アクセスFSA 第87号(2010年9月)


【フォトギャラリー】

※ 大臣、副大臣、大臣政務官が出席された会議等の写真を掲載し、皆さんに情報をお届けするものです。

職員に訓示を行う大塚前副大臣
(9 月24 日)

職員に訓示を行う東副大臣
(9 月24 日)

職員に訓示を行う田村前大臣政務官
(9 月24 日)

職員に訓示を行う和田大臣政務官
(9 月24 日)


【特集】

平成23 年度税制改正要望について

8月末、金融庁では「平成23年度 税制改正要望項目」を取りまとめて公表するとともに、要望書を財務省・総務省に提出しました。この平成23年度税制改正要望においては、「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ~」(平成22年6月18日閣議決定)も踏まえ、「新金融立国」の実現を目指すなど、以下の考え方を柱として、必要な税制上の措置を要望しました。

○主な具体的要望項目

  • 1.経済の持続的な成長への貢献
    • ◆現下の経済金融情勢等に鑑み、上場株式等の軽減税率の延長
    • ◆金融商品に係る損益通算範囲及び損失繰越期間の拡大
  • 2.アジアのメインマーケット・メインプレーヤーとしての地位の確立
    • ◆イスラム金融に関する所要の税制措置
    • ◆証券貸借取引に関する所要の税制措置
    • ◆国際課税原則の見直し(「総合主義」から「帰属主義」への変更)
  • 3.国民が豊かさを享受できるような国民金融資産の運用拡大
    • ◆特定口座の利便性向上に向けた所要の措置
    • ◆店頭デリバティブ取引等の申告分離課税化

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から金融庁の平成23年度税制改正要望について(8月30日)にアクセスしてください。


【トピックス】

平成22事務年度主要行等向け監督方針について
平成22事務年度中小・地域金融機関向け監督方針について
平成22事務年度保険会社等向け監督方針について
平成22事務年度金融商品取引業者等向け監督方針について

金融庁では、毎年、事務年度当初に、主要行等、中小・地域金融機関、保険会社等、金融商品取引業者等の監督上の重点事項を明確化するため、それぞれごとに監督方針を策定・公表することとしています。

本事務年度も、8月27日に、例年と同様、「平成22事務年度主要行等向け監督方針」「平成22事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」「平成22事務年度保険会社等向け監督方針」「平成22事務年度金融商品取引業者等向け監督方針」を策定・公表いたしました。以下、その概要を説明します。

1.はじめに

平成22事務年度監督方針の策定時点において、我が国の金融システムの周囲には、世界経済の下振れ懸念、金融資本市場の変動、デフレの影響等のリスク要因(特に、欧州財政問題の深刻化、米国経済の先行き不透明感等)が存在していました。

また、本年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」において、金融機関は、実体経済のバックアップ役として、将来の成長可能性を重視した資金供給等を通じて、そのサポートを行うことが求められています。こうした役割を果たすためには、リスク管理をはじめとした財務の健全性が確保されることが必要となっています。

こうした環境下において、監督当局が金融機関の監督を行うに当たっては、ベター・レギュレーションの一層の定着・進化を図ることを基本に、

  • (1)リスク感応度の高い行政

  • (2)国民の目線・利用者の立場に立った行政

  • (3)将来を見据えた行政

  • (4)金融機関の自主的な経営改善・経営判断に資する行政

という監督姿勢で臨んでいくこととしています。

この他にも、監督に当たって留意すべき点として、検査部局、証券取引等監視委員会、日本銀行等の関係機関との一層緊密な連携を図るほか、報告や提出資料の必要性について年一回定期的な点検を行うなど金融機関の負担軽減にも配意すること等としています。

これらを踏まえ、金融機関ごとに、以下の分野に重点を置いて監督を進めていくこととしています。

2.重点分野

  • (1)主要行等

    • 円滑な金融仲介機能の発揮

      新成長戦略が本年6月に閣議決定されたことや、昨年(平成21年)12月に中小企業金融円滑化法が制定されたこと、改正貸金業法が6月から完全施行となったこと等を受けて、本事務年度は、「金融仲介機能」に関する内容を充実させています。

      • 事業の持続可能性等を促す金融機関の取組みの促進(新成長戦略を踏まえた、成長可能性を重視した金融機関の取組みの実態把握)

