アクセスFSA 第69号(2008年8月)

アクセスFSA 第69号(2008年8月)

初閣議後記者会見を行う茂木大臣(8月2日) 渡辺前大臣と引継ぎを行う茂木大臣(8月5日)
初閣議後記者会見を行う茂木大臣
(8月2日)
渡辺前大臣と引継ぎを行う茂木大臣
(8月5日)

目次


【フォトギャラリー】

日本外国特派員協会で講演を行う茂木大臣(8月25日)

日本外国特派員協会で講演を行う茂木大臣(8月25日)

崔天凱(さいてんがい)大使と面談を行う茂木大臣(8月26日)

崔天凱(さいてんがい)大使と面談を行う茂木大臣(8月26日)

多重債務者対策本部有識者会議で挨拶する宇野政務官(9月1日)

多重債務者対策本部有識者会議で挨拶する宇野政務官(9月1日)

多重債務者対策本部有識者会議の模様(9月1日)

多重債務者対策本部有識者会議の模様(9月1日)


【トピックス】

平成20検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画について

  • 1. はじめに

    金融庁では、先般(8月19日)、「平成20検査事務年度検査基本方針」及び「平成20検査事務年度検査基本計画」を公表し、平成20検査事務年度における検査の実施方針や実施予定数を明らかにしました。検査基本方針及び検査基本計画の概要は以下のとおりです。

    金融庁では、昨年より、金融規制のさらなる質的向上を目指した取組み、すなわち、『ベター・レギュレーション』への取組みを進めてきたところです。金融検査においては、ベター・レギュレーションの趣旨を踏まえ、リスクの複雑化・多様化等への対応を検査重点事項として掲げるとともに、メリハリある検査の実施や全面施行された金融検査評定制度の適切な運用等の各種施策を進めてきました。

    こうした中、平成20検査事務年度においては、ベター・レギュレーションの考え方を財務局も含めた検査部局全体に一層浸透・定着させることを最重要課題とし、本年改定した検査マニュアル前文に則った取組みを推進することを検査運営の基本的な考え方とした上で、19事務年度の検査運営や金融機関を取り巻く現下の情勢等を踏まえた重点的な検証課題に取組むこととしています。

  • 2. 検査運営の基本的な考え方

    平成20検査事務年度の金融検査においては、本年8月8日に改定された「金融検査マニュアル」、「保険検査マニュアル」等の前文(「はじめに」)に明記してある、検査官が配意すべき5項目に、関係部署との連携強化や検査部局の人材育成などを掲げた『検査の実効性の向上』を加えた6項目を、検査運営の基本的な考え方としています。

  • 3. 検査重点事項

    金融機関を取り巻く内外の経済・金融環境が大きく変化する中、金融機関においては、全体の収益目標およびそれに向けたリスクテイクや人的・物的資源配分の戦略等を明確にした戦略目標を定め、それを踏まえた適切なリスク管理を行うことが強く求められています。

    このため、金融機関の経営陣においては、一層自らの経営管理(ガバナンス)態勢の整備を図る必要がありますが、金融検査においては、金融機関が戦略目標に即した適切な法令等遵守態勢及びリスク管理態勢を整備しているか、金融機関全体を貫く経営管理(ガバナンス)態勢が有効に機能しているかに注目して検証します。その上で、特に、以下の事項については、重点を置いて深度ある検証を行います。なお、以下の事項は20年8月時点の検査重点事項であり、金融機関を取り巻く情勢等を踏まえ、必要に応じて随時見直すこととしています。

    • (1) 各種貸出・金融商品の実態に応じた適切なリスク管理態勢の構築

      各種貸出・金融商品に内在するリスクを的確に把握し、適切なリスク管理やALMを行っているか検証します。持株会社については、グループが抱える各種リスクを統合的に管理しているか検証します。

      例えば、適切なリスク管理態勢の構築の重要性が高まっていることに鑑み、各種貸出・金融商品の審査・管理態勢の整備について検証します。また、バーゼルIIへの対応状況についても検証を行います。

    • (2) 国際的に業務展開する金融機関の管理態勢の整備

      我が国金融機関の海外業務展開の進展状況に鑑み、アンチ・マネ-・ローンダリング態勢の整備、情報収集、リスク把握など、適切な海外業務管理態勢の構築について検証します。あわせて、海外当局との深度ある連携を従来以上に行っていきます。

