ディスカッションペーパー

17年度ディスカッションペーパー

2005年12月20日

  • 韓国における電子手形法の制定とその法理
    -韓国電子売掛債権制度との比較-
      金融研究研修センター専門研究員

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2005年8月11日

  • 格付け・財務データを用いた誘導型モデルによるデフォルト確率期間構造・回収率の同時推定
    安道 知寛   慶応義塾大学大学院経営管理研究科専任講師
    山下 智志   統計数理研究所 助教授
    (CRD運営協議会顧問
    金融研究研修センター特別研究員)

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2005年8月11日

  • 金融ADR制度の比較法的考察
    -英国・豪州・韓国の制度を中心に-
    杉浦 宣彦   金融研究研修センター研究官
      金融研究研修センター専門研究員
    横井 眞美子   ロンドン大学クィーン・メアリーカレッジ助教授

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ディスカッションペーパー要旨

韓国における電子手形法の制定とその法理
-韓国電子売掛債権制度との比較-

IT技術の発達による電子取引の進展は、個別取引の決済等のための手段である手形・小切手や、そのような有価証券に表彰された債権その他の債権の電子化のための検討にまで、その領域を広げてきている。いわゆる手形・小切手の電子化、債権の電子化の議論がそれである。

本稿は、そのような議論と関連して、最近成立した韓国の「電子手形法」の主要内容とその法理を紹介・検討したうえ、「債権の電子化」に関する実務の取組として導入された韓国の「電子売掛債権制度」との比較を試みることにより、日本における「電子債権」の法制化に向けた議論に、参考になる基礎資料を提供することを目的とするものである。電子手形の法理に関しては、既存の手形法理が有形物(紙)の占有やその移転を前提としていることから、電子的な方式による手形行為等の法理構成をいかにするかは、そのシステム構成とも関連して大きな問題である。このような点で韓国法は、どのような法理構成により既存手形法理との調和を図ろうとしているのかを考察する。また「電子売掛債権制度」については、その法理構成のために、民法上の指名債権の法理がどのように活用されているかを中心に考察する。この制度については、その法制化のための法案が国会審議中であり、これが成立した場合、韓国は電子手形と電子債権に関する2本立ての法制度が整備されることになる。現在日本の電子債権の法制化をめぐる議論においては、韓国の両制度を統合したような新たな制度作りの可能性が示されている。このような観点から、最後に本稿では、以上の考察を基に韓国の両制度を比較・分析し、その関係につき今後を展望する


格付け・財務データを用いた誘導型モデルによるデフォルト確率期間構造・回収率の同時推定

信用リスク計量化の重要性が認識されるにともない、将来のデフォルト確率や回収率を推計する数理モデルの開発が進められている。これらのモデルには、実績デフォルトデータを元にした統計モデルと、市場性のデータを元にした確率過程モデルがある。近年の研究ではデフォルト確率について、これらのモデルにより実用的な推定精度が得られている。しかし、信用リスク計量化の精緻化の要請から、デフォルト確率以外の変数についても推計する必要が認識されている。例えば、デフォルト確率(もしくはハザード)の期間構造や回収率、デフォルトの相関、エキスポ-ジャーの変動などである。本研究では、このうちハザードの期間構造と回収率の推計を対象とする。一般に、期間構造や信用リスク計測モデルのパラメータの推定は、社債金利の水準やボラティリティ、期間構造、企業の財務データ、格付情報などの多方面の情報を用いて行われる。しかし、パラメータ推計は各情報を分断して個別に推定されることから、これらの情報を効果的に活用できているとは必ずしもいえない。本稿は、このような情報を統合して、社債発行企業の特徴(格付け、財務情報)を考慮したハザードの期間構造、および格付けごとの回収率を同時推定する統計的モデリング手法を提案する。利用したモデルは誘導型モデルである。これを利用する利点としては、ファイナンス理論の特徴をいかしつつ、現実に観察される観測データの特性、つまり市場参加者の期待形成を反映・解釈できることにある。さらに、前述の情報統合のためにパラメータ推計方法やモデル選択手法にスプライン推計やBICの利用など、統計的な技巧を用いた。日本債券市場のデータをもとに、実証分析をおこない、インプライドに推定された金利の期間構造、ハザードの期間構造、回収率を検討した結果、提案手法の有用性が確認された。


金融ADR制度の比較法的考察
-英国・豪州・韓国の制度を中心に-

金融の自由化、IT化の進展により、多様かつ複雑な金融商品が増えている。また、低金利政策、ペイオフの解禁、窓口販売の拠点の拡大等により、庶民がリスク商品に接し、投資する機会も増えている。そのこと自体はわが国の金融市場の活性化には寄与している反面、金融機関と顧客・消費者(利用者)との間の苦情や紛争も増加の一途をたどってきている。このような中で、最近では、金融庁に設置されている金融トラブル連絡調整協議会において、金融業界と利用者が直接的な対話を通じてトラブル処理方法の一定のルール化を図るなど、裁判外紛争処理(解決)制度の具体的な活用が金融サービスにおいても議論されるようになっている。この背景には、政府における司法改革の流れの中での仲裁法(2003)や「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(2004)の制定が後押ししていることがある。  本論文は、以上のような事情を背景としつつ、事業者の自主規制としての民間型ADRにおいて豊富な経験を有している英国や豪州、複数の行政型ADRを提供している韓国について、それぞれのスキームの最近の変化を踏まえ、その実際を詳細に紹介し、さらに、3か国のスキームについての特徴を対比、分析することを通じて、わが国における金融ADRのあり方に関する議論に際して、参考になる基礎的資料を提供することを目的としたものである。

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