アクセスFSA 第32号 (2005年7月)
経済教育サミットで「今後の金融経済教育」について講演する伊藤大臣(7月9日) シーファー駐日米国大使の表敬訪問を受ける伊藤大臣(7月6日)
経済教育サミットで「今後の金融経済教育」について講演する伊藤大臣(7月9日) シーファー駐日米国大使の表敬訪問を受ける伊藤大臣(7月6日)

目 次
【トピックス】
 ○  EUにおける我が国会計基準の国際会計基準との同等性評価をめぐる状況について
 ○  偽造キャッシュカードに関するスタディグループ最終報告について
 ○  保険会社向けの総合的な監督指針(案)について
 ○  金融経済教育に関する論点整理について
 ○  保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令について
【集中連載】
 ○  金融検査に関する基本指針の概要について(第3回「パブリック・コメント等を踏まえた主な修正」、「17事務年度より実施する検査上の運用改善について」)
 ○  「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」に基づく取組み実績と総括的な評価について (第1回「金融機関の取組み実績」)
【法令解説】
 ○  証券取引法(平成17年6月22日成立、平成17年6月29日公布)
 ○  金融先物取引法及び政府令(平成17年7月1日施行)
【特集】
 ○  「金融検査評定制度」について
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 ○  金融庁にアクセス!子ども見学デーの参加者募集について
 ○  大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 ○  新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
 ○  金融サービス利用者相談室の立ち上げについて
【6月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
EUにおける我が国会計基準の国際会計基準との同等性評価をめぐる状況について


.EUによる会計基準の同等性評価を巡る動き
 
(1)  同等性評価決定プロセスの全体的な流れ
 
 EU(欧州連合)は、EU域内の金融市場統合の一環として、2005年から、EU域内に上場するEU企業に国際会計基準(IAS)の使用を義務づけたところです。
 一方、域内で資金調達(公募・上場)を行う日本企業を含む外国企業に対しては、2007年1月以降、国際会計基準(IAS)又はIASと同等の会計基準の使用が義務づけられることとなっています。
 このため欧州委員会(EC)は、2005年12月末又は2006年初めまでに、日本・米国・カナダの各会計基準とIASとの同等性評価を決定する予定です。

【同等性評価決定プロセス】
 
【同等性評価決定プロセス】

(2)

 EUにおける最近の動き
 
 ECは、同等性評価の最終決定に先立ち、EU加盟国の証券規制当局で構成される欧州証券規制当局委員会(CESR:「シーザー」と呼ばれる。)に対して、2004年6月末に、各会計基準とIASとの同等性について専門的な意見(技術的助言)も出すよう指示を出し、これを受けてCESRは、次のようなプロセスを経て、2005年7月5日に日本・米国・カナダの各会計基準の同等性評価に関する技術的助言を公表しました。
 
時期
2005年2月3日 同等性評価に関する一般的な定義やその方法を定めた概念資料を公表。
2005年4月27日 技術的助言(案)を公表し、5月27日を期限として、パブリック・コメントを求める。
2005年7月5日 技術的助言を公表。


 CESRが7月5日に公表した技術的助言では、我が国会計基準について、米国・カナダの各基準とともに、全体としてIASと同等であると評価した上で、一定の補完措置(追加的な情報開示)をとる必要があるとされています。
   
.金融庁の考え方及び対応
 
(1)  金融庁は、次のような観点から、我が国会計基準のIASとの同等性が認められるよう、企業会計基準委員会(ASBJ)など国内の官民の関係者と連携・協力し、EUに対して働きかけを行ってきています。
 
 同等性評価は、我が国会計基準の国際的信頼性に関わる問題であること(我が国会計基準は、「会計ビッグバン」などを通じて急速に進展し、国際的な会計基準と整合的で同等なものとなっています。)
 我が国企業等のEU資本市場へのアクセスの可能性に関わる問題であること(日本企業は、従来から、株式や債券の上場など、EU市場において活発な資金調達活動を行っています。)
(2)  このような働きかけの一環として、金融庁は、技術的助言(案)の公表後にCESRが主催した公聴会(5月18日)にASBJなどの関係者とともに参加するとともに、5月27日には、当該技術的助言(案)に対してパブリック・コメント・レターを発出し、積極的な意見発信を行いました。
 
 これら公聴会の参加及びパブリック・コメント・レターにおいては、我が国会計基準とIASとの比較を行うに際しては、両者の真に重要な相違のみに焦点を絞るべきであるとの意見を述べるとともに、CESRが技術的助言(案)において求めている一定の追加的な開示は、企業にコストと負担をもたらす等の問題点があることを指摘し、その見直しを求めたところ。
(3)  こうした働きかけの結果、7月5日に公表されたCESRの助言では、我が国会計基準は、一定補完措置が求められているものの、全体として、IASと同等であると評価されました。これは、我が国会計基準がこれまでの整備・改善を通じて国際的にも質が高く信頼できるものとなっていることが認められたものと言えます。また、補完措置についても、助言案と比べて多少の改善が図られました。
(4)  金融庁としては、今後とも、ECによる最終決定においても、我が国会計基準がIASと同等であると評価されるよう、引き続き、国内の官民の関係者と連携・協力して適切な対応に努めていく考えです。


 5月18日の公聴会への参加、5月27日のパブリック・コメント・レターの発出については、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表」から、それぞれ「CESR(欧州証券規制当局委員会)の公聴会への参加について(我が国会計基準の国際会計基準(IAS)との同等性問題への対応)」(平成17年5月16日)「CESR(欧州証券規制当局委員会)の「特定第3国会計基準と国際会計基準(IAS)との同等性に関する助言案」へのパブリック・コメント・レターの発出について」(平成17年5月27日)にアクセスしてください。


 なお、EUにおける我が国会計基準のIASとの同等性評価の進展状況については、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表」から、「EUにおける我が国会計基準の同等性評価の進展状況(CESRによる同等性評価の公表)」(平成17年7月8日)にアクセスしてください。

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