広報コーナー 第16号
 
<ペイオフ広報(TBSラジオ『グッドモーニングジャパン』)の収録をする村田副大臣>

− パーソナリティの女優の東ちづるさんと −

 ペイオフ広報については、平成14年4月の解禁をひかえ、預金保険制度にかかる誤解や、不知による無用の混乱を起こさないよう、広く国民に制度の内容を理解してもらうため、テレビ、ラジオといったマスメディアを使った政府広報を活用したり、財務局を通じ身近な広報媒体としての地方公共団体の広報誌への記事の掲載依頼をするなど積極的な広報活動を進めている。

 
<銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律について>


.経緯等
 銀行等の株式保有制限及び株式取得機構については、緊急経済対策(平成13年4月6日)において、「我が国金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていくためには、(中略)銀行の保有する株式の価格変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内に留めることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため、株式保有制限の在り方に関する制度整備を行う必要がある。(中略)他方、こうした施策に伴う銀行の株式放出が短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあり、こうした観点から公的な枠組みを用いた一時的な株式買取りスキームを設けることとする。」とされたことを踏まえ、検討が行われることとなった。
 銀行等の株式保有制限に関しては、金融審議会金融分科会第二部会において審議が行われ、6月26日、「銀行の株式保有に関する報告」が取りまとめられた。また、株式取得機構に関しては、銀行等の株式保有制限と並行して、金融庁において検討を進め、同日、「銀行保有株式取得機構(仮称)について」を発表した。
 更に、関係各方面の意見を踏まえつつ検討がなされ、8月29日、「銀行等の株式保有制限及び株式取得機構について」として、より詳細なスキームが公表され、9月28日に、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案」が国会に提出された。同法案は、11月1日に衆議院で可決され、同月21日に参議院で可決され、成立した(同月28日公布)。


.法律の目的
 この法律の目的は、第一に、我が国の銀行等が相当程度の株式を保有しているため、株価の変動が銀行等の財務面の健全性、ひいては銀行等に対する信認や金融システムの安定性に影響を与えかねないことに鑑み、銀行等の株式保有を制限し、適正な規模に縮減していくことにある。
 また、この株式保有制限の導入に伴い、銀行等は一定期間に相当程度の株式を処分する必要があるが、このことが短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もある。このため、市場売却を補完するセーフティネットとして銀行等保有株式取得機構(以下「機構」という。)を設立し、銀行等の株式処分が円滑に進められるようにすることが、この法律の第二の目的である。


.法律の概要
 「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」の概要は、以下のとおりである。なお、法律に規定されている事項以外の事項についても、必要に応じて、補足する。
 


銀行等による株式等の保有の制限
 

(1)

 銀行等(銀行、長期信用銀行、農林中央金庫及び信金中央金庫をいう。)及びその子会社等は、当分の間、株式その他これに準ずるもの(以下「株式等」という。)については、合算して、その自己資本に相当する額(以下「株式等保有限度額」という。)を超える額を保有してはならない。銀行持株会社及び長期信用銀行持株会社についても、同様とする。
 

(注

)この規定は、連結ベースで株式等の保有総額が株式等保有限度額を超えてはならないという趣旨であるが、その場合における株式の評価方法など、必要な事項は主務省令で定めることとされている。主務省令においては、
 
株式については、子会社・関連会社株式、未公開企業の株式及びデット・エクイティ・スワップにより取得した株式は制限対象から除かれる一方、一部の信託など、個別株式の保有と同等と考えられるものについては、制限対象に含まれること、
株式等は時価で評価し、株式等の保有総額の計算に当たっては、評価益が生じている場合には、これを控除すること、
株式等保有限度額は、自己資本比率規制上の自己資本のうち基本的項目(Tier1)とすること
  などを定める予定である。

(2)

 (1)の規定は、平成16年9月30日から適用する。ただし、一定以上の株式等を保有している銀行等については、当該銀行等の業務の適正な運営を損なうおそれがある場合その他のやむを得ない理由があるものとして、主務大臣の承認を受けたときは、その適用を最大2年間猶予する。


銀行等保有株式取得機構
 

(1)

 総則・会員
 機構は、一を限り設立される認可法人とする。機構の会員資格を有する者は銀行等に限られる(銀行等が機構に参加するか否かは任意である)。

(2)

 設立
 機構を設立するためには、10以上の銀行等が発起人となり、創立総会を経て、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。機構の当初拠出金は、100億円を下回ってはならない。

(3)

 管理
 機構の業務は、理事長及び理事が執行し、監事が監査する。また、金融に関して専門的な知識・経験を有する者等で構成される運営委員会を設置し、機構の業務運営に関する重要事項を審議する。

(4)

