アクセスFSA 第63号(2008年2月)

【トピックス】

我が国の預金取扱金融機関のサブプライム・ローン関連商品の保有額等について

金融庁では、平成20年2月13日(水)、我が国の金融機関のサブプライム関連商品に関する評価損及び実現損の合計額が、昨年9月末の約2,760億円から、昨年12月末において、約6,000億円に拡大した旨の公表を行いました。

こうした損失拡大の背景としては、グローバルな金融市場において、サブプライム・ローン問題に端を発した混乱の影響が引き続き拡大しているため、各金融機関が追加の損失を計上するに至ったものと認識しています。

ただし、我が国の金融機関におけるサブプライム関連商品の保有額や評価損等の状況は、海外の状況と比べても、また、我が国金融機関の体力(期間利益や自己資本の厚み等)に比べても、相対的に限定されていると考えています。よって、現時点において、この問題が直接我が国の金融システムに深刻な影響を与えるような状況にあるとは考えていません。

しかしながら、現在のグローバルな金融市場の混乱は、幅広い証券化商品の市場、株式市場、モノライン(金融保証専門保険会社)の格下げ等、更にその影響が拡大している状況にあります。各金融機関のディスクロージャーの状況やヒアリングの結果等を踏まえれば、このような状況が我が国金融システムに直ちに深刻な影響を及ぼすとは考えておりませんが、正常化にはなお、ある程度の時間を要するものと認識しています。

従って、今後とも、高い警戒水準を維持しつつ、金融機関のリスク管理状況や、株式やクレジット、為替といった様々な市場の動向等について、内外の関係当局とも連携しながら、早め早めの情報収集に努めるなど、十分注視していきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品の保有額等について」(平成20年2月13日)にアクセスしてください。

わが国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品の保有額等について


IOSCO・マルチMOU(多国間情報交換枠組み)への署名について

平成20年2月、金融庁は、IOSCO(国際証券監督者機構)新しいウィンドウで開きますが策定した枠組みである各国証券監督当局間の協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書(Multilateral Memorandum of Understanding concerning Consultation and Cooperation and the Exchange of Information :以下「マルチMOU」といいます。)の署名当局となり、世界中の証券監督当局との情報交換協力ネットワークを構築することになりました。以下、このマルチMOU署名の意義や、これまでの経緯などについて説明します。

【証券規制当局間の国際協力の必要性の高まり】

近年、証券取引のクロスボーダー化は加速度的に進展しています。しかし、それに伴い、市場不正行為も国境を越えて行われるようになっています。例えば、ある国の市場に上場している証券の取引は、現在、その国の投資家のみならず、外国の投資家も購入等することができます。そのため、ある国の市場における取引について、インサイダー取引や相場操縦などの不正行為に外国の者が関与しているということも現実に発生するようになっており、金融取引のクロスボーダー化の進展によって、ますますそういったことが起こる可能性が高まってきています。

このように国境を越えて行われる不正取引に対し、規制・法執行当局として適切に対応し、取引の公正性や市場の健全性を確保するためには、諸外国の証券監督当局と必要に応じて適宜、円滑に情報交換協力が行えることが不可欠となっています。例えば、A国の市場に上場されている証券についてなされたB国からの発注に関して不正取引の疑いがある場合には、その不正取引の実態の解明・調査などのために、A国の規制当局は、その取引に関する情報(例えば、取引記録やBeneficial ownersに関する情報)が必要となりますが、こういった情報は通常、A国の当局自らが直接、B国の関係者から取得することはできません。こういった場合は、B国の規制当局の協力が不可欠であり、B国の当局から必要な情報の提供を受けられることが必要となります。このような協力の必要性は、各国が相互に必要とするものであり、相互協力・情報交換の枠組みを構築することが、世界各国の証券監督当局にとって、きわめて重要となっています。

