アクセスFSA 第73号(2008年11月)

【トピックス】

市場関係者との意見交換会について

平成20年12月8日、中川金融担当大臣、谷本内閣府副大臣、宇野内閣府大臣政務官が東京証券取引所を視察し、証券市場関係者と意見交換を行いました。

東京証券取引所アローズ・マーケットセンターにおいては、コンピュータの端末を通じた実際の株取引の状況や、取引所社員による売買監理(監視)の状況を視察しました。また、続いて開催された意見交換会では、世界の金融・資本市場の現状を踏まえ、市場を取り巻く諸問題について、証券市場関係者との間で直接の意見交換が行われました。

意見交換会で挨拶する中川大臣

意見交換会で挨拶する中川大臣

意見交換会終了後、記者団との会見に応じる中川大臣

意見交換会終了後、記者団との会見に応じる中川大臣


主要行等の平成20年度中間決算について

主要行等の平成20年度中間決算発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、平成21年1月9日に公表しました。

以下、主要行等の平成20年度中間決算の概要(単体)について説明します。

1.収益の状況

銀行の本業の儲けを表す実質業務純益は平成20年9月期1.4兆円となり、平成19年9月期対比0.2兆円の減少となりました。これは、貸出残高の増加はあったものの、利ざやの改善は限定的であり、市況悪化により手数料収入は減少、他方、人的資源強化やシステム投資等により経費が増加したことによるものと考えられます。

当期純利益は平成20年9月期0.3兆円となり、平成19年9月期対比0.5兆円の減益となりました。これは、上記の要素に加え、与信関係費用や株式の減損が増加したことなどが影響したものと考えられます。

2.財務の健全性の状況

不良債権比率は、平成20年9月期1.5%となり、平成20年3月期対比0.1ポイントの微増となりました。

自己資本比率については、平成20年9月期11.7%となり、平成20年3月期対比0.6ポイントの減少となりました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「主要行等の平成20年度中間決算について」(平成21年1月9日)にアクセスしてください。

なお、今回から、報道発表では連結の計数についても集計し、掲載しています。


地域銀行の平成20年9月期決算の概要

地域銀行の平成20年9月期決算の発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、12月8日に公表しました。

以下、地域銀行の平成20年9月期決算の概要について説明します。

1.損益の状況

実質業務純益は、債券の減損処理費用の増加、手数料収入の減少等により、前年同期に比べ、24.0%の減益となりました。

中間純利益は、実質業務純益の減益に加え、不良債権処理費用や株式等の減損処理費用の増加等により、前年同期に比べ62.8%の減益となりました。

2.不良債権の状況

不良債権額は20年3月期に比べ増加し、不良債権比率も僅かながら上昇しました。

3.自己資本比率の状況

自己資本比率(足利銀行を除く)は20年3月期に比べ僅かながら低下しました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「地域銀行の平成20年9月期決算の概要」(平成20年12月8日)にアクセスしてください。


我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について

金融庁では、我が国の預金取扱金融機関について、本年9月末時点におけるサブプライム関連商品等及びFSF報告書における先進的開示事例を踏まえた証券化商品等の保有額等を取りまとめ、平成20年11月28日に公表しました。

サブプライム関連商品等については、本年9月末において、我が国の預金取扱金融機関全体で、保有額は約7,970億円(本年6月末比 約▲1,610億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は約9,500億円(本年6月末では、約8,960億円)となりました。

他方、証券化商品等全体については、本年9月末において、保有額は約22兆2,710億円(本年6月末比 約▲1兆2,320億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は、約3兆2,730億円(本年6月末では、約2兆5,740億円)となっており、前回と比べ損失が大きく拡がりました。

この背景としては、昨年夏以降サブプライムローン関連商品等を中心に損失が拡がっていましたが、その後、広く証券化商品市場全体に問題が波及し、サブプライムローンとは関連のない債務担保証券(CDO)やローン担保証券(CLO)、住宅ローン担保証券(RMBS)、商業用不動産担保証券(CMBS)等にまで損失が拡大していることが考えられます。

