○平成10年法律第132号
金融機能の再生のための緊急措置に関する法律 |
改正沿革 |
平成 |
11年 |
7月 |
16日 |
法律第 |
87号 |
平成 | 11年 | 8月 | 13日 | 法律第 | 125号 | |
平成 | 11年 | 12月 | 22日 | 法律第 | 160号 | |
平成 | 12年 | 5月 | 31日 | 法律第 | 91号 | |
平成 | 12年 | 5月 | 31日 | 法律第 | 93号 |
第一章 総 則
(目的)
第 | 一条 この法律は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が失われつつある状況にあることにかんがみ、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、金融機関の金融整理管財人による管理及び破綻した金融機関の業務承継、銀行の特別公的管理並びに金融機関等の資産の買取りに関する緊急措置の制度を設けること等により信用秩序の維持と預金者等の保護を確保することを目的とする。 |
(定義)
第 | 二条 この法律において「銀行」とは、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行及び長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行をいう。 |
2 | この法律において「金融機関」とは、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第一項に規定する金融機関をいう。 |
3 | この法律において「預金等」とは、預金保険法第二条第二項に規定する預金等をいう。 |
4 | この法律において「預金者等」とは、預金保険法第二条第三項に規定する預金者等をいう。 |
5 | この法律において「被管理金融機関」とは、第八条第一項の規定により金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関をいう。 |
6 | この法律において「子会社」とは、銀行法第二条第八項に規定する子会社又は同項の規定により子会社とみなされる会社をいう。 |
7 | この法律において「承継銀行」とは、営業若しくは事業の譲受け又は合併(以下「営業の譲受け等」という。)により被管理金融機関の業務を引き継ぎ、かつ、当該引き継いだ業務を暫定的に維持継続することを主たる目的とする銀行であって、預金保険機構(以下「機構」という。)の子会社として設立されたものをいう。 |
8 | この法律において「特別公的管理銀行」とは、第三十六条第一項又は第三十七条第一項の規定により特別公的管理の開始の決定をされた銀行をいう。 |
(金融機関の破綻処理の原則)
第 | 三条 我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融再生委員会が講ずる金融機関の破綻に対する施策は、次に掲げる原則によるものとし、平成十三年三月三十一日までに、集中的に実施するものとする。
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(金融再生委員会に対する意見の申出)
第 | 四条 日本銀行及び機構は、前条の原則により講ずべき施策に関する事項その他破綻した金融機関の処理の方法に関し、金融再生委員会に対して意見を述べることができる。 |
(国会に対する報告)
第 | 五条 政府は、おおむね六月に一回、又はその求めがあったとき直ちに、破綻した金融機関の処理のために講じた措置の内容その他金融機関の破綻の処理の状況を国会に報告しなければならない。 |
(資産の査定の報告)
第 | 六条 金融機関は、決算期その他主務省令で定める期日において資産の査定を行い、主務省令で定めるところにより、資産査定等報告書を作成し、金融再生委員会(当該金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあっては、金融再生委員会及び労働大臣とする。第六十八条第一項において同じ。)に提出しなければならない。
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2 | 前項の「資産の査定」とは、主務省令で定める基準に従い、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性に応じてその有する債権その他の資産を区分することをいう。 |
(資産の査定の公表)
第 | 七条 金融機関は、前条の規定による資産の査定を行ったときは、主務省令で定めるところにより、その区分に係る資産の合計額その他の主務省令で定める事項を公表しなければならない。 |
(業務及び財産の管理を命ずる処分)
第 | 八条 金融再生委員会(この項に規定する処分に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあっては、金融再生委員会及び労働大臣とする。第三項(次条第二項において準用する場合を含む。)、同条第一項、第十一条第二項から第四項まで、第十三条、第十四条第一項から第三項まで、第五項及び第六項、第十五条、第十九条第一項、第二十五条並びに第六十九条において同じ。)は、平成十三年三月三十一日までを限り、信用秩序の維持及び預金者等の保護を図るため、金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合その他金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合又は金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であって、次に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。
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2 | 前項に規定する「銀行持株会社等」とは、次に掲げる者をいう。
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3 | 金融再生委員会は、第一項の規定により管理を命ずる処分をしたときは、主務省令で定めるところにより、これを公告しなければならない。 |
(管理を命ずる処分の取消し)
第 | 九条 金融再生委員会は、管理を命ずる処分について、その必要がなくなったと認めるときは、当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない。
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2 | 前条第三項の規定は、前項の場合について準用する。 |
(株主の名義書換の禁止)