【IOSCOのマルチMOUの策定と署名促進のための取組み】

そうした背景から、各国の証券当局は、相互に情報交換協力を行うことを約し、円滑な情報交換が行えるよう、必要な諸事項(支援の範囲や提供情報の取扱い等)を取り決めた枠組みを締結するようになりました。この協力枠組み文書のことを、通常、Memorandum of Understandingと呼び、その頭文字をとって「MOU」といいます。当初、各国の当局は、二国間ベースでMOUを結んでいたところであり、金融庁も、関係の重要性や地域的な観点を踏まえ、1997年から2006年までにかけて、中国(1997年)、シンガポール(2001年)、米国(2002年)、豪州(2004年)、香港(2005年)、ニュージーランド(2006年)の証券規制当局との間で、二国間ベースでのMOUを締結してきました。

その一方、証券取引のクロスボーダー化の進展により、特定の国との二国間ベースにとどまらず、いかなる国とも適宜、情報交換協力を提供し合えることが必要という認識が各国の証券当局間で共有されるようになりました。こうした問題意識の高まりを受けて、世界の証券規制当局で構成されるIOSCO(国際証券監督者機構)は、多国間ベースの情報交換の枠組みの構築に取り組み、2002年5月、上述の「マルチMOU」を策定しました。

マルチMOUの策定当初は、この枠組みへの参加は各当局の自主的な判断に任せられていましたが、その後、IOSCOでは、メンバーにマルチMOU署名を義務付ける動きが加速し、2005年4月のコロンボ総会において、IOSCOの全メンバーに対し、以下を求める決議がなされました。

  • (a)早急にIOSCO・MOUに署名申請し、審査プロセスを完了すること。

  • (b)2010年1月1日までに、IOSCO・MOUの署名当局となること。または、遅くとも2010年1月1日までに、IOSCO・MOUの付属文書Bに基づき、IOSCO・MOUへの署名を可能とする必要な法的権限を追求する(seek)公式のコミットメントを行うこと。

この決議は、一言で言えば、「全IOSCOメンバーに対するマルチMOUへの署名(将来的な署名の約束を含む)の義務付け」です。これについて若干補足すると次のとおりです。

まず、マルチMOUへの署名を果たすためには、外国当局との情報交換協力に関する法制について、IOSCOによる審査を受け、マルチMOUに基づく情報交換が可能であるとの承認を受けなければなりません。すなわち、外国の要請に応じて必要な情報を取得し、提供できる権限を有しているか否かを審査され、マルチMOUで想定されている情報提供協力ができる当局であることをIOSCOに認めてもらうことが、マルチMOUへの署名を果たす要件となっています。上記決議の(a)で述べているのは、この審査プロセスに早急に入り、完了せよ、という趣旨です。

次に、決議(b)で述べているように、2010年1月1日までに審査を受け、マルチMOUに署名するに足る法制を有していると認められることが求められました。ただ、審査の結果、現行法制では必要な法的権限を有していない、と裁定される国もありえます。そういった国については、将来、法改正をしてマルチMOUへの署名を果たせるようにするという意思表示を行うことが求められています。

したがって、この決議により、2010年1月1日までに、世界の証券規制当局は、マルチMOUに署名するか、署名の約束をしなければならなくなりました。すなわち、長期的に見れば、全世界の証券規制当局がマルチMOUに署名するということになったわけです。

このマルチMOUへの全メンバーの参加義務化は、IOSCOにとって現在の最優先課題の一つです。一部の国の当局だけではなく、全メンバーが参加することには、国際的な監視・監督のネットワークの抜け穴を作らないという意味があります。マルチMOUに未参加の国があった場合、そこには国際的な監督・監視のネットワークが及んでいないため、潜在的な不正行為者から見れば、その国は不正行為をするには都合のよい国であるということになります。逆に言えば、マルチMOUのグローバル化によって、そのような不正行為の温床となりうる国がなくなり、どこで不正を働こうが、国際協力の下で関係当局によるアクションがとられることになります。ここにマルチMOU自体の大きな意義があると言えるでしょう。

2008年2月現在、IOSCOメンバーのほぼ半数がマルチMOU署名当局となり、また15当局が将来的な署名に取り組む意思表示をしています。マルチMOUのグローバルネットワーク化への歩みは確実に進んでいるといえるでしょう。

