アクセスFSA 第96号(2011年6月)


「東日本大震災関連情報」について

平成23年(2011年)東日本大震災によりお亡くなりになられた方々に対し改めて衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた被災者の皆様に対して心よりのお見舞いを申し上げます。

金融庁では、以下を窓口として「東日本大震災関連情報」を提供しております。

1.東日本大震災関連情報 金融面の対策に全力を挙げています!

金融庁では、ウェブサイト上に「東日本大震災関連情報」ページを開設し、以下の項目別に情報提供をしております。

  • (1)預金者の皆さまへ

    • ○預金通帳や印鑑を紛失した場合でも、本人であることが確認できる書類の提示により、金融機関は預金の払戻しに応じています。

    • ○本人であることが確認できる書類を紛失してしまった場合についても、住所・氏名等をお伺いし、登録内容との一致を確認したうえで払戻しを行うなど、柔軟な対応に努めています。

    • ○預金者本人の死亡時や行方不明時に、親・子ども・配偶者等の方から預金の払出しの求めがあった場合には、必要な要件を満たすことを確認したうえで一定の金額の払出しに応じるなど、柔軟な対応に努めています。

    • ○今般の震災で亡くなられた方や行方不明の方の預金について、ご遺族やご親族がどの銀行に口座があったか分からない場合には、全国銀行協会にご照会下さい。

    • ○他の地域に避難されている場合、お取引金融機関以外の店舗でも預金の払戻しを取り扱っている金融機関があります。

    • ○なお、多くの方々の災害義援金により被災者の皆様方を支援することや、生活の建て直しを図ろうとする被災者の方々が銀行口座等を円滑に開設できるようにすることが極めて重要であることから、本人確認手続きについて必要な施策を講じています。

      詳しくは、こちらをご参照ください。また、義援金等を装った詐欺にご注意ください。

  • (2)お金を借りておられる皆さまへ

    • ○金融機関は、災害の影響を直接、間接に受けておられる方から、借入金の返済猶予等や、つなぎ資金の供与等の申込みがあった場合には、できる限りこれに応じるよう努めています。

    • ○災害のために支払いができない手形・小切手の不渡処分(銀行等の取引停止処分等)は猶予されます。

    • ○融資の申込みに対しても、被災された方の実情を踏まえ、融資審査に際しての提出書類等を必要最小限のものとするなど、弾力的・迅速な対応に努めています。

  • (3)保険に加入されている皆さまへ

    • ○生命保険・損害保険各社は、保険金の簡易・迅速な支払いに努めています。

    • ○保険証券や本人であることが確認できる書類を紛失してしまった場合でも、それぞれの状況に応じた柔軟な対応を行っています。どの保険会社と契約していたか分からない場合については、保険協会や保険会社にご照会ください。

    • ○被災された方については、申し出があれば、保険料の支払い等を猶予しています。

  • (4)上場企業等の皆さまへ

    • ○東日本大震災に伴う有価証券報告書等の提出期限については、特例措置を延長するための政令を制定し、本年9月末までに提出すればよいこととしました。

    • ○さらに、各取引所では、被災した会社の上場管理や、新規上場に係る審査等について、各種の取組みを行い、柔軟に対応することとしています。

  • (5)金融機関の皆さまへ

    • ○震災による直接・間接の影響により、債務者の実態把握が困難な場合等を踏まえ、資産査定に係る特例措置及び運用の明確化を行っています。

    • ○被災された金融機関が期限どおりに必要な報告書類を当局に提出できない場合、弾力的に対応することとしています。

    • ○また、被災地域等の金融機関が、中小企業金融円滑化法に基づく開示・報告を被災地域の実情に応じた形で行うことができるよう、開示・報告義務を弾力化することとし、内閣府令等を改正しました。

    • ○更に、震災により、金融機関に様々な影響が生じうることを踏まえ、(1)地域における面的な金融機能を維持・強化するとともに、(2)預金者に安心していただける、万全の枠組みを設けるため、金融機能強化法の改正案を国会に提出し、平成23年6月22日に成立しました。

    • ○貸金業者から借入れを行おうとする被災者の方が、法令に定める手続き等が問題となって、資金を借りられないという不都合が生じないよう、貸金業法施行規則の一部の改正を行いました。

  • (6)金融機関等の相談窓口一覧

  • (7)プレスリリース一覧

  • (8)関連リンク

その他、当ページでは、金融機関等の対応状況として、被災地域の金融機関の状況、金融庁及び財務局の震災対応に関する諸施策並びに金融業界の対応についての情報をご覧になることができます。当該情報は、日々更新しています。