      • 中小企業金融・個人向け融資(住宅ローン等)に対する金融仲介機能の発揮(中小企業金融円滑化法への対応状況の把握、消費者向け貸付けへの積極的な対応に関する実態把握等)

    • リスク管理と金融システムの安定

      主要行等が、適切な経営管理(ガバナンス)の下、強固で包括的なリスク管理をより徹底していくことは、個別金融機関の健全性や金融システムの安定のためだけでなく、変化する環境の中で安定的な資金供給を通じて実体経済と企業の成長をサポートするなど、金融機能を十全に発揮するためにも必要です。

      特に、主要行等の動向が金融システムに大きな影響を与えることを踏まえ、「マクロ健全性(macro prudential)監督」の視点を重視した監督を行っていくこととしています。その際、マクロ経済分析、市場モニタリング、個別金融機関の監督という多様なツールを総合した手法を活用していくこととしています。

      • 財務基盤の強化(収益の確保を含めた自己資本の充実)

      • リスク管理手法の改善(ストレステストの質の向上、市場リスクへの対応強化、リスク量制限手法の限界に対する対応)

      • グループ化や国際展開への対応(グループ全体でのリスク管理、非日系与信も含めたリスク管理、流動性管理)

    • 顧客保護と利用者利便の向上

      昨事務年度に引き続き、顧客保護と利用者利便の向上については、以下の事項に重点を置いて監督していくこととしています。

      • 情報セキュリティ管理の徹底等(顧客情報の厳格な管理の徹底)

      • 顧客への説明態勢の充実等(不招請勧誘規制への対応、視覚などの障がい者に対する対応)

      • 相談・苦情処理態勢の充実(10月に導入される金融ADR制度への対応等)

      • 金融機能の不正利用の防止(振り込め詐欺の被害に対する迅速かつ的確な対応等)

  • (2)中小・地域金融機関

    中小・地域金融機関向け監督方針においては、主要行等向け監督方針と共通する内容のほか、以下 のような点を記載しています。

    • 円滑な金融仲介機能の発揮

      地域金融機関においては、地域密着型金融を一層推進することにより、借手企業の経営改善や地域経済の活性化に貢献し、そうした取組みが自らの財務の健全性や収益性の向上にも資するような好循環を目指していくこと、利用者の期待やニーズに応え、価値創造型の金融仲介機能を持続的に発揮していくことが重要です。こうした考え方の下、当局としては、地域金融機関において地域密着型金融の更なる推進が図られるよう以下のような取組みを進めていきます。

      • 各種ヒアリングの機会を通じ、各金融機関における地域密着型金融に関する取組み状況をフォローアップしつつ、当該取組みが利用者と地域銀行の双方にとって、より実効的なものとなるよう建設的な意見交換を行うことにより、各金融機関の創意工夫を凝らした自主的な取組みを促していきます。

      • 地域金融機関が中長期的な視点に立って、人材育成や外部機関の活用等を戦略的に行うこと等により、目利き能力の向上やノウハウの蓄積に努め、利用者の期待やニーズに的確に対応するための取組みを組織全体として継続的に進めているか等について重点的に確認します。

    • リスク管理と地域における金融システムの安定

      • 市場リスク管理強化の観点から、特に、政策保有株式について、リスク管理態勢が構築されているか検証するとともに、保有債券に関連して、金利上昇リスクに対する取組み状況を注視します。

      • 信用リスク管理の強化の観点から、大口先等に対する与信のリスク管理や、経営改善努力を行っている取引先に対する継続的な訪問、経営改善計画等の進捗管理、地道な経営相談・経営改善指導等のきめ細やかな対応が適切になされているかについて検証します。

      • 収益性の向上の観点から、地域金融機関が、中長期的な視点に立って収益基盤の充実を図るため、利用者の期待やニーズを具体的に把握したうえで、地域密着型金融に関する取組みを組織全体でどのように実践していこうとしているか等を把握します。

      • 信用金庫・信用組合における、相互扶助・非営利といった協同組織金融機関の基本的性格等を踏まえた金融仲介機能の発揮や、中央機関による業務補完・支援機能を注視するとともに、中央機関との一層の連携強化に努めます。

