犯則事件調査の結果に基づく建議について

平成11年12月21日
証券取引等監視委員会


 証券取引等監視委員会は、証券取引法の規定に基づき、日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行の有価証券報告書に関し、犯則事件の調査を行った結果、銀行が提出する財務諸表について問題点が認められたので、金融再生委員会設置法第30条の規定に基づき、本日、大蔵大臣に対して、下記の観点に留意しつつ、必要かつ適切な措置を講ずるよう建議を行った。

1 .担保資産の注記

 日本長期信用銀行は、関連ノンバンクの債務に対する信用補完として、有価証券担保を提供していたが、この事実は同行の有価証券報告書には記載されていなかった。
  「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)は、資産が担保に供されているときは、その旨を注記しなければならないと規定しているが、銀行・信託業等、一部の別記事業の財務諸表においては、担保資産の注記は記載を要しないものとされている。投資判断の前提となる重要な財務情報の開示を徹底し、投資者の保護に十全を期す観点から、このような例外的取扱いの見直しを行い、銀行・信託業等においても担保資産を開示する必要がある。


2 .関連当事者との取引の開示の徹底

 日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行は、関連ノンバンクとの間に債権放棄等を含む取引があるにもかかわらず、それぞれの有価証券報告書においてはこれらの取引をほとんど記載していなかった。
 関連当事者との取引は、独立した対等な立場で行われるその他の者との取引には通常みられないような条件で行われることがあることから、財務諸表等規則は、関連当事者との取引のうち重要なものについて、取引の内容、取引条件等を注記しなければならないと規定している。この注記は、銀行・信託業等の財務諸表においても記載を要するものとされており、関連当事者との取引が当該会社の財政状態や経営成績に及ぼす影響を投資者が適切に判断できるよう、銀行・信託業等の実務においても、当該規定を狭く解釈することなく、関連当事者との取引の十分な開示を行う必要がある。

(参考)
 日本長期信用銀行事件については平成11年6月30日、日本債券信用銀行事件については同年8月13日、それぞれ東京地方検察庁検察官に対して告発を行った。

 

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