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトのトップページから「被災された皆さまへ金融庁からの重要な情報です」にアクセスして下さい。

2.東日本大震災関連情報 金融庁携帯サイトについて

金融庁では、大震災関連情報を掲載した金融庁携帯サイトを開設しております。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトのトップページから「金融庁携帯用サイト」及びQRコード(以下) からアクセスしてください。

3.金融庁(東日本大震災関連情報)ツイッターについて

金融庁では、インターネット上のミニブログサービス「Twitter」で、東日本大震災関連の金融に関する情報をできるだけ速やかに、できるだけ分かりやすく皆様に提供しております。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトのトップページから「金融庁(東日本大震災関連情報)のTwitter」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


【トピックス】

「保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」の施行について

平成23年5月13日より、「保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成22年法律第51号。以下「平成22年改正法」といいます。)が施行されました。この施行に伴い、平成17年の保険業法等の一部を改正する法律(平成17年法律第38号。以下「平成17年旧改正法」といいます。)の公布日(平成17年5月2日。以下「公布日」といいます。)に特定保険業を行っていた団体等のうち一定の要件に該当するものについては、行政庁の認可を受けることにより、当分の間、公布日に行っていた特定保険業の範囲内でその事業の継続が可能となりました。

本稿では、「保険業法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令」、「認可特定保険業者等に関する命令」及び「認可特定保険業者向けの総合的な監督指針」について、その概要を紹介します。

  • (注)「保険業法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令」、「認可特定保険業者等に関する命令」及び「認可特定保険業者向けの総合的な監督指針」については、本年3月11日から4月10日までの間、パブリックコメントを実施し、28の個人及び64の団体から延べ444件のコメントを頂き、これらを踏まえて、本年5月13日に施行したところです。

保険業法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令の概要

保険業法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第33号)について、主に次のような改正を行っています。

  • 1.包括移転の対象から除かれる保険契約等

    • (1)保険契約の包括移転において、包括して移転しなければならない保険契約の対象から除かれる保険契約として、保険契約の移転の公告等のときに既に保険事故が発生している保険契約等を定めています。

    • (2)認可特定保険業者の解散等に係る認可をしない理由とならない保険契約として、解散等に係る認可の申請の日において既に保険事故が発生している保険契約等を定めています。

  • 2.合併において異議申立てによる弁済等の対象となる保険契約に係る権利

    合併において異議申立てによる弁済等の対象となる保険金請求権等の範囲について、合併の公告のときに既に生じている保険金請求権等に限る旨を定めています。

  • 3.保険契約の申込みの撤回等ができない場合

    保険契約の申込みの撤回等ができない場合として、申込者等があらかじめ日を通知して認可特定保険業者等の営業所等を訪問し、かつ、当該通知又は訪問の際に自己の訪問が保険契約申込みをするためのものであることを明らかにした上で、当該営業所等において申込みをした場合等を定めています。

  • 4.権限の委任

    内閣総理大臣から金融庁長官に委任された権限の一部を、認可特定保険業者の主たる事務所の所在地を管轄する財務局長等に委任しています。

認可特定保険業者等に関する命令の概要

内閣総理大臣及び旧公益法人の業務の監督に係る事務を所掌する大臣が共同で発する命令として、主に次のような事項を定めています。

  • 1.特定保険業の認可関係

    • (1)特定保険業を行っていた者と密接な関係を有する者の意義

      公布日に特定保険業を行っていた者(以下「旧特定保険業者」といいます。)と密接な関係を有する者として、申請者の目的及び役員構成等に照らして旧特定保険業者と実質的に同一と認められる一般社団法人又は一般財団法人を定めています。

    • (2)認可申請書の添付書類

      平成22年改正法による改正後の平成17年旧改正法(以下「平成17年改正法」といいます。)に定める認可申請書の添付書類のほか、登記事項証明書、三事業年度の事業計画書、最終の貸借対照表・損益計算書、社員又は設立者及び評議員の名簿等を定めています。

    • (3)特定保険業の実質的同一性を明らかにするために必要な事項

      平成17年改正法附則第2条第7項第2号の基準に適合することを明らかにするために必要な事項として、認可申請者等が公布日に現に行っていた特定保険業に係る保険の種類、保険契約者の範囲、被保険者又は保険の目的の範囲及び保険金の支払事由を定めています。

    • (4)事業方法書等の記載事項等

      事業方法書等に記載すべき事項として、保険の種類、保険契約者の範囲、被保険者又は保険の目的の範囲並びに保険金額及び保険期間に関する事項等を定めるとともに、その審査基準を定めています。

