オーストラリア、タイ、香港及びカナダの金融情報部門との疑わしい取引に関する情報交換枠組の署名について


.金融庁は、平成18年5月9日にオーストラリアの金融情報部門(以下FIU(注1)と言う。)との間で情報交換のための枠組を構築するための当局間による文書に署名を行いました。更に、5月15日にタイのFIU及び香港のFIUとの間でも同様の情報交換枠組の署名を行い、また、6月12日には、カナダのFIUとの間においても情報交換枠組の署名を行いました。
 オーストラリアのFIUは、シドニーを本部とし、メルボルン、アデレード、ブリスベン、パースに支部を持つ、職員数が100名を超える政府機関です。オーストラリアFIUとの情報交換枠組は、オーストラリアFIUの本部のあるシドニーにおいて、日本のFIUの長である知原特定金融情報管理官とオーストラリアのFIUの長であるニール・ジェンセン氏により署名が行われました。(写真参照)
   
.銀行や証券会社などの金融機関等は、組織犯罪処罰法(注2)により、犯罪収益やテロ資金等の疑いのある取引を日本のFIUである金融庁特定金融情報室に届け出なければならないことになっております。今回設定された情報交換枠組は、金融庁特定金融情報室とオーストラリア、タイ、香港及びカナダのFIUとの間において、これら犯罪収益やテロ資金の疑いのある取引の情報交換手続等を定めたものであり、今後、これらの国及び地域との間で犯罪収益やテロ資金の疑いのある取引に関する情報を迅速に交換することが可能となりました。  
知原特定金融情報管理官とオーストラリアFIUの長であるニール・ジェンセン氏による署名文書交換

知原特定金融情報管理官とオーストラリアFIUの長であるニール・ジェンセン氏による署名文書交換



.犯罪、テロの国際化が進む中で、各国当局が情報を共有し、協調して取締りにあたることが重要な課題となっており、FIU間の情報交換を推進することが国際的な合意となっております。このような状況から、世界各国のFIUの間で情報交換のネットワークを構築する動きが進んでおり、我が国も上述した国・地域を含め、これまで、9つの国及び地域との間で情報交換枠組を設定してきています(下記表参照)。また、その他の主要国との間でも早期に情報交換枠組を設定すべく協議しております。 
   

国   名

設定月日

F I U 名

英 国

13年 6月

SOCA
(Financial Intelligence Unit of the Serious Organised Crime Agency)
(注) 本年4月に組織改編があり、設定当時は NCIS (Economic Crime Unit of the National Criminal Intelligence Service)

ベルギー王国

15年 6月

CTIF-CFI (Financial Intelligence Processing Unit)

大韓民国

15年12月

KoFIU (Korea Financial Intelligence Unit)

シンガポール共和国

16年 7月

STRO(The Suspicious Transaction Reporting Office)

アメリカ合衆国

16年12月

FinCEN (Financial Crimes Enforcement Network)

オーストラリア連邦

18年 5月

AUSTRAC (The Australian Transaction Reports and Analysis Centre)

タイ王国

18年 5月

AMLO (The Anti-Money Laundering Office)

香港特別行政区

18年 5月

JFIU (The Joint Financial Intelligence Unit)

カナダ

18年 6月

FINTRAC(The Financial Transactions and Reports Analysis Centre)



.オーストラリア、タイ及び香港は、地理的、経済的に我が国と関係が深い国及び地域であり、オーストラリアのシドニー、タイのバンコク及び香港は、アジア・太平洋地域の金融センターとして各国からの資金が集中するところです。また、カナダも我が国との経済・金融面での関係が活発な国であり、これらの国及び地域との間で犯罪収益やテロ資金の疑いのある取引に関して迅速な情報交換を行うことは、我が国の犯罪対策やテロ資金対策の見地からも重要であることから、これらの情報交換枠組は非常に意義のあるものと考えています。
 

(注1)

Financial Intelligence Unitの略称で、マネー・ローンダリング(マネロン)やテロ資金に関する疑わしい取引の情報を一元的に受理・分析し、捜査機関等に提供する政府機関を指す。日本のFIUは金融庁特定金融情報室。
(注2) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「オーストラリア、タイ及び香港の金融情報部門との疑わしい取引に関する情報交換枠組の署名について」(平成18年5月16日)及び「カナダ金融情報部門との疑わしい取引に関する情報交換枠組の署名について」(平成18年6月13日)にアクセスしてください。

金融経済教育懇談会第8回会合の開催について

 金融庁では、昨年3月に、大臣の私的懇談会である「金融経済教育懇談会」を設置し、懇談会委員の先生方に計7回にわたって金融経済教育のあり方についてご議論頂き、昨年6月に「金融経済教育に関する論点整理」を取りまとめて頂きました。
 今般、論点整理公表からおよそ1年が経過したことから、平成18年5月15日(月)に第8回金融経済教育懇談会を開催しました。冒頭PDF金融庁長官からの挨拶の後、関係省庁等の取り組み(金融広報中央委員会(金融教育)、内閣府大臣官房企画調整課(経済教育)、内閣府国民生活局消費者企画課(消費者教育))についてご紹介頂き、金融庁からPDF「金融経済教育に関する論点整理『直ちに実施すべき事項』の取り組み状況」について報告しました。
 その後、自由討議の中で懇談会委員の先生方からご意見を賜りましたが、主なものは以下のとおりです。金融庁としては、委員の先生方のご意見を踏まえながら、今後とも、関係団体とも連携しつつ、関係省庁とも一体となって、金融経済教育に積極的に取り組んで参ります。