【日本のマルチMOU署名と意義について】

金融庁は、2006年5月にマルチMOU署名のための審査を受けるべく、IOSCOに申請を行いました。マルチMOUの審査過程では、外国当局の要請に応じて情報収集し、提供する根拠規定として重要な証券取引法(申請当時。現「金融商品取引法」)第189条を中心に議論が行われましたが、2008年1月にIOSCOの審査グループは、日本のマルチMOU署名を認める旨の結論に至り、2月5日に当該結論がIOSCOとしての最終決定となりました。この結果を受け、2月19日に佐藤金融庁長官がサインをし、金融庁はマルチMOUの署名当局に正式になりました。

金融庁にとって、マルチMOU署名の実現は、以下のようなきわめて大きな意義があるものです。

  • (1)まず、マルチMOU署名当局となったことにより、世界中の証券当局との間で、情報交換ネットワークを構築できたことです。この結果、我が国市場を使った不公正取引に対し、クロスボーダー協力による効果的対応ができることとなります。現在、日本市場の国際競争力を強化すべく取り組んでいますが、日本市場が、クロスボーダー取引にも国際協力の下で監督・監視が図られているという点は、国際金融センターとしての基礎の一つの確保という意味で、重要な意味を持つものと考えています。

  • (2)また、昨年12月に発表しました「金融・資本市場競争力強化プラン」においても、その中の「ベター・レギュレーション」において、以下のとおり、「海外当局との連携強化」を掲げているところであり、マルチMOUへの署名は、当該施策の大きな推進を実現するものです。

    「3.海外当局との連携強化(抄)

    二国間、多国間で監督当局の情報交換に関するネットワークを拡大し、海外の金融システムや金融・資本市場に関する情報集能力を高めるとともに、その活用を通じて、金融機関の国際的な活動に対する監督の実効性を高め、クロスボーダー化する市場の公正性を担保するべく、不公正取引の排除に努める。」

  • (3)さらに、金融庁のマルチMOU署名により、市場規模で見るとほとんど全世界の市場がマルチMOUのネットワークにカバーされることになりました。金融庁のマルチMOU署名は、グローバルな協力枠組みの構築という国際的な目標の実現に対しても、きわめて大きな意義を有するものです。

【今後のマルチMOUに基づく取組みについて】

マルチMOUの署名当局となったことにより、今後、金融庁は、世界中の証券監督当局との間で、監督・エンフォースメント上必要な情報を相互に交換し合うことが可能となりました。これからは、マルチMOUの枠組みに沿って、各国の証券規制当局と円滑な国際協力を行いながら、クロスボーダー化する我が国の証券市場の公正性や健全性の確保に努めていきたいと考えています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「IOSCO・マルチMOU(多国間情報交換枠組み)への署名について」(平成20年2月12日)にアクセスしてください。


金融安定化フォーラムによるG7への中間報告について

金融安定化フォーラム(FSF)は、2月9日(土)、東京で開催された7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)において、今般の金融市場の混乱の要因分析と今後の対応についての提案に関する中間報告を行い、その中間報告書(概要(日本語・金融庁作成)原文(英語))を公表しました。本中間報告は、昨年10月のG7(ワシントンD.C.)での要請を受けて取りまとめられたものです。最終報告は、本年4月のG7(ワシントンD.C.)において提出される予定です。(参照)昨年10月G7声明ポイント

本中間報告の構成は、以下のとおりとなっています。

  • 「金融システムの現状と調整」:金融市場の混乱に対する現状認識と短期的な対応策。

  • 「根底にある原因と脆弱性」 :再発防止のため、今回の混乱を発生させた事前の要因及び事後的に混乱を増幅させた要因について分析。

  • 「政策検討分野」:再発防止策・市場強化策の検討を行う分野。以下の6つ。

    • 1.監督・監視枠組み

    • 2.OTD(originate-to-distribute)モデルの土台

    • 3.格付の役割等

    • 4.市場の透明性

    • 5.リスクに対する監督規制上の対応

    • 6.当局の危機対応能力

    今回の中間報告では、この6分野における政策対応の方向性が示されており、具体的な提言については4月の最終報告で行われる予定となっています。

金融庁としては、これまで、FSFをはじめとする国際的な議論や検討の場において、昨年11月に公表された「金融市場戦略チーム」の第一次報告書で指摘された論点(例えば、証券化の一連のプロセスにおける各当事者の情報伝達の確保やリスク管理の問題、バーゼルII実施の重要性等)について、我が国の考え方を積極的に主張してきました。今回の中間報告では、こうした論点について、基本的な方向性を同じくする問題意識が示されており、各国間で共通の理解が得られたものと考えています。金融庁としては、4月の最終報告に向けて、FSFをはじめとする国際的な議論や検討に引き続き積極的に参画していきたいと考えています。

