組織及び事務概要

1) 証券監視委設置の経緯

平成3年夏の一連のいわゆる証券不祥事を契機に、証券行政のあり方、特に証券会社及び証券市場に対する検査・監視体制のあり方について、種々の議論が行われました。

こうした状況を踏まえ、同年7月、内閣総理大臣から臨時行政改革推進審議会(以下「行革審」という。)に対して、証券市場の監視・適正化のための是正策について諮問がされ、審議の結果、同年9月に「証券・金融の不公正取引の基本的是正策に関する答申」が取りまとめられました。この答申においては、「自由、公正で透明、健全な証券市場の実現」を基本的目標として、証券行政に係る提言等と併せ、新たな検査・監視機関として、大蔵省に行政部門から独立した国家行政組織法第8条に基づく委員会(八条委員会)を設置すべきであるとの提言が盛り込まれました。

大蔵省においては、行革審答申を踏まえつつ、更に各方面の意見も聴取するなど、広範な視点から証券取引等における検査・監視体制のあり方について検討を重ねた末、平成4年2月、証券監視委の設置を柱とする「証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律」案を取りまとめました。

同法案は、第123回通常国会に提出され、衆・参両議院での審議を経て同年5月29日に成立し、同年6月5日に法律第73号として公布、同年7月20日に施行され、同日、国家行政組織法第8条及び大蔵省設置法第7条に基づき大蔵省に置かれる合議制の機関(八条委員会)として証券監視委が発足しました。

2) 金融庁(金融監督庁・金融再生委員会)への移管

民間金融機関等に対する検査・監督機能と金融制度等の企画・立案機能とを分離し、透明かつ公正な金融行政への転換を図るため、平成10年6月22日、総理府の外局として金融監督庁が設置されましたが、同時に、証券監視委の果たす中立的・客観的な役割が引き続き重要であるとの観点から、証券監視委は、従前の体制(国家行政組織法第8条及び金融監督庁設置法第7条に基づき設置された合議制の機関(八条委員会))のまま金融監督庁に移管されました。

さらに、同年12月15日には、我が国の金融機能の安定及びその再生を図り、金融システムに対する内外の信頼を回復し、金融機能の早期健全化を図ることを主たる任務として、金融再生委員会が発足しましたが、これに伴い、金融監督庁とともに証券監視委は、従前の体制(国家行政組織法第8条及び金融再生委員会設置法第21条に基づき設置された合議制の機関)のまま金融再生委員会に移管されました。

その後、平成12年7月1日には、大蔵省金融企画局が担ってきた金融制度の企画・立案に関する事務が金融監督庁に移管されて、新たに金融庁が発足し、証券監視委は、従前の体制(国家行政組織法第8条及び金融再生委員会設置法第21条に基づき設置された合議制の機関)のまま金融庁に移管されました。

なお、平成13年1月6日には、中央省庁改革に際して、金融再生委員会が廃止され、証券監視委は、内閣府の外局として設置された金融庁に移管され、内閣府設置法第54条及び金融庁設置法第6条に基づき設置された合議制の機関(いわゆる八条委員会((注)国家行政組織法第8条に基づき設置される「八条委員会」に相当するもの。)としての位置づけ)として、現在に至っています。

3) 事務概要

  • (1) 監視のための5つの事務

    証券監視委が行う監視事務は、市場分析審査、証券検査、取引調査、開示検査及び犯則調査の5つに分かれています。

    • 市場分析審査

      証券監視委の「情報の入り口」として、一般投資家等からの情報受付に加え、金融・資本市場全体について幅広く情報を収集・分析し、検査・調査に活用しています。

      また、発行市場・流通市場全体に目を向けた市場監視を行い、不公正取引の疑いのある取引等について審査を行っています。

    • 証券検査

      金融商品取引業者などの業務や財産の状況の検査を行っています。

      証券検査の結果、問題点が認められた金融商品取引業者等に対しては、問題点を指摘し、改善を求めるほか、重大な法令違反行為等が認められた場合には、金融庁長官等に対して行政処分等を求める勧告を行っています。

    • 取引調査

      内部者取引や相場操縦、風説の流布・偽計等の不公正取引について、金融商品取引法に基づく調査を行っています。

      取引調査の結果、違反行為が認められた場合には、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告を行っています。

    • 開示検査

      有価証券報告書等の開示書類の提出者等に対し、報告の徴取及び検査を行っています。

      開示検査の結果、開示書類の重要な事項についての虚偽記載等が認められた場合には、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告を行っています。

    • 犯則調査

      金融商品取引等の公正を害する悪質な行為の実態を解明し、告発により刑事訴追等を求めるため、犯則事件の調査を行っています。

  • (2) 勧告

    証券監視委は、証券検査、取引調査、開示検査又は犯則事件の調査を行った場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、金融商品取引等の公正を確保するため、又は投資者の保護その他の公益を確保するため、行政処分等を求める勧告や課徴金納付命令、開示書類の訂正報告書等の提出命令の発出を行うよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に勧告することができます。

    また、証券監視委は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し、勧告に基づいて執った措置について報告を求めることができます。

  • (3) 建議

    証券監視委は、検査・調査等の結果、必要が認められるときは、法規制の見直し等の施策について、金融庁長官等に対して建議を行っています。

  • (4) 告発

    証券監視委は、犯則事件の調査により犯則の心証を得たときは、検察官に告発を行っています。

  • (5) 裁判所への申立て

    証券監視委は、無登録業者による未公開株式やファンドの販売・勧誘等の重大な金融商品取引法違反行為に対して、裁判所への禁止・停止命令の申立て及びそのための調査を行っています。

  • (6) 事務の処理状況の公表

    証券監視委は、毎年、その事務の処理状況の公表を行っています。

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