談会委員の先生方の主な意見
 
金融経済教育における政府の役割)
   アメリカでは金融リテラシー教育について法律に盛り込まれたのを契機に、財務省を主幹事とし て金融リテラシー教育を推進するための委員会が設置され、約20の関係省庁が参加している。日本において金融経済教育を学校に広げていくためにも、そうした手法について検討してほしい。
   金融の関わる範囲は幅広いので、これまで以上に多くの省庁が集まって、テーマごとに金融を絡 めて教育していくことが重要ではないか。関係省庁のネットワークをもっと広げて欲しい。
   金融経済教育を国が中心となってやるかどうかという点については、アメリカは過去に数十年間、
 民間主導で行った上で現在の動きとなっており、日本で同様のことを拙速に行うと誤解を招く可能性がある。
   学校教育は、文部科学省、金融広報中央委員会を中心に取組みが進んでおり、各主体は、文部科
 学省、金融広報中央委員会に協力する形で教育を進めていけばよいのではないか。社会人向け教育は学校教育に比べ遅れており、担い手として、内閣府、金融庁の役割が期待されている。
   キッズ向けコンテンツが充実してきており、文部科学省でキッズ向けコンテンツをとりまとめた サイトを作成してはどうか。


金融庁に求められること)
   金融庁がこれまでに行ってきたことには政府でなければできないことの他、民間に任せてもできるものもある。今後金融庁がやっていくべきことは、ルールを作る、或いは流れを作るという政府でなければできないことではないか。
   金融庁に今後是非進めて欲しいことは、何故今金融経済教育が必要なのかということ、金融経済教育を受ける機会があるということを国民に認知させることである。そのためには、マスメディアとタイアップしていくことが重要である。例えば、親子で学ぶというコンセプトや金融経済教育のシンボル的な存在を設けるということも考えられるのではないか。
   ホームページは作って示せば終わりではない。コンテンツを自治体に配るとともに、必要があれ ば人を派遣して研修を行うことが重要。
   現在、アンケート、意識調査等教育の受け手の主観的な評価は増えてきているものの、教育の受け手の行動に関する調査や意識と属性をリンクさせた調査等は十分に行われていない。活動の評価をきちんと行うことが重要。
   金融経済教育の受け手にアクセスする際に、皆が参加する形をとる、或いは受け手にとって身近な話題を探す等アクセスの方法を工夫する必要がある。


自主規制機関、民間企業、地域等による金融経済教育の実施)
   金融商品取引法案では自主規制機関が金融経済教育を担っていくことが規定されているが、自主 規制機関が一般消費者向けの教育に取り組むのと同時に、例えば証券取引所であればディスクロージャー等について企業に教育を行い、証券業協会であれば傘下の証券会社に消費者を向いた事業を展開するように教育を行うことにより、社会人向け教育が一層進むのではないか。
   金融機関にCSRとして、投資家教育、金融経済教育に取り組まざるを得ないような環境作りを行うことができないか。また、特に社会人向け教育として、事業会社の経営者が金融経済教育の取組みを行うことも大切である。
   民間金融機関にお願いするのではなく、民間金融機関の活動のうちよいものを誉める、或いは、民間金融機関の金融経済教育に関するコンテンツのうち素晴らしいものに金融庁ホームページからリンクを貼るという取組みを行ってはどうか。
   今後、金融経済教育を学校教育の中に根付かせていくにも、地域との連携がますます重要になっ てくる。それには地域に基盤がないとうまくいかないので、地域に金融経済がわかる人を増やしていく必要があるのではないか。


学校における金融経済教育)
   学校の現場では、現在、安全・安心、食育、子育て支援、幼保小・小中・中高の連携等の課題への取り組みで忙しい。また、理科離れの問題、英語教育、学力テストへの対応といった課題もある。こうした中にあって金融教育が入っていくのは非常に難しく、カリキュラムの中で如何に位置づけるかが重要である。
   学校においては、金融経済の基礎となる部分の教育や消費者教育は最近充実してきているが、投資教育は未だ不十分である。投資教育というと金儲けの方法論を教えることと勘違いする教員が未だに多く、学校教員の意識を変える努力が必要である。そのために、先生自身に投資を疑似体験していただくことが重要であり、そうした機会を設けてほしい。
   お金を増やすための知識・教育と減らさないための知識・教育は大きく異なる。投資教育にも、プラスを生む教育とマイナスを防ぐ教育があり、両者を区別すれば学校教育でも理解が得られるのではないか。
   株式投資の擬似体験型教材はマネーゲームに終わりがちである。論文等を書かせてはいるが、例 えば環境がよくなるように銘柄を選定するなどお金の使い方の意義を考えながら取り組んでいる学校は少ないのではないか。
   株式投資の擬似体験型教材は、先生の使い方によって資本市場や経済の動きを学習できる道具にもなる。従って教育現場で実際に教材を使用する教員の研修を行っていくことが重要。
   投資教育という言葉は誤解が多い言葉で概念が確立していない。今後、金融教育プログラムの中で、投資教育という言葉を使うのであれば、きちんと定義をしてから使わないと誤解を招く恐れがある。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「金融経済教育懇談会第8回会合の開催について」(平成18年5月24日)および「金融経済教育懇談会(第8回)議事要旨」(平成18年5月15日開催)にアクセスしてください。

