市場へのメッセージ(令和2年8月31日)

<目次>

  1. 株式会社プログレスマインドに対する検査結果に基づく勧告について
  2. グローム・ホールディングス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  3. ナイス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  4. 不公正取引に関する課徴金事例集の公表について
  5. 株式会社アルファクス・フード・システムにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  6. フリージア・マクロス株式会社における有価証券報告書の重要な事項の不記載に係る課徴金納付命令勧告について

1. 株式会社プログレスマインドに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和2年6月12日、金融庁に対して、株式会社プログレスマインド(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告しました
 
【事案の概要等】
 関東財務局が当社を検査した結果、
(1)無登録業者に対する名義貸し
(2)不適切な業務運営(※)
※ 当社社長が助言・分析者であると契約締結前交付書面等に記載し、顧客に交付していながら、実際には社外の者に投資助言行為を行わせていたほか、金融商品取引業の登録のない者に投資顧問契約の締結の代理を行わせていました。
(3)投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況
が認められました。
 このように、投資者保護上問題のある行為に対しては、今後も厳正に対処していきます。
 
 なお、当社に対しては、令和2年6月23日に、関東財務局長から登録取消し及び業務改善命令の行政処分が行われています。 

2. グローム・ホールディングス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令について

 証券監視委は、グローム・ホールディングス株式会社(以下「当社」といいます。)の有価証券報告書等における虚偽記載についての検査を実施した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和2年6月16日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の事実関係】
当社の連結子会社は、実態のないコンサルティング業務や商品販売等に係る売上の過大計上、商業施設収用に関して受領する補償金に係る利益の前倒し計上等、不適正な会計処理を行いました。この結果、当社は、過大な当期純利益等を計上した連結財務諸表を記載することによって、「重要な事項につき虚偽の記載」のある有価証券報告書等を関東財務局長に提出しました。これらの有価証券報告書等は、次のとおりです。

(継続開示書類)
・ 平成27年3月期有価証券報告書(平成27年6月26日提出)
・ 平成27年6月第1四半期四半期報告書(平成27年8月14日提出)
・ 平成27年9月第2四半期四半期報告書(平成27年11月13日提出)
・ 平成27年12月第3四半期四半期報告書(平成28年2月12日提出)
・ 平成28年3月期有価証券報告書(平成28年6月28日提出)
 
(発行開示書類)
・有価証券届出書(平成28年2月22日提出)
 
【不適正な会計処理】
 当社が行った不適正な会計処理の概要は、次のとおりです。
(1)売上の過大計上
 1.コンサルティング業務等に係る売上の過大計上
 当社の連結子会社と不動産賃貸会社B社との間の不動産等の売買取引に関して、当社の他の連結子会社であるA社は、平成26年7月にB社からコンサルディング業務等を受託し、平成26年10月にB社からその対価を受領しました。他方で、A社は、当該コンサルティング業務等を当該不動産等の売買取引におけるB社側の仲介者であったC社に委託し、B社から受領した対価の額に相当する額を平成26年10月及び平成27年6月にC社に支払いました。当社は、連結損益計算書上、A社がB社から受領した額を「売上」として、A社がC社に支払った額を「費用」として計上しました。
 しかしながら、当該コンサルティング業務等の取引実態は、C社がB社から受領すべき不動産等の売買仲介手数料をA社がB社から一旦受領し、その後C社に支払っただけの資金取引ということになります。したがって、当社は、平成27年3月期においてB社から受領した額は「仮払金」として計上しなければならず、「売上」として計上することは認められません。
 2.商品販売に係る売上の過大計上
 当社は、平成28年3月期において、A社が取引先のD社から請け負ったコンテナハウスの建設工事に関し、当初締結した「工事請負契約」を、コンテナを販売する「商品売買契約」と「工事請負契約」とに分割することについて、A社がD社から口頭で合意を得たとして、当該「商品売買契約」に基づき、連結損益計算書上、「売上」を計上しました。
 しかしながら、当初の「工事請負契約」を分割することについての合意を証する書面は取り交わされておらず、また、平成28年5月に契約解除の合意書が取り交わされたが、解除された対象の契約は、分割後の「商品売買契約」等ではなく、当初の「工事請負契約」であったことから、口頭合意したとする「商品売買契約」と「工事請負契約」との分割は成立しておらず、分割したとする「商品売買契約」に基づく「売上」を計上することはできません。
(2)商業施設収用に関して受領する補償金に係る利益の前倒し計上
 A社は、借地上に所有する商業施設の一部を国が収用することとなり、国との間で、当該施設内の建物を移転させ土地を明け渡すことを内容とする契約(以下、「移転契約」という。)を、平成27年2月及び5月に締結しました。A社は、移転契約に基づく補償金を平成27年2月から平成28年2月にかけて受領し、当社は、それら補償金の一部について、連結財務諸表上、各移転契約の締結日の属する平成27年3月期及び平成27年6月第1四半期において、それぞれ「収益」として計上しました。
 実現主義のもとでは、資産売却取引に関する収益認識は、目的物たる資産の引き渡しが条件であると解されています。当該資産売却取引の場合には、建物を移転させ土地を明け渡すこととしている移転契約の内容からすれば、実際に当該建物が撤去された平成28年2月に土地が引き渡されたと認められることから、平成28年3月期(第4四半期)において、「収益」を計上する必要があります。
 
