広報コーナー 第14号
 
柳澤金融担当大臣から鬼追・整理回収機構社長に対して信託兼営の認可書交付(平成13年8月31日)
 
<「証券市場の構造改革プログラム〜個人投資家が主役の証券市場の構築に向けて〜」及び「税制改正要望」について>


.はじめに
 去る8月8日、金融庁は「証券市場の構造改革プログラム〜個人投資家が主役の証券市場の構築に向けて」(以下「プログラム」)を発表した。
 証券市場の構造改革は、我が国経済の再生に必要不可欠な構造改革の重要な政策課題として位置づけられる。小泉総理の所信表明演説(5月7日)でその旨表明されたのに続いて、「骨太の方針」(「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」6月26日閣議決定)で、「個人投資家の市場参加が戦略的に重要であるとの観点から、その拡大を図るために、貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替えなどを踏まえ、税制を含めた関連する諸制度における対応について検討を行う。」とされている。
 プログラムは、「骨太の方針」を具体化し、証券市場の構造改革を総合的に行うため策定したものである。以下では、プログラム(金融庁ホームページに掲載)の考え方、概要等について解説する。
 なお、プログラム中の「個人投資家によるリスクキャピタル供給のための税制改革(要望)」については、8月末に、金融庁の「税制改正要望」において、「証券市場の構造改革のための税制措置」として、その他の税制改正要望とともに取りまとめ、対外公表および関係当局へ提出している。本稿では、「証券市場の構造改革のための税制措置」として示した具体的な要望内容も付記した。(詳細については、金融庁ホームページに「税制改正要望」の全文を掲載しているのでご参照されたい。)


.プログラムの考え方
 
(1 )我が国証券市場の現状等
 証券市場は、家計・企業等の資金運用と資金調達を直接的に結びつける機能を担う「国民共有の財産」(直接金融市場)であるが、我が国証券市場の現状をみると、○1,400兆円の個人金融資産に占める株式の割合は低く(我が国4.6%、米国18.7%、独国12.7%)、部門別株式保有比率における個人の比率は19.4%(12年度)にすぎず(45年度37.7%、元年度20.5%)、○個人金融資産の過半が預貯金に吸収されているため、我が国産業は負債に比べ過少資本の状況にある(企業の自己資本比率は我が国22%、米国37%)。

(2

)我が国「証券市場の構造改革」の必要性
 我が国経済においては、個人投資家自らが主体的に証券市場に参加し資産の効率的運用を図ることで、ベンチャー企業を含む成長企業に対するリスクキャピタルの供給等、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へと資金を移動させることにより、経済の構造改革が促進されることが必要不可欠である。このため、貯蓄尊重から投資重視への政策の力点の置換えなどを踏まえ、抜本的かつ総合的な「証券市場の構造改革」を進め、個人投資家の積極的な市場参加のための環境整備を図り、証券市場による直接金融の機能を高めることが喫緊の課題である。

(3

)個人投資家の市場参加の阻害要因
 4つの要因があると考えられる。○証券会社の不祥事等に起因する証券市場(証券会社・発行企業等)への信頼の欠如、市場インフラ(ルール)の不備、○個人投資家にとって個別株式よりも投資信託への投資がより馴染みやすいが、個人投資家にとって魅力ある投資信託市場の未成熟、○税制等を含め、投資重視の制度的枠組みの不備、○証券市場が国民共有の財産であるという文化の未定着等、投資文化の未成熟がある。

(4

)証券市場の構造改革の具体的課題
 4本柱により、個人投資家が主役の証券市場を構築する。○個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備、○個人投資家にとって魅力ある投資信託の実現、○個人投資家によるリスクキャピタル供給のための税制改革、○投資家教育である。


