電子マネー及び電子決済に関する懇談会
報 告 書
平成９年５月２３日
はじめに
近年、発展する情報通信技術を資金決済サービスの分野にも取り入れ、企業や消費者に対
してより効率的な決済の方法を提供しようという動きが急速に進展している。具体的には、
電子マネーやインターネットを通じた決済などの新たなサービスが開発され、実用化に向け
た実験も行われるようになってきている。
こうした新たな決済サービスは、プリペイドカードやテレフォン・バンキング等の従来か
らある決済サービスの電子化の延長線上でとらえられる部分もある一方、既存の制度の枠組
みの中では必ずしも適切に対応できない様々な問題も提起している。そうした問題も含め、
今後発展が予想される電子マネーや電子決済を巡る諸課題についての検討を行い、それらが
我が国において円滑かつ適切に発展していくような環境の整備を図ることは、現在検討が進
められている２１世紀に向けた我が国の金融システムの改革の一環として取り組むべき重要
な課題である。
本懇談会は、こうした状況を踏まえ、昨年７月、金融制度調査会及び外国為替等審議会の
共同の勉強会として、有識者を集めて組織された。その後、約１年間で合計１３回の会合を
開催し、電子マネー及び電子決済やこれに関連した諸課題について、幅広い観点から検討を
行ってきた。検討に当たっては、電子マネー及び電子決済が今まさに開発の途上にあること
も踏まえ、我が国においてこれが適切に発展するためには、如何なることが必要かとの観点
を特に重視した。
電子マネーや電子決済は、金融業務や経済活動にも様々な影響を及ぼしうるものであり、
１年間の検討で課題の全てを網羅することは元より困難である。また、電子マネーや電子決
済が、情報通信技術の進展を受けて、今後も進化していくことが見込まれることも考えれば、
これに関する検討を継続していく必要があることは言うまでもない。しかしながら、本懇談
会としては、現時点での論点を整理し、一応の検討の結果を明らかにすることが、我が国に
おける電子マネーや電子決済の円滑な発展に資するものと考え、ここに報告をとりまとめる
こととしたものである。この報告が、電子マネーや電子決済に関する多方面での議論の促進
に貢献し、我が国における電子マネー・電子決済の発展やこれに向けた環境整備の取組みの
一助となることを期待している。
目 次
第１章 情報通信技術の進展と金融サービスの電子化
第２章 電子マネー・電子決済の現状
１．諸外国での動き
２．我が国における取組み
３．電子マネー・電子決済の類型
第３章 電子マネー・電子決済に関する検討の視点
第４章 電子マネー・電子決済を支える技術
１．電子決済の安全対策
２．電子マネーの偽造防止
３．技術水準の確保
４．不正行為の防止
第５章 電子マネー・電子決済に係る取引ルール
１．電子マネー・電子決済に係る取引ルールと消費者保護
２．電子マネー・電子決済に係る法的環境の整備
３．電子マネーの発行体の破綻への対応
第６章 電子マネー・電子決済の担い手
１．電子マネー・電子決済の新たな担い手
２．電子決済に係る認証機関
３．電子マネーの発行体
第７章 電子マネー・電子決済と金融政策等
１．電子マネー・電子決済の金融政策への影響
２．電子マネー・電子決済の国境を越えた利用
第８章 電子マネー・電子決済と社会経済秩序の維持
１．電子マネーの不正使用の防止
２．電子マネーと通貨秩序
終わりに──環境整備に向けた提言
○ 電子マネー及び電子決済に関する懇談会報告書委員名簿
○ 電子マネー及び電子決済に関する懇談会報告書の概要
「電子マネー及び電子決済に関する懇談会」報告書に関しての御意見募集
平成９年５月２３日、「電子マネー及び電子決済に関する懇談会」の第１３回会合が開催され、報告
書が取りまとめられました。この報告書に対する御意見がございましたら、電子メール等で下記までお
寄せください（電話による御意見は御遠慮ください）。
大蔵省銀行局総務課金融市場室 担当 小山・渡辺
電子メール fmo04ban@mof.go.jp FAX 03-5251-2133
〒100 東京都千代田区霞が関３－１－１