日本への参入業者リスト

18 Salisbury Capital Japan 株式会社 インタビュー(2023年5月)

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濵﨑 照文 さま 18 Salisbury Capital Japan 株式会社
代表取締役

聞き手:金融庁 2023年5月

会社概要
会社名:18 Salisbury Capital Japan 株式会社
設立:2022年11月10日
主要業務:金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3375号

18 Salisbury Capital Japan 株式会社のロゴ。「18 SALISBURY」と記載されている。

1.このたびは投資助言・代理業ライセンスの取得、おめでとうございます。あらためて貴社の事業内容について教えてください。

当社は2022年11月10日に、18 Salisbury Capital Limited(以下「18 Salisbury HK」)の単独株主である18 Salisbury Holdings Limitedにより、日本の株式会社として設立されました。当社は、18 Salisbury HKに対して日本の上場・非上場企業に関する投資助言を行うことを主たる目的として設立されました。

18 Salisbury HKは香港において、Type4(証券に関する助言業務)およびType9(資産運用業務)に従事するライセンスを保有しています。設立以来18 Salisbury HKは、設立メンバーの数十年にわたる資本市場および絶対収益投資事業における経験を活用することにより、アジアのオルタナティブ投資分野におけるユニークな金融機関の創設を目指しています。

当社の最大の強みは、資本構造全体の正しい理解により多岐にわたる投資手法を用いることが可能である点であると考えています。上場マーケットでのPIPE投資や非上場マーケットへのクロスオーバー投資など日本では比較的新しい手法においても長年の経験があります

当社のプライベート・キャピタル・ビジネスは、ファミリーオフィスやプライベート・エクイティの投資家に対し、プライベート・キャピタル市場に関する一連のソリューションとサービスを、提供しています。また、プライベート・キャピタルの取引を調達し、実行するために、いくつかのファミリーオフィスから特定のマンデートとコミットメントを得ています。小規模で厳選された顧客基盤を対象とする当社の柔軟なアプローチにより、民間資本市場のサイクル全体にわたって集中して、迅速に対応することができます。

当社はすでに絶対収益型ファンドの運用をしております。当ファンドは、アジア地域における非対称的なリスク・リターンの機会を追求しており、個々の会社・イベントを徹底的に分析をし、またマルチアセットのフレームワークでの分析を重視しております。これらの体系だった分析アプローチにより、伝統的な資産との相関性の低い絶対収益を投資家に提供しております。

いずれの事業においても、日本は当社にとって最も重要な投資先です。プライベート・キャピタルの取引パイプラインおよび当ファンドにおけるポートフォリオ配分の75%以上を日本が占めています。今後は、事業全体の成長に合わせて、国内での投資リソースを拡大していきます。

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画面 左上:マイケル・ギブソン (18 Salisbury Capital (日本) 取締役/コンプライアンス部長)、右上:スティーブン・ユエン (18 Salisbury Capital (香港) CEO)、中央下:高久 昌則 (18 Salisbury Capital (日本) 取締役)、画面の右:濵﨑 照文(18 Salisbury Capital (日本) 代表取締役)

2.金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィスを利用した、英語での業登録のプロセスの印象についてお聞かせ下さい。

FMEOを通じた英語での申請手続きを通して、非常に有意義な経験ができました。当社のチームメンバーの半数が日本語を話さないことを考慮して、我々は当初、金融庁・財務局からの質問に対応するために相当時間を要すると覚悟していました。実際にはFMEOを通じた英語での業登録プロセスは、コミュニケーション全体がとてもクリアでした。結果として、金融庁・財務局からのビジネス上の論点やインフラに関する様々な質問に対して、スムーズに回答をすることができました。