    • 顧客保護と利用者利便の向上

      昨事務年度に引き続き、顧客保護と利用者利便の向上については、主要行等向け監督方針と同様の事項に重点を置いて監督していくこととしています。

  • (3)保険会社等

    保険会社等の監督にあたっては、国民生活経済活動のために保険会社が果たすべき役割に十分留意しつつ、以下の分野に重点をおくこととしています。

    • リスク管理の高度化の促進

      保険会社が様々なリスクを適切に把握し、契約者に対する責任を的確に果たすためには、リスク管理の高度化による財務の健全性確保とその財務情報の適切な開示が必要となっております。

      • 金融危機を踏まえたリスク管理の高度化の促進(多様化・複雑化したリスクの統合管理態勢の整備、連結財務規制の導入)

      • ソルベンシー評価の見直し等(リスク計測を厳格化したソルベンシー・マージン比率の導入、経済価値ベースのソルベンシー評価の導入に向けた検討)

    • 顧客保護と利用者利便の向上

      保険会社等による顧客保護・利用者利便の向上については、以下の事項に重点を置いて監督していくこととしています。

      • 情報セキュリティ管理の徹底等(顧客情報の管理)

      • 適切な保険金支払管理態勢の構築(適時・適切な保険金支払いの確保)

      • 適切な保険募集態勢の確立(保険商品の販売・勧誘ルールの遵守)

      • 相談・苦情処理態勢の充実(10月に導入されるADR制度への対応)

    • 保険会社等の属性に応じた監督対応

      保険会社等の業務規模や保険募集の形態が多様化している状況を踏まえ、保険会社等の業務規模・態様等の属性に応じた監督を行うこととしています。

      • 保険会社グループへの対応(グループ全体の業務の適切性、財務の健全性の確保)

      • 中小規模の保険会社への対応(効率的な実態把握の実施)

      • 少額短期保険業者等への対応(注意深いモニタリング等の実施)

      • 保険募集形態の特色に応じた対応(形態の特色に応じた適切な募集の実施)

      • 商品審査の実効性確保(審査の実効性、迅速化・効率化の確保)

  • (4)金融商品取引業者等

    • 市場仲介機能の適切な発揮

      金融商品取引業者等が、市場の担い手として市場仲介機能を適切に発揮することにより、我が国市場に対する投資者の信認を高め、市場の発展につなげていくことが一層重要となってきています。

      市場仲介機能の適切な発揮に向けた対応状況の検証(オペレーションの信頼性向上(誤発注防止等)、発行者へのチェック機能発揮(引受審査)、投資家へのチェック機能発揮(売買管理等)、自己規律の維持(利益相反の防止等))

      顧客情報・法人関係情報の管理の徹底

      反社会的勢力排除の徹底

    • 質の高いリスク管理の促進

      株式売買高が引き続き低調に推移するなど、金融商品取引業者等の収益環境は必ずしも良好とはいえない状況にある中で、金融商品取引業者等が、質の高いリスク管理を徹底することがますます重要になってきています。

      証券会社グループ全体の統合的なリスク管理の促進

      早期警戒制度の的確な運用、業界横断的・時系列的な分析

      来年4月からの証券会社グループへの連結監督・規制の導入を踏まえ、グループ全体の経営実態の適時・的確な把握、統合的なリスク管理態勢等の重点的検証

      ヘッジファンド等各種ファンドの実態把握や上場Jリートの運営状況等の注視

    • 顧客保護と利用者利便の向上

      顧客保護と利用者利便の向上については、主要行等向けにおける取組みのほか、以下の事項に重点を置いて監督していくこととしています。

      格付会社における態勢整備、登録格付がない場合の証券会社等の説明態勢の整備等

      外国証拠金取引に係る証拠金導入規制・強化へのFX業者の対応

      第二種金融商品取引業に係る投資家保護に向けた取組み

      業務の継続性に問題が認められる場合、顧客財産の保全のため、適切に対応

      未公開株やファンド取引に係る詐欺的な勧誘事案、無登録業者による取引等への対応

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「平成22事務年度監督方針及び検査基本方針等について」(22年8月27日)にアクセスしてください。


平成22事務年度検査基本方針・検査基本計画について

金融庁では、平成22年8月27日、本検査事務年度(22年7月1日~23年6月30日)の検査運営の基本的枠組みや検査重点事項等を明確化するため、「平成22検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」を策定・公表しました。以下では、22検査事務年度検査基本方針の概要を説明します。