(注)金融安定化フォーラム(Financial Stability Forum :FSF)は、金融市場の監督及びサーベイランスに関する情報交換と国際協力の強化を通じて国際金融の安定を促進することを目的に、7カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)によって1999年に創設されました。FSFには重要な国際金融センターを有する各国及び地域の関連当局、金融監督当局による国際機関(バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構(IOSCO)、保険監督者国際機構(IAIS))、国際金融機関(国際通貨基金(IMF)、世界銀行)等が参加しており、我が国からは金融庁、財務省及び日本銀行が参加しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融安定化フォーラムによるG7への中間報告書の公表について」(平成20年2月9日)にアクセスしてください。

1 原債権組成時の融資基準、証券化プロセスの各段階における透明性、格付の役割等


「EDINET運用改善検討チーム」について

1.「EDINET運用改善検討チーム」立ち上げの経緯及び開催状況

1月25日(金)に、上場企業6社の株式(総額20兆円超)を取得したとする虚偽の大量保有報告書が提出され、EDINETに掲載されました。

金融庁では、本件は大量保有報告制度の運用にとってきわめて重大な問題であるという認識に基づき、1月27日(日)に、上記大量保有報告書の提出者であるテラメント株式会社に対して訂正報告書の提出命令を発出し、直ちにその旨をEDINET及び金融庁ウェブサイトに掲載しました(英文でも掲載しています)。

これに加えて、大量保有報告制度及びEDINETについて、再発防止策及び危機管理策を早急に検討するため、2月1日(金)に「EDINET運用改善検討チーム」を立ち上げ、以下のとおり開催しました。

(開催状況)

第1回:2月 1日(金)

第2回:2月 6日(水)

第3回:2月 8日(金)

第4回:2月14日(木)

2.「EDINET運用改善に関する論点整理」の公表について

EDINET運用改善検討チームでは、計4回にわたる検討を踏まえ、2月19日(火)に「EDINET運用改善に関する論点整理」を取りまとめ、公表しました。

具体的には、

  • (a)虚偽のおそれのある大量保有報告書等についての、システムによるチェック機能の強化

  • (b)抽出された報告書に関しての迅速な調査体制、関係機関との連携体制の構築、当局による注意喚起

  • (c)訂正報告書の提出命令を行った開示書類を、例外的に公衆縦覧から外すことができるようにすること

などの内容が盛り込まれています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「「EDINET運用改善に関する論点整理」の公表について」(平成20年2月19日)にアクセスしてください。

金融庁では、上記論点整理を踏まえ、今後、大量保有報告制度及びEDINETの改善策について更なる検討をすすめ、適切に対応していきたいと考えています。


第124回、第125回自動車損害賠償責任保険審議会について

第124回、第125回の自動車損害賠償責任保険審議会は平成20年1月10日、18日に開催され、自賠責保険の基準料率の検証結果等について審議が行われました。

審議の結果、平成20年4月1日からの自賠責保険の基準料率は平均で24.1%の引下げ、契約者負担額でみると24.7%の引下げ効果があり、保険料等充当交付金の減額による契約者負担額の上昇率2.5%と合わせると、最終的に契約者負担額の引下げ幅は22.2%となりました。

1.自賠責保険の料率検証結果について

本来の自賠責保険料である基準料率については、その料率の適正を確保するため、損害保険料率算出機構が毎年その妥当性の検証を行い、検証結果を金融庁長官に報告することとなっています。金融庁長官は、その検証結果を当審議会に報告します。検証の結果、基準料率が妥当でないと判断される場合には、基準料率の改定を行うことになります。

