日本への参入業者リスト

エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマン インタビュー(2023年1月)

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ヨハネス・カプス さま エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマン
代表者

聞き手:金融庁 2022年12月

会社概要
会社名:エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマン
設立:2022年6月
主要業務:金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3352号

エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマンのロゴ。「HS Group」と記載されている。

Q1. このたびは投資助言・代理業ライセンスの取得、おめでとうございます。あらためて貴社の事業内容について教えてください。

HSグループおよびその関連会社(以下「HSグループ」)は、オルタナティブ系の資産運用会社に長期的な出資および戦略的アドバイスを提供する独立系の機関投資家向け投資運用会社であり、本社は香港にあるHSグループ香港です。HSグループ香港は、香港証券先物委員会からType 9の資産運用ライセンスを取得しているほか、英国FCAのEU域外のオルタナティブ投資ファンド・マネージャーとして登録し、米国SECに適用除外のアドバイザーとして届出を行っています。

これまでのHSグループの新興ファンド・マネージャーに対する戦略的投資は、主に香港、シンガポール、アメリカ(ニューヨーク、プリンストン、ニュージャージー)、ロンドンを拠点にしてきました。エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマン(以下「HSジャパン」)は、日本の新興オルタナティブ資産運用会社への投資機会を探るため、日本で投資助言業の登録を完了しました。この新たなライセンスにより、HSグループは、日本に拠点を置く資産運用会社との潜在的な投資機会を見つけていきたいと考えています。

HSジャパンは、投資助言契約に基づき、HSグループ香港に対して、日本に特化したヘッジファンドおよびその他のオルタナティブ投資戦略に関する投資助言サービスを提供します。加えて、HSジャパンは、日本の金融およびオルタナティブ資産運用業界において、HSグループのブランドを示し、そのブランド価値を拡大していきたいと思っています。

Q2. 金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィスを利用した、英語での業登録のプロセスの印象についてお聞かせ下さい。

拠点開設サポートオフィス(Financial Market Entry Office (FMEO))のことは、既にFMEOを通じて英語での業登録を完了した会社から聞きました。英語での登録審査プロセスに対する私たちの印象は、全体的にとても良かったです。FMEOより受け取った質問や資料はすべて英語で作成されており、日本語を母国語とするスタッフがいない外国企業にとっては非常に便利でした。FMEOによる会議での周到に準備された質問や、その後の迅速な対応には大いに感銘を受けました。日本語の文書や日本の金融商品取引法の解釈を必要とする議論が必要とされる場面では、FMEOは我々の代理人弁護士と直接コミュニケーションを取り、それも非常に有益でありました。

Q3. 金融庁がトライコー・ジャパンへの業務委託を通じて実施している「金融創業支援ネットワーク(以下「モデル事業」)」のサポートを利用した感想を聞かせて下さい。

モデル事業のサポートは、当社の日本拠点設立および業登録プロセスを円滑に進める上で欠かせない重要な役割を果たしてくれました。トライコー・ジャパンは、プログラムに関する明確なガイダンスを提供してくれたと同時に、実際の在留資格の手続や給与計算・総務関連のサービスなどにおいても、多くの業務を支援してくれました。

コロナ禍もあり、香港から日本への入国の際の在留資格の手続に時間がかかるのではないかと少し心配していましたが、最終的にはトライコー・ジャパンによるサポートを受けながら、家族や家事使用人も無事に入国できました。

Q4. HSジャパンは、役職員が色々な地域に拠点を置いていますが、どのように協働しているのでしょうか。

当社はHSグループ発足当初から、役職員がかなり広範囲にわたって出張する必要があることを認識しており、出張とリモートアクセスをサポートするために、ITインフラや通信環境、ガバナンスのフレームワーク、社内規程などを設定してきました。

それに加えて、私たちは長年にわたってほとんど入れ替わりが無く一緒に仕事をしてきた緊密なチームです。そのため、同じ物理的なオフィススペースにいなくても、協力して緊密に仕事をすることにとても慣れています。