1.はじめに

我が国経済は、着実に持ち直してきていますが、世界経済の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響などのリスク要因があります。こうした中で、金融機関においては、実体経済、企業のバックアップ役としてそのサポートを行うことが求められています。

こうした情勢を踏まえ、本検査事務年度の金融検査に当たっては、各金融機関において、資金需要者への適切・円滑な資金供給や利用者への良質な金融商品・サービス提供という役割を果たす態勢が整備されているか検証するとともに、そうした役割を果たすことができるだけの十分な財務基盤と強固で包括的なリスク管理態勢が整備されているか検証することを基本としています。

2.基本的な取組姿勢

金融検査の運営に当たっては、金融検査の質的向上(ベター・レギュレーション)を運営指針として、その実践を進めることとしており、具体的には、金融検査マニュアルの前文に記載されている五原則 を基本に据え、双方向の議論を通じ一層深度ある検証に努めることとしています。

また、ベター・レギュレーションの進化に向けた取組みとして、総合的な対応策(アクションプランII)を持続的計画的に遂行することや、日本銀行や海外当局等の関係機関及び監査人との連携をさらに強化すること、金融検査における金融機関の負担軽減に努めることを掲げています。

3.各種検査の基本的枠組み

本検査事務年度は、金融検査の実効性向上とともに、金融機関の負担軽減を図っていく観点から、検査局のオンサイトデータ集積・分析機能と、監督局のオフサイトモニタリングデータ集積・分析機能とを一体化し、オン・オフシームレスなモニタリングを強化することで、金融機関の負担軽減を図りつつ、一層メリハリのある金融検査を進めることとしています。また、各業態等に係る検査の基本的枠組みについても記載しており、例えば、主要行については、検証分野を絞り込んだターゲット検査を基本に、必要に応じ特定のテーマに絞った各行横断的検査(テーマ別横串検査)も実施することとしています。

4.検査重点事項

  • (1)経営管理態勢の整備

    金融機関において、金融仲介機能の発揮、法令等遵守、顧客保護等の徹底及び各種リスクの的確な管理を行うためには、適切な経営管理のもとでの、経営陣の主導性とコミットメントが決定的に重要です。こうした観点から、本検査事務年度は、経営方針に基づく戦略目標について十分な分析と検討が行われているか、戦略目標や各種リスク管理方針が組織全体に着実に浸透・実践されているか、等について重点的に検証することとしています。また、合わせて、取締役・監査役等が、取締役会等において実質的議論を行っているか、職務執行及びその監督の職責を果たしているか、等についても検証することとしています。

  • (2)金融円滑化の一層の推進

    金融機関においては、その業務の健全かつ適切な運営の確保に配意しつつ、金融の円滑化を図るとともに、債務者の経営改善に関して積極的なサポートをすることが期待されています。20、21検査事務年度は、金融機関において、適切なリスク管理をベースとして、中小企業等の実態を踏まえた円滑かつ積極的な金融仲介機能が発揮できる態勢が整備されているか、を重点的に検証してきましたが、本検査事務年度は、こうした観点に加え、金融機関がコンサルティング機能等を十分に果たしながら、引き続き、円滑かつ積極的な金融仲介機能が発揮できる態勢が整備されているかを重点的に検証することとしています。

    具体的には、中小企業等に対する金融仲介機能の発揮について、債務者の実態をきめ細かく把握した上で、数字に表れない技術力、経営者の資質等を踏まえ、円滑な金融仲介機能を発揮できるための融資態勢が整備されているか、中小企業金融円滑化法第6条に規定する必要な措置を講じるための態勢が整備されているか、等について重点的に検証することとしています。また、中小企業に対する経営相談・経営指導及び経営改善に関する支援の確保について、顧客訪問を通じた経営相談など日常的で地道な取組みを積極的に行う態勢やライフサイクルに応じた各段階においてきめ細かな経営相談等を行うための態勢が整備されているか、等について重点的に検証することとしているほか、経営相談等に関し優れた取組み等が認められる場合には、金融検査において積極的に評価することとしています。

