【海外最新金融事情】
 

新BIS規制案の公表と今後の課題

 

金融庁総務企画局国際課企画官
白川俊介

 日米欧の中央銀行及び銀行監督当局の代表者で構成されるバーゼル銀行監督委員会(以下、「バーゼル委」)は、6月26日、国際的に活動する銀行の自己資本比率の計算方法についての6年間に及ぶ見直し作業に区切りをつけ、新BIS規制の最終案を公表しました。今後、各国当局は、これに基づき国内規制の整備に入り、2006年末からの実施に備えることになります。本稿では、昨年4月に公表された第3次市中協議案からの変更点を中心に、新BIS規制案の検討の経緯と概要を解説するとともに、バーゼル委及び我が国にとっての今後の課題にも触れたいと思います。


.バーゼル委における検討の経緯

 近年における銀行業務やリスク管理技術の高度化に対応するため、バーゼル委は1998年以来BIS規制の見直しに取り組んできました。バーゼル委は、一部修正案を含めて市中協議案を4回出し、その都度パブリックコメントを踏まえて規制案の改善を図り、今般、ようやく最終的な形で新BIS規制案を公表するに至りました。
 その間、我が国はバーゼル委での検討作業に積極的に参加し、我が国の実情にも沿った合理的で現実的な見直し案となるよう力を尽くしました。例えば、中小企業や個人向け融資の取扱いについては、日本の当局と民間からの参加者が協力して、借り手1社1社の信用力だけでなく、貸出し先が小口に分かれていることによるリスク分散効果にも注目すべき旨早くから主張してきました。特に、2001年7月に開かれたバーゼル委と世界の中小金融機関の協議の場では、日本の信用金庫業界の代表がバーゼル委議長の前で堂々の論陣を張り、議論の行方に大きな影響を与えました。こうした努力の結果、新規制案では、標準的手法において中小企業及び個人向け与信のリスクウェイトが100%から75%に引き下げられるなど、負担の軽減が図られました(図1)。また、我が国は、不良債権処理にインセンティブを付与するため引当金と所要自己資本額の関係を整理したり(図2)、格付会社への過度の依存を避けるため格付会社の利用を選択制にするよう主張するなど、様々な面で貢献しました。


.新BIS規制案の狙い

 1988年に合意された現行のBIS規制は、基本的に世界共通のリスクウェイトを掛けた資産額との関係で最低所要自己資本を規定するという簡潔な方法で、比較可能性の高い枠組みを提供してきました。しかしながら、世界の銀行実務やリスク管理技術の進展に伴い、規制の簡潔さに起因する弊害も目立つようになりました。すなわち、金融工学の発展を背景に、銀行の信用リスク管理技術が飛躍的な進歩を遂げた結果、銀行の内部管理と現行BIS規制の間の乖離が大きくなってきたのです。また、銀行の抱える信用リスク以外のリスクが次第に顕在化するようになり、特に、IT化の進展等を背景に、事故や職員の不正行為により銀行に損失が生じるリスク(オペレーショナル・リスク)への対応が求められるようになりました。
 そこで、バーゼル委は、新BIS規制案の3つの柱の中の第1の柱として、銀行の内部管理手法も活用しつつ、信用リスクの計算方法を精緻化するとともに、新たなリスクアセットの構成要素としてオペレーショナル・リスクを追加しました。この第1の柱においては、銀行の業務内容やリスク管理のレベルに応じ、リスクの計算方法に3段階の選択肢が与えられています。したがって、銀行は、自らの状況に応じ、段階を踏んでより高度な手法に移行することも可能です。なお、所要自己資本の水準については、いずれの選択肢をとっても、全世界ベースで平均すると現行規制と概ね同じ水準になるよう設計されています。
 また、新規制案には、最低所要自己資本規制であるこの第1の柱を補うものとして、第2、第3の柱も盛り込まれています。第2の柱では、銀行が自らのリスクを評価し自己資本戦略を策定するよう求めており、そこでは、金利リスクなど第一の柱では対象とされていないリスク等へも備えるべきことが定められています。当局は、これに対し、銀行の自己評価を検査・監督を通じ検証のうえ、必要があれば適切な監督上の措置を講じることとされています。さらに、第3の柱では、ディスクロージャーを通じ市場規律が働くことを期待し、自己資本の構成やリスク計測の方法等について、これまでより詳しい情報の開示を求めています。このように、新規制案は、これまでの画一的な自己資本比率規制の弊害を緩和しつつ、銀行自身の内部管理、市場規律、及び当局による監督・規制の調和を図ることにより、リスク管理の高度化を促進する枠組みであると言えます。