金融庁では、昨年9月末以降、我が国預金取扱金融機関全体におけるサブプライム関連商品等や証券化商品等(※)の保有状況を、統一した基準の下に開示してきました。

こうした取組みは、サブプライムローン問題に端を発するグローバルな金融市場の混乱が我が国金融システムに与える影響に関する、正確な理解に資するものであると考えています。

金融庁としては、情報発信の取組みをこれからも推進し、金融システムの現状や金融行政の考え方に容易にアクセスできる環境の整備を引き続き図っていきたいと考えています。

(※) FSF報告書における先進的開示事例を踏まえた証券化商品等の保有状況については、本年3月末時点より集計・公表しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について」(平成20年11月28日)にアクセスしてください。


商工会議所に対するアンケート調査結果の概要

金融庁では、中小企業金融の実態を把握するため、全国の財務局等を通じて、各都道府県の商工会議所47先に対し、ヒアリング調査を実施しました。本年5月及び8月に続く調査であり、会員企業の業況(経営環境・収益等)の現状と先行きや悪化の要因、及び会員企業の資金繰りの現状と先行きや悪化の要因、についてヒアリング調査を行っています。

1.会員企業の業況(経営環境・収益等)の現状と先行き、悪化の要因

中小企業の業況感については、全般的に厳しさが増しており、悪化の要因としては、「売上げの低迷」の割合が最も大きく、次いで、前回最大であった「原油・原材料価格の上昇」が続いています。

2.会員企業の資金繰りの現状と先行き、悪化の要因

中小企業の資金繰りも、全般的に厳しさが増しており、悪化の要因としては、「販売不振・在庫の長期化等の営業要因」の割合が最も大きいですが、金融機関の「融資態度」や「融資条件」も上昇しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「商工会議所に対するアンケート調査結果の概要」(平成20年12月12日)にアクセスしてください。


自社株式取得に係るインサイダー取引規制に関するQ&Aについて

自社株式取得に係るインサイダー規制に関し、上場会社が自社株を取得する際に信託や投資一任契約を利用した場合の規制の適用の有無について、明確化の要望が寄せられていたところ、現下の株式市場の動向等を踏まえ、これに関して明確化を図るため、11月18日、金融庁と証券取引等監視委員会の連名で「インサイダー取引規制に関するQ&A」を公表しました。

また、この関連で、上場会社の役職員が行う自社株式取得に係るインサイダー取引規制についてのQ&Aを、「インサイダー取引規制に関するQ&A」に(問2)として同年11月25日に追加しました。

具体的な内容は以下のとおりです。

Q1:  上場会社が信託方式又は投資一任方式によって自己株式取得を行う場合において、インサイダー取引規制に違反しないためには、どのような配慮が必要でしょうか。

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第166条においては、「会社関係者」であって、上場会社に係る業務等に関する「重要事実」を知った者は、その事実が公表された後でなければその会社の有価証券等の売買等をしてはならない旨が規定されています(インサイダー取引規制)。

上場会社が信託方式又は投資一任方式によって自己株式取得を行う場合、実際には第三者である信託銀行等が買付主体となるところ、上記の会社関係者が重要事実を知って売買等を行う場合に該当するかどうかが問題となります。

この点については、例えば、

  • (1)信託契約又は投資一任契約の締結・変更が、当該上場会社により重要事実を知ることなく行われたものであって、

  • (2)○ 当該上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行わない形の契約である場合、又は、

    ○ 当該上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行う場合であっても、指示を行う部署が重要事実から遮断され、かつ、当該部署が重要事実を知っている者から独立して指示を行っているなど、その時点において、重要事実に基づいて指示が行われていないと認められる場合、

においては、一般に、上記の会社関係者が重要事実を知って売買等を行う場合に該当しないと考えられることから、基本的にインサイダー取引規制に違反しないものと考えられます。