.プログラムの概要
 
(1 )個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備
 
 個人投資家の証券市場への信頼向上のために第1に重要なことは、市場仲介者である証券会社への根強い不信感を払拭することである。このため、証券会社の営業姿勢の転換に向けた方策を実施する。具体的には、行為規制違反に係る全行政処分の公表(従来から公表していた業務停止命令に加えて業務改善命令も全て公表)、個人投資家中心のビジネス・モデル構築の奨励、証券業協会による証券外務員の資質の定期的なチェックシステムの導入(3年毎の再講習の際に試験導入等)等を行う。
 第2に、行政による市場監視を強化する。具体的には、証券取引等監視委員会の個人投資家重視の監視行政のための人員増強(13年度定員は地方を含め265人。14年度の監視委員会本体の増員要求は112名<13年度定員122名をほぼ倍増>)、最近の行政処分にみられるような個人投資家を守るための厳格な行政処分の実施、金融機関のコングロマリット化等に対応してグループ全体の法令遵守・リスク管理態勢等をチェックするために検査局と証券取引等監視委員会の合同検査の実施等の連携強化等を行う。
 第3に、市場インフラを整備する。具体的には、目論見書の電子交付の促進(電子交付方法の多様化を図る内閣府令の改正案をパブリック・コメント済み)、株式投資単位の引下げの具体化(1株当たりの純資産額規制や単位株制度を廃止する改正商法の10月施行に合わせて、投資単位引下げに向けた発行会社の努力義務等を定める取引所等の規則改正)等を行う。
 第4に、自主規制機関(証券業協会・証券取引所)による市場監視を強化する。具体的には、証券業協会による証券外務員等の処分の公表の実施や苦情処理・紛争解決内容の積極的公表等を行い、証券会社の活動に対する規律付けを期する。
 第5に、発行企業の株主重視の経営姿勢の確立を促進する。具体的には、発行企業の決算短信におけるROE等の目標設定・向上に向けた具体的施策の公表(現在目標設定会社は1割強程度)、発行企業(取引所上場企業)の四半期短信による経営情報開示の促進(東証上場内国会社では100社程度(全体の5%程度)のみ実施。マザーズ・ジャスダック・ナスダックジャパンでは既に規則化)等を行う。

(2

)個人投資家にとって魅力ある投資信託の実現
 
 第1に、個人投資家にとって魅力ある投資信託の実現のための環境整備である。具体的には、投資家により分かりやすくするための目論見書の記載内容改善(内閣府令の改正)、投資信託の販売手数料等引下げに向けた目論見書の記載方法見直し(同)、上場投資信託(ETF)の範囲の拡大及び銀行によるETFの窓口販売に向けての環境整備等を行う。ETFは、緊急経済対策(4月6日)に基づき現物出資型の売買が7月から開始され、活発な取引が行われているように、投資家に対し、リアルタイムで少額かつ簡便に株価指数に対する投資を行い、長期・安定的な運用ニーズに応えることを可能とする利便性の高い魅力的な商品である。そこで、ETFの対象株価指数の拡大による商品の多様化(現行は租税特別措置法施行規則でTOPIX等の4種に限定)、現行の証券取引法施行令の下では銀行ができないETFの窓口販売に向けての環境整備等について、今後、具体的に詰めていく考えである。
 第2に、株式投資信託の税制改革(後述)を行い、第3に、投資信託協会によるメールマガジンの発刊等、投資家に対する広報の促進を行う。

(3

)個人投資家によるリスクキャピタル供給のための税制改革(要望)
 税制改革は金融庁としての要望の概略である。なお、本稿では、金融庁が「税制改正要望」の中で、「証券市場の構造改革のための税制措置」として示した具体的な要望内容をも付記した。
 
 株式等譲渡益課税の抜本的改革
 第1に、申告分離課税の改善である。株式等譲渡益課税については、現在、源泉分離課税(譲渡金額の1.05%)と申告分離課税(26%)の選択制となっており、平成15年4月に申告分離課税に一本化されることになっている。金融庁としては、現行の源泉分離課税制度が平成15年3月末までの措置であることを前提とした上で、申告分離課税について、譲渡損失の繰越控除制度の創設、税率引下げ、長期保有上場株式等に対する優遇策(100万円の特別控除)の拡充・恒久化(現行では15年3月末までの時限措置)等が必要であると考えている。
 