.第3次市中協議案(2003年4月)からの主な変更点

 これまで述べてきた新BIS規制案の骨格については、既に2003年4月に公表された第3次市中協議案に盛り込まれ、パブリックコメントにおいても概ね支持を得たところですが、その一方、規制案の複雑性や銀行実務との整合性に関しては、一部に懸念を示す意見も見られました。そこで、バーゼル委は、2003年10月の会合でこのような意見を踏まえた修正の方向性を示した上で検討を続け、今般合意に至ったところであります。そこで、以下において、第3次市中協議案後の変更点を概説します。
 

(1)

 内部格付手法における予想損失額(EL)と予想を超える損失額(UL)の取扱い
 信用リスクの計測手法の1つである内部格付手法については、第3次市中協議案に対するコメントにおいて、リスクアセットの計算方法を銀行における内部管理の実務に合わせて変更すべきとの意見が多く見られました。バーゼル委は、これを受け、内部格付手法のリスクアセット(分母)を第3次市中協議案のEL(予想損失額)プラスUL(予想を超える損失額)ベースからULのみのベースに変更することとしたため、引当金の取扱いを含め自己資本比率の計算式に修正を加える必要が生じました。この修正の概要については、既に本誌第12号で紹介しましたので、ここでは修正後の計算式のみを示すこととします(図3)。ただし、その後の議論で、ELを上回る引当金のティア2への算入上限については、パブリック・コメントを踏まえティア2をベースとすることは避け、信用リスクアセットの0.6%に変更しています。

(2)

 所要自己資本の水準調整
 バーゼル委員会は、BIS規制の見直しに当たり、前述のとおり、グローバルに見た平均的な所要自己資本の水準を重くも軽くもしないという目標を掲げ、第3次市中協議案においては当該目標に沿った提案を行ったところです。しかるにその後、上記(1)のEL/ULの取扱いの変更の際、分子への貸倒引当金の算入余地を拡げたことなどから、内部格付手法においては所要自己資本の水準低下(すなわち、平均的な自己資本比率の上昇)が生じることになりました。このため、内部格付手法の計算式では、分母の信用リスクアセットに掛け目(スケーリング・ファクター)を乗じることにより、所要自己資本の水準調整を行うことになりました。EL/ULの取扱いの変更を踏まえ、第3次定量的影響度調査(2002年後半実施)のデータを使って算出した現時点において最も蓋然性の高いスケーリング・ファクターの推計値は1.06でありますが、最終的な数値は、新規制実施前の予備計算の結果に基づき決定されます。なお、欧米の一部の国は、予備計算に先立ち、定量的影響度調査も実施する予定です。

(3)

 適用時期及び移行期間
 今回バーゼル委員会により公表されたBIS規制の新たな枠組みについては、基本的に2006年末から各国で適用可能となりますが、最も先進的な手法(信用リスクに係る先進的内部格付手法(AIRB)及びオペレーショナル・リスクに係る先進的計測手法(AMA))に限っては1年遅れの2007年末からの適用となります。これは、最も先進的な手法については、自己資本比率の計算が各銀行によるデフォルト確率(PD)やデフォルト時損失率(LGD)等の推計値に左右されるため、より慎重に新規制が所要自己資本に及ぼす影響について調査し、必要な場合は上記(2)のスケーリング・ファクターの調整等を行うことを可能とするためです。
 また、最も先進的な手法を選択する銀行に対する新BIS規制の適用開始時期が1年遅れとなることに伴い、競争条件の均衡を図る必要が生じました。内部格付手法の採用行は、新規制に基づく所要自己資本額について現行規制に基づく当該額をベースとした下限規制(フロアー)が課されますが、基礎的内部格付手法を初年度から採用する銀行については、当該下限規制を1年延長し、図4のとおり計3年間適用することになりました。


.BIS規制についての今後の展望

 上記2.で述べたように、新BIS規制案の主たる内容は、銀行の内部管理手法も活用しつつ自己資本比率規制におけるリスクアセット(分母)の計算をより精緻化することですが、このような枠組みは、おのずから銀行の内部管理技術の進展や市場の変化に合わせた不断の見直しを求めることになります。このため、バーゼル委員会としても、リスク管理のあり方等について引き続き業界との対話を続け、必要があれば規制案を修正する用意があるという柔軟な立場を明らかにしています。
 また、新BIS規制後の中長期的な課題としては、今回見送られた自己資本の定義(分子)の見直しがあります。1998年10月、バーゼル委員会は、コールオプション付きステップアップ金利条項のある優先証券などの先進的な資本調達手段のティア1算入を一定の制限の下で容認することにつき合意しましたが、その後の新型資本調達手段の進展への対応を求める声があります。また、例えば、繰延税金資産など無形財産については、自己資本の構成要素に含まれていても銀行が破綻した際に損失を吸収する能力がないため、バランスシートに計上されている額を100%ティア1に算入すべきか議論が分かれるところであります。我が国では、これらの論点の一部について既に金融審議会等で真剣に議論してきたところですが、バーゼル委としても、新BIS規制後の重要な課題と位置づけています。しかしながら、バーゼル委は、当面、新BIS規制の円滑な実施を優先させる観点から、自己資本の定義の見直しについて新規制の実施前に提案を出す意図は有していない旨表明しています。


