平成13年8月15日
金融庁

「上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令(仮称)」(案)の概要の公表について

金融庁では、証券取引法第162条の2の規定に基づき、「上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令(仮称)」を制定することとしており、その概要を別紙のとおりとりまとめましたので公表いたします。

これについて御意見がありましたら、平成13年8月31日(金)までに、氏名又は名称、所属及び理由を付記の上、郵便、FAX又はインターネットにより下記にお寄せ下さい。電話による御意見は御遠慮願います。

なお、いただいた御意見につきましては、氏名又は名称を含めて公表させていただく場合があるほか、個別には回答いたしませんので、あらかじめご了承下さい。

【御意見の送付先】

金融庁総務企画局市場課
〒100-8967 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館
ファックス:03-3506-6251
ホームページ・アドレス:http://www.fsa.go.jp/

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課 佐藤(内線3620)、戸塚(内線3625)

ご意見の募集は終了しました。ご協力ありがとうございました。


別紙)

「上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令(仮称)」(案)の概要

1. 目的

本年6月、金庫株の解禁等を盛り込んだ商法改正が行われたところである。

金庫株の解禁に当たっては、自己株式の売買に伴う相場操縦等により、我が国株式市場の公正性・健全性が損なわれないよう万全の措置が必要との観点から、自己株式の取得又は処分のうち内閣府令で定めるもの(以下「対象取引」という。)については、内閣府令に定める一定の要件を遵守すべき旨の規定が証券取引法に新設された。

これを受けて、今回内閣府令により対象取引及び自己株式の取得において遵守すべき一定の要件を定めるものである。

2. 内閣府令案の概要

  • (1)対象取引

    上場等株券の発行者である会社(以下「発行会社」という。)が行う商法第210条、第211条若しくは第211条ノ3の規定又はこれらに相当する外国の法令の規定(当該会社が外国会社である場合に限る。)による上場等株券の売買若しくはその委託等、信託会社等が信託契約に基づいて上場等株券の発行者である会社の計算において行うこれらの取引の委託等又は証券会社が行うこれらの取引の受託等その他の内閣府令で定めるものは、以下のものとする。

    • (a)発行会社による自己株券(発行会社が発行した上場等株券をいう。以下同じ。)の買付け又はその委託等

    • (b)信託会社等、投資顧問業者、証券会社(外国証券会社を含む。以下同じ。)が、発行会社の計算において行う自己株券の買付け又はその委託等

  • (2)自己株式の取得において遵守すべき一定の要件

    取引所有価証券市場又は店頭売買有価証券市場における上場等株券の相場を操縦する行為を防止するため、上場等株券の取引の公正の確保のため必要かつ適当であると認める事項として内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

    • (a)発行会社が取引所有価証券市場における自己株券の買付けの委託等を行う場合は、以下の要件を満たさなければならない。

      ア)証券会社の数 買付けが、1日に2以上の証券会社を通じて行われないこと。
      イ)買付けの時間 買付けの委託等に関する注文が、取引所有価証券市場の取引終了予定時刻の直前30分間以外の時間に行われていること。ただし、あらかじめ直前30分間に買付けを行うことを約して行う注文は、直前30分間に行われたものとみなす。
      ウ)買付けの価格 買付けの委託等に関する注文が、指値により行われ、かつ、直近価格を上回る価格による注文が反復継続して行われないこと。ただし、注文時の高値を上回る注文を行ってはならない。寄付きの注文は、前日の終値以下で行うこととする。
      エ)買付けの数量 1日に買付けの注文の行われる自己株券の数量(立会外売買に係るものを除く。)が、以下の( i )又は( ii )のいずれかの条件を満たしていること。
      • ( i ) 直前4週間の1日平均売買高の25%以内

      • ( ii ) 直前6か月の月間平均売買株数の区分に応じ、以下の売買株数。ただし、a.またはb.の場合は、直前4週間の1日平均売買高の50%を超えてはならない(当該売買高が3千株に満たない場合は3千株とする)。

        • a. 月間平均売買株数40万株以上の発行会社 1日に1万株まで

        • b. 月間平均売買株数20万株以上40万株未満の発行会社 1日に5千株まで

        • c. 月間平均売買株数20万株未満の発行会社 1日に3千株まで

        • (注)売買単位が1千株の場合

      • (注)証券取引所の会員等である発行会社が取引所有価証券市場における自己株券の買付けを行う場合についても上記の要件を満たさなければならないこととする。

    • (b)発行会社以外の者による自己株券の買付けの委託等

      発行会社以外の者が、(a)における買付けの要件の全部又は一部について発行会社の個別取引毎の指示を受けずに行う発行会社の自己株券の買付け又はその委託等を行う場合は、当該事項については、当該発行会社以外の者が要件を満たさなければならない。

    • (c)買付けの委託等の名義

      発行会社が買付けの委託等を行う場合は、自己の名義(信託銀行名義で行い、かつ自己株券の買付けである旨を明示して行う場合を除く。)において行うものとする。

    • (d)店頭売買有価証券市場について

      • ア)オークション銘柄 取引所取引の場合に準じた要件を定める。

      • イ)マーケットメイク銘柄 取引所取引の場合に準じた要件を定める。ただし、買付けの価格については、マーケットメイカーが気配を提示すること等、オークション取引と異なる面があることを踏まえ、次の要件を満たさなければならないこととする。

        買付けの価格: 買付けの委託等に関する注文が、指値により行われ、かつ、直近のマーケットメイカーが提示する売り気配の最安値として証券業協会が公表した価格(「最良売り気配」という。)を上回る価格による注文、又は自己株券の買付けに関する注文の直後に最良売り気配が上昇した場合における当該最良売り気配の価格で注文が反復継続して行われないこと。ただし、注文時の高値を上回る注文を行ってはならない。
      • (注) 証券業協会の協会員である発行会社が店頭売買有価証券市場における自己株券の買付けを行う場合についても上記の要件を満たさなければならないこととする。