【金融庁の税制改正要望】
譲渡損失の繰越控除制度の創設……5年を限度とする繰越控除制度を創設
申告分離課税の税率引下げ…………現行26%を10%に引下げ
長期保有上場株式等に対する優遇…現行の長期保有上場株式等に係る少額譲渡益非課税制度(100万円の特別控除、15年3月末までの時限措置)について、恒久化したうえで、対象を上場株式等の譲渡益および適格株式投信(注)の収益分配金とし、特別控除枠を200万円に拡大。
 
(注 )平均50%以上の株式組み入れ比率を有する株式投信

 第2に、投資家にとって簡易な納税の仕組みの構築(申告不要制度の創設)であり、3つの案(譲渡金額への源泉徴収制度+少額申告不要制度、実譲渡益への源泉徴収制度+申告不要制度、少額譲渡益非課税制度)を示している。
 
【金融庁の税制改正要望】
3つの案については、関係者等と今後さらに協議し、具体的な内容について詰める。

 第3に、円滑な制度移行のための経過措置として、取得価格が不明な株式への経過措置、源泉分離課税の継続利用者を対象に、税率(譲渡金額1.05%)引上げの上(例えば譲渡金額の2%程度)、当分の間、源泉分離課税制度の利用を認める。後者は、現行の源泉分離課税制度が個人投資家の間で定着していること(全取引のうち約7割)から、個人投資家の証券市場からの離反を招かないよう、経過措置として設けるものである。
 
【金融庁の税制改正要望】
取得価格が不明な株式等(保護預り等の形で15年3月末までに取得されていることが明らかなもの)については、3月中の平均価格に1/1.0525をかける価格(源泉分離課税制度のもとで売却した場合に適用される取得価格)を取得価格とする。
15年4月以降当分の間、以下の仕組みの下で源泉分離課税制度の利用を認める。
 
1年毎の更新制とし、当該年の全取引に源泉分離課税を適用
1度申告分離課税を選択した者は源泉分離課税制度を選択できない
申告分離課税の税率の引下げに合わせて、源泉分離課税制度の税率を譲渡代金の2%程度に引上げ (現行は1.05%)


 配当課税の改善
 少額配当申告不要制度の限度額(1銘柄当たり年間10万円)引上げ等を行う。
 
【金融庁の税制改正要望】
現行の少額配当申告不要制度の適用範囲の拡大(配当額が年1回10万円以下から50万円以下まで拡大)
配当控除制度の控除率引下げ限度額を1000万円から2000万円へ引上げ


 株式投資信託の税制改革
 株式投資信託の収益分配金に対する現行の課税は、預貯金利子課税と同様20%の一律源泉分離課税とされているが、個人投資家にとって魅力ある投資信託を実現する観点から、源泉徴収課税の仕組みを維持した上で、投資家が申告した場合に、損益通算、損失繰越、長期運用の優遇を可能とする。
 
【金融庁の税制改正要望】
期中の収益分配金、解約、終了時の収益分配金(解約差益・償還差益)に対する源泉徴収の税率を現行の20%から10%に引下げ
源泉徴収の枠組みを維持しつつ、申告を行うことにより他の適格株式投信及び株式等の譲渡損益との損益通算を可能とする
1年超の長期保有の適格株式投信について、上場長期保有株式等の譲渡益と合わせて200万円の特別控除の対象とする
申告により株式と同様5年間の繰越控除を可能とする
ETF(株価指数連動型上場投資信託)の対象指数の拡大(現行3種類から投信法上のETF全てへ)


 高齢者貯蓄を経済活性化に役立たせるための贈与税の特例措置の創設
 個人金融資産の多くを高齢者(60歳以上が全体の5割弱、50歳以上が全体の75%)が保有しており、これをリスクキャピタルとして活用し、経済活性化に役立てるため、長期に株式等に投資する条件で親子間等贈与の贈与税の特例措置(親子間等の住宅取得資金の贈与に係る贈与税の特例措置と同様の5分5乗方式)を創設する。
 