私たちは日々のメールや週1回以上のビデオ会議によるコミュニケーションに加え、各種委員会の主要メンバーとして重要事項の審議・決定を行う役割も担っています。各委員会は、「投資委員会」「アドバイザリー・サービス委員会」「コンプライアンス委員会」「評価委員会」「投資委員会のESG分科会」で構成され、定期的かつ継続的に個別に開催しています。

画面:アナ・クラビンス(チーフ コンプライアンス オフィサー)、横:ヨハネス・カプス(代表者)

Q5. HSジャパンの将来のビジョンを教えてください。

当初はカプス氏がHSジャパンの唯一の代表者です。将来的には、日本国内のオルタナティブ資産のコミュニティへの関与を深めるにつれて、より多くの投資機会が見いだせることが期待されるため、HSジャパンのリサーチ活動をサポートするために、さらに1、2名の人員を採用したいと考えています。

私たちは、HSグループが戦略的シード投資をする、アジアを代表する企業の一つとして成長したという事実を誇りに思っています。特に日本に拠点を置いて日本のマーケットに重点的に投資をする新興のファンド・マネージャーとともに、彼らが事業を立ち上げ、成長するのを支援するために活動していきたいと考えています。アジアのオルタナティブ資産運用業界に貢献者として認められる存在となることを目標としていきたいと思っています。

コラム

「カプスさん、外国人の目から見た日本の生活環境はどうですか?」

日本は、美味しい食べ物、美しい自然、そして文化的な体験の観点などから人気の旅行先として有名だと思います。外国人にとっては言語の心配があると思いますが、ラグビー・ワールドカップや東京オリンピックを経て今では地下鉄の標識はすべて英語で書かれていますし、私たちはみんなiPhoneとGoogleマップを持っているので、日本語が読めない人でも電車でどこかに行くのは簡単です。SuicaやPASMOは目的地までの所要金額を確認する必要が無いのでとても便利です。レストランには英語のメニューがあり、日本人も外国人観光客に慣れているので、生活面で溶け込むのは想像よりはるかに簡単です。
いくつかの新しいインターナショナルスクールも開校すると聞いています。そうすれば、外国人家族の日本への移住の選択肢も増えるでしょう。

また、最近の入管法の改正により、日本で資産運用業者等に勤める外国人が、海外から2人の家事使用人を日本に連れてくることができるようになりました。これも、子供を持つ家族にとっては有益なことです。

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ヨハネス・カプス さま
エイチ・エス・グループ・ジャパン・ケイマン 代表者
エイチ・エス・グループ(香港)CEO/共同創業者

HSグループ(香港)のCEO兼共同創業者であり、アドバイザリー・サービス委員会の議長、投資委員会のメンバー。同氏が取締役および議決権を行使する株主であるHSグループ・リミテッドの取締役会が定めた指針の範囲内におけるHSグループ(香港)の事業および業務の管理を担当。またHSグループのそれぞれのパートナーシップが機関投資家向けヘッジファンド・ビジネスを計画・構築し、そして運営・成長させるのを支援するために設立された、同社のアドバイザリー・サービスの責任者である。主にアジアを拠点とした26年間の金融業務の経験を有する。

HSグループを創業する以前は、ゴールドマン・サックス香港でAPAC地域のグローバル証券サービスのセールス・チームに勤務。1999年にゴールドマン・サックスに入社し、2008年にマネージング・ディレクターに任命された。ゴールドマン・サックス入社前は、モルガン・スタンレーで投資銀行部門のアナリストとして2年間勤務。また投資銀行であるGruppo, Levey & Co.で、消費者、産業、メディア、マルチチャネル・リテール、およびマーケティング・サービスなどの分野を専門とするシニア・アナリストとして1年間勤務。1996年にブラウン大学で国際関係とドイツ文学の学士号を取得。母国語は英語で、ドイツ語と日本語も堪能。