日本への参入業者リスト

サンフォード・C・バーンスタイン株式会社 インタビュー(2023年12月)

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マイケル・W・パーカー さま サンフォード・C・バーンスタイン株式会社
代表取締役

聞き手:金融庁(2023年9月)

会社概要
会社名:サンフォード・C・バーンスタイン株式会社
設立:2022年6月14日
主要業務:金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3387号
ウェブサイト:https://www.bernsteinresearch.com

サンフォード・C・バーンスタイン株式会社のロゴ。「A/B BERNSTEIN」と記載されている。

1. このたびは投資助言・代理業ライセンスの取得、おめでとうございます。あらためて貴社の事業内容について教えてください。

サンフォード・C・バーンスタイン株式会社(以下、「SCBJ」)は、バーンスタイン・リサーチの一員であり、顧客に調査レポートおよび投資アドバイスを提供するビジネスを行います。バーンスタイン・リサーチは、アライアンス・バーンスタイン・グループのブローカー・ディーラー部門で、世界最大の独立系株式調査会社です。バーンスタイン・リサーチは、テクノロジー、ヘルスケア、産業技術、消費財の各セクターにおける構造変化に対応するため、米国、欧州、アジアのアナリストがグローバルに連携して行う調査を顧客に提供することを特徴としています。バーンスタイン・リサーチは、これらのセクターにおける多くの日本企業の重要性を考慮すると、これらの企業への投資機会を調査するために東京に拠点を持つことが必要だと考えました。

SCBJはアライアンス・バーンスタイン・グループ傘下の完全子会社として設立されました。バーンスタイン・リサーチには、米国(Sanford C. Bernstein & Co., LLC)、英国(Bernstein Autonomous LLP)、香港(Sanford C. Bernstein (Hong Kong) Limited)、インド(Sanford C. Bernstein (India) Private Limited)、シンガポール(Sanford C. Bernstein (Singapore) Private Limited)が含まれ、これらはそれぞれの管轄区域においてブローカーディーラーおよび/または投資アドバイザーとしてのライセンスを取得しています。SCBJは、主として海外のバーンスタイン・リサーチの関連会社や日本国内の適格機関投資家に対して、質の高い投資アドバイスを提供するとともに、投資顧問契約の媒介を行います。

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2. 金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィス(FMEO)を利用した、英語での業登録のプロセスの印象についてお聞かせ下さい。

投資助言・代理業の登録については、既に日本でライセンスを取得している同業他社等からの情報で認識していました。その後複数の法律事務所に相談をして、この登録が、私たちが日本で行うビジネスに適していると判断しました。

SCBJは日本の金融市場への新規参入者であったため、英語で申請手続きを行うことができて、とても感謝しています。特にFMEOとの最初のオンライン会議は、業登録を進める際に従うべき手続を理解する上で非常に有用でした。FMEOに英語でプレゼンテーションを行い、本業登録の要件や我々への期待を理解することができたことは、登録審査に進む上で非常に役立ちました。また、これらの会議を通じて、公表された登録手続ガイドブック等に対する我々の理解度を確認し、規制当局の期待をよりよく理解することができました。

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左から、北條 昌悦(取締役、ヘッド・オブ・コンプライアンス)、マイケル・W・パーカー(代表取締役)

3. サンフォード・C・バーンスタインの将来のビジョンを教えてください。

Sanford C.Bernstein(香港)は現在、日本企業の株式について限定的な数の銘柄しかカバーできていません。日本に拠点を置くことで、日本のマーケットや企業に対する理解がより深く質の高いものとなることと信じています。そしてSCBJは、今後日本の全セクターをカバーし、グローバルなコントロバシーに対して日本ならではの視点を提供する役割を担うことを目指しています。

私はロンドンに拠点を置いていますが、東京のチームとは定期的に連絡を取り合っています。また、数か月に一度は来日してお客様と面談し、またSCBJの採用活動を続けています。SCBJのビジネスプランでは、今後数年間で5-6名のシニア・リサーチ・アナリストを雇用し、最終的には15-20名のリサーチ体制を構築して、ヘルスケア、消費財、半導体、産業技術、およびインターネット/メディアの各セクターをカバーしたいと考えています。私たちがSCBJのチームに新たに迎え入れたい人材は、私たちがカバーするセクター内での深い理解、経験、ネットワークを持つ業界のベテランまたはコンサルタントである可能性が高いと考えています。

