アクセスFSA 第69号(2008年8月)

【トピックス】

「オフサイト検査モニターの集計結果」の公表について

  • 1. 概要

    金融庁では、「金融検査に関する基本指針」の適切な運用の確保及び検査マニュアルの機械的・画一的な運用を防止する等の観点から検査モニターを実施し、その後の検査業務の参考としています。

    検査モニターには、検査局や財務局の各幹部が検査先の金融機関へ赴き、検査の実施状況などについて直接ご意見を伺うオンサイト検査モニターと、検査終了後アンケートに回答をいただくオフサイト検査モニターの2方式があります。

    今般、平成19検査事務年度に実施した検査に関するオフサイト検査モニターのアンケート結果を取りまとめましたので、平成20年7月31日に公表しました。

  • 2. アンケート要領

    • ◇ アンケートは、以下の2種類について、「1(妥当)」「2(概ね妥当)」「3(あまり妥当でない)」及び「4(妥当ではない)」の4肢択一方式で回答していただくものです。

      • <アンケート式(1)> 検査執行状況等に関する事項
      • <アンケート式(2)> 検査結果通知に関する事項
    • ◇ 対象先、回収率

      • <アンケート式(1)>

        対象先:230先(19年7月以降20年5月末日までの間に立入検査を終了した先)

        回収率:167先(73%)

      • <アンケート式(2)>

        対象先:177先(19年7月以降20年5月末日までの間に検査結果を通知した先)

        回収率:122先(69%)

  • 3. アンケート結果(総括)

    アンケート結果(別紙参照)は、全体として「1」、「2」とする回答が、それぞれ62%、34%寄せられています。

    昨年の公表時と比較して、「1」と「2」を合わせた回答率は、大きな変化はないものの若干ながら上昇しています。(一昨年93.4%、昨年94.3%、今回95.2%)

  • 4. アンケート項目ごとの状況

    アンケート結果を項目別にみると、全25項目のうち21項目で、「1」と「2」を合わせた回答率が90%を超えています。また「検証にあたっての双方向の議論」や「検査マニュアルの機械的・画一的な運用」などの項目については、昨年と比較し、「3」と「4」を合わせた回答率が減少しています(注)。

    (注)「3」と「4」を合わせた回答率




    「検証にあたっての双方向の議論」      昨年3.1%、今回1.2%

    「検査マニュアルの機械的・画一的な運用」 昨年4.4%、今回2.4%




    これらは、研修等の機会を通じて検査官に徹底を図ったこと、主任検査官に各検査官の指導を徹底し、きめ細かい管理を行うように指導したことなどが反映されたものであると思われます。

    一方で、「3」と「4」を合わせた回答率が3%を超えている項目も認められます。これらのうち、主なものについて、付記された意見の内容と併せて、金融庁としての考え方や対応をご紹介します。

  • ◇ 「検査の時期」・・・「3」と「4」を合わせた回答率13.8%

    • 金融機関から、検査の時期が決算期などの繁忙期と重なり負担感が大きく、金融機関の規模等によっては、業務執行へ影響するなどの意見がありました。

      これらの意見に対しては、今後とも、経営に重要な影響を与える問題点に焦点をあてたメリハリのついた検証を行うなど、金融機関の負担軽減に配慮していきたいと考えています。一方で、検査の必要性や、現状の人員体制などの問題もあって、当方の対応にも限界があることもご理解いただきたいと思います。

  • ◇ 「執務時間の考慮」・・・「3」と「4」を合わせた回答率6.0%

    • 金融機関から、検査官の退出時刻が22時を超える日があったなどの意見がありました。

      これらの意見に対しては、金融機関の負担への配慮という視点に立ち、主任検査官による執務時間の管理を厳格に行うよう引き続き徹底するほか、今後とも研修等の機会を通じ検査官に対する指導に努めていきます。

  • ◇ 「提出期限の設定に当たっての配慮」・・・「3」と「4」を合わせた回答率4.2%

    • 金融機関から、提出期限が短く事務負担を感じたなどの意見がありました。

      これらの意見に対しては、金融機関の規模等を勘案するなど、主任検査官による管理を十分に行うよう徹底するほか、今後とも研修等の機会も通じ検査官に対する指導に努めていきます。