      また、我が国の市場で活動する金融コングロマリットに対する検査にあたっては、証券取引等監視委員会新しいウィンドウで開きますとも連携しながら、適切な検証を行います。

    • (3) 顧客保護の推進・利用者利便の向上への対応

      金融機関が多様で質の高い金融サービスを提供するためには、顧客情報の管理、優越的地位の濫用や利益相反の防止等の基本的な顧客保護の取組みを推進すると同時に、より積極的な利用者利便向上に向けた態勢整備が求められています。こうした観点から、顧客に迷惑をかけていないかなど、金融機関に最低限求められるミニマムスタンダードを達成しているか、顧客保護の取組みを検証すると同時に、顧客のニーズの高まりに対応した積極的な取組み、ベストプラクティスを目指すための利用者利便向上に向けた態勢整備を検証・評価します。

      具体的には、金融商品取引法等の本来の趣旨に則り、それぞれの顧客の知識、経験、理解度等を十分に踏まえ、柔軟性をもった顧客対応を行っているか、実質的な面に着目して検証を行います。保険会社については、不払い問題等の再発防止に向けた改善対応状況を検証するとともに、預金取扱金融機関を含め、勧誘時から契約終了時までのプロセスを通じて真に顧客ニーズに応える情報提供や顧客対応を行う態勢整備に努めているか検証・評価します。

      このほか、相談・苦情等への適時適切な対応に向けた態勢整備についての検証や、反社会的勢力との取引防止、振り込め詐欺への対応、情報セキュリティ対策など、適正かつ安全な金融取引等の確保に向けた取組みについての検証を行います。また、システム障害への対応などシステムリスクの適切な管理、ITを利用した経営効率化等への取組みについても、検証・評価を行います。

    • (4) 円滑な中小企業・地域金融に向けた対応

      我が国経済の基盤を支える中小企業に対する円滑な金融は、金融機関の最も重要な役割の一つです。特に、地域経済における拠点としての役割も担う地域金融機関には、自らの責任と判断により適切かつ積極的にリスクテイクを行うとともに、それにふさわしい適切なリスク管理態勢を整備することを通じ、地域における金融仲介機能を積極的に発揮していくことが強く期待されています。

      こうした観点から、金融検査においては、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕や「成長力強化への早期実施策」等に沿って、中小企業の実態を踏まえた円滑かつ積極的な金融仲介機能が発揮できる態勢が構築されているかについて検証します。また、前向きな取組みについては、積極的に評価するようにします。

      具体的には、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕の周知・広報を更に徹底することにより、中小企業の資金調達面での活用を支援します。加えて、金融機関の中小企業への資金供給に向けた態勢整備の検証に際しては、同マニュアル別冊の趣旨を踏まえた融資態勢となっているかを重視し、中小企業に対する金融仲介機能の十全なる発揮を促します。また、地域金融機関の中小企業の事業再生に対する取組みや中小企業の経営安定を図るためのツールの活用を促進する観点から、中小企業の事業再生等に向けた取組実態を検証し、優れた取組みや創意工夫については積極的に評価するようにします。

  • 4. 検査基本計画の概要

    「平成20検査事務年度検査基本計画」においては、預金等受入金融機関285機関、保険会社20社、貸金業者・前払式証票発行者・その他金融機関あわせて285社の検査を予定しています。検査にあたっては、検査基本方針や、「金融検査に関する基本指針」(平成17年7月公表)等の趣旨に則った検査を実施していきます。

  • 5. 終わりに

    金融検査は、金融機関の経営改善に向けた、金融庁と金融機関の共同作業であると考えています。金融庁では、今後も、金融機関の業務の健全性や適切性を確保するため、金融機関の利用者や国民経済の立場に立ち、ベター・レギュレーションの趣旨に則った検査を実施していく方針です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「平成20検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画について」(平成20年8月19日)にアクセスしてください。

平成20検査事務年度検査基本方針のポイント

「金融検査マニュアル」及び「保険検査マニュアル」等の一部改定に ついて

  • 1. はじめに

    金融庁は、平成20年8月8日に「金融検査マニュアル」、「保険検査マニュアル」等を一部改定し、検査官に周知するとともに、パブリックコメントへの回答とあわせて公表しました。

    以下、今回の検査マニュアル改定の経緯・概要について説明します。

  • 2. 検査マニュアル改定の経緯・目的

    今回の検査マニュアルの改定は、金融検査の質的向上を図るために、検査官が配意すべき5項目を検査マニュアルの前文(「はじめに」)として明記し、その実践・定着を図ることを狙いとしています。

    金融庁は、平成19事務年度(平成19年7月~20年6月)より金融規制の質的向上(ベター・レギュレーション)を金融行政における大きな課題として明確に位置付け、その取組みを推進しています。

