アクセスFSA 第73号(2008年12月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第74号(2009年1月)

全国財務局長会議で挨拶する谷本副大臣(左)と宇野大臣政務官(右)(1月29日) 全国財務局長会議で挨拶する谷本副大臣(左)と宇野大臣政務官(右)(1月29日)
全国財務局長会議で挨拶する谷本副大臣(左)と宇野大臣政務官(右)(1月29日)

目次


【特集】

金融審議会金融分科会第二部会報告の公表について

平成21年1月14日、金融審議会金融分科会第二部会(部会長 岩原紳作 東京大学大学院法学政治学研究科教授)において、報告書「資金決済に関する制度整備について―イノベーションの促進と利用者保護―」がとりまとめられ、公表されました。

決済システムは金融・資本市場を支える重要な社会的基盤(インフラ)であり、我が国金融・資本市場の競争力強化に向け、その安全性、効率性、利便性の一層の向上等の指摘がなされています。平成19年12月に公表された金融庁の「市場強化プラン(金融・資本市場競争力強化プラン)においても、「安全かつ効率的で利便性の高い決済システム等の構築」がその目標の一つとして掲げられています。

金融審議会金融分科会第二部会では、同部会の下に設けられた「決済に関するワーキング・グループ」(決済WG)において、昨年5月から12月まで、リテールの資金決済に関し、専門的な観点から12回にわたり検討が行われ、第二部会に対し報告が行われました。決済WGでは、情報通信技術の革新やインターネットの普及等により、新たなサービスが普及・発達している状況を踏まえ、資金決済システムの安全性を確保しつつ、イノベーションの促進、利用者保護など様々な観点からバランスのとれた制度整備について議論が行われました。

また、第二部会においては、銀行間の資金決済に関し、資金決済システムの強化のための制度整備について議論が行われました。

なお、決済WGの報告のうち、ポイント・サービス、収納代行・代金引換サービスのように、共通した認識を得ることが困難であり、種々の意見が記述されている事項がありますが、これらについては性急に制度整備を図ることなく、将来の課題とすることが適当であり、利用者保護に欠ける事態等が生じないよう、引き続き注視していくことが必要とされました。

金融庁としては、第二部会報告の内容を十分に踏まえ、関係制度の整備に、早急に取り組んでいきます。

金融審議会組織図

金融審議会組織図

«報告の概要»

  • 1.リテールの資金決済

    決済WG報告においておおむね共通した認識が得られた事項について、実務面での検討を深め、制度整備を図ることが適当

    • 前払式支払手段

      • サーバ型前払式支払手段を、紙型・IC型前払式支払手段と同様に取り扱う
      • 自家型のものに対する監督規定の整備を行う
      • 自家型は届出制、第三者型は登録制などとされている現行の枠組みは維持する
      • 発行保証金の保全方法として、供託、金融機関等の保証に加え、信託の活用など倒産隔離が可能な他の保全方法を検討
      • 換金・返金は原則として禁止し、事業者が事業を廃止するなどの場合には換金・返金を義務づける
    • 資金移動サービス(仮称)

      • 預金の受入れや融資等の運用を行わない為替取引について、銀行以外の者が行うことを認める(為替取引に関する制度の柔軟化)
      • 資金移動サービス事業者が破綻した場合の利用者保護を図り、社会的・経済的影響を最小限に抑えることが必要
      • 事業者に滞留する資金が全額保全されることが必要
      • 滞留資金額の保全について、倒産隔離を図りつつ、供託や金融機関等の保証に加え、信託銀行等への信託を認める
      • 資金移動サービス業者に対して犯罪収益移転防止法を課すことが必要
  • 2.銀行間の資金決済

    銀行間の資金決済について、諸外国や証券決済における制度を参考に、所要の制度整備を図ることが必要

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「金融審議会」に入り、「答申・報告書等」の「金融審議会金融分科会第二部会報告の公表について」(平成21年1月14日)にアクセスしてください。

金融審議会金融分科会第二部会報告書要旨

【トピックス】

「ベター・レギュレーションの進捗状況について」(第2回)の公表について

金融庁では、平成19年夏以来、金融規制のさらなる質的向上を目指した取組み、すなわち、ベター・レギュレーションへの取組みを進めてきました。ベター・レギュレーションへの取組みの進捗状況については、昨年5月に、平成19年7月から平成20年4月までの進捗状況を中心に取りまとめ、第1回として公表したところです。

今般(平成20年12月26日)、平成20年5月から同年12月までの進捗状況を中心に第2回の報告書を取りまとめましたので、その内容を紹介します。

ベター・レギュレーションについては、大きく以下の4点をその柱と位置づけています。

  • 1.ルール・ベースの監督とプリンシプル・ベースの監督の最適な組合せ

  • 2.優先課題の早期認識と効果的対応

  • 3.金融機関の自助努力尊重と金融機関へのインセンティブの重視

  • 4.行政課題の透明性・予測可能性の向上

まず、この4つの柱に即して進捗状況を概観します。

4つの柱に係る進歩について(平成20年5月~12月)(1)
4つの柱に係る進歩について(平成20年5月~12月)(2)
4つの柱に係る進歩について(平成20年5月~12月)(3)