第 | 十条 被管理金融機関が銀行である場合において、金融再生委員会は、必要があると認めるときは、株主の名義書換を禁止することができる。 |
(金融整理管財人の選任等)
第 | 十一条 第八条第一項の規定による管理を命ずる処分があったときは、被管理金融機関を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、金融整理管財人に専属する。商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百四十七条(信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第四十九条、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第五十四条及び労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十四条において準用する場合を含む。)、商法第二百八十条ノ十五、第三百六十三条、第三百七十二条、第三百八十条(信用金庫法第五十二条第三項(同法第五十八条第五項において準用する場合を含む。)、中小企業等協同組合法第五十七条第三項(同法第五十七条の三第四項において準用する場合を含む。)及び労働金庫法第五十七条第三項(同法第六十二条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、商法第四百十五条(信用金庫法第六十一条、中小企業等協同組合法第六十六条及び労働金庫法第六十五条において準用する場合を含む。)及び商法第四百二十八条(信用金庫法第二十八条、中小企業等協同組合法第三十二条及び労働金庫法第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による取締役(被管理金融機関が信用金庫若しくは信用金庫連合会、信用協同組合若しくは中小企業等協同組合法第九条の九第一項の事業を行う協同組合連合会(第十六条第一項において「信用協同組合連合会」という。)又は労働金庫若しくは労働金庫連合会(以下「信用金庫等」という。)である場合にあっては、理事。以下同じ。)の権利についても、同様とする。
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2 | 金融再生委員会は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の金融整理管財人を選任しなければならない。この場合において、金融再生委員会は、機構の意見を聴かなければならない。
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3 | 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、前項の規定により金融整理管財人を選任した後においても、更に金融整理管財人を選任し、又は金融整理管財人が被管理金融機関の業務及び財産の管理を適切に行っていないと認めるときは、金融整理管財人を解任することができる。
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4 | 金融再生委員会は、第二項若しくは前項の規定により金融整理管財人を選任したとき又は同項の規定により金融整理管財人を解任したときは、主務省令で定めるところにより、被管理金融機関にその旨を通知するとともに、これを公告しなければならない。
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5 | 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)第九十七条、第九十八条、第九十八条の四及び第二百八十五条の規定は金融整理管財人について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項の規定は被管理金融機関について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第九十七条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「金融再生委員会(当該金融整理管財人の管理に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあっては、金融再生委員会及び労働大臣とする。以下同じ。)の承認」と、同法第九十八条中「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「金融再生委員会の承認」と、同法第二百八十五条第一項中「裁判所」とあるのは「金融再生委員会」と、「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、民法第四十四条第一項中「理事其他ノ代理人」とあるのは「金融整理管財人」と読み替えるものとする。 |
第 | 十二条 法人は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となることができる。 |
2 | 機構は、預金保険法第三十四条に規定する業務及び第六十条に規定する業務のほか、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となりその業務を行うことができる。 |
(金融整理管財人の報告義務)
第 | 十三条 金融整理管財人は、就職の後遅滞なく、次に掲げる事項を調査し、金融再生委員会に報告しなければならない。
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2 | 金融再生委員会は、金融整理管財人に対し、前項の規定による調査及び報告に関し必要な措置を命ずることができる。 |
(業務及び財産の管理に関する計画の作成等)
第 | 十四条 金融再生委員会は、被管理金融機関に係る営業譲渡等のため必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、次に掲げる事項を含む被管理金融機関の業務及び財産の管理に関する計画の作成を命ずることができる。
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2 | 金融整理管財人は、前項の計画を作成したときは、金融再生委員会の承認を得なければならない。 |
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3 | 金融整理管財人は、やむを得ない事情が生じた場合には、金融再生委員会の承認を得て、第一項の計画を変更し、又は廃止することができる。 |