.新BIS規制実施に向けた官・民の課題

 バーゼル委による最終案公表を受け、今後金融庁としては、各国裁量に委ねられた事項の取扱いを決定し、新規制実施のための銀行法に基づく告示等を改正する必要があります。また、これに関連する事務ガイドラインや検査マニュアルの改訂も予定されています。一方、金融機関側でも、新BIS規制への対応を本格化する必要があります。最終案は、昨年4月に公表された第3次市中協議案をベースにしているため、金融機関等がデータベースやリスク管理システムに係る準備作業を既に開始している場合でも、特に大きな変更は要しないはずであり、最終案を踏まえ、さらに作業を進めていただくよう期待しています。
 最後に、新BIS規制の成否は官民双方の運用次第という話で締め括りたいと思います。新BIS規制は、突き詰めれば、当局管理型の監督から自己管理と市場規律を中心とした監督への移行を促す枠組みです。すなわち、新規制においては、リスク管理の方法を当局が指定するのではなく、銀行が各々の経営方針に応じ決定した上で自ら実施し、当局及び市場がチェック機能を果たすことが期待されます。このため、自己資本比率の計算方法には、各金融機関の特性やリスク管理の状況に合わせて選択肢が用意されているだけではなく、金融機関による自己資本戦略の策定と当局による検証(第2の柱)やきめ細かい情報開示(第3の柱)が求められています。したがって、この枠組みの下では、ルールの字句どおりの遵守よりも、規制目的についての関係者による正しい理解の共有が重要になると思われます。金融機関にとっては、単なる規制対応ではなく、経営方針の策定と密接に関連した真に統合的なリスク管理体制を構築することが重要であり、当局としては、その有効性を正しく評価する目を持つことが不可欠です。新BIS規制の国内への導入が「仏作って魂を入れず」ということにならないよう、肝に銘じたいと思います。

(文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解です)

図1〜図4については、こちらをご覧ください。(PDF:33K)

【金融フロンティア】
 

金融研究研修センターディスカッション・ペーパーのご紹介


 金融研究研修センターでは、平成14年度より研究スタッフの研究成果をディスカッション・ペーパーの形で、その全文を当センターホームページに掲載するとともに、冊子にして全国の大学図書館等に配布してきました。
 つきましては、これまで発行してきたディスカッション・ペーパー(No.1〜15)の要旨等を以下のとおりご紹介させて頂きますので、ご興味のある方は是非当センターホームページをご覧下さい。
 なお、ディスカッション・ペーパーに書かれている内容は、各執筆者の個人的な見解であり、金融庁の公式見解ではありません。

 ※各執筆者の肩書きは、ディスカッション・ペーパー発行時のものです。

No.15 2004年4月6日
財務指標の時間依存を考慮した信用リスク評価モデル−デフォルト予測への応用』
 
安道 知寛  九州大学大学院数理学府
山下 智志  統計数理研究所助教授、CRD運営協議会顧問、
(金融研究研修センター特別研究員)

 企業の財務指標などの情報から企業のデフォルトリスクを計測する財務アプローチについては、1960年代から数多くの研究がなされてきました。その長い歴史の中で、多くの研究者が財務指標の時間依存を考慮すべきであると主張し、直近の時点で観測された財務指標のみならず、その変化率・時系列推移を表現する代替変数を併用することで予測精度の向上を試みてきました。しかし、経時情報の抽出方法やそれらをデフォルト予測へとリンクさせるモデルが未発達であったため、この重要な問題を根本的に解決するには至りませんでした。
 本稿では、関数データ解析の枠組みを利用し、財務指標の推移の代替変数等ではなく“財務指標の推移”そのものを説明変数とした新しい統計モデルを構成し、高精度なデフォルトリスク計測手法を提案する。実際のデータ解析を通じ、提案手法の予測精度は従来手法を優越し、その有効性が確認されました。