    • (5)財産的基礎に係る審査基準

      財産的基礎に係る審査基準として、純資産額が1,000万円以上であること、又はできる限り早期に純資産額を1,000万円以上とすることを目的とし、そのために必要と見込まれる措置を適切に講ずるものであること等の要件に適合する計画を有しており、かつ当該計画の達成が見込まれること、のいずれかに該当することを定めています。

  • 2.業務関係

    • (1)資産運用の方法

      資産運用の方法として、有価証券(国債、地方債、上場株式会社が発行する社債・株式等)の取得、預貯金、一定の金銭信託、生命保険契約の締結及びその他行政庁の承認を受けた方法等を定めています。

    • (2)業務運営に関する措置

      業務の健全かつ適切な運営を確保するために講ずべき措置として、その業務に係る重要事項の顧客への説明、その業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱い、その業務を第三者に委託する場合における当該業務の適切な遂行等の措置を定めています。

    • (3)保険代理業

      行政庁の承認を受けないで行うことができる保険代理業について、その範囲を定めています。

  • 3.経理等関係

    • (1)開示書類

      保険契約者等の縦覧に供する説明書類について、その記載事項等を定めています。

    • (2)契約者配当

      契約者配当及び契約者配当準備金について、その基準を定めています。

    • (3)価格変動準備金

      価格変動準備金の対象資産及びその積立基準等を定めています。

    • (4)責任準備金等/p»

      責任準備金及び支払備金について、その積立てに関する基準等を定めています。

    • (5)保険計理人の選任等

      保険計理人の選任を要しない認可特定保険業者の要件として、保険料積立金の積立てを要する長期の保険を引き受けないこと等を定めるとともに、保険計理人の関与事項、資格要件、確認業務等を定めています。

  • 4.募集関係

    保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為として、法定された一定の行為の禁止を免れる行為等を定めています。

  • 5.その他

    保険契約の包括移転、事業の譲渡又は譲受け、業務及び財産の管理の委託、解散、合併及び清算に関する制度の細目のほか、他業を行う場合の承認申請手続その他の申請に係る手続、書類の提出の手続、届出事項等について、所要の規定を定めています。

認可特定保険業者向けの総合的な監督指針の概要

平成22年改正法の施行に伴い、認可特定保険業者向けの総合的な監督指針を策定しています。監督指針の主な内容は以下のとおりです。

  • 1.認可特定保険業者の監督に関する基本的考え方

    • (1)平成22年改正法は、旧特定保険業者のうち、行政庁の認可を受けて特定保険業を行う者(認可特定保険業者)について、その業務の健全かつ適切な運営を確保すること等により、保険契約者等の保護を図ることを目的としています。

    • (2)。認可特定保険業者が行うことのできる特定保険業は、保険会社等が行う保険業と異なり、原則として公布日に行っていたものと同一のものでなければならないこと、認可特定保険業者が特定保険業を行うことができる期間は当分の間とされていること等を踏まえ、認可特定保険業者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保するための規制が定められており、本監督指針においては、監督事務に関する基本的な考え方、監督上の着眼点、具体的な監督手法等について体系的に整備しています。

    • (3)なお、これまでの経緯から、認可特定保険業者の実態はその態勢等の面で多種多様であることが予想されることから、本監督指針の適用にあたっては、各評価項目の字義通りの対応が行われていない場合であっても、必ずしも不適切とするものでないことに留意し、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要があります。

  • 2.認可特定保険業者の監督にあたっての評価項目

    • (1)経営管理(ガバナンス)

      認可特定保険業者の経営管理の有効性を次の観点から検証することとしています。

      • a.代表理事、理事及び理事会の責任、義務

      • b.監事による経営監視機能

      • c.内部監査部門の機能、独立性の確保

      • d.保険計理人の役割

      • e.保険計理関連業務の実施(※保険計理人の選任が義務付けられていない場合)

