市場へのメッセージ(令和2年6月4日)

<目次>

  1. 最近の取引調査に基づく勧告について
東洋合成工業株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

1. 最近の取引調査に基づく勧告について

   証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
 
・R2.2.28 東洋合成工業株式に係る相場操縦

東洋合成工業株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要及び事案の特色等】
 本件は、インターネットで株取引を行っていた個人投資家が、東洋合成工業株式の売買を誘引する目的をもって、
  • 直前の約定値よりも高指値の買い注文を発注して買い付けることで株価を繰り返し引き上げる
  • 自身が発注した売り注文に高指値の買い注文を対当させて買い付けることで直前の約定値より株価を引き上げる
などの方法により、東洋合成工業株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の売買を行い、利益を得ようと相場操縦行為を行った事案です。
 主な取引手法は次のとおりです。
(1)高値に売り注文を発注する(利益確定の準備)
(2)小口の買付により株価を引き上げる
(3)3証券口座を使用し対当売買を行う
(4)(2)や(3)に誘因された他の投資家の買い注文により(1)で発注した自身の売り注文を約定させて売り抜ける
 
 課徴金納付命令対象者は、違反行為期間中、株価引上げを163回、対当売買を57回行っていました。
株価の推移
 【証券監視委からのメッセージ】
 インターネット取引の普及及び発注システムの進歩等により、個人投資家・機関投資家を問わず、迅速かつ大量の発注・取消が可能となっている中、相場操縦規制違反は後を絶ちません。
 証券監視委は、これまでに相場操縦規制違反について多数の告発・勧告を行ってきており、個人投資家による相場操縦行為も含め、証券市場の公正性・健全性を損なう不公正取引に対しては、厳正な調査を実施し、法令違反が認められた場合には、課徴金勧告や刑事告発を行っています。
 
 本件が広く周知されることにより、相場操縦の抑止効果が発揮されることを期待しています。

<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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