投資家との意見交換会概要

(平成15年4月16日(水)13時30分~16時00分 於中国財務局)
 


 意見交換会の冒頭、証券取引等監視委員会川岸委員より、監視委員会のこれまでの活動状況及び活動方針等について、具体的な事例を交えながら、概要以下のとおり説明(当委員会ホームページに掲載の証券取引等監視委員会パンフレット参照)。

1.

監視委員会は何をするところか
 

(1)

 委員会の目的と活動目標
(2)  具体的な組織と活動状況
 現在の証券市場における、個人投資家の証券市場に対する不信感の原因となっていると考えられる「三つの不信」を解消するために、悪質な証券会社等の徹底摘発、市場の公正性を損ねる証券犯罪の一掃、抑止力を高めるための監視委員会のプレゼンス向上を通して個人投資家の保護に全力を尽くすことを活動目標としていることを説明。また、委員会の組織と定員、所掌する業務の概要を説明した。

2.

監視委員会は何をしてきたか
 

(1)

 犯則事件の告発
(2)  検査、勧告
(3)  取引審査、一般からの情報の受付
 それぞれ、犯則事件の調査、告発、検査等の結果に基づく勧告、取引審査、一般からの情報受付について、概要、件数実績などを説明。インターネットを利用した風説の流布、インサイダー取引、有価証券報告書の虚偽記載、相場操縦について、具体的な事例を紹介した。
 また、検査・勧告の説明に併せて、取引一任勘定取引契約を締結する行為、EB(他社株券償還特約付社債券)等の高利回りをうたう新たな金融商品の販売にかかる問題、投資信託の乗換等について、投資家に対して注意を呼び掛けた。

3.

体制・機能の充実
 

(1)

 情報収集・分析能力の向上
(2)  国際化への対応
(3)  関係機関との連携強化
(4)  個人投資家との連携
 現在取り組んでいる、コンピュータシステムの活用、民間専門家の登用、外国の証券監視当局との協力関係の強化、金融庁や自主規制機関との連携、個人投資家との連携の強化等について説明した。


参加者から出された主な意見・要望等は以下のとおり。

主に監視委員会に関するもの


 委員会が活動してはいても、限られた人数なので、水面下では想像できないほどの不正があるのではないか。行政改革で公務員の人員削減が進められているが、必要なところは増やすべきであり、監視委員会も増員してどんどん監視の間口を広げて活動していただきたい。


 投資家が安心して資産運用できるように、監視委員会で不正取引を厳しく取り締まっていただきたい。


 バブルの頃から比べると、証券会社の商品説明や対応、資料の送付などが最近良くなっていると感じる。監視委員会の活動に感謝したい。委員会の活動状況を見て、委員会が行っている違反摘発の数に驚いた。一段の取締りをお願いしたい。


 監視委員会は随分いろいろなことをやっていると思ったが、今まで私は知らなかった。もっと広報していただきたい。

主に証券会社等に関するもの


 ここ1、2年の下げの相場の段階では、信用取引の一方的な売りが大きく影響しているように感じる。信用取引は預かり資産によって口座開設できない証券会社があり、個人でも大口の投資家がマーケットの相場を形成しているというのは不公平だと思う。


 増加してきたネット取引ではデイトレーダーが多く、相場の値動きが荒く素人は手を出しにくい。


 目論見書は分厚くて読めないので、渡したから責任はないという証券会社の対応は改善すべきではないか。


 条件が良い社債は、機関投資家向けばかりで個人に回ってこない印象がある。


 証券会社の自己売買取引が全体の42%にまで増えていることは健全ではないと思う。


 営業姿勢について、丁寧に商品説明をしてくれる営業員もいれば、商品知識もなく勧誘している営業員もいて対応に差がありすぎる。売り手の教育と意識徹底、そしてそれをチェックする機能が必要である。

主に投資家教育に関するもの


 1400兆円の個人資産の多くを占めている高齢者の方々に個人投資家として戻ってきてもらうことが必要である。特に高齢者の方々にはインターネットから情報を収集することに不得手な方が多いので、広く金融教育をイベントとして行っていただきたい。


 生活アドバイザーの立場から消費者啓発をしたいと考えても、学校では受験で手一杯、一般の会社では実践的な教育で手一杯という答えが返ってくる。


 子供から興味を持ってもらえるように、株式取引をゲーム感覚で学べるものがあればよいと思う。

その他


 昔は額面増資や無償増資など、株主に対するサービスが多く、本当の意味の長期的な投資ができたが、現在、株を買うメリットは値上がりして儲かることしかなく、投資家が証券市場に入りにくい環境である。


 消費生活センターの証券関係の苦情としては、EB債やマイカルの社債について元本割れしないと説明を受けて購入した例などが多かった。トラブルに巻き込まれたときに、行政に投資家が相談すべき所がないように思う。(注1)


 消費生活センターの相談窓口での証券に関する件数は少なく、1年間の全6000~7000件の中で10数件という数だった。内訳を分析すると年齢層は高く、内容的には商品の適切な説明を受けていないという事例が多く見られた。


 国民の1400兆円の貯蓄を株式市場へ誘導すればもっと株価が上がると思う。売買の税金を取らないなど時限立法を作って株を上げることを考えていただきたい。


 特定口座導入に伴う税制改正等に関する情報がわかりづらい。証券業協会の作成したチラシは証券会社に置いてあるが、途中だけ見た方は新しくなっていることに気がついておらず、広報の仕方自体に問題があったのではないか。(注2)


 税制が一般の人に分かりづらい。証券会社のセミナーではセールスされるのではないかと不安になる方がいるので、業界全体の問題として、証券業協会が説明会をやっていく必要があると思う。(注2)


 監視活動については理解したが、違反に対する罰則が甘いと思う。悪いことをしても儲かるのであれば、やろうと思う人はなくならないだろう。また、民間の監視団体が出てきてもよいのではないか。

(注)1

、相談窓口は、日本証券業協会の各地区協会(広島の場合は中国地区協会)にある。なお、行政当局には相談の窓口はないが、情報としての受付は、監視委員会に窓口を設けている。→情報受付窓口へ


、税制改正の広報については、証券業協会事務局次長及び財務局長からこれからも積極的に行う旨の説明があった。


(以上)

 

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