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.経緯等 銀行等の株式保有制限及び株式取得機構については、緊急経済対策(平成13年4月6日)において、「我が国金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていくためには、(中略)銀行の保有する株式の価格変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内に留めることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため、株式保有制限の在り方に関する制度整備を行う必要がある。(中略)他方、こうした施策に伴う銀行の株式放出が短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあり、こうした観点から公的な枠組みを用いた一時的な株式買取りスキームを設けることとする。」とされたことを踏まえ、検討が行われることとなった。 銀行等の株式保有制限に関しては、金融審議会金融分科会第二部会において審議が行われ、6月26日、「銀行の株式保有に関する報告」が取りまとめられた。また、株式取得機構に関しては、銀行等の株式保有制限と並行して、金融庁において検討を進め、同日、「銀行保有株式取得機構(仮称)について」を発表した。 更に、関係各方面の意見を踏まえつつ検討がなされ、8月29日、「銀行等の株式保有制限及び株式取得機構について」として、より詳細なスキームが公表され、9月28日に、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案」が国会に提出された。同法案は、11月1日に衆議院で可決され、同月21日に参議院で可決され、成立した(同月28日公布)。 |
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.法律の目的 この法律の目的は、第一に、我が国の銀行等が相当程度の株式を保有しているため、株価の変動が銀行等の財務面の健全性、ひいては銀行等に対する信認や金融システムの安定性に影響を与えかねないことに鑑み、銀行等の株式保有を制限し、適正な規模に縮減していくことにある。 また、この株式保有制限の導入に伴い、銀行等は一定期間に相当程度の株式を処分する必要があるが、このことが短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もある。このため、市場売却を補完するセーフティネットとして銀行等保有株式取得機構(以下「機構」という。)を設立し、銀行等の株式処分が円滑に進められるようにすることが、この法律の第二の目的である。 |
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.法律の概要 「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」の概要は、以下のとおりである。なお、法律に規定されている事項以外の事項についても、必要に応じて、補足する。 |
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.今後の予定 この法律の概要は以上のとおりであるが、所要の政令等を制定の上、銀行等保有株式取得機構に関する部分については、来年1月4日から施行することを予定している。 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律 |
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はじめに 平成13年11月26日(月)、金融庁、日本証券業協会、(株)東京証券取引所が共催して「投資コンファレンス〜魅力ある証券市場をめざして〜」が、東京証券会館8階ホールにおいて開催された。 この「投資コンファレンス〜魅力ある証券市場をめざして〜」は、「証券市場の構造改革プログラム」(13年8月8日金融庁発表)の柱の一つとして盛り込まれている投資家教育の推進の一環として、魅力ある証券市場を構築するために行政当局や自主規制団体等が取り組んでいる様々な施策等について分かりやすく説明するとともに、会場参加者と行政当局や自主規制団体との意見交換を行い、今後の諸施策の参考とするために開催されたものである。 コンファレンスの模様 コンファレンスには、村田吉體煌t府副大臣(金融担当)、三國谷勝範金融庁総務企画局審議官、橋厚男日本証券業協会副会長、金原策太郎(株)東京証券取引所専務取締役、瀧澤泉証券取引等監視委員会事務局次長が出席し、佐賀卓雄(財)日本証券経済研究所主任研究員の司会の下で進められ、冒頭、村田副大臣から開会挨拶があった後、各講演者からそれぞれの魅力ある証券市場を構築するために行っている取組みについて講演が行われ、その後、会場の参加者と村田副大臣や各講演者等との間で意見交換が行われた。 村田副大臣からは、金融庁が「証券市場の構造改革プログラム」を発表するに至った経緯やその概要、投資信託の魅力ある新商品としてのETFの紹介、今回の証券税制改正の概要を盛り込んだ開会の挨拶があった。 講演では、まず、三國谷金融庁総務企画局審議官から「証券市場の構造改革について」とのテーマの下、我が国の金融システム改革(日本版ビッグバン)として実施されてきた証券会社の免許制から登録制への移行や株式売買委託手数料の自由化、金融商品販売法の施行等、これまでの証券市場の構造改革に向けての動きについて説明したほか、今臨時国会で可決成立した証券税制改正(申告分離課税の見直し、緊急投資優遇措置等)について解説が行われた。 次に、橋日本証券業協会副会長から「証券会社の信頼性向上と親しみやすい証券投資の実現に向けて」とのテーマの下、証券会社の営業姿勢の健全化に向けて日本証券業協会が定めた「21世紀における証券会社の基本指針」の内容について説明が行われたほか、日本証券業協会が取り組んでいる証券取引に関する相談・あっせん制度や、投資クラブ制度の説明が行われた。 続いて、金原東京証券取引所専務取締役から「証券市場の魅力向上と個人投資者層の拡大について」とのテーマの下、証券市場の魅力向上及び個人投資者層の拡大に向けた具体的な取組みとして、「株式投資単位の引下げ促進に向けたアクション・プログラム」の内容について、具体的な実例を挙げつつ説明が行われたほか、上場された新商品として不動産投資信託証券(REIT)の紹介が行われた。 最後に、瀧澤証券取引等監視委員会事務局次長から「証券取引等監視委員会の活動状況と今後の方針」とのテーマの下、証券取引等監視委員会の組織や最近の活動状況(犯則事件の調査・告発、検査、取引審査等)について説明が行われたほか、現在証券市場に存在する3つの不信(市場仲介者に対する不信、市場参加者に対する不信、監視当局への不信)に対し、個人投資家の保護を体制の最大の目標として活動するとの方針(13年7月証券取引等監視委員会委員長談話)について説明が行われた。 講演に引き続き行われた会場の参加者との意見交換においては、参加者より「投資家の自己責任原則と投資家保護の調和を図っていくなかで投資家が自己責任を負うべき範囲をどのように考えるのか」、「今後、投資クラブの育成に向けてどのような制度改正等を行っていくのか」、「証券税制改革に関し、配当金課税は見直さないのか」等の質問や意見表明があり、村田副大臣や各講演者等から回答する等、活発な意見交換が行われた。 おわりに 今回の投資コンファレンスは、行政当局や自主規制団体から、直接一般投資家に対し施策等を説明するとともに、その意見を聞かせて頂く貴重な機会となった。また、コンファレンス終了後の参加者アンケートにおいても様々な意見を頂くことができ、有意義なものであった。 |