【金融庁の税制改正要望】
親子間等の株式等の贈与について、5年間の時限措置として贈与後の長期(1年超)保有を条件に贈与税の特例(1500万円を限度に5分5乗方式で最大550万円まで非課税)を付与

(4

)投資家教育
 第4の柱は投資家教育である。我が国の投資文化を考えると、中長期的な観点からは、最も重要な柱といえ、一般投資家や学校教育向けに継続的な取組みが必要である。具体的な施策としては、金融庁のホームページにおける学校教育支援事業サイト(仮称)の新設や投資家向けQ&Aの拡充、個人投資家との意見交換会の開催等を行う。


.プログラムの進め方
 プログラムに盛り込まれた諸措置については、以下の方針で実行に移していく。○金融庁単独で実行可能な措置については、できるだけ早期に実行する。○金融庁が関係団体(取引所・証券業協会等)に検討を要請する事項については、金融庁から直ちに要請した上で、関係団体ができるだけ早期に結論を出すことを強く期待する。なお、繰り返しになるが、税制改革や証券取引等監視委員会の人員増強等については、8月末に金融庁として正式な税制改正要望、定員要求を関係当局に提出した。また、プログラムの項目毎の工程表については、8月29日に対外公表したところである(金融庁ホームページに掲載)。


.おわりに
 プログラムは、短期的な株価対策ではなく、総合的な「証券市場の構造改革」を行うことにより、証券市場による直接金融の機能を高め、「証券市場の活性化」のための環境整備を図ることを目的とするものである。従って、プログラムの目的を達成するためには、当面の取組みに加えて、その時々の証券市場の状況如何に大きく左右されることなく、中長期的観点からの息の長い地道な継続的取組みが必要である。証券市場に係わるすべての関係者(市場参加者、市場仲介者、行政当局、関係団体等)が、「国民共有の財産」である証券市場の健全な発展に向けて取組みを続けることが重要である。
 
 
「証券市場の構造改革プログラム」について(平成13年8月8日)
「平成14年度税制改正要望」について(平成13年8月29日)
「金融庁による改革工程表」について(平成13年8月29日)
 
   
<平成14年度機構定員・予算要求の概要について>


.はじめに
 「緊急経済対策」や「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(「骨太の方針」)で、不良債権問題の抜本的解決や証券市場の構造改革等が我が国の国政上の最重要課題となる中、金融庁では、これらの諸課題に迅速に対処するため、平成14年度機構定員・予算要求において、検査・監督・監視体制等の整備を行うこととしている。


.機構定員要求の内容
 平成14年度機構定員要求では、上記のような基本的考え方に基づき、全体で250人の増員等を行うこととしている。要求内容を各部局別に整理すると、以下のとおり。
 
(1 )証券取引等監視委員会
 証券取引等監視委員会では、証券市場の構造改革を進めるためには、行政による市場監視を強化し、個人投資家の証券市場への信頼を向上させることが不可欠であるとの基本的考え方に立って、以下の3つの施策に基本的な重点を置いて、検査等の実施部門の人員を倍増することとしている。
 
 EB(他社株券償還特約付社債券)等の新しい金融商品の出現やインターネットの急速な普及を踏まえ、個人投資家保護の観点から、証券会社に対する検査周期を短縮するなど検査体制を強化
 金庫株の導入などを踏まえ、相場操縦やインサイダー取引など不公正取引を未然に防止するため、日常的な市場監視体制を強化
 証券市場に対する個人投資家の信頼向上のため、市場の公正性を損ねるような証券犯罪を徹底的に摘発するため、犯則事件の調査体制を強化

(参考)証券取引等監視委員会の体制整備
 

(2

)検査局
 検査局では、不良債権問題の抜本的解決や証券市場の構造改革など骨太の方針に盛り込まれた事項の確実な実施、ペイオフ解禁やIT革命など金融環境の急激な変化を踏まえ、以下の4つの施策に基本的な重点を置いて、全体で86人の増員等を行うこととしている。
 