    • (e)取引の公正の観点から適当と認められる取引方法

      (a)又は(d)の要件に従った買付けのほか、取引の公正の観点から適当と認められる取引方法として以下の要件を満たすもので、証券取引所又は証券業協会が適当と認めるものについては、当該方法により買付けを行うことができるものとする。

      • ア)前日終値以下の価格(マーケットメイク銘柄については、最良売り気配と最良買い気配の平均値以下)とすること。

      • イ)買付け価格及び買い付ける株券の数等について事前公表を行うこと。

      • ウ)株主間の公平が確保される方法であること。

      • エ)当該買付け日においては当該方法のみで買付けを行うこと。ただし、当該方法により買い付けた株数が、イ)により事前公表した株数に満たなかった場合は、当該満たなかった株数の範囲内において、(a)又は(d)の要件に従った買付けをすることができる。

3. 施行期日

改正商法の施行の日から施行する。


(参考)

証券取引法(抄)

  • 第百六十二条の二 内閣総理大臣は、証券取引所に上場されている株券又は店頭売買有価証券に該当する株券(以下この条において「上場等株券」という。)の発行者である会社が行う商法第二百十条、第二百十一条若しくは第二百十一条ノ三の規定又はこれらに相当する外国の法令の規定(当該会社が外国会社である場合に限る。)による上場等株券の売買若しくはその委託等、信託会社等が信託契約に基づいて上場等株券の発行者である会社の計算において行うこれらの取引の委託等又は証券会社が行うこれらの取引の受託等その他の内閣府令で定めるものについて、取引所有価証券市場又は店頭売買有価証券市場における上場等株券の相場を操縦する行為を防止するため、上場等株券の取引の公正の確保のため必要かつ適当であると認める事項を内閣府令で定めることができる。

商法(抄)

  • 第二百十条 会社ガ自己ノ株式ヲ買受クルニハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外定時総会ノ決議アルコトヲ要ス

  • (2)前項ノ決議ハ左ニ掲グル事項ニ付之ヲ為スコトヲ要ス

    • 決議後最初ノ決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時迄ニ買受クベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額

    • 特定ノ者ヨリ買受クルトキハ其ノ者

  • (3)前項第一号ノ取得価額ノ総額ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十条第一項各号ノ金額及定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ

  • (4)第一項ノ定時総会ニ於テ第二百八十九条第二項又ハ第三百七十五条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ於ケル前項ノ規定ノ適用ニ付テハ同項中「金額及」トアルハ「金額ヨリ第二百八十九条第二項ノ決議ニ依リ減少スベキ準備金ノ額及第三百七十五条第一項ノ決議ニ依リ減少スベキ資本ノ額ヲ控除シタル額並ニ」トス

  • (5)第二項第二号ニ定ムルトキハ第一項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依リ之ヲ為スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第二百四条ノ三ノ二第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス

  • (6)第一項ノ決議ヲ為ス場合ニ於ケル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス第二項第二号ニ掲グル事項ニ関スル議案ノ要領ヲ記載スルトキハ次項ノ規定ニ依ル請求アリ得ベキコトヲモ記載スルコトヲ要ス

  • (7)株主ハ第二項第二号ニ掲グル事項ニ関スル議案ノ要領ガ記載サレタル前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ取締役ニ対シ会日ヨリ五日前ニ書面ヲ以テ其ノ事項ニ係ル議案ヲ売主ニ自己ヲモ加ヘタルモノト為スベキコトヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百五十六条ノ三第六項ノ規定ヲ準用ス

  • (8)第一項ノ決議ニ基キ株式ヲ買受クルニハ市場ニ於テスル取引又ハ証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二章の二第二節ニ定ムル公開買付けノ方法ニ依ルコトヲ要ス但シ第二項第二号ニ掲グル事項ニ付決議アルトキハ此ノ限ニ在ラズ

  • 第二百十一条 会社ガ有スル自己ノ株式ヲ処分スル場合ニ於テハ左ノ事項ハ取締役会之ヲ決ス但シ本法ニ別段ノ定アルトキ又ハ定款ヲ以テ株主総会ガ之ヲ決スル旨ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

    • 処分スベキ株式ノ種類及数

    • 処分スベキ株式ノ価額及払込期日

    • 特定ノ者ニシテ之ニ対シ特ニ有利ナル価額ヲ以テ株式ヲ譲渡スベキモノ並ニ之ニ対シ譲渡ス株式ノ種類、数及価額

  • (2)株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ前項第一号及第二号ニ掲グル事項ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス

  • (3)第百七十五条第一項第三項乃至第五項、第百七十六条、第百七十七条第二項、第百七十八条、第百九十条、第二百八十条ノ二第二項乃至第五項、第二百八十条ノ三、第二百八十条ノ三ノ二、第二百八十条ノ六、第二百八十条ノ七、第二百八十条ノ九乃至第二百八十条ノ十一及第二百八十条ノ十五乃至第二百八十条ノ十八ノ規定ハ第一項ノ決議ニ基キ株式ヲ処分スル場合ニ、第二百八十条ノ二第三項及第四項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス但シ第一項第三号ニ掲グル事項ニ付決議アル場合ハ第二百八十条ノ三及第二百八十条ノ三ノ二ノ規定ハ之ヲ準用セズ

  • 第二百十一条ノ三 会社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得

  • (2)前項ノ決議ハ買受クルベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額ニ付之ヲ為スコトヲ要ス

  • (3)前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十三条ノ五第三項各号ノ金額及同条第一項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ

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