【不適正な会計処理が行われた原因・背景】
 本件の不適正な会計処理が行われた主な原因・背景は、次のとおりであると考えられます。
  • 子会社に重要な取引に関する報告義務を課しておらず、また、リスクに応じた子会社管理を行っていないなど、子会社に対する管理体制に不備があったこと。
  • 元役員において、適切な会計処理の重要性についての認識が欠如していたこと。
  
 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

3.ナイス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、ナイス株式会社(注1)(以下「当社」といいます。)の有価証券報告書等における虚偽記載についての検査を実施した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和2年6月16日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
(注1)令和2年3月31日に「すてきナイス株式会社」から「ナイス株式会社」に社名を変更しました。
 
【法令違反の事実関係】
 当社は、不適正な不動産販売による売上の過大計上、不採算子会社等の連結範囲からの除外等、不適正な会計処理を行い、過大な当期純利益等を計上した連結財務諸表を記載することによって、「重要な事項につき虚偽の記載」のある有価証券報告書等を関東財務局長に提出しました。これらの内訳は、次のとおりです。
・平成27年3月期有価証券報告書(平成27年6月26日提出)
・平成29年3月期有価証券報告書(平成29年6月29日提出)及びその訂正報告書(令和元年8月1日提出)
・平成30年3月期有価証券報告書(平成30年6月28日提出)
 
【不適正な会計処理】
 当社が行った不適正な会計処理の概要は、次のとおりです。
(1)不適正な不動産販売による売上の過大計上
 当社は、平成27年3月期において、当社の連結子会社であるA社等によるB社(注2)に対する複数の販売用不動産の売却について、連結損益計算書上、「売上」として計上しました。しかしながら、これらの売却は、買戻しを前提とした売却、売却後も所有権移転登記を行わずA社が引き続き販売代理をしていた販売用不動産の売却など、いずれも経済的実体のない売却であり、「実現主義の原則」のもとにおける収益認識要件を満たさないことから、これらの売却を「売上」として計上することは認められません。
(注2)B社は、当社と緊密な関係にある者(当社及びA社の代表取締役であった者)が全株式を実質的に保有する会社の100%子会社であり、当社の実質的な子会社に該当します。
(2)不採算子会社等の連結範囲からの除外
 会計基準上、親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めるものとされ、重要性の乏しい会社に限り連結の範囲に含めないことが容認されています。この重要性の判断については、企業集団の財政状態等の状況を適正に表示する観点から、量的側面と質的側面の両面で判断すべきであるとされています。
 当社は、平成27年3月期、平成29年3月期及び平成30年3月期に係る有価証券報告書において、不採算の子会社を意図的に連結の範囲に含めず、また、当時の当社代表取締役が実質的に所有し支配していた会社についても連結の範囲に含めていませんでした。しかしながら、量的側面と質的側面の両面から判断すれば、これらの会社はすべて重要性が認められ、連結すべきでした。
 当社は、これらの会社を連結の範囲から除外することにより、当期純利益等を過大に計上しました。
 