 不良債権処理を確実に進めるため、主要行に対して、「年1回検査」、「フォローアップ検査」を行い、自己査定の正確性について厳正な検証を実施
 ペイオフ解禁後の各金融機関の名寄せデータ整備状況の実態把握など
 証券市場の構造改革のため、全証券会社を概ね1.5年、投信会社を2年周期で検査できる体制を整備
 インターネットなどITを利用した新たなシステム業務・取引に対応するための検査体制を整備

(3

)監督局
 監督局では、ペイオフ解禁や異業種参入など金融環境の変化に的確に対応した監督体制を整備するとともに、不良債権の最終処理を促進するため、モニタリング・データの分析機能を強化し、分析結果を踏まえた監督指針の策定体制などを整備することとし、全体で31人の増員等を行うこととしている。

(4

)総務企画局
 総務企画局では、IT・金融テクノロジーの進展、金融コングロマリット、市場のグローバル化といった金融・経済を巡る情勢の急激な変化に的確に対応して金融制度の整備・改善等を行なうため、調査・研究体制の充実・強化や総合調整機能の強化など、企画・調整機能等を強化することとし、全体で21人の増員等を行うこととしている。

(参考)平成14年度定員要求
 
13年度末定員 14年度定員削減 14年度増員要求 増員後定員
総務企画局 225 21 246
検査局 360 ▲2 86 444
監督局 144 ▲1 31 174
監視委員会 122 ▲1 112 233
合計 851 ▲4 250 1,097


.予算要求の内容
 平成14年度予算要求では、既定予算の徹底した見直しを行い、上記の増員に伴う経費や、機動的な検査・監視の実施、海外当局との連携強化等を図るための経費を折り込み、総額131億円を要求することとしている(別紙1)。また、「構造改革特別要求」において、有価証券報告書等の電子開示システム(EDINET)の整備に必要な経費(473百万円)、証券総合システムの整備に必要な経費(393百万円)の総額9億円の要求を内閣官房へ提出することとしている(別紙2)。
 なお、預金保険機構に係る公的資金枠については、現行の70兆円の枠組みを維持することとし、53.4兆円の政府保証枠を要求することとしている。
 

(注

)70兆円−13兆円(交付国債)−3.6兆円(13年度までに発行される預保債(政府保証付債券))=53.4兆円

別紙1
平成14年度金融庁概算要求の概要
 
区分 平成13年度
当初予算額(A)
平成14年度
概算要求額(B)
対前年度増
△減額
(B−A)
対前年度伸び率
  百万円 百万円 百万円
(項)金融庁 13,307 12,986 △321 △2.4
人件費 8,547 9,333 787 9.2
その他 4,760 3,653 △1,107 △23.3
  検査監督等実施経費 755 767 12 1.6
検査監督事務等電算化経費 1,020 659 △360 △35.4
検査監督手法等調査・研修経費 116 99 △16 △14.2
金融制度等調査経費 250 235 △15 △5.9
審議会等運営経費 114 99 △15 △13.1
国際会議等出席経費 202 197 △4 △2.2
中央省庁等再編成経費 308 0 △308 皆減
その他 1,996 1,596 △400 △20.1
(項)経済協力費 177 133 △44 △24.8
合計 13,484 13,119 △365 △2.7
 
構造改革特別要求 866 866
 
再計 13,484 13,985 501 3.7
(注)1 .上記の構造改革特別要求の計数は、内閣官房に提出する額である。
.各々の計数を百万円未満で四捨五入したため、計数が符合しない場合がある。
 

別紙2

構造改革特別要求(「七分野」)の内容

平成14年度構造改革特別要求額           866百万円


.有価証券報告書等の電子開示システム(EDINET) 473百万円
 
 
個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備として、ディスクロージャーの充実・強化を図るためのEDINETの充実

