日本への参入業者リスト

Federated Hermes Japan株式会社 インタビュー(2022年7月)

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堀井 渉 さま Federated Hermes Japan株式会社
代表取締役 在日代表
聞き手:金融庁 2022年6月

会社概要
会社名:Federated Hermes Japan株式会社
設立:2021年8月
主要業務:金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3327号

Federated Hermes Japanのロゴ。「Federated Hermes」と記載されている。

Federated Hermes Japan株式会社 (以下、「FH Japan」)は、欧米及びアジアにおいて株式・債券・オルタナティブ資産等への投資・運用を行う英国ロンドンを拠点とするFederated Hermes Ltd (以下、「FHL」)が設立しました。
FHLは、ピッツバーグ、ロンドン、ニューヨーク、ボストン、シンガポール、シドニー、フランクフルトを含め、世界に14のオフィスを有しています。
FHJの最終的な親会社はFederated Hermes, Inc.で、グループの2022年3月末の運用資産残高は約85兆円(6,310億米ドル)です。

* FHLは、1982年9月3日に設立された、会社番号01661776の英国有限会社です。
(グループ会社の紹介)
https://www.hermes-investment.com

1.Federated Hermesの日本進出 ~投資助言・代理業登録~

このたびは投資助言・代理業ライセンスの取得、おめでとうございます。あらためてFH Japanの事業内容について教えてください。

Hermesは、ブリティッシュ・テレコム企業年金の投資運用部門としてスタートし、その後、機関投資家や大口投資家向けに株式、債券、オルタナティブ資産を提供し、特にESGとスチュワードシップに強みを有しています。
Federatedは、ピッツバーグを拠点とした米国の運用会社で、主にリテールと短期資産に強みを持ち、株式、債券、オルタナティブ資産を運用しています。
FederatedがHermesを買収し、Federated Hermesとして生まれ変わり、真にグローバルな資産運用会社が新たに誕生しました。当社は、現在、Hermesが強みを持っていた機関投資家向けビジネスと大口投資家向けビジネスをグローバルに展開している途中であり、日本をAPAC地域における営業戦略の重要な拠点と位置づけ、アジア市場でも事業を拡大しているところです。

今回なぜ、日本で新たに投資助言・代理業を始めることにしたのですか?

日本が世界有数の経済大国であり、資産運用業界の運用資産残高も増加傾向にあることが大きな理由です。それに加えて、当社のビジネス開発チームが、投資家にとって当社の運用戦略が魅力的である地域を日々探す中、日本の機関投資家は保守的でボラティリティの低い戦略を好む傾向があり、当社の運用戦略はそのニーズに合致していると確信した事が日本に着目したもう1つの理由です。一旦、日本を、当社グループの商品に対する需要がある重要な市場として位置づけたあとは、日本でのビジネス展開を適切にサポートするための計画を策定するステップへと進みました。
FederatedとHermesが合併した約18か月後の2019年末、APAC地域を担当する経営幹部はこの地域でのビジネス拡大計画を取りまとめ、ペンシルバニア州ピッツバーグの米国本社のシニアマネジメントに提案し、承認されました。

2020年までは、日本に関するすべての業務はシンガポールから行われていました。しかし、これが最良のやり方ではないことは明らかで、会社としては、日本に拠点を置く必要性を強く認識し、質が高く経験豊富な人材を採用したいと考えていました。適切な人材を見つけるためには、日本の市場にコミットする必要があり、これらの点を背景として、日本拠点の設立および業登録をすることに決めました。

今回、日本拠点の設立および投資助言・代理業の登録完了により、さらにプロフェッショナルなアプローチで日本の投資家と新たな関係を構築できるようになったことに、大変満足しており、今後のビジネスについてもとても楽しみにしています。

将来的には日本の職員を増やしたいと思っていますが、日本拠点に1名(FH Japanの残りの役職員は全て海外在住)という体制でありながらも、日本の法律事務所や当社のAPAC/ロンドンのチームの支援を受け、投資助言・代理業の登録を完了できたことに満足しています。

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2.拠点開設サポートオフィスでの英語登録手続について

FH Japanは、金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィスを利用しての金融ライセンス取得第7号となりました。この英語での業登録のプロセスの印象についてお聞かせ下さい。

当社は日本拠点開設の多くの準備を2020年末に行ったので、英語登録手続のメリットを十分に享受できなかったかもしれませんが、途中で法律事務所からの情報で、英語で申請手続を行うことができると知りました。社内の手続や新型コロナウイルス感染症の影響を主な要因として、準備開始から登録完了まではある程度時間を要しましたが、拠点開設サポートオフィスとのやり取りが始まってからは、とてもスムーズに手続を進めることができました。

拠点開設サポートオフィスからのサポートは大変貴重なもので、経験豊富なプロフェッショナルなチームのお蔭で、日本の投資助言・代理業の一連の登録作業を完了する事ができました。そのプロセスにおいては、日本で投資助言・代理業を行うのに必要な金商法や監督指針の内容や、業登録後の継続的なコンプライアンス要件が明確になりました。このような登録申請手続においては、当局と何度もメールのやり取りがあることは通例ですが、そのやり取りにおける拠点開設サポートオフィスの回答は非常にクリアかつ迅速でした。

FH Japanは、金融庁が新しく実施している「金融創業支援ネットワーク(以下、「モデル事業」)の第3号案件となりました。このサポートを利用した感想を聞かせて下さい。

モデル事業を通じた金融庁による費用面のサポートは、日本でまずは小規模でビジネスを始めようとする事業者にとってはとても有益であることは言うまでもありません。また、トライコー・ジャパンとは非常に良いコミュニケーションを取ることができました。最初の質疑応答の際、モデル事業の取組みやどのようなサポートがあるのか丁寧に説明があり、日本で新たに事業を開始する上でとても心強かったです。

全体として、拠点開設サポートオフィスおよびトライコー・ジャパンと英語で良いコミュニケーションをとることができたことは、とても助かりました。

日本進出にあたって、苦労した点はありましたか?