【不適正な会計処理が行われた原因・背景】
 本件の不適正な会計処理が行われることとなった主な背景・原因は、次の通りであると考えられます。
  • 当時の社長は、創業家であるとともに、当社株式の過半を保有していることから、社内において強い影響力を有しており、同者の設定した売上目標を達成するために様々な決算対策がとられる中で不適正の会計処理が行われていた。
  • 社内において、経理部門、監査部門等の管理部門は軽視され、監査・監督機能が十分に機能しておらず、また、会計に関する知識も欠如していた。
 
 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

4.不公正取引に関する課徴金事例集の公表について

 証券監視委は、令和2年6月24日、「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」(以下「事例集」といいます。)を公表いたしました
 
 事例集は、市場参加者に課徴金制度への理解を深めていただくため、また不公正取引の未然防止という観点から、金融商品取引法違反となる不公正取引に関し勧告を行った事案について、事案毎の特色などの説明を加えて取りまとめ、事例として紹介するものです。
本年度の事例集においては、すべての市場利用者がルールを守るために参考となるよう、
(1)勧告事案を分析した上で、事案の概要に留まらず、事案の意義・特徴等を出来るだけ記載する
(2)分かりやすさ、読みやすさを追求するため、個別事例について、概要図内の情報の充実を図るとともに、1事例を見開きページで掲載する
(3)相場操縦事例については、グラフ、表、株価チャートを活用、また偽計事例については、事例の前に偽計事例に関する用語の説明を設けるなどすることにより、複雑化する取引手法をできるだけわかりやすく理解できるように努める
(4)近年勧告件数が多い、情報伝達・取引推奨規制を説明するイメージ図の新設や監視委コラムとして、「インサイダー取引規制における『業務執行を決定する機関』や『決定』の意義とは」などの、市場利用者の関心が高いと思われるテーマを加え、内容を充実させる
などの工夫を行いました。
 
 証券監視委としては、事例集を、
(1)重要事実等の発生源となる上場会社等におけるインサイダー取引管理態勢の一層の充実
(2)公開買付け等企業再編の当事者からフィナンシャル・アドバイザリー業務等を受託する証券会社・投資銀行等における重要事実等の情報管理の徹底
(3)証券市場のゲートキーパーとしての役割を担う証券会社における適正な売買審査の実施
のためにそれぞれ役立てていただくことを期待しています。
 また、一般投資者におかれても、不公正取引の疑いがある場合には、証券監視委による調査等の対象となり、法令違反が認められた場合には課徴金が課されることを十分にご理解いただければ幸いです。
  事例集が活用されることにより、全ての市場利用者による自己規律の強化、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護につながることを強く期待しています。

5.株式会社アルファクス・フード・システムにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、株式会社アルファクス・フード・システム(以下「当社」といいます。)の有価証券報告書における虚偽記載等についての検査を実施した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和2年6月26日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の事実関係】
 当社は、コンサルティング業務名目での売上の前倒し計上、ソフトウェアに係る売上の前倒し計上、未収入金に係る貸倒引当金の過少計上等の不適正な会計処理により、財務諸表(注)において過大な当期純利益等を計上したことによって、「重要な事項につき虚偽の記載」のある有価証券報告書等を中国財務局長に提出しました。これらの有価証券報告書等は、次のとおりです。
(注)当社は、連結財務諸表を作成していません。
 