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4 | 金融整理管財人は、第二項の規定による承認又は前項の規定による変更の承認があったときは、遅滞なく、当該承認を得た第一項の計画又は前項の規定による変更後の計画(以下この条及び次条において「計画」という。)を実行に移さなければならない。 |
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5 | 金融再生委員会は、金融整理管財人に対し、計画の実行に関し必要な措置を命ずることができる。 |
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6 | 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、計画の変更又は廃止を命ずることができる。 |
(報告又は資料の提出)
第 | 十五条 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況、計画の実施の状況等に関し報告又は資料の提出を求めることができる。 |
(金融整理管財人の調査等)
第 | 十六条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役、監査役(被管理金融機関が信用金庫等である場合にあっては、監事。以下同じ。)及び支配人(被管理金融機関が信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会である場合にあっては、参事。)その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該被管理金融機関の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被管理金融機関の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
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2 | 金融整理管財人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 |
(金融整理管財人等の秘密保持義務)
第 | 十七条 金融整理管財人及び金融整理管財人代理は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。金融整理管財人又は金融整理管財人代理がその職を退いた後も、同様とする。 |
2 | 金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人であるときは、金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。 |
(被管理金融機関の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)
第 | 十八条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役若しくは監査役又はこれらの者であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。 |
2 | 金融整理管財人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。 |
(金融整理管財人と被管理金融機関との取引)
第 | 十九条 金融整理管財人は、自己又は第三者のために被管理金融機関と取引するときは、金融再生委員会の承認を得なければならない。この場合においては、民法第百八条の規定は、適用しない。 |
2 | 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。 |
(会社整理に関する商法の規定の不適用)
第 | 二十条 商法第三百八十一条第一項、第三百八十六条第一項(第六号から第九号までを除く。)及び第二項、第三百八十七条第一項、第三百八十八条から第三百九十一条まで、第三百九十七条並びに第三百九十八条の規定は、管理を命ずる処分があった場合における当該管理を命ずる処分に係る被管理金融機関については、適用しない。 |
(株主総会等の特別決議等に関する特例)
第 | 二十一条 被管理金融機関における商法第二百十四条第一項、第二百四十五条第一項、第二百八十条ノ二第二項、第三百四十六条若しくは第三百七十五条第一項の規定による決議、同法第三百四十三条、第三百四十五条第二項、第三百五十三条第四項(同法第三百六十五条第三項において準用する場合を含む。)、第四百五条若しくは第四百八条第三項に規定する決議、信用金庫法第四十八条、中小企業等協同組合法第五十三条若しくは労働金庫法第五十三条の規定による議決又は金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第七条第三項(第一号において準用する商法第四百八条第三項に係る部分に限る。)若しくは金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第六項の規定による合併決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主又は会員、組合員若しくは代議員若しくは総代(以下「株主等」という。)の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。 |
2 | 被管理金融機関における商法第三百四十八条第一項、第三百五十三条第五項、第三百六十五条第二項若しくは第四百八条第四項の規定による決議又は金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項(第一号において準用する商法第四百八条第四項に係る部分及び金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項第二号に係る部分に限る。)の規定による合併決議若しくは同条第五項に規定する決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であって出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。 |
3 | 第一項の規定により仮にした決議、議決又は合併決議(以下「仮決議等」という。)があった場合においては、各株主等に対し、当該仮決議等の趣旨を通知し、当該仮決議等の日から一月以内に再度の株主総会又は総会若しくは総代会(以下「株主総会等」という。)を招集しなければならない。 |
4 | 前項の株主総会等において第一項に規定する多数をもって仮決議等を承認した場合には、当該承認のあった時に、当該仮決議等をした事項に係る決議、議決又は合併決議があったものとみなす。 |