金融庁ホームページ「おしえて金融庁」、「一般のみなさんへ」の改訂及び 小学生・中学生・高校生の金融庁訪問受入の開始について

 PDF金融経済教育懇談会の論点整理(平成17年6月30日公表)において、金融庁が「直ちに実施すべき事項」として、金融庁ホームページの継続的な改善が挙げられております。インターネット・ITの活用は、時間的・地理的な制約を超えて、幅広い情報の受け手が金融経済に関する各種教材を始めとする多様な情報へのアクセスを確保するために重要であり、金融庁ホームページについて、こうした観点から、多様な層の関心を喚起できるようなコンテンツを充実するなど、継続的な改善を行なう必要があるとの趣旨です。
 そこで、金融庁では、平成18年5月11日(木)に、ホームページの学校関係者・一般利用者向けコーナー「おしえて金融庁」、「一般のみなさんへ」を改訂し、子供向けコンテンツ、暮らしに役立つ情報等の充実等を図りました。

≪主な変更点≫
.学校関係者向けコーナー「おしえて金融庁」に子供向けコンテンツ「カネールのKIN☆YOUランド」を導入
   金融庁が作成している小学生向けパンフレット「くらしと金融」、中学生・高校生向け副教材「インターネットで学ぼう わたしたちの生活と金融の働き」、高校卒業生向けパンフレットPDF「はじめての金融ガイド」を題材に、キャラクター「カネール」とともにゲーム感覚で学べる親しみやすい内容としました。
 
(1)  クイズ!パネルDEカネール
「お金の流れ」、「会社のやくわり」、「金融のはたらき」、「生活と金融」の各ジャンルについて、難易度に応じた3択の問題が出題されます。
(2)  ゲーム☆金融カルタ
金融に関する用語について、カルタで遊ぶ感覚で学ぶことができます。
(3)  カネールのお金ぐるぐるストーリー
キャラクター「カネール」と一緒に会社・政府・銀行などを散策することで、経済や金融の仕組みが絵本を読むような感覚で学べます。
(4)  ゲーム☆タマゴはこび
タマゴ運びにより、集中投資のリスクを体感することができます。


.一般利用者向けコーナー「一般のみなさんへ」に「お金と暮らし」コーナーを新設

「一般のみなさんへ」に生活設計に役立つ情報や一般的な経済・金融情報を掲載する「お金と暮らし」コーナーを新設しました。


.金融関係団体等へのリンクの充実
 「おしえて金融庁」、「一般のみなさんへ」の各コーナーにおいて、金融関係団体等が作成しているコンテンツへのリンクを充実させました。


.「金融早わかりQ&A」のリニューアル

「金融早わかりQ&A」をリニューアルし、「一般のみなさんへ」に掲載しました。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「金融庁ホームページ「おしえて金融庁」、「一般のみなさんへ」の改訂について」(平成18年5月11日)にアクセスしてください。

 また、金融庁では、金融経済教育を積極的に推進する観点から、子供向けコンテンツの充実に併せて、小学生・中学生・高校生を対象に金融庁訪問の受入を下記のとおり開始しました。
 6月1日(木)に、第1号として、川崎市立土橋小学校6年生18名の訪問を受け入れ、小学生向けパンフレットの紹介、キッズ向けコンテンツを用いたゲーム等を行いました。金融庁訪問を希望される方は担当【金融庁総務企画局政策課地方調整係(内線3168、2796)】までご連絡ください。
 
 
小学生・中学生・高校生の金融庁訪問の受入の概要
 
対   象
受入人数
内   容
 小学生・中学生・高校生
 最大20名程度
 
 小学生・・・小学生向けパンフレットの説明、キッズ向けコンテンツを用いたゲーム等の実施
 中学生・・・中学生・高校生向け副教材等の紹介、キッズ向けコンテンツを用いたゲーム等の実施
 高校生・・・高校卒業生向けパンフレット等の説明、キッズ向けコンテンツを用いたゲーム等の実 施
 
受入可能な日程  原則月曜日、水曜日、木曜日の10時00分〜11時00分のうち30分程度。(業務上受入困難な日を除く。)

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