 業務等
 
i  機構は、会員の保有する株式の買取り及び買い取った株式の管理・処分、会員の保有する株式の売付けの媒介等の業務を行うものとする。株式の買取り及び株式の売付けの媒介は、平成18年9月30日までに限り行うことができる。

ii

 機構に一般勘定(ETF・投資信託の組成等のための買取りを行う勘定)及び特別勘定(セーフティネットとしての買取りを行う勘定)を設ける。
 

(注

)一般勘定における買取りスキームは、概ね以下の通りである。
 
まず、ETF等を組成する証券会社又は自己株式の取得を希望する事業会社の依頼に基づき、機構が会員に対して株式の売却を勧誘する。
会員がそれに応じて、機構に対して株式の売却を行う(機構による買取資金には政府保証は付さない)。
機構は買取り後ごく短期間のうちに証券会社又は事業会社に株式を売却することとするので、基本的には機構に損益は発生しない。
仮に機構に損益が発生した場合には、全て株式を売却した会員に帰属させる。

iii

 特別勘定による株式の買取り(特別株式買取り)を行うに当たっては、まず、運営委員会が買取期間を定めて議決することを要する。この議決があってはじめて機構は特別株式買取りを開始することになる。

iv

 特別株式買取りの対象となる株式は、一定の要件を満たす株式に限られ、株式を売却した会員は、売却時拠出金として、売却額の100分の8を機構に納付しなければならない。
 

(注

)買取対象株式は、国内上場株式又は店頭登録株式であって、あらかじめ指定した格付機関からBBBマイナス格相当以上の格付けを取得している企業(無格付であっても同様の信用力があると認められる企業を含む)が発行したものに限る。また、各会員が平成13年3月末時点で保有していた各銘柄の株式数を限度とする。

v

 特別株式買取りのための資金は民間金融機関からの借入れ又は債券の発行により調達されるが、当該借入れ又は債券には政府保証を付することができる。
 

(注

)特別株式買取りの限度額は当面2兆円を予定している。なお、機構設立後の銀行等の市場及び機構への株式売却動向等を踏まえ、必要があれば見直しを行う。

vi

 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、信託銀行等に業務の一部を委託することができる。
 

(注

)機構は、買い取った株式を信託銀行に委託して保有することを予定している。当該株式の議決権については、機構が議決権行使に関する基本的考え方を示し、それに基づいて信託銀行が策定するガイドラインに従って、信託銀行が行使する。また、この株式については、運営委員会が策定する処分方針に基づいて、信託銀行が処分を行う。

(5)

 監督
 内閣総理大臣及び財務大臣は、機構に対し監督上必要な命令をすることができるほか、立入検査を行うことができる。

(6)

 解散等
 
i  機構の存続期間は、設立後10年とする。買取期間経過後、買い取った株式をすべて処分した場合においても、解散する。

ii

 機構の解散時において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、当初拠出金の額と売却時拠出金の額の合計額(一般勘定に利益が生じた場合にはこれを加え、損失が生じた場合にはこれを控除した額)の2倍を上限として、次の順序に従って会員に対する財産の分配を行う。
 一 当初拠出金の返還
 二 売却時拠出金の返還
 三 当初拠出金の拠出者に対する配当
 四 売却時拠出金の拠出者に対する配当さらに残余があるときは、国庫に納付するものとする。

iii

 機構の解散時において、その財産(拠出金を含む)をもって債務を完済することができないときは、政府は、当該債務を完済するために要する費用を補助することができる。


.今後の予定
 この法律の概要は以上のとおりであるが、所要の政令等を制定の上、銀行等保有株式取得機構に関する部分については、来年1月4日から施行することを予定している。

 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律

 

 

<投資コンファレンス〜魅力ある証券市場をめざして〜>
 

はじめに
 平成13年11月26日(月)、金融庁、日本証券業協会、(株)東京証券取引所が共催して「投資コンファレンス〜魅力ある証券市場をめざして〜」が、東京証券会館8階ホールにおいて開催された。
 この「投資コンファレンス〜魅力ある証券市場をめざして〜」は、「証券市場の構造改革プログラム」(13年8月8日金融庁発表)の柱の一つとして盛り込まれている投資家教育の推進の一環として、魅力ある証券市場を構築するために行政当局や自主規制団体等が取り組んでいる様々な施策等について分かりやすく説明するとともに、会場参加者と行政当局や自主規制団体との意見交換を行い、今後の諸施策の参考とするために開催されたものである。

コンファレンスの模様
 コンファレンスには、村田吉體煌t府副大臣(金融担当)、三國谷勝範金融庁総務企画局審議官、橋厚男日本証券業協会副会長、金原策太郎(株)東京証券取引所専務取締役、瀧澤泉証券取引等監視委員会事務局次長が出席し、佐賀卓雄(財)日本証券経済研究所主任研究員の司会の下で進められ、冒頭、村田副大臣から開会挨拶があった後、各講演者からそれぞれの魅力ある証券市場を構築するために行っている取組みについて講演が行われ、その後、会場の参加者と村田副大臣や各講演者等との間で意見交換が行われた。