No.14 2004年3月19日
米国の地域コミュニティ金融−円滑化策とそれが機能するための諸条件−』
 
松田 岳  金融研究研修センター専門研究員

 本稿では、米国における地域コミュニティ金融の「円滑化策」を金融監督政策に限定せず、コミュニティの金融ニーズが満たされるべく行政府が行った施策を広く「円滑化策」と捉え、整理しています。その際、「円滑化策」の内容そのものよりもむしろ、当該政策がそれぞれの時期に必要とされた時代背景や社会的ニーズ、それら政策が定着した社会的・経済的条件が歴史的に準備される様に重点を置いて考察しています。考察を通じて明らかになった政策的含意としては、我が国においても「税財政などによるインセンティブ措置が必要ではありますが、それが効果的に機能するためには円滑化で「核」となる主体の育成もあわせて必要であること」、「金融監督政策においては多角的な視点から金融機関をチェックする必要があること」、が指摘できます。

No.13 2004年3月17日
倒産処理法制改革のインパクト−再建着手の早期化促進の効果を、イベント・スタディによって検証−』
 
広瀬 純夫  金融研究研修センター研究官
秋吉 史夫  金融研究研修センター専門研究員

 2000年4月の民事再生法施行、昨年4月には改正会社更生法施行と、企業倒産・再建に関する法制度に大きな変革が施されました。長期にわたる日本経済停滞の打開策の一つとして、企業再生促進が喫緊の課題であるとの問題意識が、その背景にあります。本稿では、一連の制度改革が再建促進に貢献したのか否か、実証分析による検証を試みました。分析結果によれば、民再法施行以前に法的手続き申立を行った企業の場合、業績の落込みがあったタイミングから法的手続きに入るまで、平均的にみて5年程度の期間を要したのに対し、民再法施行以降に法的手続き申立を行った企業では、業績の落込みがあった翌年には、法的手続きに入る傾向があることが確認されました。さらに、2000年4月以降に私的整理による債権放棄を受けた企業と、法的手続きを利用した企業を比較すると、債権放棄があった企業の方が、法的手続き申立を行った企業に比べて直前の収益性は比較的高いとの結果が得られました。この点は、健全な体質へ回復するために抜本的な改革を要する企業の場合、法的手続きが積極的に活用されていることを物語っています。これらの分析結果から、一連の制度改革によって、早期の企業再建着手が促進された可能性が高いことが確認されました。

No.12 2003年12月9日
フランス・オランダの地域金融システム−欧州における「リレーションシップ・バンキング」の実態と日本への示唆−』
 
山村 延郎  金融研究研修センター研究官

 「リレーションシップ・バンキング」をめぐる論議は、リレーションシップ・バンキング(収益機会の拡大)、リレーションシップ・プライシング又はレンディング(リレーションシップ情報によるリスク管理)、金融機関が果たす「社会的」な役割(金融の円滑)の三つに整理できます。本稿は、フランス・オランダの地域金融システムを、メイン・システムを支える補完的な制度や背景にも配慮しつつ分析することによって、コミュニティ・リレーションシップ・バンキングがこれら三つの点についてどのようなものであるか、その実態を解明しました。
 その結果、わが国にとって重要と思われる以下の示唆を得られました。地域金融機関の再編の際には、リスク管理の集約とともに、経営組織の分権化が必要です。地域金融機関のガバナンスには地域住民や現場の職員が関与すること、地域金融機関が地域情勢にあわせた経営戦略を策定できるために、ユニバーサルバンク制度に近づけることが望ましいとされます。個人向けの住宅金融が重要となるため、長期資金調達の手段を利用することが必要です。貸出先としてもリスク審査援助者としてもNPO活動の活発化が重要な鍵となります。

No.11 2003年10月31日
信用リスクモデルの評価方法に関する考察と比較』
 
山下 智志  統計数理研究所助教授、CRD運営協議会顧問、
(金融研究研修センター特別研究員)
敦賀 智裕  金融研究研修センター専門研究員
川口  昇  新日鉄ソリューションズ株式会社

 本稿は、現在用いられている様々な信用リスクモデル評価方法を列挙し、その成り立ち、特色をまとめ、モデルと評価方法の対応関係を考察しました。これまでの信用リスクモデル評価方法に関する論文では、個々の評価方法について説明するだけであり、その評価方法が具体的にどのモデルに適用できるかを与える研究は少ないものとなっています。また、評価方法が体系的にまとめられていないため、どういった考え方でモデルを評価するか意識されず、予測が完全に当たるモデル、つまり、的中率が高いモデルがよいと判断することが多くなっていました。しかし、作成されるモデルは誤差を含むものであり、単純に予測的中率が高いモデルがいいモデルであると判断するのは危険であります。
 以上のことから、本稿では、個々の評価方法や評価指標について、その特徴をまとめ、各方法の短所・長所について個別に考察し、その後、モデルケースを想定し適用方法を考察しました。考察においては、モデル評価の考え方を明確にした上で、その評価方法が適用できるかどうか考えました。その結果、各評価方法に関してどのモデルに適用できるか、その対応関係を示す表を作成することができました。