    金融検査は、金融規制そのものですから、金融検査(規制)の質的向上(ベター・レギュレーション)は、検査部局の最重要課題であると同時に、日常業務でもあると考えられます。そこで、平成19事務年度を通じて、金融検査の質的向上に向け、様々な取組みを行ってきました。

    1年間の取組みを検証すると、取組みの方向性には問題がないものの、財務局を含めた全検査官に対して取組みを徹底するという観点からは、更なる努力が必要と考えられました。そこで、金融検査の質的向上への取組みを恒久的、制度的なものとして位置付けるとともに、全検査官に対して取組みの更なる実践・定着を促す観点から、検査官の手引書である検査マニュアルに具体策を明確に記載することとしました。

  • 3. 検査マニュアル改訂の内容

    検査官が配意すべき5項目とは以下のとおりです。

    • (a)重要なリスクに焦点をあてた検証(「リスク・フォーカス、フォワード・ルッキング」アプローチ)

      検査官は、立入検査開始前、立入検査中を通じて、入手した情報や検証内容を基に、各金融機関の持つリスクの所在を分析し、重要なリスクに焦点をあてたメリハリのある検証に努める必要がある。

    検査マニュアルのチェック項目の全てを網羅的に検証し、把握した問題点はささいなことであっても全て指摘するといった「総花的な検査」又は「重箱の隅をつつくような検査」ではなく、重要なリスクを適切に管理できる態勢が整備されているのかに焦点を絞って検証をしていくというメッセージを込めています。

    リスク管理が不十分な場合に改善が必要なのは、重要なリスクに限定される訳ではありませんが、PDCAサイクルに基づく改善への取組みは金融機関自身により行われるべきものです。金融検査はあくまでも信用秩序の維持、預金者保護、金融機能の円滑化といった観点から、金融機関自身の取組み等を補強するために実施するものですから、小さなリスクについては金融機関自身の対応に委ね、金融検査では重要なリスクに焦点を当てた検証を行うべきと考えます。

    なお、本項目は、重要なリスクが存在すること自体を問題視するものではありません。金融機関のビジネスはリスクテイクを前提としたものであり、重要なリスクが存在しない金融機関があるとすれば、むしろそちらの方が問題です。ただし、リスクテイクのためには、それに見合ったリスク管理が必要となる訳ですから、その点を検証してくことになります。

    また、ここでいう重要なリスクとは、金融機関の業務の健全性及び適切性の確保に重大な影響を及ぼし得るリスク全てを対象としており、必ずしも検査マニュアルの各リスク管理態勢でいうリスク(信用リスク、市場リスク等)に限定するものではありません。例えば、顧客保護の観点から、重大な問題が発生しかねないリスクがあれば、これも重要なリスクに含まれることになります。重要なリスクの判断にあたっては、問題が発生した場合に経営に及ぼす影響度に加え、問題が発生する可能性も勘案して検討することになります。

    • (b)問題の本質的な改善につながる深度ある原因分析・解明

      検査官は、経営の健全性等に重大な影響を与える問題点については、金融機関との間で、問題の本質的な改善のために必要な対応の方向性(改善の方向性)に関する認識を共有することにつながるよう、双方向の議論により、特に深度ある原因分析を行い、原因の解明に努める必要がある。

    「経営の健全性等に重大な影響を与える問題点」とは、(a)の「重要なリスクに焦点をあてた検証」を行った結果、把握された態勢上の問題点を指しています。

    重大な問題事象が発生、あるいは問題事象が頻発しているような場合には、何らかの態勢上の問題が原因になっていると考えられます。こうした場合、態勢上の問題を改善しないまま、問題事象への対応だけを行ったとしても、問題の本質的な改善にはならず、同じ態勢上の問題を背景とする別の問題事象の発生を防止することはできません。

    したがって、問題の本質的な改善を図るには、問題事象の背景にある態勢上の問題について検証していく必要があります。そのためには「双方向の議論により、特に深度ある原因分析を行い、原因の解明に努める」プロセスが必要と考えられます。

    このプロセスを経ることによって、検査官と金融機関との間で態勢上の問題がどこにあるのかという認識が共有されれば、当然その態勢上の問題を改善しなければならないという改善の方向性に関する認識も共有されます。

    なお、改善の方向性とはどのような方法で改善を行うのかといった具体的な改善策の内容まで含むものではありません。具体的な改善策は、改善の方向性を踏まえて、各金融機関が自らの経営責任で決定すべき事項です。