5 | 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議又は合併決議があった場合について準用する。この場合において、前項中「第一項に規定する多数」とあるのは、「第二項に規定する多数」と読み替えるものとする。 |
(株主総会等の特別決議等に代わる許可)
第 | 二十二条 銀行である被管理金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、商法第二百四十五条、第三百七十五条及び第四百五条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
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2 | 信用金庫等である被管理金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、信用金庫法第四十八条、中小企業等協同組合法第五十三条及び労働金庫法第五十三条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
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3 | 金融整理管財人は、商法第二百五十七条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)、信用金庫法第三十八条第一項、中小企業等協同組合法第四十一条第一項及び労働金庫法第四十一条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役又は監査役を解任することができる。
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4 | 前三項に規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があったときは、当該代替許可に係る事項について株主総会等の決議又は議決があったものとみなす。
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5 | 代替許可に係る事件は、当該被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
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6 | 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十三条ノ二第四項及び第五項の規定は、代替許可の申立てがあった場合について準用する。
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7 | 代替許可の申立てに係る裁判に対しては、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
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8 | 前三項に規定するもののほか、代替許可に係る事件に関しては、非訟事件手続法第一編(第二条から第四条まで、第十五条及び第十六条を除く。)の規定を準用する。 |
(代替許可に係る登記の特例)
第 | 二十三条 前条第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項第一号に掲げる事項又は同条第三項に定める事項に係る代替許可があった場合においては、当該事項に係る登記の申請書には、当該代替許可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない。 |
(債権者保護手続の特例)
第 | 二十四条 銀行である被管理金融機関が資本減少の決議をした場合においては、預金者その他政令で定める債権者に対する商法第三百七十六条第二項において準用する同法第百条の規定による催告は、することを要しない。 |
(管理の終了)
第 | 二十五条 金融整理管財人は、管理を命ずる処分があった日から一年以内に、被管理金融機関の営業譲渡その他の方法により、その管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内にその管理を終えることができない場合には、金融再生委員会の承認を得て、一年を限り、この期限を延長することができる。 |
(主務省令への委任)
第 | 二十六条 この章の規定を実施するための手続その他その執行について必要な事項は、主務省令で定める。 |
(承継銀行の設立の決定)
第 | 二十七条 金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までを限り、被管理金融機関が第八条第一項第二号に掲げる要件に該当し、かつ、当該被管理金融機関の業務承継(承継銀行が営業の譲受け等により業務を引き継ぎ、かつ、その業務を暫定的に維持継続することをいう。以下同じ。)のため承継銀行を活用する必要があると認めるときは、次に掲げる決定を行うことができる。
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2 | 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、前項の決定を取り消し、又は変更する決定を行うことができる。
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3 | 金融整理管財人は、必要があると認めるときは、金融再生委員会に前二項の規定による決定を行うことを求めることができる。 |
(被管理金融機関の資産の判定)
第 | 二十八条 機構は、前条第一項又は第二項の規定による同条第一項各号に掲げる決定があったときは、金融再生委員会に対し、当該被管理金融機関の貸出債権その他の資産の内容を審査し、承継銀行が保有する資産として適当であるか否かの判定を行うよう求めるものとする。 |
2 | 金融再生委員会は、前項の規定による求めがあったときは、円滑な業務承継を図る観点及び承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を図る観点から、同項の判定を行うものとする。 |
3 | 金融再生委員会は、前項の判定を行うための基準をあらかじめ定め、これを公表しなければならない。 |
4 | 前項の基準は、第二項の判定の対象となる債権に係る債務者の債務の履行状況及び当該債務者の財務内容の健全性に関する基準を含むものでなければならない。 |
(承継銀行の設立等)
第 | 二十九条 機構は、第二十七条第一項又は第二項の規定による同条第一項第一号に掲げる決定があったときは、当該決定に係る出資の内容について金融再生委員会の承認を受けて、平成十三年三月三十一日までに、承継銀行となる株式会社の設立の発起人となり、及び当該設立の発起人となった株式会社を子会社として設立するための出資をしなければならない。 |