No.10 2003年9月16日
金融コングロマリットと範囲の経済』
 
永田 貴洋  金融研究研修センター研究官
前多 康男  慶應義塾大学経済学部教授

 本稿では、金融コングロマリットの形成に関する範囲の経済についての考察を行いました。前半では、はじめに金融コングロマリットを正確に定義し、金融コングロマリット形成の現状と動機について整理を行いました。続いて金融コングロマリットにおける範囲の経済について、簡単な理論モデルのフレームワークを紹介しました。後半では、まず欧州の3つの金融コングロマリット(INGグループ、アリアンツグループ、クレディスイスグループ)について、1998年から2001年の子会社財務データを用い、範囲の経済の存在に関する分析を行いましたが、結論としては、規模の経済は観察されるものの、範囲の経済は観察されませんでした。続いてこの財務データを用い、コングロマリット形成のリスク分散効果の検出を行ったところ、簡単な分析ながら、リスク分散効果についてある程度検出されました。

No.9 2003年9月16日
金融コングロマリットと伝染効果』
 
永田 貴洋  金融研究研修センター研究官
前多 康男  慶應義塾大学経済学部教授

 本稿では、金融コングロマリット化にともなう、セーフティネットの漏出、ダブルギアリングなどの問題について理論的な考察を行いました。モデルにおいては、情報が対称であり、それゆえ市場規律が効果的に効いている状況が設定されています。その結果、セーフティネットの漏出、ダブルギアリングなどの問題はそのことが資源配分を歪めることにはなっていないことが分かりました。この結果を踏まえると、銀行のディスクロージャーを推進し、市場の価格付け機能を高めることによって、銀行に設けられているセーフティネットが他の部門に漏出することなどの伝染効果を防ぐことが可能となります。

No.8 2003年9月9日
信託の成立要件をめぐる一考察−最一小判平14・1・17を起点として−』
 
杉浦 宣彦  金融研究研修センター研究官
徐  煕錫  金融研究研修センター専門研究員

 平成14年1月17日、最高裁は、公共工事の請負者が保証事業会社の保証の下に地方公共団体から支払をうけた前払金(預金)について、地方公共団体と請負者との間でこれを信託財産とする信託契約が成立したことを認める初めての判断を下し、関係者の注目を大いに集め、信託に関する議論が活発化しました。本稿では、この判決やその後に続いた類似のケースの判例について、判例理論や関連する学説を踏まえつつ分析した上で、当該事案において信託の成立を認定したことの妥当性、信託の成立要件のあり方等について検討を行い、結論として、信託法第1条における要件((a)財産権の移転、(b)一定の目的に従い当該財産を処分または管理させる)、プラス(c)信託設定の意思の存在が信託成立の要件になるのではないかと主張します。日本の信託法制は、従来、主として商事信託や営業信託を念頭においたものとなっており、英米に比べ未成熟な民事信託法理の発展が課題であると言われてきましたが、信託法や信託業法改正の動きに伴うその法理の見直しの流れとともに、信託の活用可能性について、学界・実務界の関心が高まっています。本稿は、そうした関係者の関心にも応えようとするものであります。

No.7 2003年8月28日
電子マネーの将来とその法的基盤』
 
杉浦 宣彦  金融研究研修センター研究官
片岡 義広  弁護士(片岡総合法律事務所)

 現在、国内外において交通カード等で使われはじめたICカードが、交通だけでなく、コンビニエンス・ストアやその他の店で買い物ができるという多目的型への変化を見せています。このような動きのなかで、再び「電子マネー」という言葉が着目されるようになっています。
 本稿では、このような実態を受けて、電子マネー定着に向けての法的基盤整備がどのように行われるべきかを海外の事例を織り交ぜながら検討しました。まず、最初に電子マネーの法的性質について再考するため、通貨、金券、手形・小切手の定義との対比を行うとともに、電子マネーを取り巻く法制度(例:電子署名法、電子消費者契約法、出資法、銀行法、外為法等)を検討し、さらに、前払式証票規制法における前払式証票と電子マネーの共通点と違いについて、前払式証票概念の要件要素(有体物であること、有体物への金融情報の記録、情報移転と対価性、代価の弁済)やこれまでの電子マネーの法的性質論(金券説、債権譲渡構成、支払委託構成など)の視点から明らかにしています。
 では、今後の電子マネー発展のために必要な法的基盤整備にはどのような点に留意すべきでしょうか。それには、やはり(a)信認の確保、(b)前金の保全、(c)決済の安定性をどのように維持していくかが重要であり、そのためには、電子マネーの概念(対象範囲)をどのように位置付けるか等を検討しつつ、これまでカード型電子マネーを一部カバーしていた前払式証票規制法を改正し、現実の取引の進展と、周辺の法的基盤整備の進展にあわせた継続的見直しを行っていくことが現実的な選択ではないかと考えます。なお、その場合でも、責任と規制の明確化、前金保全措置の検討とその制度、電子マネー発行体の説明義務、不正行為対策、電子マネー譲渡の対抗要件具備の問題、さらには、電子マネーの強制執行等が今後の課題として残ることとなります。

