市場へのメッセージ(令和2年10月26日)

<目次>

  1. 最近の取引調査に基づく勧告について

 1.最近の取引調査に基づく勧告について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和2年9月11日、以下2事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
・R2.9.11  公開買付者の役員から伝達を受けた者及び公開買付者との契約締結者から伝達を受けた者による北川工業株式会社株式に係る内部者取引規制違反
・R2.9.11  さいか屋株式に係る相場操縦

公開買付者の役員から伝達を受けた者及び公開買付者との契約締結交渉から伝達を受けた者による北川工業株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】
  本件は、平成30年11月5日に公表された、日東工業株式会社(以下「日東工業」といいます。)による北川工業株式に対する公開買付けの実施に関するインサイダー取引規制違反です。
  本件の課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。) は2名です。
 
対象者(1)について
 対象者(1)は、公開買付者である日東工業の役員から情報伝達を受けた者です。
 対象者(1)は、日東工業の役員から、当該役員が職務に関し知った、日東工業の業務執行を決定する機関が、北川工業株式の公開買付けを行うことの決定をした旨の事実の伝達を受けながら、その公表前に、自己の計算において、北川工業株式を買い付けたものです(インサイダー取引規制違反)。
 
対象者(2)について
 対象者(2)は、公開買付者である日東工業と契約を締結している者に勤務する者から情報伝達を受けた者です。
 対象者(2)は、日東工業と契約を締結していたA社に勤務する者から、同人がその契約の締結に関し知った、日東工業の業務執行を決定する機関が、北川工業株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の事実の伝達を受けながら、その公表前に、自己の計算において、北川工業株式を買い付けた事案です(インサイダー取引規制違反)。
 
【事案の特色等】
 本件は、これまでも数多く勧告事例のある「公開買付け等事実」に基づくインサイダー取引規制違反です。
 公開買付け等事実によるインサイダー取引規制違反の件数推移については、令和2年6月24日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」10頁、17頁に掲載されていますので、ご覧下さい。

 公開買付けについては、当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。そのため、公開買付けに関わる全ての関係者には、厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。


さいか屋株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】
  本件は、対象者が、株式会社さいか屋(以下「さいか屋」といいます。)の株式の相場を、東京証券取引所が定める上場廃止基準を超える水準に安定させる目的をもって、平成31年1月9日から同月31日までの間、16取引日にわたって、自己名義のほか親族名義の口座も使用するなどして、大口の高指値買い注文を発注することにより、他の投資者が発注していた売り注文を買い付けることで直前の約定値より株価を引き上げるとともに、その後に他の投資者が発注した売り注文と対象者の買い注文とが順次約定することで同指値未満に株価が下落することを阻止するなどし、もって、同株式の相場を安定させる目的をもって、相場操縦行為を行った事案です。
 
【事案の特色等】
 本件は、課徴金勧告事案において、安定操作を適用した初の事例です。
 安定操作とは、相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもって行う取引のことであり、典型的には、株価の下落を阻止するために買い支えを行う行為などを指します。安定操作取引は、金融商品取引法施行令第20条に規定のある、有価証券の募集・売出し等を容易にするためであれば、一定の要件の下で認められています。本件においてはそうした要件に当たらないため、違法な安定操作となります。


<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

サイトマップ

ページの先頭に戻る