  • (3)リスク管理態勢の整備

    リスク管理態勢の整備については、昨事務年度の基本方針と同様、5つの項目を掲げています。統合的リスク管理については、金融技術の進展により、金融機関間の取引が高度に複雑化していることから、従来のリスクカテゴリーの観点だけでは捉えられないリスクが発生することなどを念頭におくなどしてリスク管理態勢の整備を図る必要があります。特に、多様なリスクを内包する金融商品のリスク管理に際しては、それらを総合的に考慮する必要があり、あわせて、バーゼルII・第2の柱で考慮すべき主要なリスク(バンキング勘定の金利リスク等)についても、適切な管理態勢を整備する必要があります。したがって、本検査事務年度においては、金融機関の規模・特性及びリスク・プロファイルに応じた統合的リスク管理態勢が整備されているかについて重点的に検証することとしています。

    信用リスク管理については、金融機関の経営戦略や規模・特性等を踏まえた信用リスク管理態勢が構築されているか、大口与信やプロジェクトファイナンス等の複雑な形態の与信等について、スキームの実態やリスク特性を十分に把握した上で適切な審査・与信管理が行われているか、与信管理部門において、信用格付の見直しを適切に行っているか、的確な予兆管理に努めているか、等について検証することとしています。

    ○重要なリスクに焦点をあてた検証、○問題の本質的な改善につながる深度ある原因分析・解明、○問題点の指摘と適切な取組みの評価、静的・動的な実態の検証、○指摘や評定根拠の明示、改善を検討すべき事項の明確化、○検証結果に対する真の理解(「納得感」)。

    金融グループ全体としてのリスク管理については、グループ全体としての強固なリスク管理態勢を構築することは、我が国金融機関の国際競争力の強化に資すると考えられることから、本検査事務年度においては、グループ全体として、総合的なリスク管理態勢が整備されているかについて重点的に検証することとしています。

    保険会社におけるリスク管理態勢については、内外の経済・金融環境が大きく変動している状況を踏まえ、資産運用リスク、保険引受リスク等の管理態勢が整備されているか、等について重点的に検証することとしています。

    システムリスク管理については、経営陣自らが、専門家任せにすることなく、システムリスク管理に十分コミットメントしているか、顧客や決裁システムに大きな影響・障害を与えるようなリスク事象を網羅的に洗い出して、対策を講じているか、等について重点的に検証することとしています。

  • (4)顧客保護・利用者利便の向上

    金融機関における顧客保護・利用者利便の向上は、国民経済の健全な発展に資するだけではなく、金融機関に対する国民の信頼向上を通じて、我が国金融システムの安定に資する取組みであり、金融機関においては、顧客保護の徹底による安心・信頼をベースに、創意工夫を凝らした金融商品・サービスの提供により競争力を高めていくことが重要です。

    こうしたことから、顧客保護等については、顧客等に関する情報管理の徹底や、適切かつ安全な金融取引の確保、相談・苦情等への適切な対応、顧客に対する適切な説明について重点的に検証することとしています。また、利用者利便の向上については、金融機関の利用者利便向上に向けた取組みについて、優れた事例があれば積極的に評価することとしています。

5.終わりに

金融庁では、本基本方針に基づき、金融機関の利用者や国民の視点に立った適切かつ実効性のある検査を実施していくこととしています。

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「平成22事務年度監督方針及び検査基本方針等について」(22年8月27日)にアクセスしてください。


「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書の取りまとめについて

公認会計士試験については、社会人を含めた多様な人材が公認会計士を目指しやすくなるよう、平成15年に公認会計士法が改正され、平成18年より新試験制度が実施されています。

しかし、その後の状況を見ると、試験合格者の企業等への就職は難航しており、また、社会人の受験者・合格者は十分に増加していません。一方で、経営環境の悪化を主因として監査業界の採用人数の減少等も見られる中、試験に合格しても監査法人等に就職できず、公認会計士になるために必要な実務経験を満たすことができない者が多数生じるといった事態が生じています。

こうした状況を踏まえ、公認会計士試験・資格制度のあり方について、昨年12月より、大塚副大臣を座長とする「公認会計士制度に関する懇談会」において検討を行い、本年7月30日に中間報告書が取りまとめられました。

中間報告書においては、

  • 試験合格しても公認会計士となるための資格を取得できない者(待機合格者)をできるだけ出さない方策
  • 多様な非監査サービスや企業内実務を支える人材の育成のための新たな資格(例えば、「財務会計士(仮称)」)の創設
  • 監査証明業務を支える公認会計士の質の一層の向上
  • 資格取得後の質の確保