 証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類の提出、縦覧等の手続きについて、インターネットを利用して行うシステムである。
 平成10年度からEDINETの開発・整備を進めており、本年6月より一部の機能について運用を開始したところである。今後も平成14〜15年度の政令等の整備に合わせて開示情報の対象を拡大していくとともに、システムの更なる充実を図っていくこととしている。
 平成14年度予算では、○セキュリティシステムの高度化、○国際的インターネット言語への対応等に必要な経費の要求としている。


.証券総合システム               393百万円
 
 
行政による市場監視の強化を図るための証券取引等監視委員会の証券総合システムの機能強化

 証券総合システムとは、証券会社検査、市場監視、証券行政等に幅広く利用できる業務システムである。
 平成14年度予算では、○時価情報検索システム(証券取引所及び店頭における全ての債券等の時価情報を証券取引所及び証券会社等からそれぞれ入手し、検索、加工等が可能となるシステム)の構築、○インターネット巡回監視システム(インターネット上のホーム ページ、掲示板の悪質な情報を検索・抽出し、24時間体制で監視するシステム)の機能拡張等に必要な経費の要求としている。
 
「平成14年度機構・定員及び予算要求」について(平成13年8月29日)

 
<平成13検査事務年度検査基本方針及び基本計画」について>

(はじめに)

 先般(7月30日)、「平成13検査事務年度検査基本方針及び基本計画」を公表した。この検査基本方針及び基本計画は、平成13検査事務年度(13年7月〜14年6月)における検査の実施方針や実施予定数を定めているものである。
 以下、金融検査のこれまでの実施状況や体制整備の状況について簡単に紹介したうえで、本事務年度の検査基本方針等のポイントについて解説する〔平成13検査事務年度検査基本方針及び基本計画(原文)は、ホームページの「報道発表等」のコーナーに掲載している〕。

I

.金融検査〜これまでの実績

《検査実施状況》
 


.平成10年6月の金融監督庁発足以来の検査の実施状況について紹介する。
 金融監督庁発足直後の平成10年7月に政府・与党が取りまとめた「金融再生トタルプラン(第2次とりまとめ)」において、「緊急的対応として金融監督庁は日本銀行と連携しつつ主要19行に対し集中的な検査を実施する」との方針が示された。これを踏まえ、平成10検査事務年度において、日本銀行と連携し、都市銀行9行、長期信用銀行3行、信託銀行7行の主要19行に集中的な検査を実施した。また、地方銀行64行、第二地方銀行60行についても、順次、集中検査を実施し、一巡した。
.金融監督庁発足2年目に当たる平成11検査事務年度においては、前事務年度に集中検査を実施した主要行等以外の業態についても検査頻度を高める必要があることから、保険会社については、資産内容等の実態把握のための集中検査を実施した。信用金庫についても同様の観点から順次検査を実施し、平成13年2月に立入検査を一巡した。さらに、平成11年7月1日に金融検査マニュアルを策定し、これを踏まえ、平成12年1月から主要行等については、同マニュアルに基づく検査を開始した。
.金融庁として新たにスタートした平成12検査事務年度においては、平成12年4月に都道府県から検査監督事務の移管を受けた信用組合に対して集中検査を実施し、平成13年3月に立入検査を一巡した。
.このほか、外国金融機関等についても、我が国への進出、我が国金融機関等との提携が増加していること等に鑑み、ルール遵守状況及びリスク管理状況等に重点を置いた検査を実施してきた。
 
《検査体制の整備について》

 金融監督庁検査部は164名体制からの立ち上げであったが、金融検査の重要性が高まるなかで、ここ3年の間に196名の検査局定員が増員された。これにより、金融庁検査局は360名体制となり、検査を業種・業態毎に担当する部門制を18部門に拡充し、専門的・効果的な検査の実現に向けての基盤整備を進めているところである。

II

.検査基本方針のポイント
 平成13検査事務年度の検査基本方針のポイントは、○緊急経済対策等への対応、○ペイオフ解禁への対応、○金融環境の変化への対応である。
 


.緊急経済対策等への対応
 「緊急経済対策」及び、いわゆる「骨太の方針」に示されているとおり、我が国の経済再生の第一歩として、不良債権問題の抜本的解決を図ることが喫緊の課題となっている。こうした観点から不良債権処理の前提となる自己査定の正確性を高めるため、主要行に対する検査を以下により強化する。
 