第124回自動車損害賠償責任保険審議会において、損害保険料率算出機構から報告された料率検証の結果について、交通事故発生件数の減少等により、平成17年4月の前回基準料率改定時の予定損害率との乖離が、平成19年度、平成20年度ともに▲20.3%と大幅なものとなったこと等につき、契約者間の公平性を保ちつつ速やかに保険料水準に反映させることにより、契約者負担の軽減を図るとの方向性が示されました。

第125回自動車損害賠償責任保険審議会においては、前回審議会で示された方向に沿って、損害保険料率算出機構が算出・届出を行った新たな基準料率が平成20年4月1日から適用されることについて答申がなされました。新たな基準料率は、例えば、自家用自動車2年契約で22,470円となります(現行の基準料率は31,730円であり、引下げ幅は9,260円)。詳しくは「(別紙)平成20年度に適用する自賠責保険基準料率(保険期間別)」を参照してください。

  • (注)平成14年度から平成19年度までの間は政府再保険の廃止(平成13年度末)に伴う自賠責特別会計の累積運用益が保険料等充当交付金として交付されてきましたが、平成19年度をもって終了します。なお、平成19年度の交付額は自家用自動車2年契約額で900円です。

契約年度 平成19年度 平成20年度
前回(平成17年4月)改定時予定損害率 106.9
平成19年度料率検証結果による予定損害率 85.2 85.2

(注)損害率=(支払保険金/収入純保険料)×100

※ 平成17年4月の基準料率改定経緯については、金融庁ウェブサイトの「月刊広報誌アクセスFSA」から「第27号(2005年2月25日)」にアクセスしてください。

(参考)基準料率とは?

基準料率とは、損害保険料率算出団体が算出する保険料率の一つです。損害保険算出団体の会員である保険会社は、損害保険料率算出団体が算出した基準料率を自社の保険料率として使用するという届出の手続きをすれば、保険業法に基づいた認可を取得したものとみなされます。現在は、損害保険料率算出機構が自賠責保険の基準料率を算出しており、自賠責保険を取り扱っている全ての保険会社がこれを適用しています。

(参考)保険料等充当交付金とは?

交付金については、国土交通省が予算を所掌しています。平成13年度末の政府再保険制度廃止時の累積運用益約1兆9,400億円について、その20分の11、約1兆700億円をユーザー還元して保険料負担の軽減を図るために交付金制度が創設されました。この制度に基づき、平成14年度から平成19年度までの6年間の保険契約について予算の範囲内で交付することとなっています。

交付金の交付方法は、当初3年間は厚めに交付し、従来の契約者負担額維持に必要な交付金を交付することにより、急激な保険料負担額の増加を防止するという考え方によっています。

平成20年度以降に効力が生じる自賠責保険に係る契約者負担額については、平成19年度中に効力が生じる保険契約分で交付金が完了することに伴い、基準料率がそのまま契約者負担額となります。

2.諮問事項

事務局より金融庁長官から諮問のあった(a)自賠責共済規程の一部変更について(b)自賠責事業にかかる認可についての説明がなされました。諮問事項について検討した結果、本件諮問を受けた事項については、いずれも異議はない旨の答申を行うことになりました。

3.報告事項について

  • (1)保険料等充当交付金については、最終年度である平成19年度第4四半期の契約に係る保険料等充当交付金が交付されることを以て、保険料等充当交付金の交付は終了するとの報告がありました。

  • (2)平成20年度自動車安全特別会計(旧自賠特会)の運用益の使途について、平成20年度民間保険会社の運用益の使途について及び平成20年度JA共済の運用益の使途について報告がありました。

  • (3)自賠責保険診療報酬基準案の実施状況については、現在45都道府県で実施されており、残る2県(山梨・岡山)に対し、早期実施に向けて引き続き協議を行っていくとの報告がありました。

  • (4)平成13年の自賠法改正に際し、衆参両院の附帯決議により、改正後5年以内に自動車事故対策事業の見直しを行うことが政府に求められたことから、国土交通省内に「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」が設置されました。平成18年3月から同年6月までに有識者により集中的に見直しの議論が行われ、同年6月に提言がなされた報告書の実施状況について報告がありました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「自動車損害賠償責任保険審議会」にアクセスしてください。

平成20年度に適用する自賠責保険基準料率(保険期間別)


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