等についての考え方が示されております。

この中間報告書については、8月4日から9月2日にかけて意見募集を行いました。

今後、いただいたご意見も踏まえつつ、待機合格者の解消やグローバル化等の環境変化に対応した監査・会計分野の人材育成等の観点から、公認会計士試験・資格制度についてさらに検討を進めてまいります。


政策提言についての「大臣目安箱」開設について

自見金融担当大臣は、金融行政一般について、職員及び広く外部の方々から政策提言を募るため、8月27日より、「大臣目安箱」を開設しました。

「大臣目安箱」にいただいたご提言は、自見金融担当大臣に届くこととなっており、あわせて、金融庁内の担当部局にも回付し、金融行政の参考にさせていただきます。

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から『政策提言についての「大臣目安箱」開設について』(平成22年8月27日)にアクセスしてください。

大臣目安箱

金融庁ウェブサイトのトップページにバナーを設置しています。


多重債務者相談強化キャンペーン2010の実施について

内閣に設けられた「多重債務者対策本部」では、「多重債務者相談強化キャンペーン」として、毎年9月~12月にかけて、弁護士会・日司連・法テラスとの共催で、全国の自治体において多重債務の無料相談会等を行ってきています。

本年は、改正貸金業法の完全施行に伴い、新規借入・返済困難者の増加、ヤミ金利用の増加等が懸念されています。このため、一層の制度周知、初期相談・事業者向け相談の充実、及び相談増加等に対応できる態勢の充実等といった課題に対処するべく、本年度も、本キャンペーンを9月~12月に実施することとしました。

この「多重債務者相談強化キャンペーン2010」では、キャンペーン期間中に都道府県、当該都道府県の弁護士会、司法書士会、中小企業団体(注)及び財務局が共同で、消費者及び事業者向けの無料相談会を実施します。

本年度のキャンペーンのポイントは以下の通りです。

○ 制度周知

改正貸金業法の完全施行直後であることを踏まえ、無料相談会においてもリーフレットの配布等、制度周知に努めます。

○ 初期相談の充実(関係部局との連携強化)

改正貸金業法の完全施行に伴って、新たに生ずる新規借入・返済困難者を早期に発見し、適切な多重相談窓口につなぐことが可能となるよう、各都道府県の多重債務者相談窓口の一覧を、各都道府県の徴税部門等の関係部署に周知します。

また、多重債務者相談に訪れた相談者について、必要に応じて、他の関係機関、各都道府県の関係部署に誘導します(生活再建に向けて福祉部門と連携することや、自殺の恐れがある場合に、自殺対策担当部署を紹介すること等)。

○ 事業者向け相談の充実

従前のキャンペーンでは、消費者を対象とした相談が中心でしたが、改正貸金業法の完全施行を踏まえ、貸金業者からつなぎ資金等の借入れを行ってきた事業者にも影響が生ずるおそれがあることから、中小企業団体の協力も得て、事業者向けの説明会についても充実させます。

○ 貸金業者を通じた多重債務無料相談会の周知

貸金業法第12条の9においては、貸金業者に対して、多重債務者を適切なカウンセリング機関に紹介することが義務づけられています。また、無料相談会の周知は、貸金業者がその利用者に対して行うことが、非常に有効であると考えられます。

そこで、財務局及び各都道府県より、監督する貸金業者に対して、無料相談会の日時や場所について周知を行うことで、貸金業者が、自身の利用者について、借入れ又は返済に関する相談等が必要と認められる場合に、無料相談会を紹介し、誘導することを要請します。

キャンペーン期間中、各地で開催される無料相談会の開催予定は、下記の番号でご案内いたします。ご相談につきましては、下記連絡先まで、お問い合わせ下さい。

注)中小企業団体とは、全国の商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会。

貸金相談デスク(※) :0570-001127・03-3506-7229
※貸金相談デスクでの受付は12/28まで
金融サービス利用者相談室 :0570-016-811・03-5251-6811
法テラス・コールセンター :0570-078374・03-6745-5600
消費者ホットライン :0570-064-370

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「決定文と実施要領」(平成22年8月31日)にアクセスしてください。


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