No.6 2003年8月28日
韓国における電子金融法制−「韓国電子金融取引法(案)」と日本法制への示唆』
 
杉浦 宣彦  金融研究研修センター研究官
徐  煕錫  金融研究研修センター専門研究員

 韓国においては、ここ数年間、超高速情報通信インフラの普及に伴う新しい法的問題に対応すべく、電子取引基本法、電子署名法(以上1999年2月)、情報通信網利用促進および情報保護法(2001年1月)、電子商取引消費者保護法(2002年3月)などが整備されてきました。最近(2002.10)は、その流れの一環として、金融全般を対象とする横断的ルールとしての性格を有する「電子金融取引法(案)」が立法予告されています。本法律案は、その制定目的として、電子金融取引の法律関係の明確化、利用者の保護、電子金融業の健全な発展を図ることなどを掲げているが(1条)、とりわけ電子マネーにおける非金融機関に対する参入の許容、電子金融取引に利用される各種カード(クレジットカード・電子マネーカード・キャッシュカードなど)の偽造・変造および盗難・紛失などにおける責任分担の明確化、電子金融のアウトソーシングにおける監督当局の監督の仕方、電子債権に関する根拠規定などを置いた点において、その制定の帰趨が注目されています。そこで本稿では、韓国の電子金融および電子金融関連法規の現況を検討し、「電子金融取引法(案)」の制定背景およびその主要内容を紹介することとともに日本法への示唆点を探ることにしました。なお、末尾に「電子金融取引法(案)」の試訳も併せて掲載しております。

No.5 2003年8月15日
手形・小切手の電子化(ペーパーレス化)をめぐる法的研究』
 
杉浦 宣彦  金融研究研修センター研究官
松田 政行  弁護士(マックス法律事務所)
大谷 郁夫  弁護士(銀座第一法律事務所)
森下 哲朗  上智大学法学部助教授
池村  聡  弁護士(マックス法律事務所)

 これまで有価証券取引は紙媒体の証券というものを必要としてきましたが、電子化によるコスト面や保管・管理面でのメリットに対する利用者・管理者双方の意識の高まりを受けて、近年、債券や株式等の電子化・ペーパーレス化が進行しています。
 この電子化の動きは手形・小切手の世界にまで進行してきており、一部の銀行で提供しているサービスのなかには、すでに実用段階にまで進んでいるものもあります。しかし、手形・小切手の電子化に必要なシステムの運用方法やそれを支える技術上の問題については、ある程度解決されているにもかかわらず、手形・小切手の電子化が法律面に与える影響(新しい法律構成が必要なのか等)については、投資有価証券などに比較しても十分な検討が行われてきませんでした。
 本稿では、従来の約束手形の機能を維持したまま約束手形の電子化システムを構想した場合の法的問題についての検討を試みました。当然のことではありますが、電子化された約束手形は、約束手形という名称を使用したとしても、約束手形の仕組みと機能を電子的に実現(あるいは模倣)しようとするものにすぎず、手形法という制定法にその存在が裏付けられた「約束手形」そのものではありません。従って、電子化された約束手形に関して生じる法的問題点は、一般法である民法等によって解決せざるを得ません。手形法のような流通性促進のための規定をもたない民法による解決では、電子化された約束手形に約束手形と同様の流通性を確保することは困難であり、その結果、約束手形特有の機能を維持するという電子化の目的は達成できません。この点は、システム利用者と金融機関等との間の利用契約・約款において、手形法と同様あるいは類似したルールを規定することによって対応することが志向されます。このため、システムの設計にあたっては、電子化された約束手形の流通が利用契約を締結した当事者間に限定されるようなものとする必要があるでしょう。この結果、電子約束手形の流通性は制限されざるを得ませんが、これが電子約束手形の利便性を損なう可能性も考えられます。また、利用契約によってルールを規定する方法では、差押債権者等の第三者との関係で困難な問題を生じますが、こうした問題は立法による解決を待たざるを得ません。他方、第三者との関係でも明確なルールが存在することは、電子約束手形が実際に利用可能なものであるための重要な条件であると考えられます。以上のように考えると、何らかの立法による手当てがなされない限り、約束手形の電子化には実務的に許容し得ない困難な問題が存在するのではないか、というのが本研究の結論であります。

