ディスカッションペーパー

ディスカッションペーパーとは

金融研究センターにおける「ディスカッションペーパー(DP)」とは、当センター所属の研究官等が、研究成果を取りまとめたものです。随時掲載しますので、ご高覧いただき、幅広くコメントを歓迎します。

なお、DPの内容はすべて執筆者の個人的見解であり、金融庁あるいは金融研究センターの公式見解を示すものではありません。

28年度ディスカッションペーパー

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ファイル 題名 執筆者 年月
DP2016-4
(PDF:3,864KB)
「諸外国における市場構造とHFT を巡る規制動向」 大墳 剛士 2016年6月
DP2016-3
(PDF:1,428KB)
「ドイツにおける高頻度取引・アルゴリズム取引規制の展開」 舩津 浩司 2016年6月
DP2016-2
(PDF:803KB)
Optimal Room Charge and Expected Sales under Discrete Choice Models with Limited Capacity 斎藤 大河
高橋 明彦
津田 博史
2016年6月
DP2016-1
(PDF:1,992KB)
「国際的な動向を踏まえた金融サービス利用者保護に係る日本における現状調査と今後の課題」 北見 良嗣 2016年5月

ディスカッションペーパー要旨

DP2016-4
「諸外国における市場構造とHFT を巡る規制動向」

大墳 剛士 金融庁金融研究センター特別研究員
(株式会社東京証券取引所 株式部株式総務課長)

近年、世界の証券市場において、アルゴリズム取引やHFT(高頻度取引)が急速に拡大しており、それらが市場に与える影響に大きな注目が集まるとともに、適切なリスク管理の必要性や、規制の在り方に関する議論が進展している。日本においても、2010年1 月に東証のarrowhead が稼働したこと等に伴い、本格的なHFT 時代が幕を開けている。

この点、HFT の拡大と各国における市場構造の変化は密接不可分な関係にあると言え、HFT に関する適切な議論を行おうとするのであれば、諸外国と日本における市場構造の特徴や相違、また、それらがHFT に与えている影響を理解したうえで、比較検証することが必要不可欠であると言える。また、市場構造やHFT に関連して、実際に、これまでにどのような観点から、どのような処分が行われているのかを確認することも、今後、より深い議論を行うに当たって有益であると考えられよう。

このような認識のもと、本稿では、まず、HFT の基本的な事項について、アルゴリズム取引とHFT との相違やHFT が有する一般的な特徴、HFT の取引戦略の基礎等を概説する。次に、現代の証券市場が抱える市場構造の各種課題について、市場分裂や最良執行義務、メイカー・テイカー手数料モデルといった要素が、HFT にどのように作用しているのか整理する。続いて、米国、欧州、オーストラリア、香港及びシンガポールを対象として、それぞれの国や地域における市場構造の特徴や関連する規制動向を概観し、最後に、各国においてこれまでに実施された、市場構造やHFT に関連する処分事例のうち、主だったものを紹介する。

キーワード:HFT、アルゴリズム取引、市場構造、ECN、ダーク・プール、SDP、リテール・ホールセラー、市場分裂、最良執行義務、ティック・サイズ、メイカー・テイカー手数料モデル、SIP フィード、ダイレクト・フィード、キュー・ジャンピング

DP2016-3
「ドイツにおける高頻度取引・アルゴリズム取引規制の展開」

舩津 浩司 金融庁金融研究センター特別研究員
(同志社大学法学部 教授)

本稿では、ドイツにおける高頻度取引・アルゴリズム取引に係る法的規制の動向について、2013年に施行された高頻度取引法の内容を中心に、その成立過程や成立の背景、および改定金融商品市場指令(MiFID II)を踏まえた今後のドイツ国内法の規制のあり方の予測を含めて紹介するものである。もっとも、ドイツの法規制をわが国の立法の参考資料とする場合には、巨大なEU市場の一部分としての性質を有するドイツの市場とわが国の市場の置かれた環境の違いに留意する必要があるほか、高頻度取引法の立法過程における政治状況等の固有の要素にも留意する必要があると考えられる。

キーワード:ドイツ、高頻度取引、アルゴリズム取引、改定金融商品市場指令(MiFID II)

DP2016-2
「Optimal Room Charge and Expected Sales under Discrete Choice Models with Limited Capacity」

斎藤 大河 金融庁金融研究センター研究官
高橋 明彦 東京大学大学院経済学研究科教授
津田 博史 同志社大学理工学部教授

本論文では、オンライン宿泊予約サイトにおける予約システムの特徴を反映した室料金に基づく顧客による宿泊予約選択確率の推定モデルを導入し、特定の部屋タイプにおける期待売上げを最大化するホテルの最適室料設定問題に応用する。

このモデルは、ホテルの経営者や投資家のみならず、ホテル特化型リートや観光ファンドが、潜在的なホテルの期待売上げ増大分をオンライン宿泊予約データから予測し投資判断を行う際に有用である。

初めにモデルのパラメタ推定に必要な情報を、ビッグデータである、国立情報学研究所より提供された京都市の繁忙期に該当する2012年11月の京都駅付近の主要な4ホテルのオンライン宿泊予約データより抽出する。

さらに顧客のランダムな宿泊予約選択行動を、入れ子ロジットモデル及び多項ロジットモデルにより予約可能な部屋数に上限が有り得る場合に表現し、そのモデルにおいて推定を行い、期待売上げ最大化について数値例を示す。

キーワード:Hotels in Kyoto, Revenue management, Online booking, Discrete choice model

DP2016-1
「国際的な動向を踏まえた金融サービス利用者保護に係る日本における現状調査と今後の課題」

北見 良嗣 金融庁金融研究センター特別研究員
(帝京大学法学部教授)

金融サービス利用者保護については、2011年G20カンヌ・サミットにて「OECD金融サービス利用者保護ハイレベル原則」が、2014年G20ブリスベン・サミットにて「OECD金融サービス利用者保護ハイレベル原則の効果的な実施アプローチ」が取り纏められるなど、国際的に議論の枠組みが整理されつつある。このOECD金融サービス利用者保護ハイレベル原則は10原則からなるが、今回のリサーチでは、原則1[法令、規制、監督上の枠組み]、原則2[監督機関の役割]、原則4[ディスクロージャーと透明性]を選び、(a)ハイレベル原則の効果的実施アプローチのアネックスを活用するなどして、海外主要国(カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、英国、米国)における取り組みの調査を行うと共に、(b)我が国における関係省庁・金融業界の取組みに関する評価等を行うこととした。また対象業務面では、証券取引から保険、銀行業務、消費者金融までカバーするOECDペーパーに対し、本稿では、分析の対象を主として銀行業務と消費者金融の分野とした(以上、第1章)。

第2章、第3章では上記原則1、2の監督機関の枠組みを主に取り上げた。概して近年異なる金融業界からの類似機能を持つ商品・サービスの提供が可能になるに従い、幾つかの国(オランダ、フランス、カナダ)で機能面に着目して各金融業界を跨る包括的規制、中には統一法典による業界横断的規制の導入が模索されるようになってきている。第4章では原則4として、「情報のキーワードによる分類、階層毎の整理・提供」など、当事者の有する情報量の質的・量的レベルの補完に関わる先駆的なテーマが含まれている。第5章では、そうした環境下での我が国のこれからの対応について、FinTech等も踏まえつつ考えてみた。

キーワード:機能別アプローチ、情報のキーワードによる階層毎整理・提供

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