市場へのメッセージ(令和2年7月2日)

<目次>

  1. 証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
  2. 最近の取引調査に基づく勧告について
三信建設工業株式に係る仮装売買に対する課徴金納付命令の勧告について
公開買付者との契約締結交渉者による三信建設工業株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

1. 証券取引等監視委員会の活動状況の公表について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その28回目として、令和元年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を令和2年6月18日に公表いたしました。 

2. 最近の取引調査に基づく勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、令和2年4月17日、以下2事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
 
・R2.4.17  三信建設工業株式に係る仮装売買
・R2.4.17  公開買付者との契約締結交渉者による三信建設工業株式会社株式に係る内部者取引規制違反
 
 上記2事案の課徴金勧告対象者は同一人物です。同一の対象者に対して、内部者取引規制違反及び相場操縦規制違反に係る課徴金納付命令の勧告を行うのは初めてのケースです。それぞれの違反行為について、概要等を紹介します。

三信建設工業株式に係る仮装売買に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要及び事案の特色等】
 本件は、三信建設工業株式会社(以下「三信建設工業」といいます。平成30年9月18日上場廃止)の株式の売買が繁盛に行われていると他人に誤解させる等その売買の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、平成30年5月16日から同年6月5日までの間、同株式合計7万1,000株につき、親族や知人名義の口座も使用するなどして、27回にわたり売付け及び買付けの両当事者となって自己の注文を対当させ、もって、権利の移転を目的としない仮装の売買による相場操縦行為を行った事案です。

公開買付者との契約締結交渉者による三信建設工業株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】
 本件は、平成30年6月25日に公表された、株式会社アクティオホールディングス(以下「アクティオHD」といいます。)による三信建設工業株式に対する公開買付けの実施に関するインサイダー取引規制違反です。
 本件の課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)は、公開買付者であるアクティオHDの契約締結交渉者です。対象者は、アクティオHDとの間で行っていた公開買付けに関する契約の締結交渉に関し、アクティオHDの業務執行を決定する機関が、三信建設工業株式の公開買付けを行うことの決定をした旨の事実(重要事実)を知りながら、その公表前に同株式を買い付けた事案です(インサイダー取引規制違反)。
 
【事案の特色等】
 本件は、これまでも数多く勧告事例のある「公開買付け等事実」に基づくインサイダー取引規制違反です。
 公開買付け等事実によるインサイダー取引規制違反の件数推移については、令和元年6月20日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」10頁、16頁に掲載されていますので、ご覧下さい。
 公開買付けについては、当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引のリスクが高まります。公開買付けに関わる全ての関係者において厳正な情報管理に努めることが必要です。 

<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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