2 | 機構は、前項に規定するほか、承継銀行に対する出資を行おうとするときは、金融再生委員会の承認を受けなければならない。 |
3 | 金融再生委員会は、前二項の承認を行うための基準をあらかじめ定め、これを公表しなければならない。 |
4 | 機構は、第一項又は第二項に規定する出資をしたときは、速やかに、その内容を金融再生委員会に報告しなければならない。 |
(承継銀行の経営管理)
第 | 三十条 機構は、承継銀行が次に掲げる事項を適確に実施できるようその経営管理を行わなければならない。
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2 | 機構は、承継銀行の資金の貸付けその他の業務についての指針を次の各号に定めるところにより作成し、金融再生委員会の承認を受けた後、公表しなければならない。
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3 | 機構は、承継銀行に対し、その経営に必要な指導及び助言を行うことができる。 |
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4 | 機構は、承継銀行の経営管理の円滑な実施等のための人材の確保に資するため、法務、金融、会計等に精通している者に関する情報収集を行わなければならない。 |
(経営管理の終了等)
第 | 三十一条 機構は、承継銀行が最初に業務を引き継いだ被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から一年以内に、次に掲げる措置を講ずることにより当該承継銀行の経営管理を終了しなければならない。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該経営管理を終了することができない場合には、一年ごとに二回までを限り、この期限を延長することができる。
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2 | 機構は、前項本文の規定による経営管理の終了又は同項ただし書の規定による期限の延長をしようとするときは、金融再生委員会の承認を受けなければならない。 |
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3 | 機構は、第一項の規定により承継銀行の経営管理を終了したとき又は承継銀行(承継銀行であった銀行を含む。)の株式の譲渡その他の処分(同項第三号に掲げるものを除く。)を行ったときは、速やかに、その旨を金融再生委員会に報告しなければならない。 |
(協定)
第 | 三十二条 機構は、承継銀行と次に掲げる事項を含む協定(以下この章において「協定」という。)を締結するものとする。
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2 | 機構は、協定を締結したときは、直ちに、その協定の内容を金融再生委員会に報告しなければならない。 |
(資金の貸付け及び債務の保証)
第 | 三十三条 機構は、協定承継銀行から、協定承継銀行の業務の円滑な実施のために必要とする資金について、その資金の貸付け又は協定承継銀行によるその資金の借入れに係る債務の保証の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、当該貸付け又は債務の保証を行うことができる。 |
2 | 機構は、前項の規定により協定承継銀行との間で同項の貸付け又は債務の保証に係る契約を締結したときは、直ちに、その契約の内容を金融再生委員会に報告しなければならない。 |
(損失の補てん)
第 | 三十四条 機構は、協定承継銀行に対し、協定の定めによる業務の実施により協定承継銀行に生じた損失の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うことができる。ただし、当該損失の補てんを行うことが適当でない場合として政令で定める場合は、この限りでない。 |
(報告の徴求)
第 | 三十五条 機構は、この章の規定による業務を行うため必要があるときは、承継銀行に対し、協定の実施又は財務の状況に関し報告を求めることができる。 |
(特別公的管理の開始の決定)
第 | 三十六条 金融再生委員会は、銀行がその財産をもって債務を完済することができない場合その他銀行がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合又は銀行が預金等の払戻しを停止した場合であって、次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該銀行につき、特別公的管理の開始の決定(以下「特別公的管理開始決定」という。)をすることができる。
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2 | 金融再生委員会は、前項の規定により特別公的管理開始決定をしたときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、これを公告しなければならない。 |
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第 | 三十七条 金融再生委員会は、銀行がその業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれが生ずると認める場合であって、次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該銀行につき、特別公的管理開始決定をすることができる。
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2 | 前条第二項の規定は、前項の規定により特別公的管理開始決定をした場合について準用する。 |
(特別公的管理銀行の株式の取得の決定)
第 | 三十八条 金融再生委員会は、特別公的管理開始決定と同時に、機構が当該特別公的管理開始決定に係る特別公的管理銀行の株式を取得することを決定するものとする。 |
2 | 金融再生委員会は、前項の規定による決定をしたときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、その旨を機構及び当該特別公的管理銀行に通知するとともに、これを公告しなければならない。 |
(株式の取得等)
第 | 三十九条 前条第二項の規定による公告があった場合には、特別公的管理銀行の株式は、当該公告があった時(以下「公告時」という。)に、機構が取得する。 |
2 | 前項の規定により機構が取得した株式(以下「取得株式」という。)に係る株券(端株券を含む。以下同じ。)は、公告時において無効とする。 |