日本企業のリサーチ体制を拡張し、バーンスタイン・リサーチのグローバルなリサーチ体制と融合し、相乗効果をもたらすことができることを嬉しく思います。

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マイケル・W・パーカー
サンフォード・C・バーンスタイン株式会社
代表取締役

バーンスタインのAPAC(アジア太平洋)およびEMEA (欧州、中東、アフリカ)地域のリサーチの責任者(拠点:ロンドン)。2018年から2022年までは、バーンスタイン(香港)のアジアリサーチのディレクター、2014年から2018年までは同社のアジアストラテジストを務めた。2009年にバーンスタイン(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社し、アジアの石炭、電力、再生可能エネルギー分野を担当した後、2010年にアジア事業の立ち上げに伴いバーンスタイン(香港)に異動した。それ以前は、ニューヨークの再生可能エネルギー企業First Solar、およびニュージーランドとサンフランシスコのPricewaterhouseCoopersに勤務していた。ニューヨーク大学でMBAを、オタゴ大学(ニュージーランド)で法律の学位と商学の学士号を取得。ニュージーランド高等裁判所の法廷弁護士兼事務弁護士である。

コラム

SCBJの取締役/シニア・リサーチ・アナリストとして活躍される曽木氏に、金融出身では無く、(リサーチ先の)業界出身の専門家がリサーチ・アナリストとして働くことについてのご意見を聞きました。

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私は金融業界で働いたことがなかったため、金融に関する経験や知識があまりなく、投資家の方たちにとって価値のある株式リサーチを提供できるかどうか、当初は不安がありました。しかし、投資家の皆様とのやり取りを通じて、株式アナリストは、すべてをカバーするのではなく、1つか2つの分野で強みを発揮することが大事なのだと理解しました。私の場合、それは製薬業界について深く精通した知識を持っているということでした。私は製薬業界に在籍していた頃、医薬品株式に投資していたことから、臨床試験データの発表などのニュースに連動して製薬企業の株価が変動することをよく知っていました。またマッキンゼー・アンド・カンパニーでの経営コンサルタントとしての業務を通じて身につけたスキルが、投資家の方々にどういったストーリーでインサイトを伝えていくか、どんな分析をしたらいいか、またどのようなレポートでコミュニケートしたらいいかという点で非常に役立っています。担当する業界の深い経験を持つアナリストが堅実な財務分析能力を持つアソシエートとともに仕事をするというバーンスタインの業務スタイルが、私の知識・経験のギャップを埋めてくれたことは言うまでもありません。

バーンスタインが同業他社と大きく異なる点は、まさに業界の専門家がリサーチ・アナリストとして所属している点にあります。バーンスタインのアナリストの価値は、実際の業界経験に基づいた業界/企業の洞察を投資家の皆様に提供することにあると私たちは信じています。私がカバーするバイオ医薬品セクターに対する投資家の皆様の深い理解には、感銘を受けることがよくあります。彼ら/彼女らの勤勉さは称賛に値すると思います。しかし、高度な知識を持つ投資家の皆様であっても、企業が何を決定し実行するか、あるいは企業が知っていることと知らないこと(ビジネスにおける不確実性のレベル)について、非現実的な見方をされていることがよくあります。私は業界の専門家として、投資家の方たちがこれらの点を明確にできるようお手伝いをしています。

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曽木 美希
サンフォード・C・バーンスタイン株式会社
取締役/シニア・リサーチ・アナリスト

東京を拠点とする日本の製薬セクターをカバーするシニア・リサーチ・アナリスト。バーンスタインに2022年に入社し、同セクターの調査を2023年に開始。バーンスタインに入社する前は、15年間製薬セクター関連の業務に従事。うち10年間は米国、日本において外資製薬会社に勤務。うち5年間はマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとして日本および外資の製薬会社の多岐にわたるトピックのプロジェクトに従事。学歴等も製薬業界に深く関連している。ハーバード大学で有機化学の分野で博士取得、東京大学理学部学士、また博士研究員としてメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(MSKCC。米国。)従事。