Q2:   現在、一部の上場会社において、「役職員について、持株会を通じる方法以外での自社株式取得を禁止する」という社内ルールが設けられている例があるが、年末まで又は年度末までなど一時的にこの社内ルールを解除し、インサイダー規制に反しない限り役職員が自社株式を取得してよいこととしたいと考えますが、インサイダー取引規制との関係で問題がありますか。

インサイダー取引規制違反が生じないように、上場会社各社においてその実情に応じた社内ルールが整備されることは重要なことですが、同時に、社内ルールが過剰な内容になり、結果として自社株式売買を萎縮させることがないような配慮が必要です。

御指摘のような、持株会を通じる方法以外での自社株式取得を禁止するという社内ルールは法令上求められるものではなく、各社の判断でこれを解除することは、インサイダー取引規制に抵触するものではありません。


公益法人が行う保険(共済)事業について
~保険業法との関係~

平成20年12月1日より、民による公益の増進を目指した公益法人制度改革関連3法が施行されています。これに伴い、現在、公益法人が行っている保険(共済)事業については、新法人(一般社団法人など)への移行により、公益性の認定の有無にかかわりなく従来の主務官庁による監督がなくなることから、保険業法の規制対象となります。

金融庁では、保険(共済)事業を行っている公益法人が新制度において円滑な移行等を図っていけるよう、公益法人の今後の対応のポイントやよくある質問を公表しました。

その概要は、以下のとおりです。

1.公益法人の今後の対応

平成18年4月1日の時点で保険(共済)事業を行っている公益法人は、新法人への移行登記後も引き続き新規の保険(共済)契約の引受けを行う場合には、少額短期保険業者や制度共済(生協、事業協同組合など)へ移行するなどの対応が考えられます。

この移行登記までに少額短期保険業の登録等を行っていない場合、登記以降は新規の保険(共済)契約の引受け(契約期間が満了した保険(共済)契約の更新等を含む。)は法令上禁止されます。

ただし、この場合においても、既存の保険(共済)契約について新法人は、登記後1年間は分割払いの掛け金(保険料)の受取りや保険金支払いなどの管理業務を行うことが可能です。各法人には、この期間内に、保有している保険(共済)契約の移転などの対応が求められます。

なお、新法人への移行登記までに、既存の保険(共済)契約のすべてが終了する場合には、特段の対応はいりません。

2.よくある質問

金融庁や財務局等に寄せられた質問等を踏まえて、公益法人が行う保険(共済)事業と保険業法の関係について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。その主なものについては、以下のとおりです。

Q1:  公益法人(財団法人・社団法人)の保険(共済)事業は、今後どのようになるのですか。

現在、公益法人が行っている保険(共済)事業については、その法人が新法人への移行登記をするまでの間は、それぞれの主務官庁の監督の下で引き続き現在と同様に行うことが可能となっています。

保険(共済)事業を行っている公益法人が新法人として登記する時期、その後の保険(共済)事業をどうするかについては、各法人で対応が異なります。(ご契約者の方は、契約先の公益法人にお問い合わせください。)

Q2:  公益法人の行っている保険(共済)事業は、どのような保険(共済)事業であっても、保険業法の規制対象となるのですか。

すべての保険(共済)事業ではなく、保険業法上の「保険業」に該当する場合は、保険業法の規制対象となります。「保険業」に該当するかどうかの判断基準としては、人の生死に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険(生命保険)、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害を填補することを約し保険料を収受する保険(損害保険)などを行う事業であれば「保険業」に該当します。

ただし、他の法律に特別の規定のあるもの(生協、農協、事業協同組合など)や一の会社がその従業員を相手方とするものなどについては、保険業法は適用されません。

いずれにしましても、保険業に該当するかどうかについては、保険(共済)契約の内容・形式によって個別に判断されるものであるため、最寄りの財務局等に前広に相談いただくようお願いします。

