意見交換会の冒頭、証券取引等監視委員会野田委員より、監視委員会のこれまでの活動状況及び活動方針等について、具体的な事例を交えながら、概要以下のとおり説明(当委員会ホームページに掲載の証券取引等監視委員会パンフレット参照)。 |
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.監視委員会の組織 監視委員会の設置の経緯・趣旨及び組織の構成、定員などについて説明。 |
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.活動内容 犯則事件の調査、告発、検査等の結果に基づく勧告、取引審査、一般からの情報受付について、概要、件数などを説明した。 |
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.最近の活動事例 |
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(1) |
投資勧誘上の主な指摘事例 取引一任勘定取引契約を締結する行為、投資信託の乗換、EB(他社株償還特約付社債券)等最近の金融商品の販売にかかる問題、断定的判断を提供して勧誘する行為等について、具体的な事例を挙げて、投資家に対して注意を呼び掛けた。 |
(2) |
最近の告発事例 有価証券報告書の虚偽記載、相場操縦、インサイダー取引について、具体的な事例を紹介した。 |
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4 |
.監視委員会の活動方針 個人投資家の証券市場に対する不信感を解消するために、個人投資家の保護に全力を尽くすこと。そのために、悪質な証券会社等の徹底摘発、市場の公正性を損ねる証券犯罪の一掃、抑止力を高めるための監視委員会のプレゼンス向上を活動目標としている旨を説明。 また、現在取り組んでいる、民間専門家の登用、外国の証券監視当局との協力関係の強化、自主規制機関との連携強化等について説明した。 |
5 |
.その他 最近の話題として、オンライン証券に対し、新しい法律(本人確認法違反)を根拠に勧告を行ったこと、不公正な取引を監視するため自主規制機関と市場監視連絡協議会を作って対応していること等について説明した。 |
参加者から出された主な意見・要望等は以下のとおり。
主に監視委員会に関するもの |
○ |
監視委員会の活動についてはほとんど知らなかった。新聞の株式欄の下に相談窓口を掲載したり、大学の校内にポスターを貼るなどして、もっと情報提供していただきたい。 |
○ |
委員会のホームページにおいて、検査中の被検査法人や勧告の概要が公開されているが、公開する以上、処分された者の名前も公表し、証券会社の店頭に掲示させるくらいまで徹底的に厳しくしていただきたい。また、勧告・処分事案についても軽すぎる処分であると思う。 |
○ |
インサイダー取引は公正さに反するので、厳しく監視していただきたい。また、最近インターネットの掲示板に自社に関する身に覚えのないことが書かれ困惑している。風説についても監視強化をお願いしたい。 |
○ |
社会の変革で事後監視型社会になっていくという意味では、監視委員会や公正取引委員会はもっと大きくなるべき要素があると思う。 |
主に証券会社等に関するもの |
○ |
証券会社には説明義務が課されているが、証券取引はとても難しく、証券会社は専門家としての責任があるので、一般の説明義務ではなくその人に合わせた説明義務を考えていただきたい。適合性の原則というものがあり、勧めるべきではない人にまで勧めているのは問題である。 |
○ |
オンライン取引で、完全に向こうの担当者のミスで約定できなかった取引があったが、明らかに相手がミスを認めているにも拘らず、協会を通じて財務局の承認がないと自分がこうむった不利益を弁償できないというのはおかしいと思う。 |
○ |
EB債などは、高齢者が理解しないで買っているように感じる。また、しきりに高い利息だからと言って外債を勧められるが、為替の変動リスクを伴っていて損をすることもある。為替変動リスクの説明はなく、勧誘の姿勢に問題があるのではないか。 |
○ |
証券会社は人の出入りが少なくて入りにくい。もっと多くの方が株式投資に目を向けてほしい。 |
投資家教育に関するもの |
○ |
一昨年秋に確定拠出型年金が出来て、若い人たちがすぐ運用を行う時代に入っていくところで、実学としての株取引等の教育ができていないことは大きな問題である。 |
○ |
株については競馬のようなギャンブル的イメージがいまだ強く、怖いものであると感じる。株取引の教育が全く行われていないのが原因だと思う。 |
○ |
自己責任については、ただ単に自己責任を問うだけではなくて、前提として国や企業の情報公開が必要である。一方で消費者も情報公開を待っているだけでは不十分で、金融関係についての知識を高めるよう勉強が必要である。取引一任勘定取引にしても、証券会社に任せてしまうのは消費者に判断力がないからである。 |
○ |
以前、とある講演で、なぜ日本は株式投資に向かないかについて話を伺ったことがあったが、リスクがある以前に知識がないのが一番の理由という答えだった。勉強をしていかなければいけないと思う。 |
その他 |
○ |
ベンチャー企業の公開に関係した不祥事があると、公開準備中の他のベンチャーが煽りを受ける。新興市場に上場させる際の審査において、難解なハイテク技術の評価が十分なされているか不安である。 |
○ |
先日東証が売買手口を非公開にすることを決め、6月から同時にジャスダックも非公開にすることに決めたが、これは今の時代に逆行しているように思う。 |
○ |
企業側としては様々な努力を行って経営し、その結果をできるだけ正直に開示しているつもりだが、マスコミが取り上げるときには話題性に重点が置かれ、本当の意味での企業努力とか企業内容が紹介されないことに苦慮している。多くの投資家はマスコミに左右されてしまう。 |
○ |
株にはリスクがあるが、それが株の楽しみでもあると思う。アメリカのように投資を主体とした経済になれば日本はまだ発展すると思う。 |
○ |
3つの不信というお話があったが、私は4つ目の不信として、公的機関が大きな売買を行うことについての不信があると思う。これらの動きによって将来損失をこうむる恐れがあるにも拘らず、これらの情報は一般の個人投資家はよくわからない。証券市場を入りにくくしているひとつの要因だと思う。 |
(以上) |