No.4 2003年5月28日
ドイツにおける預金保護・危機対応の制度−市場経済に立脚した金融システムの維持−』
 
山村 延郎  金融研究研修センター研究官

 日本と同じBank-Oriented System(「銀行志向システム」)でありますが、市場経済の機能維持を重視するドイツの預金保護及び危機対応制度について調査・分析したものであります。
 ドイツにおいては、高額かつ長期の預金保護が金融システムの維持の観点から重視されており、地域金融機関では、困難に陥った金融機関の保護による預金を全額保護、営利金融機関では、当該銀行の責任自己資本の30%を各預金者の保護上限としてほぼ全ての預金を保護するという制度が確立しています。
 これらの保障は、設置主体、資金源、個別金融機関の検査等すべてにおいて、業界内で行うという自己完結体制であり、モラルハザードと国家の過剰介入を排除しています。最後の貸手機能も、全業態で出資した「リコバンク」によって担われ、国も中央銀行も、信用リスクを負いません。
 連邦金融監督公社(BaFin)は、秩序維持の役割を持たされており、市場経済の側で救済できないものについて、法的な「倒産手続」(整理又は清算)を取ります。
 日本でも、自主財源と業態内部の相互監視による自治と職責に根ざした第二レベルの業態別預金保護制度等により、モラルハザードを極力回避した非決済性預金の保護拡大を図るべきであると考えます。

No.3 2003年2月18日
大規模データベースを用いた信用リスク計測の問題点と対策(変数選択とデータ量の関係)』
 
山下 智志  統計数理研究所助教授、CRD運営協議会顧問、
(金融研究研修センター特別研究員)
川口  昇  金融研究研修センター専門研究員(早稲田大学大学院理工学研究科)
 本研究は、大規模データベースを用いた信用リスク計量に伴う問題点と、その対策方法についてまとめました。これまでの信用リスク計量モデルは、データの蓄積が進んでいないため、大規模データベースで計測することができませんでした。そこで、CRD運営協議会によって作られた、450,000件、86財務変数を持つデータベースを用いて、2項ロジットモデルによりデフォルト確率の推定を行いました。大規模データの推定では、計算時間が膨大となります。我々は、数値計算プログラムを改良して、計算時間を短縮しました。そして、推定結果から選択される財務指標の傾向を分析することができました。
 また、本研究では、データ量に対する最適なセグメント数についても検討しました。一般に、業種や規模が信用リスクに与える影響を考慮する場合、データセグメント法を多く用います。データセグメント法では、セグメントにおけるデータが減少し、推定精度が悪化する場合があります。また、推定精度がよくなる場合には、オーバーフィッティングがおきて不安定な推定結果を得ることが多くあります。そこで、データ数とそれに含まれるデフォルト数を変化させて、そのデータ数がセグメントに分けられるほど十分なデータ数であるか分析しました。その結果、データ数、それに含まれるデフォルト数、および変数選択候補数に関して、セグメントに分けるかどうか決定する表を得ました。

No.2 2002年11月18日
信託業法のあり方−イギリス法を手がかりに−』
 
山下 純司  学習院大学法学部助教授(金融研究研修センター特別研究員)

 現在の信託業法は、信託業への参入基準が不明確ですが、その背景には、そもそも「信託業」の定義が不明確であるという事情があります。「信託業」の定義は、信託を「業とする」とは何かという、問題を抱えているためです。この問題を解決するためには、信託業法の想定する「信託業」には、どのような性格が期待されているのかを、類型化も視野に入れながら、再検討する必要があります。
 そこで信託の母法であるイングランド信託法を検討してみます。イングランド法には、公受託者、保管受託者、信託法人、専門受託者といった、特別な受託者の類型、受託者概念が存在しており、それぞれについて、権限、業務内容が異なっています。これらの差異は、それぞれの受託者に期待される性質の差異を反映していますが、それが、公共性、信用性、専門性という三つの性質です。
 わが国の信託業を営む受託者についても、これら三つの性質を期待することが可能であり、これらを前提として、信託業法の改正を見据えた、新たな信託業の切り分けの試みが可能となります。具体的には、信託の引受けを本業とする受託者(受託業)と、付随的業務として信託の引受けを行う受託者(信託を伴う業)を区別する必要があり、両者は異なる規制に服するべきであると考えます。

No.1 2002年11月18日
米国における信託会社規制−イリノイ州を中心に−』
 
森田 果  東北大学大学院法学研究科助教授(金融研究研修センター特別研究員)