  • ◇ 「検査官の態度」・・・「3」と「4」を合わせた回答率4.8%

    • 金融機関から、一部検査官の言動に苦言が寄せられました。

      この点につきましても、主任検査官の指導や研修等の機会を通じ検査官に対して穏健冷静な検査態度の徹底に努めていきます。

  • ◇ 「検査を実施する上での知識」・・・「3」と「4」を合わせた回答率3.6%

    • 金融機関から、経験の少ない検査官の検査手法等に苦言が寄せられました。

      この点につきましては、今年度より専門研修等を充実するなど、引き続き検査官の資質の向上に努めていきます。

  • 5. 自由記載欄(金融検査評定制度について)

    「金融検査評定制度」に関しては、「自主的・継続的な経営改善を行うインセンティブが高まった」という意見がある一方で、「具体的な評定事例を示してほしい」、「事例を踏まえた判断基準を明示してほしい」などの意見も寄せられました。

    これらの意見に応えるため、本年7月に公表した「金融検査指摘事例集」において、評定結果についてレベル感を比較できるようにB評定を3類型に分けて紹介しました。今後とも、要望に応えるため指摘事例集の一層の充実を図っていきます。

  • 6. アンケート式(2)結果(検査結果通知書について)

    全体として、「1」と「2」を合わせた回答は99%となっており、「1」とする回答は78%を占めています。

  • 7. 「検査モニター」について

    オンサイト検査モニターについては、平成19検査事務年度より原則全件実施しました。今後とも金融機関との率直な意思疎通を図るため対話を充実していきたいと考えています。

    また、検査モニター等において寄せられた種々のご意見を踏まえ、これまで以上に適切な検査の実施に努めていきます。各金融機関におかれましては、検査モニターについてのご理解とご協力をお願いします。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「オフサイト検査モニターの集計結果の公表について」(平成20年7月31日)にアクセスしてください。

オフサイト検査モニター集計結果(アンケート式(1))
オフサイト検査モニター集計結果(アンケート式(1))

金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等
(期間:平成20年4月1日~6月30日)について

金融サービス利用者相談室(以下「相談室」)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成20年4月1日から6月30日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • 1.平成20年4月1日から6月30日までの間に、11,441件の相談等(詳細については、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(平成20年7月31日)をご参照ください。)が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均185件となっており、20年1月1日から3月31日までの間の実績(199件)と比べやや減少しています。

  • 2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関するものが2,970件(26%)、保険商品等に関するものが3,124件(27%)、投資商品等に関するものが3,518件(31%)、貸金等に関するものが1,595件(14%)、金融行政一般・その他が234件(2%)となっています。

  • 3.分野別の特徴等としては、。

    • (1) 預金・融資等に関するもののうち、融資業務については、融資の実行・返済についての相談等が、預金業務については、本人確認手続など預入れ時の態勢についての相談等が、その他業務では、為替についての相談等が寄せられています。

    • (2) 保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。

    • (3) 投資商品等については、証券会社(第一種業)に関するもの、登録詐称・無登録業者に関するもの、有価証券報告に関するものについての相談等が寄せられています。

    • (4) 貸金等については、一般的な照会・質問に関するもの、個別取引・契約の結果に関するもの、不適正な行為に関するものについての相談等が寄せられています。

  • 4.なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報(注)も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    • (注) 検査・監督上参考となる情報の例

    • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

    • (2)預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

    • (3)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

    • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

    • (5)保険会社等の不払い等(保険金等の不適切な不払い、支払漏れ等)に関するもの

    • (6)保険募集人等の不適正な行為に関するもの

    • (7)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

    • (8)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不当な開示拒否等)に関するもの

  • また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ117口座の情報提供を行っています。

    さらに、平成20年1月1日から3月31日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

    • (1)監督において行った224金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

    • (2)金融庁が着手した15金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • 5.寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しています。今回、新たに追加又は改訂する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」の項目・相談事例等は、以下のとおりです。

    • □ 預金・融資等

      ○  振り込め詐欺救済制度に関する相談等

      • 振り込め詐欺の被害に遭い、お金を振り込んでしまいました。振り込め詐欺救済法が施行されたと聞きましたが、施行前の被害も救済の対象になりますか。どのような手続をしたらいいですか。

    • □ 保険商品等

      ○  保険金の支払に関する相談等

      • 保険金の支払を保険会社に請求してからしばらく日数が経過しましたが、まだ保険金が支払われていません。通常、請求してからどのくらいの日数で保険金は支払われるのでしょうか。

