日本への参入業者リスト

バンク・オブ・モントリオール証券株式会社 インタビュー(2022年12月)

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神谷 裕子 さま バンク・オブ・モントリオール証券株式会社
代表取締役、ジェネラル マネージャー

聞き手:金融庁 2022年10月

会社概要
会社名:バンク・オブ・モントリオール証券株式会社
設立:2021年5月
主要業務:金融商品取引業(第一種金融商品取引業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3337号

BMOフィナンシャル・グループのロゴ。「BMO Financial Group」と記載されている。

BMOフィナンシャル・グループについて
(ニューヨーク証券取引所、トロント証券取引所にそれぞれティッカーBMOで上場)

BMOグループは205年の歴史を持ち、資産規模では北米で8番目に大きな銀行であり、カナダで最も古い歴史を持つモントリオール銀行を軸に幅広い金融サービスを提供している総合金融グループです。2022年10月31日現在の総資産は1.14兆ドルで、多様な従業員から構成され、1,200万人を超えるお客さまに対して、「商業銀行部門」、「ウェルス・マネジメント部門」、および「キャピタルマーケッツ部門」の3つの部門を通じて幅広い事業を展開しています。

Q1. このたびは第一種金融商品取引業ライセンスの登録完了、おめでとうございます。貴社の概要を教えてください。

BMO Japan Securities Ltd(以下「BMOジャパン」)は2022年6月27日付で第一種金融商品取引業の登録を受けており、BMO キャピタル・マーケッツ部門におけるグローバル・マーケッツ事業の一環として、有価証券の売買の媒介及び私募の取扱いを開始しました。

BMOジャパンのお客さまとしては、大手銀行、地方銀行、政府系金融機関、保険会社、資産運用会社、年金基金(適格機関投資家のみ)、証券会社等の国内金融機関を想定しています。

Q2. なぜ、日本で第一種金融商品取引業を新たに始めることにしたのですか。

BMOフィナンシャル・グループ(以下「BMO」)では「お客さまに寄り添い、お客さまのニーズを理解する」ことに誇りを持っています。これまでは香港のトレーディングフロアを中心に日本のお客さまにサービスを提供してきましたが、新たに日本拠点を開設したことにより、お客さまとの接点が増え、より深い関係を築くことができるようになりました。日本はBMO全体におけるアジア戦略の重要な拠点として最も適しているものと考えており、日本拠点の開設は日本市場への長期的なコミットメントを示すものでもあります。

2020年はじめに、BMOジャパンの設立に向けた布石として、まずは東京に駐在員事務所を設置しました。

BMOグローバル・マーケッツ事業は従来、カナダの債券、為替、金属・鉱業を幅広くカバーしてきましたが、最近ではアメリカの債券や証券化商品などの分野で債券商品のラインアップを拡充しており、こうした分野はBMOが日本の機関投資家の投資ニーズを満たすために最高のソリューションを提供するのに適していると考えていました。

日本のマーケットは非常に大きく、安定していて、革新的であり、多くのプロフェッショナルを有するグローバルな金融センターであることは明らかであるため、自然にBMOの内部関係者からも「どうして私たちは日本に進出していないのか」と自問するようになり、今回の業登録の運びとなりました。

Q3. BMOジャパンは「拠点開設サポートオフィス」を利用して、英語で第一種金融商品取引業の業登録を完了した第一号となりましたが、英語での登録手続についてどう思われましたか。

概要書、登録申請書、社内規程などの重要な申請書類を英語で提出できることは、当社にとって非常に有益でした。当社のサポート・チームや主要なステークホルダーの多くは海外に拠点を置いているため、主なコミュニケーションは英語になります。すべての書類やコミュニケーションを英語もしくは日本語に翻訳する必要がなくなり、登録プロセスが大幅に短縮されました。

拠点開設サポートオフィスからのサポートも非常に助かりました。経験豊富なチームによる登録申請手続の対応により、日本で事業を開始する際に当局から求められる関連規則の理解が深まりました。