つぎに、4つの柱を実現するために行っている当面の5つの取組みについて、その進捗状況を概観します。

5つの取組みの進歩(平成20年5月~12月)(1)
5つの取組みの進歩(平成20年5月~12月)(2)
5つの取組みの進歩(平成20年5月~12月)(3)

最後に、前回のベター・レギュレーションの進捗状況に係る報告書では、監督対象先に対して実施したアンケート調査の結果を踏まえ、今後の課題として、「1.職員へのさらなる徹底」、「2.実務者レベルでの対話の充実」、「3.情報発信の機会の拡充」を指摘していましたが、これらの課題についての取組状況の概要は以下のとおりです。

  • (1)職員へのさらなる徹底

    • 検査マニュアルに検査運営の質的向上にあたって特に重要な5項目を明記し、検査官に徹底しています。監督部局においても、プリンシプルの周知・徹底を目的に職員研修を実施しています。
    • 引き続き、職員へのさらなる徹底を図っていきます。
  • (2)実務者レベルでの対話の充実

    • 決算ヒアリングの回数の拡充や、新設したリスク分析参事官室における金融機関実務者等との金融機関の状況等についての幅広い情報交換など、対話を充実してきました。
    • さらに、金融機関が有する法令解釈の疑問点などを聴取する態勢を充実させ、金融機関との対話の中で、プリンシプルについての議論を深めるとともに、行政対応の予測可能性を向上させることが今後の課題と考えられます
  • (3)情報発信の機会の拡充

    • 大臣、長官をはじめ、幹部職員による各種講演を実施しました(英語での講演・スピーチも積極的に実施)。トップページの見直し等、ウェブサイトの充実に向けた取組みも実施しています。
    • 引き続き、情報発信の機会を拡充させていきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「「ベター・レギュレーションの進捗状況について」(第2回)の公表について」(平成20年12月26日)にアクセスしてください。

平成21年度機構・定員及び予算について

  • 1.はじめに

    平成20年12月24日に閣議決定された21年度政府予算案における金融庁関連の機構・定員及び予算の概要について説明します。

    現下の政策課題に的確に対応すべく、定員に関し45名の純増(グロスベースでは68名の増員)及び総括審議官(国際担当)の設置等の体制整備、並びに総額約217億円の予算が認められました。

  • 2.機構・定員

    【定員の推移】

      17年度 18年度 19年度 20年度 21年度
    増員(A) 109 64 64 69 68
    削減等(B) ▲ 17 ▲ 18 ▲ 31 ▲ 25 ▲ 23
    純増(A-B) 92 46 33 44 45
    年度末定員 1,294 1,340 1,373 1,417 1,462

    (注)21年度の削減等には、計画削減▲18のほか、検査官の時限到来(20年度末)による減等が含まれています。

    • (1)金融システムの安定性強化・金融仲介機能の適切な発揮(16人)

      我が国金融システムが安定し、金融仲介機能が適切に発揮されるよう、○銀行・証券会社・保険会社に係る監督体制の強化、○中小企業金融の円滑化に係る体制の強化等を図ることとしました。

    • (2)海外監督当局等との連携(11人)

      国際金融市場の安定化に向けて、国際協調の下で、海外監督当局等との連携を強化するため、総括審議官(国際担当)の設置を含む所要の体制整備を図ることとしました。

    • (3)市場監視・市場監督体制の強化(33人)

      信頼と活力のある市場を構築するため、証券取引等監視委員会の体制強化を図るとともに、格付会社に対する規制対応等、市場に対する監視・監督体制の整備を図ることとしました。

    • (4)金融サービス利用者保護施策推進等(8人)

      金融サービスの利用者が安心して取引できる環境を整備するため、改正貸金業法の円滑な実施のための体制及び決済制度や金融ADR制度の企画・立案体制の強化を図ることとしました。

  • 3.予算

    • (1)予算については、上記増員(68名)、海外当局との連携強化、市場強化、及び情報システム整備等に必要な経費を含め、総額で約217億円(対前年度比22.4億円増、伸び率11.5%増)が認められました。

    • (2)預金保険機構に係る政府保証枠については、52兆円が認められました。このうち、改正金融機能強化法に基づく政府保証枠については、12兆円が認められました。

      (注)なお、平成20年度補正予算(第2号)においても、預金保険機構に係る政府保証枠のうち、金融機能強化法に係るものについては、同法の改正に伴い、現行の2兆円に10兆円を追加し、12兆円が認められました。

    • (3)銀行等保有株式取得機構に係る政府保証枠については、20兆円が認められました。

      (注)なお、平成20年度補正予算(第2号)においても、20兆円が認められました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「平成21年度機構・定員及び予算について」(平成20年12月24日)にアクセスしてください。


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