平成17年11月25日
金融庁

平成17年3月期に係る有価証券報告書の重点審査結果について

平成17年3月期に係る有価証券報告書(平成17年6月末提出期限)を提出した全国3,335社を対象として、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局にて、重点審査を実施しました。

その結果について、別紙のとおり取りまとめました。提出会社におかれましては、今後、有価証券報告書を作成する上で、別紙をご理解頂き、適切な開示を行うようお願いします。

連絡・お問い合わせ

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課 新井(内線3655)、北村(内線3670)


別紙

平成17年3月期に係る有価証券報告書の重点審査結果について

I .はじめに

1.重点審査の概要

重点審査については、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局(以下、財務局等という。)にて、決算期が集中する3月期決算会社を対象とし、開示上重要と思われる事項について、有価証券報告書提出会社から有価証券報告書及び半期報告書の提出に合わせて「調査票」を提出して頂き、これを基に審査を実施してきております。

今回は、平成17年3月期に係る有価証券報告書(平成17年6月末提出期限)を提出した全国3,335社を対象として、(1)「コーポレート・ガバナンスの状況」及び(2)「提出会社の親会社等の情報」の2項目の開示状況について、各開示企業を所管する財務局等にて重点審査を実施しました。

2.背景

平成16年10月中旬以降に証券取引法上のディスクロージャーをめぐり、不適正な事例が相次いで判明したことを受け、金融庁において平成16年11月16日に「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について」を公表しました。

この中に盛り込まれた「開示制度の整備」に関して、金融審議会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループでの検討の結果、平成16年12月24日にPDF金融審議会第一部会報告「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて」(以下、「平成16年第一部会報告」という。)が公表されました。

その中で、今回の重点審査の対象とした2項目については、以下のような制度整備の方向性が示されました(詳細は平成16年第一部会報告をご覧下さい)。

(1) 平成16年3月期の有価証券報告書からその開示が義務付けられたコーポレート・ガバナンスの状況について、証券取引法上のディスクロージャーをめぐる不適正な事例等を踏まえると、内部監査等の状況や社外取締役・社外監査役の独立性、会計監査人の監査体制や監査継続年数等についての開示の充実が図られる必要がある。

(2) 開示会社に親会社が存在する場合に当該親会社の情報は、当該開示会社の経営、コーポレート・ガバナンスの状況等を把握する上で重要な情報であるにもかかわらず、当該親会社が継続開示会社でない場合には、投資者が当該親会社の情報を入手することは困難である。こうした状況等を踏まえると、親会社にかかる情報の開示を求めることが適当である。

これらについては、「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)について」(平成16年12月24日公表)にも盛り込まれ、上記の平成16年第一部会報告を踏まえた関係府令の改正(平成17年4月1日施行)を行い、平成17年3月期の有価証券報告書から開示を義務付けることとされたものです。

II .審査方法

1.コーポレート・ガバナンスの状況について

新たに開示が義務付けられた以下の事項を含め、「コーポレート・ガバナンスの状況」の項目について、漏れなく記載されているか、また、具体的に、かつ、分かりやすく記載されているかについて審査を実施しました。

(1) 内部監査及び監査役(監査委員会)監査の組織、人員及び手続並びに内部監査、監査役(監査委員会)監査及び会計監査の相互連携について

(2) 社外取締役及び社外監査役と提出会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係について

(3) 業務を執行した公認会計士の氏名、所属する監査法人名及び提出会社の財務書類について連続して監査関連業務(公認会計士法第24条の3に規定する監査関連業務をいう。)を行っている場合における監査年数(当該年数が7年を超える場合に限る。)、監査業務に係る補助者の構成並びに監査証明を個人会計士が行っている場合の審査体制について

2.提出会社の親会社等の情報について

新たに開示が義務付けられた事項について、以下の点を踏まえて、適切に開示されているかについて審査を実施しました。

(1) 「提出会社の親会社等の情報」の項目を設けているか。

(2) 提出会社(上場会社等に限る。)の親会社等が継続開示会社でない場合には、次に掲げる事項が記載されているか(ただし、当該親会社等が外国上場会社であって、外国の法律等で企業情報が開示され、かつその情報が本邦において閲覧できる場合を除く。)。

  • ア) 親会社等の名称、株式の所有者別状況、大株主の状況及び役員の状況

  • イ) 親会社等の商法上の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書(以下「計算書類等という。」の記載(監査役又は監査委員会の監査報告書及び会計監査人の監査報告書の添付)又は添付

(3) 親会社等の(2)ア)及びイ)に掲げる事項の全部又は一部について記載できない場合にその理由が記載されているか。

(4) 提出会社(上場会社等に限る。)に親会社等がない場合に、その旨が記載されているか。

(5) 親会社等が継続開示会社である場合に、その旨、親会社等の名称及び上場している場合の当該取引所名が記載されているか。

(6) (2)のただし書きに該当する外国上場会社である場合に、その旨、親会社等の名称及び上場している場合の当該取引所名が記載されているか。

III .審査結果の概要

「 II .審査の方法」に基づき財務局等において審査を行った結果、記載内容が不適切と認められた事項がある先に対し、訂正を求め、167社から訂正報告書が提出されました。

重点審査を行った結果認められた、記載内容が不適切な主な事例は以下のとおりです。

1)コーポレート・ガバナンスの状況

項目 内容
(1) 内部監査や監査役監査の組織があるが、その記載がないもの
内部監査や監査役監査の組織は記載されているが、その人員が記載されていないものや、監査の手続が記載されていないもの
内部監査、監査役監査及び会計監査において、必要に応じ連携を行っているが、その相互連携について記載がないもの
(2) 人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係のある社外取締役及び社外監査役がいるにもかかわらず、その記載がないもの
(3) 業務を執行した公認会計士の氏名や所属する監査法人名について記載がないもの
監査証明を個人会計士が行っている場合で、審査体制について記載がないもの
監査業務に係る補助者がいるにもかかわらず、その記載がないもの
監査関連業務を連続して7年を超えて行っている会計監査人がいるにもかかわらず、その監査年数の記載がないもの

2)提出会社の親会社等の情報について

(1) 「提出会社の親会社等の情報」そのものの記載がないもの
(5) 親会社等が上場している場合にはその取引所名を記載することとされているが、その記載がないもの

V .おわりに

今回の重点審査では、「コーポレート・ガバナンスの状況」及び「提出会社の親会社等の情報」の開示項目のうち、記載事項の一部が記載漏れとなっているなど不適切な事例が多数認められました。有価証券報告書の提出にあたっては、投資者保護の観点から、有用な投資判断材料として法令上開示が求められている趣旨を理解頂き、記載上の注意を十分確認の上、該当する事項について適切に開示を行うことをお願いいたします。

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