 米国においては、信託会社に対する規制と銀行に対する規制とが近接しつつありますが、信託会社に対する独立した規制を有する州も依然としていくつか存在します。これまで、事実上信託銀行のみが信託業を営んできたわが国において、信託銀行以外の主体に対する信託業を解禁する可能性を探るためには、このような規制のあり方を概観しておくことは有益です。そこで、そのような州の一つであるイリノイ州における信託会社に対する規制の内容を概観しました。
 同州の信託会社規制は、(a)営む信託業の範囲に制約を設けない、それによって広範囲に渡ることになる信託業に対し、(b)適用除外を設定することでバランスのとれた規制を図る、(c)信託会社に対する州金融当局による監督は小規模金融機関に対する監督の形をとっている、という構造となっています。信託会社の行為規制については、信託会社法上の制約はほとんど設けられておらず、その内容は、信託に関連する一般私法や信託会社法以外の金融規制法に委ねられています。

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中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の策定について(第2回:「経営管理」)

 アクセスFSAでは、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の内容についてより多くの方に知っていただくため、前号より4回にわたって解説を連載しております。
 第2回目である今回は、「監督上の評価項目」のうち、「経営管理」について解説します。
 
経営管理
 リレーションシップバンキング(間柄重視の地域密着型金融)を展開する中小・地域金融機関について、持続可能性(サステナビリティー)を確保しつつ、経営の健全性の維持及びその一層の向上を図るためには、経営に対する規律付けが有効に機能し、適切な経営管理(ガバナンス)が行われることが極めて重要であると考えられます。
 こうした考え方の下、本項目では、経営管理(ガバナンス)の質をモニタリングする際の着眼点を整理するとともに、監督上の手法・対応を規定しております。
 
(1) 着眼点
 モニタリングに際しての着眼点については、金融検査マニュアルやバーゼル銀行監督委員会の「銀行組織における内部管理体制のフレームワーク」(平成10年)等を参考に、経営管理が有効に機能するよう、代表取締役、取締役・取締役会、監査役・監査役会等が適切にその機能を発揮しているかとの観点から着眼点を整理しております。
 なお、オフサイトモニタリングでは、ヒアリングが主な検証手段となることから、金融検査マニュアルとは異なり、ヒアリング対象である役職ごとに概括的に着眼点を例示しております。
 
(2) 監督手法・対応
 監督手法としては、以下のような施策を整備しており、これらと通常の監督事務等を通じて経営管理について検証することとしております。
 (a)  経営管理に関する状況を含め、より多面的・総合的に金融機関の状況を把握する観点から、従来の業務再構築ヒアリングを抜本的に拡充し、新たに「総合的なヒアリング」を導入。
 (b)  金融機関の経営者に財務局幹部が直接面談するトップヒアリングの項目として、経営管理を対象とすることを明確化。
 (c)  内部監査の適切な機能発揮を図る観点から、新たに「内部監査ヒアリング」を導入。
 (d)  監査役や社外取締役の活動状況について、必要に応じてヒアリングを実施。

 また、監督上の対応については、経営管理の有効性等に疑義が生じた場合には、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法令に基づく報告徴求を通じて、着実な改善を促すこととし、また、重大な問題があると認める場合には、法令に基づき業務改善命令を発出することとしております。

 なお、金融機関の適切な経営管理については、まずは、金融機関の自己責任原則に基づき、自らの内部管理と会計監査人等の適切な外部監査によって確保していくことが重要であり、監督に当たっては、特に金融機関の自主的な努力を尊重するとともに、いやしくも経営への過度な介入となることのないよう配意する必要があると考えます。

 次回は、「監督上の評価項目」のうち、「地域貢献」について解説します。


 「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表など」から、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針について」(平成16年5月31日)にアクセスしてください。


 金融審議会金融分科会第二部会報告(平成15年3月27日)については、金融庁ホームページの「審議会など」から「金融審議会」の「答申・報告書等」のうち、PDF「平成15年3月27日「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(金融審議会金融分科会第二部会報告)」にアクセスして下さい。

リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況(平成15年度)について

 昨年3月に公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」においては、金融庁において同プログラムに記載されている施策の進捗状況及び金融機関の取組み実績をとりまとめ、公表することとされています。
 去る6月30日、金融庁では、施策の進捗状況及び金融機関の取組み実績について取りまとめ、公表を行いました。


 リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況(平成15年度)について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況(平成15年度)について」(平成16年6月30日)にアクセスしてください。


 アクションプログラムの本文をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)にアクセスしてください。


 アクションプログラムに基づき、各金融機関は、平成15〜16年度の2年間(「集中改善期間」)に中小企業の再生と地域経済の活性化に向けた取組を進めるため、機能強化計画を作成して15年8月末に当局に提出しています。そのとりまとめ状況については、金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化計画の概要について」(平成15年10月7日)にアクセスしてください。


 その他、金融庁における中小企業金融の円滑化へ向けた取組みについては、金融庁ホームページの「政策ピックアップ」にある「中小企業金融特集」にアクセスしてください。

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