アクセスFSA 第102号(2011年12月)

アクセスFSA 第102号(2011年12月)

写真1 写真2
財務局長会議で挨拶をする自見大臣
(11月1日)
ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事(左)
と握手する自見大臣(右)(大臣室にて)
(11月11日)

目次

【フォトギャラリー】

ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事との会談の模様

※自見大臣は、11月11日(金)に来日したラガルドIMF専務理事と金融庁大臣室で会談を行いました。

(以下写真)

写真3 写真4

財務局長会議の模様

※11月1日(火)に開催された財務局長会議(以下上段写真)で挨拶をする中塚副大臣(下段写真左)、大串大臣政務官(下段写真右)。

写真5
写真6 写真7

【トピックス】

「資本性借入金」の積極的活用について

  • 1.金融検査マニュアルの運用明確化の概要

    金融庁では、平成23年11月22日、「『資本性借入金』の積極的活用について」について、大串内閣府大臣政務官による記者会見を行うとともに、金融庁のウェブサイトで公表しました。

    「資本性借入金」とは、償還期間が長期に亘るなど、貸出条件が資本に準じた借入金のことであり、金融検査マニュアル上、「借入金」であっても「資本」とみなして取扱うことが出来るものを言います。

    この「資本性借入金」については、これまでは、特定の貸付制度を例示しつつ、その制度であれば「資本性借入金」とみなすことができる旨が記載されていました。

    このため、例えば、償還条件については、具体的に何年以上であれば「資本性借入金」と認められるかについて、必ずしも明確ではなかったことから、これを明確化するため、この度、「資本性借入金」とみなすことが出来る条件を直接明記する形に改めました。

従前 明確化後

特定の貸付制度を例示しつつ、当該制度であれば「十分な資本的性質が認められる借入金」とみなすことができる旨を記載。

○「十分な資本的性質が認められる借入金」とみなすことができる条件を直接明記

○当該貸付制度の商品性は以下のとおり。

[償還条件]

15年

[金利設定]

・業績悪化時の最高金利0.4%

[劣後性]

無担保(法的破綻時の劣後性)

○条件は以下のとおり。

[償還条件]

5年超

[金利設定]

・「事務コスト相当の金利」の設定も可能

[劣後性]

・必ずしも「担保の解除」は要しない
(但し、一定の条件を満たす必要)

  • 2.運用明確化による効果

    「資本性借入金」活用の効果については、例えば、震災の影響で資本が毀損している企業について、既存の借入金が「資本性借入金」に変更され、資本とみなされれば、下図の上段のバランスシートのように、負債が資産を上回っている「債務超過」の状態から、下段のように、資産が負債を上回る状態となり、「債務超過が解消」されることとなります。このように、バランスシートの改善が図られる結果、その企業が金融機関から新規融資を受けやすくなるなどの効果が期待されます。

    「資本制借入金」による効果(クリックすると拡大画像が表示されます)

    また、関係省庁等においては、今般の措置も踏まえ、本スキームを前提とした以下のような制度を構築しています。

    • (1)政府系金融機関による「災害対応型劣後ローン」の供給(三次補正)

      ○政府系金融機関が、旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に 対して、「資本性借入金」の条件に合致した劣後ローンを供給。

    • (2)「産業復興機構」等による被災企業の旧債務の「資本性借入金」への転換

      ○被災県に設立される「産業復興機構」が、被災企業の旧債務を民間金融機関等から買取り、「資本性借入金」の条件に合致した劣後ローンに転換。また、「東日本大震災事業者再生支 援機構」の買取り債権については、本スキームの条件も考慮しつつ、今後、関係機関におい て取扱いを検討。

    さらに、民間の様々な主体においても、本スキームを積極的に活用することが期待されます。

    [活用例]

    • (1)日本政策投資銀行と地方銀行との連携ファンド等による活用

      ○日本政策投資銀行と地方銀行とが連携して設立したファンド等が、劣後ローンを供給する場合においても、条件面で、より弾力的な対応が可能。

    • (2)被災企業を支援する小口出資ファンドによる活用

      ○小口出資ファンドのような匿名組合出資方式のファンド等においても、本スキームを活用することが可能。

  • 3.周知等

    「資本性借入金」の積極的な活用を促進するため、以下のとおり、今般の措置の周知徹底を図ることとしています。

    • (1)金融機関の方々に対しては、金融関係団体を通じて、周知徹底を図るとともに、積極的な活用を要請しております。また、被災地においては、12月に説明会を開催しており、その他の地域についても1月中を目途に説明会を開催する予定です。

    • (2)中小企業等の方々に対しては、中小企業関係団体を通じて、広報を実施するとともに、全国 の財務局においても、説明会を開催しています。

「資本性借入金」について、説明会の開催や講師派遣のご要望のある方は、お近くの財務局までお問い合わせ下さい。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「資本性借入金」の積極的活用について(11月22日)にアクセスして下さい。


公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大に関する当面のアクションプランの再改訂について

1.これまでの取組み状況

  • (1)公認会計士試験合格者等が経済社会の幅広い分野で活用されることを目指して、平成21年4月より、金融庁、公認会計士・監査審査会、日本公認会計士協会、経団連・金融4団体で意見交換会が開催され、同年7月に、課題解決に向けて必要な当面の対応策について、中間取りまとめ及び当面のアクションプランが取りまとめられました。さらに、昨年も、11月に意見交換会が開催され、同アクションプランを改訂、新たな施策が追加されたところです。