当初苦労したのは、適切な情報をウェブサイトで見つけることでした。
全く新しい国で新たにビジネスを始める際に、別の言語で書かれた異なる法律や制度を理解することは、適切なアドバイザーがいなければほぼ不可能です。海外進出を検討するための法律事務所を正式に決定する前の段階では、自分たちがウェブサイト上で多くの調査を行いましたが、どのようなライセンスがあるのか、それぞれのライセンスで何ができるのかを理解するのは難しかったです。しかし、前述の通り、拠点開設サポートオフィスや法律事務所が、今回、私たちをサポートしてくれました。近々、国際金融センターのウェブサイトの刷新を予定しているということで、楽しみにしています!

日本での会社設立や業登録は非常に複雑で時間がかかるという印象があると一般的には思われていますが、私たちの今回の経験に基づけばそのイメージは少し古いのではないかと思っています。

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画面 左上:ディビット・フィッツアリス (Federated Hermes Ltd コンプライアンス部長)、右上:ニシル・パテル (Federated Hermes Ltd プロジェクト・マネジャー/ビジネス開発部)、中央下:ジェニー・ホワイトマン (Federated Hermes Ltd 法務部長)、横:堀井 渉(Federated Hermes Japan株式会社 代表取締役 在日代表)

3.FH Japanの将来のビジョン

FH Japanと、APAC/ロンドンチームは今後どのように連携していくのでしょうか。

FH Japanは、より広範なAPACグループの一員であり、ビジネス開始当初はロンドンとシンガポールから多くのサポートを受ける予定です。コンプライアンスの観点からは、コンプライアンスをサポートしてくれる日本の外部委託業者と提携しており、その業者は当社のロンドンのコンプライアンス・グループとも密接に連携しています。当社のロンドンオフィスは数多くの事をサポートしており、APAC拠点ではそれを有効活用しています。一方で日本に人員を追加する余地があることは明らかであり、人員の採用はグループの拡大計画の中でもかなり重要な部分です。事業の成長に合わせて、日本でもビジネスサポート部門を拡充する予定です。

FH Japanの将来のビジョンを教えてください

まずは当社グループの特徴であるESG運用サービスの強みを活かして、日本でのブランド構築に注力したいと思います。その後、当グループの豊富な運用商品ラインアップ(株式、債券、オルタナティブ、プライベートエクイティ、プライベートデット、不動産など)をフルに活用し、投資家の真のニーズに合致した商品を紹介していきたいと思います。また、ESG/スチュワードシップ・アドバイザリー事業やEquity Ownership Services(EOS)についても、これまで日本において一定の成果があり、さらに発展させていきたいと考えています。

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堀井 渉 さま
Federated Hermes Japan株式会社
代表取締役 在日代表

2021年12月にFederated Hermes の日本オフィス立ち上げのため入社。
1988年に三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入行後、1994年にデューク大学にてMBA取得。帰国後は投資顧問部にて日本株のファンドマネージャー、総合資金部にてデリバティブ業務に従事した後、2001年より日興リサーチセンターにて年金コンサルタントとして、運用機関選定、アセットアロケーション、リスク管理について年金基金向けに提案。2003年にアライアンス・バーンスタインに転職してからは、年金基金向けの営業、コンサルタント・リレーション、企業型確定拠出年金(DC)の推進、リテール営業に従事。その後、2012年に米国フィデリティーの機関投資家部門であるピラミス・グローバル・アセットマネジメントの日本法人立ち上げに参画。その後、同社が日本撤退を決定したことから2013年からナティクシス・インベストメント・マネジメントにて年金基金向けの営業とコンサルタント・リレーション業務に従事

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アーネスト・ヤコブ・ニールソン さま
Federated Hermes Japan株式会社、代表取締役
Federated Hermes Ltd, 執行役員-APAC代表

Federated HermesのAPAC責任者であり、Federated Hermes Ltdのビジネス開発チームおよび経営委員会のメンバー。

2012年にHermes Investment Management(現在はFederated Hermesが100%出資)に取締役として入社し、当初は欧州の大手投資家への投資戦略の推進に注力。2014年、シンガポールに移転し、APAC地域での事業開発を統括。
Federated Hermes以前は、Citigroup、Goldman Sachs、Lehman Brothers、Bank of America Merrill Lynchで、セルサイドに15年間従事。これまでのキャリアを通じて、幅広い資産運用会社、投資家、商品、および地域で業務を行ってきた。
University of Rochester (NY) で文学学士号を取得し、国際マネジメントのスタンフォード・シンガポール国立大学エグゼクティブプログラムを修了。