 (継続開示書類)
・平成28年12月第1四半期四半期報告書(平成29年2月10日提出)
・平成29年3月第2四半期四半期報告書(平成29年5月12日提出)
・平成29年6月第3四半期四半期報告書(平成29年8月10日提出)
・平成29年9月期有価証券報告書(平成29年12月26日提出)
・平成30年3月第2四半期四半期報告書(平成30年5月14日提出)
・平成30年6月第3四半期四半期報告書(平成30年8月10日提出)
・平成30年9月期有価証券報告書(平成30年12月27日提出)
・平成30年12月第1四半期四半期報告書(平成31年2月13日提出)
・平成31年3月第2四半期四半期報告書(令和元年5月14日提出)
・令和元年6月第3四半期四半期報告書(令和元年8月9日提出)
・令和元年9月期有価証券報告書(令和元年12月26日提出)
 
(発行開示書類)
・有価証券届出書(平成29年8月31日提出)
 
【不適正な会計処理の概要】
 当社が行った不適正な会計処理の概要は、次のとおりです。
(1)売上の前倒し計上
 1.コンサルティング業務名目の売上の前倒し計上
 当社は、平成30年7月に、A社からボイラー機器交換の工事を受注し、その施工をB社及びその下請けであるC社に担当させることとしました。本取引に関して、当社は、平成30年9月、C社がボイラー機器等を仕入れるための資金としてA社から受領したその額を、ボイラー機器等の「導入コンサルティング業務」の名目で「売上」を計上しました。
 本件工事に係る「収益」は、「工事完成基準」によって認識しなければならず、平成30年9月末時点では、工事のレイアウト設計が終わった程度にすぎなかったことから、平成30年9月期においては、当社は、C社がA社から受領した資金を「前受金」とすべきであったにもかかわらず、「売上」として計上しました。当社は、監査法人から「前受金」として指摘されないよう、名目を「コンサルティング業務」に偽装したA社に対する請求書を監査法人に示していました。
2.ソフトウェアに係る売上の前倒し計上
 当社は、4社に販売した飲食店向け受発注システム(パッケージソフト)に関して、それぞれ平成30年9月期・令和元年9月期において、パッケージソフトの納品時に「売上」を計上しました。
 これらのシステムが機能するためには、ソフトウェアの納品に加え、機能を拡充するなど当社による追加のシステム開発業務が必要であり、販売したこれらのパッケージソフトについても、契約上、パッケージソフトの納品と追加のシステム開発は一体の義務と解されました。したがって、当社は、追加のシステム開発完了後に「売上」を計上しなければならなかったにもかかわらず、これらのパッケージソフトの納品時に「売上」を前倒しで計上しました。
(2)未収入金に係る貸倒引当金の過少計上
 当社は、D社に製造委託したPOSシステムの不具合に対する保守費用を、D社に対する「未収入金」として計上していました。
 当社は、令和元年9月期末の「未収入金残高」について、D社との間で具体的な支払い時期や支払い条件について合意できておらず、回収に関して不明であったため、「貸倒引当金」を計上すべきであったにもかかわらず、D社との間で定額の支払いを受けることとする形式な合意書を作成するなどし、令和元年9月期の「貸倒引当金」の計上を回避していました。
 金融商品に関する会計基準上、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権は、「貸倒懸念債権」に分類し、貸倒見積額を算定することとされています。しかしながら、当社は、当該「未収入金」について、具体的な回収計画がないなど回収見込みがないにもかかわらず、「貸倒懸念債権」に分類せず、「貸倒引当金」の計上を行いませんでした。
(3)シンジケートローンに係るアレンジメントフィー等の過少計上
 当社は、当社に対するシンジケートローンが組成された際、同ローンの契約締結を行った平成28年12月に幹事金融機関や参加金融機関に対してアレンジメントフィー等の手数料を支払いました。当社は、平成28年12月第1四半期において、当該手数料を「前払費用」及び「長期前払費用」に計上し、以後借入期間で按分して「費用」として処理していました。
 当該手数料に対応する役務提供は、金融機関との金銭消費貸借契約の締結をもって完了しており、また、契約上も当該手数料は当該完了した役務のみに対応する「費用」であったことから、当該手数料については、役務が完了した平成28年12月第1四半期に、その全額を「営業外費用」として計上すべきでした。しかしながら、当社は、当該手数料を「前払費用」及び「長期前払費用」に計上し、以後借入期間で按分して「費用」として処理し、過少に計上しました。
(4)ホテル関連事業の固定資産に係る減損損失の不計上
 当社は、平成29年9月に社長個人が所有していたホテルの現物出資を受け、同時に当該ホテルの運営会社から事業を譲り受けたが、同ホテルの平成30年9月期における「売上」や「営業利益」は、事業計画を著しく下回っていました。
 固定資産の減損に係る会計基準上、固定資産に減損の兆候がある場合には、「減損損失」を認識するかどうかの判定を行うこととなっております。「減損の兆候」としては、例えば、資産の稼働率が著しく低下した状態が続いており、著しく低下した稼働率が回復する見込みがない場合には、減損の兆候になるとされています。
 当社は、当該ホテル事業について、減損の兆候が認められたにもかかわらず、ホテル関連事業の営業利益が僅かな黒字であったことを以て、減損の兆候に該当しないと判断し、平成30年9月期における固定資産の「減損損失」を計上しませんでした。
 