(1 )「年1回検査」の実施
 これまで2年に1回程度の頻度で実施してきた主要行に対する検査について、「年1回検査」の実施へ強化する。
(2 )「フォローアップ検査」の集中的実施
 上記に加え、金融検査マニュアルに基づく直近検査において当局が指摘した事項について、銀行の自己査定作業に的確に反映されているかどうかをチェックするため、自己査定作業時期に「フォローアップ検査」を集中的に実施する。
 
 具体的には、自己査定体制・基準、ディスクロージャー基準等に関する検査指摘事項の改善状況の検証や、前回検査で債務者区分の差異を指摘した先についてサンプルチェックを実施する。


.ペイオフ解禁への対応
 現在、我が国の金融システムは、厳正な検査・監督により一時期と比較して確実に安定性を取り戻しているが、平成14年4月からのペイオフ解禁を控え、より強固な金融システムを構築する必要がある。このため、以下により、効率的で実効性のある検査を実施する。
 
(1 )濃淡ある検査の実施
 金融機関の経営状況やオフサイト・モニタリングを通じて得られた情報等を踏まえ、検査頻度や検査内容に濃淡をつけた効率的で実効性の高い検査を実施する。
(2 )名寄せデータ整備状況の実態把握
 本年4月に施行された改正預金保険法により、名寄せのための各種預金者データやシステムの整備が金融機関に義務づけられたことを踏まえ、預金保険機構と連携し、預金口座名寄せのためのデータ整備状況等について検証する。
(3 )流動性リスク管理態勢の実態把握
 流動性危機時の対応策(コンティンジェンシープラン)の整備状況をはじめ、流動性リスク管理態勢の適切性について検証する。例えば、預金流出等の危機時の連絡・報告体制、対処方法(調達手段の確保)等が明確に定められているか、或いは、即時売却可能資産を常時把握しているか等をチェックしていく。


.金融環境の変化への対応
 時価会計の導入、インターネットを利用した金融取引の拡大、持株会社方式による経営統合の進展など、新しい金融環境に迅速かつ的確に対応した専門性の高い検査を実施する。
 
(1 )時価評価の適切性の実態把握
 平成13年4月より「その他有価証券」を含め、時価会計が完全実施されたことを踏まえ、有価証券の保有目的区分及び評価等の適切性について検証する。
(2 )インターネット取引に係るリスク管理態勢の実態把握
 拡大するインターネットを利用した金融取引の現状を踏まえ、システム・ダウン時の対応策の整備状況をはじめ、当該取引に係るリスク管理態勢について検証する。
(3 )金融グループ・コングロマリットの一体的な実態把握
 持株会社方式による経営統合など金融機関のグループ・コングロマリット化の流れを踏まえ、各業態を横断的に所管する当庁の特色を活かし、グループ全体としての法令等遵守態勢、リスク管理態勢について検証する。


.証券取引等監視委員会との連携強化等
 個人投資家の市場参加の促進等による市場の活性化を図るためには、証券市場に対する信頼の保持に向け、市場監視・検査体制の強化を図っていく必要がある。このため、証券取引の公正の確保に関して検査を実施している証券取引等監視委員会との連携を強化し、合同検査を原則とするなど、効果的な検査の実施に努める。
 さらに、平成13年10月1日以降、証券検査マニュアルを適用した検査を開始するとともに、投資信託委託業者及び投資顧問業者に係る検査マニュアルを策定する。