3 | 第一項の規定による株式の取得については、商法第二百五条第一項及び第二百六条第一項の規定は、適用しない。 |
(株式の対価)
第 | 四十条 株価算定委員会は、公告時における当該特別公的管理銀行の純資産額を基礎として、金融再生委員会規則で定める算定基準に従い、取得株式の対価を決定するものとする。 |
2 | 金融再生委員会は、前項の算定基準を定めたときは、これを公示するものとする。 |
3 | 第三十八条第二項の規定は、第一項の規定により取得株式の対価を決定した場合について準用する。 |
(株式の対価の支払の請求)
第 | 四十一条 公告時において特別公的管理銀行の株主(端株主を含む。)であった者(以下「旧株主」という。)は、前条第一項の決定があったときは、機構に対し、取得株式の対価の支払を請求することができる。 |
2 | 第三十九条第二項の規定により無効とされた株券の占有者は、公告時における適法な所持人と推定する。 |
3 | 第一項の規定による取得株式の対価の支払方法その他取得株式の対価の支払に関し必要な事項は、政令で定める。 |
(担保権の消滅等)
第 | 四十二条 第三十九条第一項の規定により機構が特別公的管理銀行の株式を取得したときは、当該株式を目的とする質権その他の担保権は、消滅する。 |
2 | 前項の場合において、これらの権利は、前条第一項の規定により旧株主が受けるべき取得株式の対価に対しても行うことができる。ただし、その支払の前に差押えをしなければならない。 |
(政令への委任)
第 | 四十三条 前条に定めるもののほか、取得株式につき質権その他の担保権を有する者その他の政令で定める関係人がある場合における取得株式の対価の支払について必要な事項は、政令で定める。 |
(旧株主等に周知させるための措置)
第 | 四十四条 機構は、第三十八条第二項の規定による公告があったときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、同条第一項の規定による決定の内容その他金融再生委員会規則で定める事項について、旧株主その他関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない。 |
(特別公的管理銀行の役員の選任及び解任の特例)
第 | 四十五条 機構は、商法第二百五十四条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、金融再生委員会の指名に基づき、特別公的管理銀行の取締役及び監査役を選任することができる。この場合において、特別公的管理銀行の取締役又は監査役の変更の登記の申請書には、指名及び選任を証する書面を添付しなければならない。 |
2 | 機構は、商法第二百五十七条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、金融再生委員会の承認を得て、特別公的管理銀行の取締役又は監査役を解任することができる。 |
(特別公的管理銀行の報告義務)
第 | 四十六条 特別公的管理銀行は、特別公的管理開始決定の後遅滞なく、次に掲げる事項を調査し、金融再生委員会に報告しなければならない。
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2 | 金融再生委員会は、特別公的管理銀行に対し、前項の規定による調査及び報告に関し必要な措置を命ずることができる。 |
(経営合理化計画の作成等)
第 | 四十七条 特別公的管理銀行は、金融再生委員会規則で定めるところにより、経営合理化計画を作成し、金融再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 |
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2 | 前項の経営合理化計画(以下この条及び第四十九条第一項において「計画」という。)には、次に掲げる事項を定めなければならない。
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3 | 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理銀行に対し、計画の変更を命ずることができる。 |
(特別公的管理銀行の業務)
第 | 四十八条 特別公的管理銀行は、資金の貸付けその他の業務を行う基準を作成し、金融再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 |
(報告又は資料の提出等)
第 | 四十九条 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理銀行に対し、その業務及び財産の状況、計画の実施の状況等に関し報告又は資料の提出を求めることができる。 |
2 | 預金保険法第三十七条第三項の規定は、特別公的管理銀行の取締役、監査役及び支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者について準用する。 |
(特別公的管理銀行の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)
第 | 五十条 特別公的管理銀行は、その取締役若しくは監査役又はこれらの者であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。 |
2 | 特別公的管理銀行の取締役及び監査役は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。 |
(準用規定)
第 | 五十一条 第二十四条の規定は、特別公的管理銀行が資本減少の決議をした場合について準用する。 |
(特別公的管理の終了)
第 | 五十二条 金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、機構又は特別公的管理銀行に次に掲げる措置を行わせることにより、この章に定める特別公的管理を終えるものとする。
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金融機能の再生のための緊急措置に関する法律施行令(平成10年政令第338号) |
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金融機能の再生のための緊急措置に関する法律施行規則(平成10年金融再生委員会規則第2号) |
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被管理金融機関の貸出債権その他の資産の内容を審査し、承継銀行が保有する資産として適当であるか否かの判定を行うための基準を定める件(平成10年金融再生委員会告示第2号) |