少額短期保険業者(いわゆる無認可共済)向けの監督指針について

 平成18年4月1日から新たな保険契約者等の保護の施策として「少額短期保険業」制度が導入されました。
 導入にあたって監督当局(金融庁及び各財務局)がどのような視点に立って対応していくかを保険会社向けの総合的な監督指針の別冊として位置づけ、体系的に整備し、PDF「少額短期保険業者向けの監督指針」として取りまとめました。
 具体的には、(a) 経営管理、(b) 財務の健全性、(c) 業務の適切性といった監督上の評価項目について、それぞれ着眼点等を記載するとともに、業者の登録事務等は各財務局において対応することから、事務処理上の留意点等を記載しています。概要についてはPDF【別紙】のとおりです。 
 なお、少額短期保険業者は、取扱保険商品や会社の規模等が多種多様であると予想されるため、全ての着眼点を一律に求めることなく、特に財務の健全性、業務の適切性を確保するための態勢面に係る着眼点においては、事業者の実情に応じて判断することとし、機械的・画一的な運用に陥らないように配慮することとしています。

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 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「少額短期保険業者向けの監督指針について」(平成18年3月31日)または、「パブリックコメント」から「少額短期保険業者向けの監督指針(案)に対する意見募集の実施について」(平成18年2月24日)および「結果」にアクセスしてください。

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 金融庁ホームページの「一般のみなさんへ」の「保険を契約している方へ」から「根拠法のない共済について」も参考にご覧ください。

根拠法のない共済の契約者保護ルールの導入に関する政省令等の概要

 平成17年5月2日に公布された「保険業法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第38号。以下「改正法」といいます。) は、(a)根拠法のない共済への対応に係る改正及び(b)保険契約者保護制度等の見直しに係る改正、の二つを主たる内容としています。
 このうち、(a)根拠法のない共済への対応に係る改正では、具体的には、
 イ  「保険業」の適用範囲を見直し、いわゆる根拠法のない共済についても、原則として保険業法の規制対象とすること、
 ロ  一定の事業規模の範囲内という条件の下で、少額かつ短期の保険のみを提供する事業者について、登録制等の新たな規制の枠組み(「少額短期保険業」)を創設すること、
等を内容とする改正が行われました。
 これを受けて、改正法中、政令、内閣府令等に委任されている事項を規定すべく、保険業法施行令・施行規則等の改正について、その骨子案の公表及びパブリック・コメントの募集を行い、意見募集期間中に同案に対し寄せられたご意見等を踏まえた上で 、平成18年3月10日に以下のとおり公布され、同年4月1日から施行されることとなりました。
 ・ 「保険業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成18年政令第32号)
 ・ 「保険業法施行令の一部を改正する政令」(平成18年政令第33号)
 ・ 「保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令」(平成18年内閣府令第9号)
 ・ 「少額短期保険業者供託金規則」(平成18年内閣府・法務省令第1号)
 ・ 「保険仲立人保証金規則の一部を改正する命令」(平成18年内閣府・法務省令第2号)
 ・ 「疑わしい取引の届出の方法等に関する命令の一部を改正する命令」(平成18年内閣府・法務省令第3号)
 ・ 「保険業法第二百七十二条の二十五第二項に規定する区分等を定める命令」(平成18年内閣府・財務省令第1号)
 ・ 「保険契約者等の保護のための特別の措置等に関する命令及び保険業法第百三十二条第二項に規定する区分等を定める命令の一部を改正する命令」(平成18年内閣府・財務省令第2号)
 ・ 「労働金庫法施行規則の一部を改正する命令」(平成18年内閣府・厚生労働省令第1号)
 ・ 「保険会社の資本、基金、準備金等及び通常の予測を超える危険に相当する額の計算方法等を定める件の一部を改正する件」(平成18年金融庁告示第13号)
 ・ 「保険業法第二百七十二条の二十八において準用する同法第百三十条の規定に基づき、保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を、保険業法施行規則第二百十一条の五十九及び第二百十一条の六十の規定に基づき、少額短期保険業者の資本、基金、準備金等及び通常の予測を超える危険に相当する額の計算方法を定める件」(平成18年金融庁告示第14号)
 ・ 「保険業法施行規則第二百三十四条第二号の規定に基づく生命保険募集人又は保険仲立人と密接な関係を有する者として金融庁長官が定める者等の一部を改正する件」(平成18年金融庁告示第15号)
 ・ 「保険業法施行規則第二百十一条の四十六の規定に基づく金融庁長官が定める方法及び積立て並びに取崩し等に関する基準」(平成18年金融庁告示第16号)
 ・ 「保険業法施行規則第二百十一条の五十二において準用する規則第七十三条第一項第二号の規定に基づく支払備金として積み立てる金額」(平成18年金融庁告示第17号)
 ・ 「保険業法第二百五十五条の二第一項の規定に基づく契約条件の変更を行う保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要な事項として金融庁長官及び財務大臣が定めるものの一部を改正する件」(平成18年金融庁・財務省告示第1号)

主な改正点の概要は以下のとおりです。
.「保険業法等の一部を改正する法律」の施行日
 改正法の施行日を平成18年4月1日とし、同日より「少額短期保険業」制度がスタートすることとなりました。