    • □ 投資商品等

      ○  自社発行未公開株に関する相談等

      • ある事業会社から、未公開株の勧誘を受けています。当社は発行会社なので金融商品取引法の登録は必要ない、特別な方への限定販売であると言っています。また、当社から勧誘を受けて以後、他の業者から、当社は有望なので株式があれば譲ってほしいとの電話が頻繁にかかるようになりました。信用できるでしょうか。

    • □ 貸金等

      ○  違法な金融業者からの借入れに関する相談等(改訂)

      • 業者の指示にしたがって、借入れを行う前にお金を振り込みましたが、融資が実行されません。

※ その他、金融庁ウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しております。

金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況表(平成20年4月1日~6月30日)
4.分野別・要因別の相談等受付件数

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

平成15年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドライン(現監督指針)を改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。

これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年6月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、18,962件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。

また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年6月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、9,849件の利用停止、7,427件の強制解約等を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成20年7月31日)」にアクセスしてください。

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等

「子ども見学デー 金融庁へGO!」の開催について

去る8月20日(水)と21日(木)の2日間、金融庁において「子ども見学デー 金融庁へGO!」を開催しました。

「子ども見学デー」とは、主催の文部科学省をはじめとした府省庁等が連携して、業務説明や省内見学などを行うことにより、親子のふれあいを深め、子どもたちが夏休みに広く社会を知る体験活動の機会とするとともに、あわせて府省庁等の施策に対する理解の増進を図ることを目的としています。

金融庁については、平成16年度からこの見学デーに参加しており、この機会に暮らしの中の金融の動きや金融庁の仕事について理解を深めてもらうことを目的として開催しています。

今年の見学デーについては、昨年と同様に往復はがきとFAXにて参加者募集を実施しました。その結果、全国各地から多数の応募があり、広報室での厳正な抽選の結果、20日は13名の子どもたちと10名の保護者・引率者、21日は16名の子どもたちと11名の保護者・引率者に参加していただきました。

両日とも朝10時に16階会見室に集合いただき、まず、オリエンテーションを行い、引き続き、「めざせ!マネーキング」と題しまして、金融知力普及協会新しいウィンドウで開きますの有明三樹子先生から講話をいただきました。パソコン、プロジェクター、スクリーン、クイズのソフトを用いながら、くらしや仕事と深い関わりのあるお金や金融・経済を楽しく勉強しました。

続いて、三好広報室長から「金融庁ってこんなところ」と題しまして、金融庁の組織や仕事内容をわかりやすく説明しました。

引き続き、「大臣室をのぞいてみよう」と題し、17階大臣室を子供たち、保護者・引率者の皆さんで訪問しました。両日とも、茂木金融担当大臣に忙しい中時間をとっていただきまして、子供たちの質問に答えていただいたり、大臣を囲んでの記念撮影やサインに応じていただくなど、子供たちや保護者・引率者から大変好評でした。

子どもたちからは「どうして大臣になったのですか?」といった質問や「何代目の大臣ですか?」「今までに合併した一番大きな銀行はどこですか?」「金融庁はすべての銀行を監督しているのですか?」など、大臣から「記者よりも厳しい質問だ。」との言葉が出るほど鋭い質問が数多く寄せられました。

子供たち及び保護者・引率者に記入いただいたアンケート結果からは、「とてもおもしろかった、とてもよくわかった」「お忙しいスケジュールの合間をぬって子どもたちに丁寧に対応してくださった大臣とのお話が一番感動しました」「子供が直接大臣とお会いできて、思い出ができてよかった」「大臣のサービス精神に感動です」などの感想が数多く寄せられました。特に、有明三樹子先生のお話や茂木金融担当大臣との質問コーナーや写真撮影に人気が集まりました。

今回いただいた様々な参加者の声は、次回の子ども見学デーに活かしていくことはもちろんのこと、業務にも活かしていきたいと考えています。今後も子どもたちに金融の動きや金融庁の仕事について興味を持ってもらい、理解を深めてもらえるように金融庁としても努力していきたいと思います。

「子ども見学デー 金融庁へGO!」
有明 三樹子先生のお話の模様

有明 三樹子先生のお話の模様

茂木大臣とお話しする子どもたち

茂木大臣とお話しする子どもたち


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