      • f.審査管理体制の充実強化 等

    • (2)財務の健全性

      認可特定保険業者の財務の健全性確保の為の管理態勢を次の観点から検証することとしています。

      • a.責任準備金等の積立ての適切性

      • b.早期警戒制度

      • c.区分勘定の設定

      • d.再保険に関するリスク管理態勢の適切性

      • e.保険引受リスク管理態勢の適切性

      • f.資産運用リスク管理態勢の適切性

      • g.流動性リスク管理態勢の適切性等

    • (3)業務の適切性

      認可特定保険業者の業務の適切性確保のための管理態勢を次の観点から検証することとしています。

      • a.法令等遵守態勢の適切性

      • b.保険募集態勢の適切性

      • c.苦情処理態勢の適切性

      • d.利用者に対する説明責任、保険金等支払管理態勢等の適切性

      • e.利用者等に関する情報管理態勢の適切性

      • f.反社会的勢力による被害の防止

      • g.事務リスク、システムリスク管理態勢の適切性 等

  • 3.認可特定保険業者の監督に係る事務処理上の留意点

    • (1)監督事務の流れ

      監督事務の流れについて、次のとおり留意点を記載しています。

      • a.オフサイト・モニタリングの主な留意点

      • b.監督部局間、検査部局との連携

      • c.内部委任(監督事務は原則として財務局に委任)等

      • d.認可特定保険業者に関する苦情・情報提供

      • e.法令解釈等の照会を受けた場合の対応 等

    • (2)認可特定保険業者に係る事務処理

      特定保険業の認可審査事務等における事務処理について、次のとおり留意点を掲載しています。

      • a.特定保険業の認可申請書の受理にあたっての留意点

      • b.特定保険業の認可の審査にあたっての留意点

        • ○旧特定保険業者と密接な関係を有する者に関する審査

          申請者が旧特定保険業者ではない場合、申請者がその密接関係者である一般社団法人等であるかを、確認することとしています。

        • ○特定保険業の実質的同一性に関する審査

          旧特定保険業者が公布日に行っていた特定保険業との実質的同一性を確認することとしています。

        • ○財産的基礎に関する審査

          特に純資産額が1,000万円に満たない場合には、当該改善計画の妥当性等を検証することとしています。

        • ○業務遂行能力に関する審査

          特定保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を有することを確認することとしています。

        • ○保険商品に関する審査

          普通保険約款、事業方法書並びに保険料及び責任準備金の算出方法書に記載された内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれがないか等を確認することとしています。

      • c.資産の運用方法の承認にあたっての留意点

        公布日に行っていた特定保険業に係る資産運用の状況等を勘案して保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ないものと認められるかを審査することとし、具体的には、当該運用方法を採ることについてやむを得ない理由があるか、当該運用に係る各種リスクに適切に対応できるものとなっているか等を確認することとしています。

      • d.他業の兼業承認等にあたっての留意点

        • ○特定保険業を適切かつ確実に行うにつき支障を及ぼすおそれがないかを審査することとしています。

        • ○他業を行う場合にあっては、特定保険業に係る会計と当該他業に係る会計が区分経理されているかを審査することとしています。

      • e.子会社の承認にあたっての留意点

        特定保険業の健全かつ適切な運営又は保険契約者等の保護の観点から問題がないかを審査することとしています。

      • f.定款変更の認可にあたっての留意点

        定款変更後においても、特定保険業の実質同一性が確保されるものとなっているか等を審査することとしています。

      • g.説明書類の作成・縦覧等 等

    • (3)行政指導等を行う際の留意点 等

    • (4)行政処分等を行う際の留意点

    • (5)意見交換制度

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令・主務省令案等に対するパブリックコメントの結果等について」(平成23年5月10日)にアクセスしてください。

また、認可特定保険業者に関してよくある質問をQ&A形式でまとめていますので、「報道発表資料」から「改正保険業法における認可特定保険業者について」(平成23年5月13日)にアクセスしてください。


「農業協同組合法に定める要請検査の実施に係る基準・指針」について

農林水産省及び金融庁では、昨年6月に閣議決定された「規制・制度改革に係る対処方針」を踏まえ、都道府県及び農林水産省と連携して農協に対する検査を行うための基準・指針(「農業協同組合法に定める要請検査の実施に係る基準・指針」)を共同で策定し、本年5月13日に公表しました。以下では、農業協同組合法に定める要請検査の実施に係る基準・指針の概要について説明します。

1.経緯

平成22年6月18日に閣議決定された「規制・制度改革に係る対処方針」において、「農協に対する金融検査」が挙げられ、「農協に対する金融庁(財務局)の検査体制の整備状況を踏まえつつ、金融庁が農協の信用事業の検査を円滑に実施するという観点から、例えば、預金量が一定規模以上の場合や、不祥事件の再発のような法令等遵守態勢・各種リスク管理態勢等の適切性が疑われる場合等、都道府県知事の要請の必要性等を含め、金融庁(財務局)及び農林水産省が都道府県と連携して検査を行うための基準・指針等を農林水産省・金融庁が共同で作成することによって、農協検査の実効性を高める」とされました。

農林水産省及び金融庁では、当該閣議決定等を踏まえ、農業協同組合法に基づき、都道府県の要請を受けて、都道府県、農林水産省及び金融庁の3者が連携して実施する検査(以下、「3者要請検査」という。)が促進されるよう、「農業協同組合法に定める要請検査の実施に係る基準・指針」を共同で策定しました。

