日本への参入業者リスト

EG Japan株式会社 インタビュー(2023年9月)

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大都 保幸 さま EG Japan株式会社
代表取締役

聞き手:金融庁 2023年6月

会社概要
会社名:EG Japan株式会社
設立:2022年7月14日
主要業務: 金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者: 関東財務局長(金商) 第3380号
ホームページ:https://eg.com.au/

EG Japan株式会社のロゴ。「EG」と記載されている。

1. このたびは投資助言・代理業ライセンスの取得、おめでとうございます。あらためて貴社の事業内容について教えてください。

EGジャパン株式会社(以下、「EGジャパン」)は、EG Funds Management Pty Limited(以下、「EGオーストラリア」)を唯一の株主とするEG Japan Holdings Pty Limited(以下、「EGホールディングス」)の100%子会社です。EGジャパンは日本市場における不動産を裏付けとした有価証券投資運用に関する投資助言業務を行うために設立されました。

2000年に設立されたEGオーストラリアは、機関投資家の資金や富裕層顧客に代わり51億豪ドル(2023年6月現在、約5,000億円)の不動産を運用し、卓越したリターンを生み出している不動産ファンド・マネージャーです。同社は不動産リスク、価格を検証し、また、リターンを極大化しつつ、投資元本を確保する不動産のリスク管理のため、不動産テクノロジー(プロップテック)を活用しています。

EGXは、もう一つのEGオーストラリアが保有する100%子会社です。この不動産テクノロジー・イノベーション・インキュベーターは、不動産業界を変革し、世界的に存在感を高める可能性を秘めた成長企業に投資しています。

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左:ロジャー・パーカー(EG ジャパン取締役、EGオーストラリア 共同マネージング・ディレクター)、右:アダム・ゲーハ(EGオーストラリア CEO/共同創業者)

2. 金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィスを利用した、英語での業登録のプロセスの印象についてお聞かせ下さい。

EG オーストラリアが日本への参入を決定した際、どのライセンスが必要となるのかは正直よく分かりませんでした。どの国にも独自の法律、制度、ビジネスのやり方があることは理解しています。拠点開設サポートオフィスを通じた英語での業登録手続きがあることについては、日本代表として私たちのチームに加わった大都代表がアドバイスしてくれました。日本の法律事務所を通じて日本語での業登録をすることもできたとは思いますが、FMEOを通じて英語のコメントを自分たちでも直接確認し、プロセスを理解しながら進められたことの方がはるかに良かったと感じています。

これは、EG オーストラリアにとって日本市場への参入をシームレスにしてくれた、ユニークな取り組みだと感じました。FMEOは日本での免許登録プロセスに精通していない海外の企業のために創設されたと聞いています。これは国境を越えて日本に進出しようとする外国企業を歓迎し、進出を後押しするために日本政府が多大な努力を払ってきたことを反映していると思います。

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3. 金融庁がトライコー・ジャパンへの業務委託を通じて実施している「金融創業支援ネットワーク(モデル事業)」のサポートを利用した感想を聞かせて下さい。

このプログラムは、私たちが日本で新しいビジネスを始めるためのコストを支援してくれた素晴しいプログラムです。このプログラムによって登録に関連する費用の多くが払い戻されるため、企業にとっては費用負担が少なくて済みます。これは、外国の資産運用会社が日本国内で新たに成功するための機会を確保することに政府が積極的であることを示していると感じます。

日本の金融市場での経験が豊富な大都氏を日本代表として採用したことで、私たちは言語に関するサポートはあまり必要ではありませんでした。しかし、日本に新規参入するにあたり困難に直面する時などにトライコー・ジャパンがサポート役としていてくれることは、外国企業にとって大きな利点となることは間違い無いと思います。

4. EG Japanの将来のビジョンを教えてください。

私たちのビジョンはEGジャパンのチームの増強であり、登録という重要なマイルストーンは、日本市場に対する私たちのコミットメントを示しています。当社の職員は今までも仕事で日本と関わった経験がありますが、日本拠点での助言業登録完了により、当社は日本市場にさらに深く浸透し、将来、ビジネスにおいて優れた成果を上げることができると確信しています。このチームで、日本でのビジネスを強化するため、当社がもつ様々な知見のうえに立った独自の成長戦略を模索し、それを着実に実行していきます。

当社独自の理念であるB.I.G (Build In Good) の考え方は、優れたリターンを生み出すだけでなく、違う意味での持続的なプラスの効果を残すことを目的としています。EGオーストラリアのビジネス・アプローチは、不動産市場における二酸化炭素排出量を削減するために採用された革新的な取組みとテクノロジーがベースとなっています。既存の建物の環境性能を向上させ、将来に向けた新しいグリーンビルディングの実現を達成するための道筋はこれまでオーストラリアでは、成功裏に実行され実証されています。EGジャパンチームもこのB.I.Gと同じ考え方を、日本でのレガシーを創出するため、今後のビジネス活動に反映させたいと思っています。

コラム

EG オーストラリアのCEO兼共同創業者であるアダム・ゲーハ氏に、日本の強みについてお話いただきました。

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日本の文化は、お互いを尊重し、レガシーを残すことを目的としたビジネス関係の構築を純粋に反映していると思います。このような文化的な方向性の一致は、EG ジャパンにおいて、持続的なプラスの影響を生み出すためにこのBuild In Goodの考え方を用いて様々な企業へ働きかけを可能にしてくれると考えます。

日本のグリーン・テクノロジーへの関心の高まりも我々に大きなアドバンテージがあると感じます。よりクリーンな国づくりをサポートするインフラを構築するための投資が行われてきていることから、このことは明らかです。日本がグリーンな国づくりを進める中で、EG ジャパンがオーストラリアの知見を活かしつつ、また、我々もあらたな知見を得ながらアドバイスをすることができることを希望しています。

日本拠点に配属される従業員は、とても平和でクリーンな環境で働くことができるはずです。様々な観光やレジャー、食事の豊かさと相まって、私たちは、職員が日本にいる間、活動的かつ安全に仕事ができることを確信しています。

私たちは、文化、ライフスタイル、働く上での倫理感の組み合わせが、日本でビジネスを行うための強力な推進力となることを信じています。EG ジャパンのチームは、今の勢いを保ちながら当社のプレゼンスを高めることを楽しみにしています。

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大都 保幸
EG Japan株式会社
代表取締役

38年間、三菱UFJフィナンシャルグループに勤務。1987年から1995年までニューヨーク勤務、キャピタルマーケッツ業務、LBOなどの融資業務を経験したのちニューヨークのM&Aブティックへ出向しクロスボーダーM&A業務に従事。2007年から2010年まで香港の証券現地法人のCEOとして香港に滞在し、アジアのエクイティ・フィックスインカム業務を統括。投資銀行業務全般に深い知見を有する。特に、不動産を含む証券化では日本におけるマーケットの草分け的存在。デリバティブ、キャピタルマーケッツ業務、M&A、ファンド業務など幅広い分野の業務に精通。2016年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングの副社長を務め、2018年に不動産アセットマネジメント会社であるリオ・アセットマネジメントの副社長を経て、2022年にEG ジャパンの代表取締役に就任。