    • (c)問題点の指摘と適切な取組みの評価、静的・動的な実態の検証

      検査官は、(i)問題点については的確に指摘するとともに、改善・向上につながる適切な取組みについては評価すること、(ii)検査時点における問題点等の静的な実態のみならず、態勢整備の進捗状況等の動的な実態についても十分検証すること、の二点に留意し、的確な実態把握を行う必要がある。

    本項目は(i)、(ii)のいずれも金融機関の内部管理態勢の実態をより的確に把握するとともに、金融機関の改善へのインセンティブ付けを行うことを狙いとしたものです。

    • (i)  問題点の指摘と適切な取組みの評価

      これまでの金融検査は、問題点の指摘に重点を置いたものとなっていました。もちろん、金融機関自身の経営改善に向けた取組みを促す上で、問題点を的確に指摘することは必要ですが、検査の度にケチばかりつけられるというのでは、金融機関にとってインセンティブにはなりにくいと思われます。適切な取組みを評価することにより、金融機関にとっても、取組みを行う際には、「評価されるような取組みにしよう」というインセンティブ、取組みが評価されれば「更に推進していこう」といったインセンティブになるのではないかと期待しているところです。

      また、そもそも金融機関の内部管理態勢は、満点ということも零点ということも考えにくく、いい面と悪い面の双方がある訳ですから、改善・向上につながる適切な取組みについては評価した上で、問題点については的確に指摘するといったバランスの取れた検証を行うことにより、金融機関の内部管理態勢の実態が把握できると考えられます。

    • (ii)  静的・動的な実態の検証

      金融検査は、立入検査期間という一時点での金融機関の内部管理態勢の実態を把握するものですが、その時点におけるスナップショットを撮るだけでなく、金融機関の内部管理態勢が改善の方向に向かっているのか、それとも悪化の方向に向かっているのかといった動的な実態を把握することも重要です。例えば、2つの金融機関の内部管理態勢が同レベルだったとしても、片方は改善の途上、もう一方は以前に比べて悪化しているということであれば、後者の改善状況をより注視していく必要があります。

      金融機関にとっても、改善に取り組んでいる場合、それが現時点ではまだ十分なレベルに達していないとしても、単に「不十分です」とだけ指摘されるのではなく、「まだ不十分ですが、以前と比べれば改善しています」と改善の努力を評価された方が、更なる改善のインセンティブになるのではないかと期待しているところです。

    • (d)指摘や評定根拠の明示、改善を検討すべき事項の明確化

      検査官は、指摘事項や評定に関する対話・議論を進めるにあたっては、具体的かつ論理的に根拠を示すとともに、より高い水準の内部管理態勢の構築に向け、改善を検討すべき点が明確になるよう、具体的に示す必要がある。

    前述のとおり、金融検査は金融機関の自主的な経営改善への取組みを補強するものです。また、検査結果については監督部局がフォローアップを行うことになります。したがって、金融機関や監督部局に、検査官の問題意識が明確に伝わるように検査結果(評定や指摘)を取りまとめる必要があります。そのために具体的かつ論理的に根拠を提示するというのは当然のことですが、「検査官個人の印象や基準で評定や指摘が行われているのではないか」という批判もあることから、改めて具体的かつ論理的に根拠を提示すべき旨を検査官に徹底するため、本項目を記載しています。

    なお、検査結果については、検査官が「検査結果報告書(通知書案)」を作成し、審査部門が審査を行った上で、「検査結果通知書」が金融機関に通知されることになっています。そうした意味では「指摘や評定根拠の明示、改善を検討すべき事項の明確化」は審査部門にとっても配意すべき事項となりますが、検査マニュアルはあくまでも検査官の手引書であることから、本項目についても、検査官が指摘事項や評定に関する対話・議論を進める際に配意すべき事項として整理しています。

    • (e)検証結果に対する真の理解(「納得感」)

      検査官は、金融機関の主体的・能動的な経営改善に向けた取組みにつながるよう、的確な検証、経営陣との対話、双方向の議論等を通じて、検証結果に対する真の理解(「納得感」)を得るよう努める必要がある。

    (a)から(e)に配意して検証を行ったとしても、検証結果に対して金融機関がそれを真に理解し、納得していなければ、金融機関自身による主体的・能動的な経営改善は期待できません。金融機関の経営改善が「納得はできないが、仕方ないから対応しておくか」というような表面を取り繕うアリバイ的対応ではなく、「検査をきっかけにして内部管理態勢のレベルアップを目指そう」という主体的・能動的な対応でなければ、経営改善にはつながらないと考えます。