III

.検査基本計画のポイント
 平成13検査事務年度の検査実施予定数を定めた検査基本計画と12検査事務年度における実績との対比は、別表のとおりである。信用組合の集中検査が終了したことから、13検査事務年度においては、信用金庫・信用組合に対する検査実施予定数が減少している。一方、主要行に対する検査の強化や昨事務年度に必ずしも十分な頻度を確保できなかった業態に対する検査を増加させたことから、検査実施予定数は合計では増加となっている。
 なお、金融検査の透明性の向上を図る観点から、本事務年度より全業態について実施予定数を公表している(検査実施計画は、当初計画として設定しているものであり、金融機関等を取り巻く現下の厳しい経営環境下において適時の実態把握に的確に対応するため、弾力的な運用を行うこととしていることから、実施予定数は変動することがあり得る)。

(おわりに)
 この検査基本方針及び基本計画の公表により、金融検査に対する国民の一層の理解が得られ、金融行政に対する信頼の確立に繋がれば幸いである。また、こうした方針及び計画の着実な実施により、金融検査に対する国民の信頼が一層高まることを期待している。

【別表】検査計画と実績の対比
  平成13検査事務年度
実施予定数
12検査事務年度
実施数
平成12検査事務年度
実績との対比
  銀行 85行 56 29
信用金庫・信用組合 205金庫・組合 330 ▲125
労働金庫 10金庫 8 2
信農連・信漁連 10連合会 2 8
預金等受入金融機関計 310 396 ▲86
保険会社 15社 12 3
  証券会社 70社 48 22
投資信託委託業者 5社 5 0
投資顧問業者 30社 21 9
証券会社等計 105 74 31
  賃金業者 165社 120 45
前払式証票発行者 165社 134 31
抵当証券業者 10社 5 5
その他 10社 15 ▲5
その他の金融機関計 350 274 76
合 計 780 756 24
 
(注1 )検査事務年度とは、7月〜翌年6月までをいう。
(注2 )実施予定数が、僅少な業態は、合算して「その他」欄に記載。
 
 
「平成13年検査事務年度検査基本方針及び基本計画」(13年7月30日)
 
     
<主な出来事>(8月)
     
2日(金) 「13年3月期におけるリスク管理債権等の状況」について発表
「経営健全化計画の見直し等」について公表
「公認会計士試験(第3次試験)の施行について」及び「公認会計士試験第3次試験受験者心得」発表
6日(月) 「証券取引法施行令の一部を改正する政令の改正案」の公表(パブリック・コメント)
7日(火) 金融トラブル連絡調整協議会(第6回)
8日(水) 「証券市場の構造改革プログラム」について発表
「BIS規制見直しにかかるバーゼル委員会ワーキング・ペーパーについて(内部格付方式における保有株式の取扱い)」公表
投資信託委託業者の認可及び投資一任契約に係る業務の認可
「書面交付の電子化に係る証券会社に関する内閣府令等の改正案の概要」の公表(パブリック・コメント)
9日(木) シティバンク、エヌ・エイ在日支店に対する行政処分
13日(月) 「証券会社に関する内閣府令の一部改正案に係る概要」の公表(パブリック・コメント)
15日(水) 「上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令(仮称)(案)の概要」の公表(パブリック・コメント)
20日(月) INGベアリング証券会社東京支店に対する行政処分
「証券取引法施行令の一部を改正する政令(案)の概要」の公表(パブリック・コメント)
22日(水) 「株式会社イトーヨーカ堂及び株式会社セブン-イレブン・ジャパンの産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の変更認可について」発表
23日(木) 「検査要員(非常勤職員)の募集について」発表
24日(金) 朝銀関東信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
新潟商銀信用組合に対する管理の終了期限の延長
27日(月) 「証券取引法施行令等の一部を改正する政令案」の公表(パブリック・コメント)
28日(火) 「証券取引法第百六十一条のニに規定する取引及びその保証金に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案」の公(パブリック・コメント)
「バーゼル委員会が銀行の内部監査に関するペーパー」を公表
29日(水) 「平成14年度機構・定員及び予算要求について」発表
「平成14年度税制改正要望について」発表
「銀行等の株式保有制限及び株式取得機構について」発表
「金融庁による改革工程表について」発表
31日(金) (株)整理回収機構に対する信託兼営の認可