 村田副大臣からは、金融庁が「証券市場の構造改革プログラム」を発表するに至った経緯やその概要、投資信託の魅力ある新商品としてのETFの紹介、今回の証券税制改正の概要を盛り込んだ開会の挨拶があった。
 講演では、まず、三國谷金融庁総務企画局審議官から「証券市場の構造改革について」とのテーマの下、我が国の金融システム改革(日本版ビッグバン)として実施されてきた証券会社の免許制から登録制への移行や株式売買委託手数料の自由化、金融商品販売法の施行等、これまでの証券市場の構造改革に向けての動きについて説明したほか、今臨時国会で可決成立した証券税制改正(申告分離課税の見直し、緊急投資優遇措置等)について解説が行われた。
 次に、橋日本証券業協会副会長から「証券会社の信頼性向上と親しみやすい証券投資の実現に向けて」とのテーマの下、証券会社の営業姿勢の健全化に向けて日本証券業協会が定めた「21世紀における証券会社の基本指針」の内容について説明が行われたほか、日本証券業協会が取り組んでいる証券取引に関する相談・あっせん制度や、投資クラブ制度の説明が行われた。
 続いて、金原東京証券取引所専務取締役から「証券市場の魅力向上と個人投資者層の拡大について」とのテーマの下、証券市場の魅力向上及び個人投資者層の拡大に向けた具体的な取組みとして、「株式投資単位の引下げ促進に向けたアクション・プログラム」の内容について、具体的な実例を挙げつつ説明が行われたほか、上場された新商品として不動産投資信託証券(REIT)の紹介が行われた。
 最後に、瀧澤証券取引等監視委員会事務局次長から「証券取引等監視委員会の活動状況と今後の方針」とのテーマの下、証券取引等監視委員会の組織や最近の活動状況(犯則事件の調査・告発、検査、取引審査等)について説明が行われたほか、現在証券市場に存在する3つの不信(市場仲介者に対する不信、市場参加者に対する不信、監視当局への不信)に対し、個人投資家の保護を体制の最大の目標として活動するとの方針(13年7月証券取引等監視委員会委員長談話)について説明が行われた。
 講演に引き続き行われた会場の参加者との意見交換においては、参加者より「投資家の自己責任原則と投資家保護の調和を図っていくなかで投資家が自己責任を負うべき範囲をどのように考えるのか」、「今後、投資クラブの育成に向けてどのような制度改正等を行っていくのか」、「証券税制改革に関し、配当金課税は見直さないのか」等の質問や意見表明があり、村田副大臣や各講演者等から回答する等、活発な意見交換が行われた。

おわりに
 今回の投資コンファレンスは、行政当局や自主規制団体から、直接一般投資家に対し施策等を説明するとともに、その意見を聞かせて頂く貴重な機会となった。また、コンファレンス終了後の参加者アンケートにおいても様々な意見を頂くことができ、有意義なものであった。

 
<主な出来事>(11月)
     
1日(木) 外国銀行(國民銀行)支店に対する銀行業の営業免許
日本生命保険相互会社に対する行政処分(業務改善命令)
日米財務金融対話(於ワシントン)
2日(金) 大栄信用組合、東京富士信用組合及び中津川信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
6日(火) 「BIS規制見直しにかかる第二次数量的インパクト調査結果及び今後の追加調査について」公表
7日(水) 顧問会議開催(第19回)
8日(木) 第12回自動車損害賠償責任保険審議会懇談会・第2回金融審議会自動車損害賠償責任保険制度部会との合同懇話会開催
「ジョイント・フォーラムが銀行・証券・保険の比較調査に関するレポート」公表
9日(金) 企業会計審議会固定資産部会開催(第17回)
網走信用組合、岩手信用組合及び宮城県中央信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
10日(土) 大臣、「タウンミーティングイン千葉」に出席
副大臣、「タウンミーティングイン沖縄」に出席
11日(日) 大臣、「タウンミーティングイン茨城」に出席
12日(月) 信用組合高知商銀に係る管理を命ずる処分の取消し
13日(火) 「タリバーン関係者等と関連すると疑われる取引の届出について(追加要請その3)」発表
15日(木) 「自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律の施行等に伴う政令、省令及び関係通達等の制度及び改正並びに支払基準の制定」の公表(パブリック・コメント)
「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令等案の概要」の公表(パブリック・コメント)
16日(金) 企業会計審議会第二部会開催(第23回)
つばさ証券株式会社に対する行政処分(業務改善命令)
大日光信用組合及び馬頭信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
中津信用金庫、臼杵信用金庫及び佐賀関信用金庫に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
19日(月) 金融トラブル連絡調整協議会開催(第8回)
日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会開催(第3回)
瑞浪商工信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
21日(水) 「主要行(10行)に対するフォローアップ検査の結果について」発表
22日(木) 顧問会議開催(第20回)
「大成火災海上保険株式会社について」の大臣談話発表
関西西宮信用金庫、三栄信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
26日(月) 投資コンファレンス開催
朝銀青森、朝銀宮城、朝銀福井、朝銀愛知、朝銀島根、朝銀広島、朝銀山口、朝銀福岡及び朝銀長崎信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
和歌山銀行九州銀行及び福岡シティ銀行に対する資本増強の審査結果を発表
28日(水) 「確定拠出年金運営管理機関の登録について」発表
29日(木) 金融審議会金融分科会第一部会開催(第2回)
30日(金) 企業会計審議会第一部会開催(第14回)
秋田県中央信用組合、東京食品信用組合、第三信用組合及び松島炭鉱信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分