【不適正な会計処理が行われた原因・背景】
 当社において不適正な会計処理が行われた主な原因・背景は、次のとおりであると考えられます。
  • 創業者であり株式の過半数を保有している当社社長に過度に権限が集中していたこと。
  • 当社社長ら経営陣において、適切な財務報告を行うことの重要性に対する認識が欠如していたこと。
  • 当社取締役は自らの担当業務を優先し、取締役としての職務を行っておらず、また、取締役会では、形式的な審議しか行われていなかったこと。
  • 監査役は実効性ある監査を実施する姿勢に欠け、会計監査人との意見交換も形式的なものにすぎなかったこと。
  •  当社内に、適正な会計処理を行うための体制、内部監査を行う体制等が整備されていなかったこと。
 
 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

6.フリージア・マクロス株式会社における有価証券報告書の重要な事項の不記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、フリージア・マクロス株式会社(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和2年7月7日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の事実関係】
 当社は、「関連当事者との取引」として、連結財務諸表に注記すべき「当社と当社の役員との取引」を注記しなかったことにより、記載すべき重要な事項の記載が欠けている次の有価証券報告書を関東財務局長に提出しました。
・平成29年3月期有価証券報告書(平成29年6月28日提出)
・平成30年3月期有価証券報告書(平成30年6月28日提出)
 
【重要な事項の不記載の概要】
 連結財務諸表提出会社は、当該会社の親会社、役員といった「関連当事者」(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第15条の4各号)との取引を行っている場合には、その重要なものについて連結財務諸表に注記することとされています(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第15条の4の2第1項)。
 当社は、平成29年1月及び4月に、当社の取締役であるA氏(「関連当事者」に該当)に対して、多額の送金を行いました。当該送金は、「資金貸借取引」であり、会計基準に定められている重要な取引に該当することから、当社は、当該送金を「関連当事者との取引」として連結財務諸表に注記しなければならなかったにもかかわらず、注記していませんでした。
 
【重要な事項の不記載が行われた原因・背景】
 当社において不適正な会計処理が行われた主な原因・背景は、次のとおりであると考えられます。
  • 当社社長及び会計責任者は、法令、会計基準等を正しく理解しておらず、適正な財務報告を行うという認識が不足していたこと。
  • 当社の内部統制は機能しておらず、ガバナンス体制は極めて脆弱であったこと。
 
 証券監視委は、本事例のような開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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