日本証券業協会及び日本投資保護基金への入会申込書類も英語で可能となり、翻訳作業の削減にもつながりました。拠点開設サポートオフィスによる優れた調整のおかげで、これらの団体への入会申込が円滑に処理されることに繋がったと認識しています。

(左から)中川 学(ヴァィス プレジデント、ビジネス リスク&ソリューションズ部)、神谷 裕子(代表取締役、ジェネラル マネージャー)、石橋 重成(取締役、ファイナンス&オペレーションズ部長)、田中 聡(チーフ コンプライアンス オフィサー、コンプライアンス部)

Q4. 日本で新たにビジネスを始める際に直面した課題はありましたか。

今回英語での業登録申請書類の提出はできましたが、事業開始までの過程においては、さまざまな場面で言語の障壁の問題が残りました。BMOグループの海外拠点の多くの関係者にとって、日本は新しい市場であったため、事業をスタートするために必要な現地の規制要件等を十分に理解するためには多くの時間と労力を要しました。

実際に物理的にオフィスを構える際や、ベンダーとの連絡を取る際など、英語もしくは日本語への翻訳が必要な書類も多くありました。

Q5. 今後、BMOジャパンと貴社のグローバルチームはどのように連携していく予定ですか。

BMOグループでは、日本での新たなビジネス拡大をサポートするために、国や部門を越えて、素晴らしいチームワークがありました。私たちは、このチームワーク文化を大切にして、今後も業務の拡大を続けたいと思っています。

会社設立から第一種金融商品取引業の登録完了までの期間を通じて、香港/ロンドン/トロントなどのBMOグループのグローバルな拠点よりサポートを受けることができたため、日本での事業は最小人数でスタートラインに立つことができました。これは強力なチームワークの成果であると考えています。

今後は、日本でより多くの人材を採用することも視野に入れています。

Q6. BMO ジャパンの強みと将来ビジョンを教えてください。

私たちの当面の目標は、ここ日本でのプレゼンスを拡大させることと、長期に渡って私たちとすでに取引をしてくださっているお客さまと日本で取引を行うための準備を終わらせることです。可能な限り早く、既存のお客さまや新規のお客さまと、より深い関係を構築したいと考えています。

北米を拠点とする金融サービスのリーディングカンパニーとして、私たちのミッションは、日本のお客さまのために当社の能力を最大限に発揮し、世界最高の商品ノウハウと流動性をお届けすることです。

債券取引においては「Follow-the-Sun(フォロー・ザ・サン)」というモデルをご提供しています。これは、お客さまが世界中のどこにいても何時でも、優れた流動性を提供し、ご利用いただけるようにするというBMOのコミットメントです。日本のお客さまには、日本時間においても、ニューヨークやトロント時間と同質のプライシングで取引ができるようにしたいと考えています。日本で、アメリカやカナダの債券の売買の取扱をする会社が増えることにより、日本の投資家にとっては選択肢が広がり、価格等の面においてメリットがあると考えます。

私たちはまた、近い将来においても、いくつかのエキサイティングなお客さま向けイベントを開催したいと考えています。

今後はお客さまの声に耳を傾け、より関係を深めていくためにはどうすればよいのかということを理解していくことで、日本のお客さまに合った商品のさらなる拡充を行いたいと思っています。

私たちBMOの目的は、究極的には「ビジネスと人生において「善」を大胆に成長させる(Boldly Grow the Good in business and life)」ことです。私たちは、このスローガンを日本でも体現することにとても期待しており、我々の同僚、お客さま、そして私たちが働く地域社会の発展を促進させるドライバーになりたいと願っています。

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神谷 裕子 さま
バンク・オブ・モントリオール証券株式会社
代表取締役、ジェネラル マネージャー

金融業界で15年以上の経験を有する。日本の金融業界や日本およびカナダにおける金融関連規制への理解や、北米債券に関する幅広い商品知識、日本のお客さまとの関連性、およびBMOで取扱う商品に係る深い理解を理由として、バンク・オブ・モントリオール証券株式会社の代表取締役に就任。日本語と英語に堪能であり、ニューヨーク工科大学でMBA、ネバダ大学ラスベガス校で学士号を取得。