2.基準・指針の内容

基準・指針においては、上記閣議決定を踏まえ、(1)都道府県知事が、イ.貯金量の規模が1,000億円以上の農協、ロ.貯金量の規模が当該農協の属する都道府県域に所在する農協の貯金量の平均以上の農協、に該当するか等を勘案し、地域の金融システム・経済に与える影響が大きいと考える農協、(2)不正・不祥事の再発が認められる農協がある場合には、都道府県知事から3者要請検査の要請がなされることを想定して、主務大臣は検査体制の整備に努めるものとされています。

3.3者要請検査の概要

3者要請検査は、都道府県から要請があり、かつ、主務大臣が、必要があると認める場合に行うこととされています。また、3者要請検査の範囲は、農業協同組合法の規定に基づき、「単位農協の信用事業に関する業務又は会計の状況」とされています。

3者要請検査においては、都道府県知事、農林水産省(検査部長等)及び金融庁(財務局長等)が、それぞれ検査責任者(主任検査官)を選任します。また、3者の協調、連携が適切に確保されるよう事前に3者で十分協議することとしています。さらに、各検査責任者(主任検査官)は、3者要請検査が緊密な連携の下で行われるよう、十分配慮し、業務を遂行することとしています。なお、農協に交付する検査書(検査結果通知書)は、都道府県知事、農林水産省(検査部長等)及び金融庁(財務局長等)の連名で発出することとしています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「農業協同組合法に定める要請検査の実施に係る基準・指針」の公表について」(23年5月13日)にアクセスしてください。


「自己資本比率規制(第1の柱及び第3の柱)に関する告示」の一部改正について

平成21年7月にバーゼル銀行監督委員会より公表された「バーゼル2の枠組み強化に関する最終文書」を受け、本邦においても銀行等に対する自己資本比率規制に係る告示の改正を行いました。本告示は国際合意に基づき、平成23年12月31日から適用します。

なお、証券会社の最終指定親会社に対する自己資本規制比率に関する告示についても同様の改正を行っています。

本改正のポイントは以下の通りです。

  • 1.銀行勘定における証券化商品の取扱いの見直し(第1の柱)

    • (1)再証券化エクスポージャーのリスク・ウェイトの引上げ

      証券化エクスポージャーを裏付資産とする証券化取引に係るエクスポージャー(再証券化エクスポージャー)については、そのリスクの複雑性等に鑑み、通常の証券化エクスポージャーと比較して1.1倍~3.5倍のリスク・ウェイトを賦課することを規定しました。ただし、経済実態を考慮して、以下の証券化取引については、再証券化取引には該当しないことを規定しました。

      • ○裏付資産プールが単一であり、証券化取引の前後でリスク特性が実質的に変更されていないもの。

      • ○中小企業の金融の円滑化を主たる目的とする証券化取引であって、国等が関与する等一定の要件を満たすもの。

    • (2)証券化エクスポージャーに係るモニタリング要件の導入

      外部格付に対する過度な依存を抑制するため、外部格付の利用に係るモニタリング体制の整備について以下のとおり規定しました。

      • ○包括的なリスク特性に係る情報を継続的に把握するために必要な体制の整備。

      • ○裏付資産について包括的なリスク特性及びパフォーマンスに係る情報を適時に把握するために必要な体制の整備。

      • ○証券化取引についての構造上の特性を把握するために必要な体制の整備。

  • 2.トレーディング勘定に係る追加規定(第1の柱)

    短期売買を目的とするトレーディング勘定については、今般の金融危機の要因の一つとなったことを受け、その取扱いの強化を、以下のように規定しました。

    • ○マーケット・リスク相当額の算出に内部モデル方式を採用している場合は、ストレスのかかったVaRを算出し、現行VaRに合算すること。

    • ○個別リスクの算出に内部モデル方式を採用する場合は、債券等についての追加的リスク(デフォルト・リスク及び格付遷移リスク)に係る自己資本賦課を算出すること。

    • ○証券化エクスポージャーについて、銀行勘定の自己資本賦課と同水準になるように計測すること。

    • ○その他、特定順位参照型クレジット・デリバティブ及びコリレーション・トレーディングに係る取扱い。

  • 3.開示事項の拡充(第3の柱)

    上記改正に伴い、金融機関の行う開示の項目についても、外部格付の使用に関するモニタリング体制及びその運用状況の開示並びに再証券化エクスポージャーの区分等を規定しました。


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