員権について何らの保障も与えるものではありません。
 
【事案の概要等】
 被申立人らは、遅くとも平成30年9月以降、一般投資家に対し、「G8C」と称する集団投資スキーム持分(以下「本件ファンド」といいます。)の取得勧誘を行っていました。
 
 なお、G8Cの概要は以下のとおりです。
  1. Ganapatiグループにおいて、G8Cに係る顧客からの出資金を充ててオンラインカジノプラットフォームの開発事業、オンラインカジノ上で直接賭け金に用いることができるトークン(以下「オリジナルG8Cトークン」という。)開発事業及びオリジナルG8Cトークンを法定通貨に変換することができる換金所開発事業を行っているとしています。
  2. G8Cの出資者には、出資額に応じたトークン(以下「G8Cトークン」という。)が配付され、上記1のオリジナルG8Cトークンの開発完了後、出資者は、保有しているG8CトークンとオリジナルG8Cトークンとを、1対1の割合で引き換えることができるとしています。
  3. 上記1の換金所の開発完了後、G8Cの出資者は、上記2により引き換えたオリジナルG8Cトークンを法定通貨に変換することができるとしています(注)。
(注)当社らは、1オリジナルG8Cトークンの価値を1.5円で安定させることを計画しており、1G8Cトークンあたり0.1円で出資し、オリジナルG8Cトークン及び換金所の完成後に、オリジナルG8Cトークンの価値が1.5円となった場合、出資者は、G8CトークンとオリジナルG8Cトークンとを1対1の割合で引き換えた上で、1オリジナルG8Cトークンあたり1.5円で換金することができ、その差額がG8Cに係る出資者の利益となると説明している。
 
 被申立人らは、本件ファンドの取得勧誘によって、平成30年9月から令和元年10月までの間に、少なくとも、970名の一般投資家から約40億900万円を出資させています。
 
 上記のような行為を業として行う場合には、金融商品取引法上の登録(第二種金融商品取引業の登録)を受ける必要がありますが、被申立人らは、この登録を受けることなく、上記行為を行っていました。
 
 被申立人らに対しては、令和2年9月11日に、東京地方裁判所から、金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずる決定が出されています
 
 証券監視委においては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、無登録業者に対して厳正に対処してまいります。投資者の皆様におかれては、無登録業者と取引を行うことがないように、注意してください。

 

<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
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東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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