  • (2)その後、各メンバーにおいて取組みが進められた結果、活動領域の拡大はある程度進んでいると考えられますが、合格者が経済社会において幅広く活躍していると言えるまでには至っていないものと考えられます。このため、さらに実行可能な対応策がないかどうか、これまでの枠組みにとらわれずに、関係者間でもう一段の検討を進めることが必要との観点から、本年も8月以降、意見交換会において検討が行われてまいりました。

  • (3)そして、本年11月、意見交換会で議論された施策をとりまとめ、当面のアクションプランを再改訂するとともに、各メンバーが再改訂後のアクションプランに沿って積極的に取組みを進めることが合意されました。

2.当面のアクションプラン(再改訂)のポイント

  • (1)中小監査法人における有期雇用等による監査業務の補助に係る枠組みの整備

    • ○中小監査法人において、合格者を有期雇用し、又は業務委託契約を締結して、監査業務の補助を行わせる枠組みを整備

  • (2)経済界における合格者の更なる採用の呼びかけ

    • ○経済団体や証券取引所の協力を得て、PRチラシの配布や、EDINETや各種団体のサイト
      トップページへの掲載を通じ、経済界に対し、有期雇用やコンサルティング会社等において財務分析に関する事務を行う場合であっても資格取得が可能であることを周知し、合格者のさらなる採用を呼びかけ

    • ○証券取引所の協力を得て各企業に対してアンケートを実施し、合格者の採用実態等を把握

  • (3)実務従事の対象の拡充

    • ○資格取得の要件となる実務従事の対象を、開示会社、開示会社及び資本(出資)金5億円以上の法人の連結子会社(海外の子会社も含む)において、原価計算や決算書類作成等の財務分析に関する事務を行う場合や、国及び地方公共団体において検査等以外の実務(財務分析)を行う場合にも拡大

    • ○実務に従事する場合の雇用形態について、正職員以外の場合も排除されないことを明確化

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道関係資料」から「公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大に関する意見交換会当面のアクションプランの再改訂について」(11月2日)にアクセスして下さい。


平成23年金融商品取引法等改正(6ヶ月以内施行)に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、平成23年金融商品取引法等改正(6ヶ月以内施行)に係る政令・内閣府令案等につきまして、平成23年8月30日(火)から平成23年9月30日(金)にかけて公表し、広く意見の募集を行い、その結果等を平成23年11月11日(金)に公表しました。

本件の政令は、平成23年11月11日(金)に閣議決定され、内閣府令と併せて、平成23年11月16日(水)に公布されました。本件の政令・内閣府令は、平成23年11月24日(木)から施行されています。

本件の政令・内閣府令の概要は、以下のとおりです。

1.保険会社のグループ内における業務の代理・事務の代行の届出制への移行

グループの範囲として、当該保険会社の子法人等、議決権の50%超を保有する主要株主又は兄弟会社等に該当する者を規定しました。

2.資産流動化スキームに係る規制の弾力化

  • (1)資産流動化計画の変更に係る規制の緩和として、変更に係る届出が免除となる「軽微な変更」の範囲の規定

  • (2)資産取得に係る規制の見直しとして、資産取得に際し、信託設定義務等が免除される「従たる特定資産」の具体的な要件の規定

  • (3)資金調達に係る規制の見直しとして、つなぎ資金等の借入れ(特定借入れ以外の借入れ)に係る要件の緩和等を行いました。

3.無登録業者による未公開株等の取引に関する対応

取引の無効ルールの対象となる有価証券について、社債、株式、新株予約権等を規定しました。


金融商品取引業者等の自己資本規制比率に関する告示等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、「金融商品取引業者等の自己資本規制比率に関する告示等の一部改正(案)」について、平成23年7月5日(火)から平成23年8月5日(金)にかけて広く意見の募集を行い、平成23年11月22日(火)にパブリックコメントの結果を公表し、告示等の一部改正を行いました。

改正の概要は以下のとおりです。

1.「金融商品取引業者等の自己資本規制比率に関する告示等」の一部改正の背景・経緯

  • (1)平成22年金融商品取引法改正により、証券会社に対するグループベースの監督規制(連結自己資本規制比率等)が本年4月より導入され、証券会社に対しては、現在、単体、川下連結、川上連結の3つの自己資本規制が課されています。

  • (2)平成21年7月に「バーゼルIIの枠組み強化に関する最終文書」(通称バーゼル2.5)が公表され、主として証券化商品や市場リスクの取扱いの強化が合意されました。そこで本年12月末までの実施が国際的に求められていることを受け、本年5月27日川上連結規制が改正されました(当該改正は、銀行の連結自己資本比率規制の告示と同様です)。

  • (3)単体告示・川下連結告示については、証券会社のビジネスモデルを踏まえ、流動性の低い資産については保守的な取扱いとしつつ、主要な要素である市場リスクの算出については、バーゼルIIと基本的には同じ計算方法とされているところです。

  • (4)今回、市場リスクに関する部分について、単体・川下連結告示においても、川上連結告示と同様の見直しを行ったものです。

2.主な内容

  • (1)証券化商品・再証券化商品のリスク・ウェイト引き上げ

  • (2)外部格付使用に係るモニタリング要件の導入

  • (3)トレーディング勘定に係るストレスVaR、追加的リスク(信用リスク)の捕捉等

  • (4)期待エクスポージャー方式の導入

  • (5)その他(政府債の範囲の明確化。内部管理モデル方式の要件について川上連結告示との平仄)

3.実施期日等

改正された本件告示等については、平成24年3月31日から適用されます(ただし、銀行持株会社、銀行、指定親会社の子法人等である金融商品取引業者については、平成23年12月31日から選択適用が可能です)。


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