.「保険業」の定義から除外されるもの

 「保険業」の定義から除外されるものとして、地方公共団体が区域内の事業者又はその役員・使用人を相手方として行うもの、一の会社又は連結対象子会社等がその役員・使用人等を相手方として行うもの、一の専修学校・一部の各種学校がその生徒を相手方として行うもの、1,000人以下の者を相手方とするもの等を規定することとしました。ただし、1,000人以下の者を相手方とする場合であっても、密接な関係のある二以上の団体が相手方とする者の総数が1,000人を超えるもの、再保険の引受けを行うもの、一の個人から一年間に収受する保険料の合計額が50万円を超えるもの等は「保険業」の定義に含まれることとしています。


.少額短期保険業者が引き受けられる保険の保険期間及び保険金額の上限等
 
(1)  少額短期保険業者が引き受けられる保険の保険期間について、生命保険・医療保険等は1年、損害保険については2年とし、保険金額の上限については下記のとおりとしました。
 
(a)  通常の重度障害・死亡 300万円 
(b)  疾病・傷害による入院給付金等 80万円 
(c)  傷害による重度障害・死亡 600万円
(d)  損害保険 1000万円
   なお、重度障害で給付を行った場合、死亡による給付は制限される等の各種調整規定を設けています。

(2)

 少額短期保険業者が一人の被保険者について複数の保険契約を引き受ける場合は、すべての保険契約に係る保険金額を合算して、総額が1000万円以下、かつ、(1)(a)〜(d)に掲げる保険の区分に応じたすべての保険金額の合計額がそれぞれの区分に定める金額以下であることとしました。
 ただし、(1)(d)の保険のうち、特に保険事故の発生率が低いと見込まれる個人賠償保険(自動車の運行に係るものを除く。)を含むものがある場合には、別枠で1000万円としています。

(3)

 少額短期保険業者は、一の保険契約者に係る被保険者の総数が100人(複数の保険契約の場合は合算)を超える保険の引受けを行ってはならないこととしました。

(4)

 経過措置により、施行日から7年間、既存事業者が、超過部分を再保険に出すことによって引受けを行うことができる保険金額の上限は、?に掲げる保険の区分に応じ、それぞれ定める金額の5倍((1)(b)の保険については3倍)としました。


.事業規模制限

 少額短期保険業者の事業規模制限の基準を、年間収受保険料(再保険に付した際に再保険会社から収受する手数料を含み、再保険料を控除。)で50億円以下としました。


.最低資本金・基金、供託金

 少額短期保険業者の最低資本金・基金、業務開始時の供託金の額については、それぞれ1000万円とし、供託金は、保険料収入の増加に応じて段階的に積み増す(正味収受保険料の100分の5)こととしました。
 なお、小規模に運営されている既存事業者の円滑な移行を可能とするため、経過措置により、施行後7年間は、小規模な団体(相手方とする者の総数が5000人以下)の最低資本金・基金、供託金の額を軽減(1000万円→500万円)しています。


.関連業務の範囲

 少額短期保険業者が内閣総理大臣の承認を受けて行うことができる関連業務は、他の少額短期保険業者又は保険会社のために行う保険募集、保険事故の調査、書類の作成等としました。


.業務運営に関する措置

 保険募集に際して、少額短期保険募集人が、更新型の保険については保険料の見直し等を行う場合があること、セーフティネットの対象外であること、引き受けられる保険の保険金額に制限があること等を書面の交付その他適切な方法により説明を行うこと等の措置を、少額短期保険業者が講じなければならないこととしました。


.ディスクロージャーの内容

 業務及び財産の状況に関する説明書類について、保険会社並みのディスクロージャーを求めることとし、また、資本金等の額が3億円以上の少額短期保険業者については、外部監査を義務付けることとしました。


.責任準備金の積立て

 責任準備金については、契約者保護の観点から保険会社並みの積立てを求めることとし、少額短期保険業者が引受け可能な保険に対応して計算区分を規定しました。
なお、保険契約を再保険に付した場合は、当該再保険に付した部分に相当する責任準備金を積み立てないことができることとするほか、既存事業者の積立負担に配慮する観点から、経過措置等により、異常危険準備金の積立基準を緩和しています。 

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.支払余力基準

 保険会社と同様、保険金等の支払余力の充実の状況を示す比率が200%を下回った場合に、監督上必要な措置を命ずることができる仕組み(早期是正措置)を設けました。

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.その他

 登録申請の手続、供託の手続、子会社の範囲等の制度の細目等を、内閣府令・告示において定めました。
   
 
 金融庁ホームページの「一般のみなさんへ」の「保険を契約している方へ」から「根拠法のない共済についてについて」も参考にご覧ください。
 

 改正法の概要については、「【法令解説】保険業法等の一部を改正する法律の概要について」アクセスFSA第30号(2005年5月26日発行)をご覧ください。▲戻る
 「保険業法施行令・保険業法施行規則等の改正案の骨子(案)の公表について」(平成17年8月12日)
 「保険業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(案)、保険業法施行令の一部を改正する政令(案)及び保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)等の公表(少額短期保険業関係)」(平成17年12月28日)▲戻る
 「保険業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(案)、保険業法施行令の一部を改正する政令(案)及び保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)等の公表(少額短期保険業関係)に対するパブリックコメントの結果について」(平成18年3月9日)▲戻る

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