Q3:  一定の人的・社会的関係に基づく数万円程度の慶弔見舞金などは、「保険」に該当しないと考えて差し支えありませんか。

一定の人的・社会的関係に基づき、慶弔見舞金等の給付を行なうことが社会慣行として広く一般に認められているもので、社会通念上その給付金額が妥当なものは保険業には含まれません(少額短期保険業者向けの監督指針III-1-1(1)(参考)(注1))

「社会通念上妥当な給付金額」については、現在、他の法令における取扱い等も踏まえ、10万円を超えない金額として運用しています。

このほか、個別のケースなど、ご不明な点は最寄りの財務局等にお問い合わせください。

また、社団法人生命保険協会、社団法人日本損害保険協会においては、保険会社への移行を目指す団体等に対する情報提供等を、特定非営利活動法人日本少額短期保険協会においては、少額短期保険業者への移行を目指す団体等に対する情報提供等を実施していますので、必要に応じ、ご相談ください。

【お問い合わせ先】

金融庁:  03 - 3506 - 6000

 

北海道財務局新しいウィンドウで開きます: 011 - 709 - 2311

東北財務局新しいウィンドウで開きます:  022 - 263 - 1111

 

関東財務局新しいウィンドウで開きます:  048 - 600 - 1288

北陸財務局新しいウィンドウで開きます:  076 - 292 - 7855

 

東海財務局新しいウィンドウで開きます: 052 - 951 - 2494

近畿財務局新しいウィンドウで開きます:  06 - 6949 - 6371

 

中国財務局新しいウィンドウで開きます:  082 - 221 - 9221

四国財務局新しいウィンドウで開きます:  087 - 831 - 2131

 

九州財務局新しいウィンドウで開きます:  096 - 353 - 6351

福岡財務支局新しいウィンドウで開きます: 092 - 411 - 7281

 

沖縄総合事務局新しいウィンドウで開きます:098 - 866 - 0095

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「公益法人が行う保険(共済)事業について ~保険業法との関係~」(平成20年12月1日)にアクセスしてください。


金融検査評定結果の分布状況について

金融庁では、「金融検査評定制度」に関して、「金融検査評定結果の分布状況」をとりまとめ、12月16日に公表しました。

  • 1.金融検査評定制度については、平成18年1月から試行を開始し、平成19年4月以降、本格施行(ただし、主要行以外の金融機関については、平成20年1月以降)を開始しています。

  • 2.金融検査評定制度の趣旨は、金融検査の結果について、段階評価(注1)を示すことで、金融機関自身の経営改善に向けての動機付けとするとともに、より効率的かつ実効的な検査等につなげるものです。

  • 3.こうした制度の趣旨に照らせば、評定結果は、被検査金融機関のみが認識していることで十分であり、これを個別に対外公表することは、風評等のリスクもあることから適当ではないと考えられます。

  • 4.しかしながら、各業態(金融機関)から評定の分布状況を公表して欲しいとの要望があったことから、これまでに2度、業態毎及び評定項目毎の評定結果について、「C評価以下」の分布状況を公表したところです。

  • 5.この度、前回公表(注2)以降の平成19年4月から、平成19検査事務年度末の平成20年6月末までに予告し、評定を実施した検査(金融機関数314先)を対象として、「C評価以下」に加え、「A評価」及び「B評価」の分布状況を公表しました。

  • 6.「金融検査評定結果の分布状況」は今後もデータの蓄積を行い、ある程度のデータの蓄積がされた段階で公表を行うことを考えています。

  • (注1) A評価:強固な管理態勢が経営陣等により構築。
      B評価:十分な管理態勢が経営陣等により構築。
      C評価:管理態勢の構築が不十分で、改善が必要。
      D評価:管理態勢に欠陥または重大な欠陥。
  • (注2)平成19年12月11日公表。(施行期間である平成18年1月から金融検査マニュアルの改訂までの平成19年3月末までの実施分)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表関係」から「金融検査評定結果の分布状況について」(平成20年12月16日)にアクセスしてください。


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