3.金融庁がトライコー・ジャパンへの業務委託を通じて実施している「金融創業支援ネットワーク(モデル事業)」のサポートを利用した感想を聞かせて下さい。

このモデル事業には大変感銘を受けました。他国でも類を見ない優れたプログラムだと思います。他の実績のあるグローバルな資産運用会社と競争するためにも、このようなプログラムは立ち上げたばかりの当社のような会社に対して大きなメリットを感じました。実際にこのプログラムは公平な競争環境を実現し、18 Salisburyのような真のスタートアップ企業が、弁護士費用やその他の設立費用の制約を最小限に抑えたうえで、投資助言・代理業のライセンスを取得し、日本に事務所を開設することを可能にするものであると確信しています。

4.18 Salisburyジャパンの将来のビジョンを教えてください。

この投資助言・代理業のライセンスは、当社が日本における調査や案件発掘能力を強化するための重要なステップとなります。 アジア全体では、現時点で日本市場が最も魅力的な投資機会を提供していると考えており、当社の日本拠点も日本国内において積極的に人材を採用していきたいと考えております。日本の金融プロフェッショナルの人材プールを拡大するためにも、大学やビジネススクールから直接人材を採用するだけでなく、非金融業界からも人材を採用したいと考えています。海外の企業、特に資産運用業界は、歴史的に経験豊富な金融専門家のみを採用する傾向があります。私たちは、長期的には、採用時点での金融に関する知識よりも、現地の言語で文化を理解していることの方がはるかに重要であると考えています。私たちは最近、香港でMBAを取得し、以前は日本の化学系の会社で働いていた若い情熱的な日本人を採用しました。また、長期的に金融産業を育成するために、学生を含む一般の人々への金融教育にも力を入れており、日本でも良いパートナーと組むことができれば、金融教育にも積極的に取り組んでいく予定です。

18 Salisburyは現在、香港大学のMBAプログラムと提携しており、そこでは金融業界に関心のあるMBA学生が金融の現場を体験することを支援しています。現在は2名の学部生インターンがおります。日本の大学とも喜んで連携させていただきたいと思っています。

将来的に私たちは「日本を良い方向に変える」という信念のために、投資運用業、さらには第一種業、第二種業のライセンスまで拡大していくことも検討しています。日本の個人は、依然として証券やファンドへの投資が非常に少ないと私たちは考えています。また企業と投資家とのエンゲージメントの機運もまだ高まり始めたばかりであると考えております。18 Salisburyは、企業・個人両方にソリューションを提供できると考えております。

日本に進出する他の大手金融機関の子会社・支店とは異なり、当社はアジアを中心とした企業であり、現在のチームメンバーの半数は日本人です。この投資助言・代理業ライセンスの取得は、当社のアジアにおける事業拡大計画全体の第一歩に過ぎません。我々は常に日本を含むアジア全体の金融市場を発展させることに情熱を持っており、また、アジアの金融市場に確固とした基盤を築いたのちには、グローバル展開も視野にいれております。

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社名18 Salisburyの由来

当社の設立チームメンバー(高久、スティーブン、濵﨑)は、香港のSalisbury通りの18番地で初めて会いました。その場所が我々の出発地点であり、初心を常に忘れないことが重要であると考え、この社名を付けました。

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濵﨑 照文
18 Salisbury Capital Japan株式会社
代表取締役

1999年に三菱重工業へ入社し、企画経理部門にて大型エンジンの原価計算、研究開発の予算管理業務に従事。
2006年にJPモルガン証券(東京)へ転職し、エクィティデリバティブ部、プライム・ブローカレッジ部にて株式トレーディング業務、海外ヘッジファンドのクライアント・リレーション業務に従事。
2014年に、当時進められていたエクイティ部門の強化及びアジア・ビジネスの拡大を目指していた、みずほ証券へ入社。2017年には、同社の香港オフィスへ異動、2021年まで上場エクイティからプライベート・キャピタル・ビジネスまで幅広い業務に従事。
2021年8月に18 Salisbury Capital Limited (香港)へ入社し、18 Salisbury Capital Japan 株式会社の設立の為、2022年11月に帰国。
信州大学経済学部卒。