    金融機関の真の理解を得るためには、的確な検証を行うだけでは不十分です。いくら的確な検証であっても、一方的にこれを押し付けようという態度に終止し、経営陣との対話、双方向の議論といった金融機関とのコミュニケーションが不十分であれば、理解・納得を得ることはできない訳ですから、その点について配意が必要となります。

  • 4. おわりに

    検査マニュアルに記載したからといって、直ちにその取組みが定着するというものではありません。金融庁では、財務局を含めた全検査官への5項目(ベター・レギュレーション)の定着・実践を平成20検査事務年度の最重要課題として位置づけ、検査官に対する事前の指導を徹底するとともに、その実践状況をモニタリングし、必要に応じて、改善の指導を行っていきます。

    金融検査は、検査官と各金融機関との共同作業です。検査を受ける立場にある各金融機関におかれましては、金融検査を経営改善の好機と捉え、検査官が5項目に配意していることを前提に、検査官と十分な対話や双方向の議論を行って下さい。その上で、検査官の配意が不十分と感じられる場合には、遠慮なくその旨をご指摘いただきたいと考えています。

※ 今回改定されたマニュアルの内容及びパブリックコメントの結果につきましては、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」又は「パブリックコメント」から、『「金融検査マニュアル」及び「保険検査マニュアル」等の一部改定について』(平成20年8月8日)にアクセスしてください。


平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について

証券取引等監視委員会新しいウィンドウで開きますでは、先般(7月25日)、「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画」を公表し、平成20事務年度における証券検査の実施方針及び実施予定数を明らかにしました。証券検査基本方針及び証券検査基本計画の概要は以下のとおりです。

  • 1. 証券検査基本方針

    • (1) 基本的考え方

      我が国金融・資本市場は、金融商品・取引のグローバル化といった環境変化などダイナミックな状況変化に直面しています。これに対応するため、金融庁においては、海外証券規制当局と同様、市場参加者にとって、より質の高い規制を目指すベター・レギュレーションによる取組みが進展中です。

      こうした状況の下、証券取引等監視委員会としては、ベター・レギュレーションを含め内外の動きを視野に入れた検査、金融商品取引業者等に公正・健全な市場確保のために貢献するゲートキーパーとしての自覚を促す検査を行うことが重要であると考えています。そのため、市場参加者にとって望ましいと考える効率的・効果的な検査を行っていく方針です。

      「効率的な検査」とは、金融商品取引業者等自身の自己改善努力を最大限に活かし、これを補完するような検査を行うことです。また「効果的な検査」とは、検査結果が金融商品取引業者等の内部管理態勢の持続的な改善等に確実に結びつくような検査を行うことです。

      具体的には、以下の点に留意しつつ、効率的かつ効果的な検査を行います。

      • (a)市場ルールに関する違反行為の検証を行うとともに、金融商品取引業者等の経営管理態勢等に着目したプリンシプル・ベースも踏まえた検査

      • (b)検査対象先のリスクの所在を分析し、当該リスクに焦点を当てたメリハリのある検査

      • (c)金融商品取引業者等との双方向の対話等を重視した検査

      • (d)検査の透明性等を向上させるため、検査マニュアルの見直し、公表

    • (2) 重点検証事項

      今事務年度においては、以下の検証項目について重点的に検証を行います。

      • (a)金融商品取引業者等の市場仲介機能にかかる検証

        • 反社会的勢力との取引の未然防止態勢の検証、疑わしい取引の届出態勢の検証
        • 有価証券の引受審査等の適切性の検証
        • システムリスク管理態勢の検証
      • (b)法人関係情報の管理態勢(不公正な内部者取引の未然防止)にかかる検証

      • (c)投資運用業者等の業務の適切性にかかる検証

      • (d)公正な価格形成を阻害するおそれのある行為の検証

      • (e)投資勧誘の状況や分別管理の適切性に係る検証

      • (f)自主規制機関の適切な機能発揮等のための検証

      • (g)新たな検査対象先・金融商品等に係る検証

      • (h)過去の検査における問題点の改善状況等に係る検証

  • 2. 証券検査基本計画

    本事務年度の証券検査基本計画では、第1種金融商品取引業者等130社(うち財務局等が行うもの110社)、投資運用業者、投資助言・代理業者70社(うち財務局等が行うもの35社)に検査を実施することを予定しており、さらに、自主規制機関、第2種金融商品取引業者等についても必要に応じて検査を実施する予定です。

※ 詳しくは、証券取引等監視委員会ウェブサイトから「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画(H20年7月25日)」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。

平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画の概要
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