第2回インターネット・サーフ・デイの実施結果について

平成13年6月27日
証券取引等監視委員会


 証券取引等監視委員会を含めた、証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions 以下「IOSCO」と言う。)の法務執行及び情報交換に関する常設委員会(Standing Committee 4 以下「SC4」と言う。)及びエマージング・マーケッツ委員会等に所属する34か国、41の証券規制当局等は、去る4月23日を第2回インターネット・サーフ・デイとし、国際的に連携して一斉にインターネット上の証券取引に係る不正行為の実態把握を行った。

 41機関合計で約27,000のウェブサイトについて実態把握を行い、その内約2,400が今後のフォローアップが必要なウェブサイトとしてIOSCOに報告された。

 インターネットは、証券市場に大きな変革をもたらし、投資者にとっては豊富な情報をより容易に入手できること、手軽で効率的な投資の機会が増大すること、などのメリットがある一方で、市場における不正行為に対しても新たな手段や機会を与えるものである。また、インターネットは、瞬時に世界のあらゆる所へ情報が発信されることから、1国だけでは十分な対応が困難であり、国際的な連携が重要である。

 このような問題意識の下、昨年3月、IOSCO SC4等に所属する各国の証券規制当局等は、第1回インターネット・サーフ・デイを実施し、各国一斉にインターネット上の証券取引に係る不正行為の実態を把握したところであるが、今回の第2回インターネット・サーフ・デイにおいては、さらに参加する証券規制当局の数を拡大させることにより(21機関→41機関へ)、インターネットという新たなテクノロジーによってもたらされた問題について、各国の証券規制当局等が国際的に連携して取り組んでいくことを証明したところである。

 具体的なインターネット・サーフ・デイの手法については、前回と同様、各国が任意に選定したサーチエンジンに、同じく任意に選定したサーチタームを入力し、それにより検索されたサイトについて実態を把握するという方法で行われた。監視委員会における結果等の概要は別添のとおり。

 また、今回のインターネット・サーフ・デイでは、国際的な連携の側面が一層重視され、同日にインターネット・サーフを行うのみならず、クロスボーダー取引関連ウェブサイトについては、サーフ・デイに参加した各国の証券規制当局との情報交換が活発に行われた。

 第2回インターネット・サーフ・デイの実施の公表にあたり、佐藤委員長は次のように述べている:
 「クロスボーダー取引が増加している現在、インターネット・サーフ・デイのような国際的な連携は、国境を越えた不公正取引を効果的に監視するために有効な方法である。証券取引等監視委員会は、今後ともインターネット上の証券取引に関する不正の監視を強化していくとともに、IOSCOなどを通じて各国証券規制当局との協力関係を一層進展させていきたい。」

 (注) 全体の結果については、本日、ストックホルムにおいて、IOSCO専門委員会
http://www.iosco.org)より公表されている。

(参 考1)
 IOSCOは、米国SECや英国FSAなど、世界各国、地域162の証券・先物監督当局により構成されており、我が国からは、金融庁が普通会員、証券取引等監視委員会等が準会員、東京証券取引所等が協力会員となっている。

(参考2)
 第2回インターネット・サーフ・デイに参加した証券規制当局等は、以下のとおり。


 ・ オーストラリア証券投資委員会

・ オーストリア証券庁
 ・ ベルギー銀行金融委員会 ・ ブラジル証券委員会
 ・ カナダ・オンタリオ証券委員会 ・ カナダ・ケベック証券委員会
 ・ クロアチア証券委員会 ・ チェコ証券委員会
 ・ キプロス証券取引委員会 ・ デンマーク金融監督庁
 ・ フランス証券取引委員会 ・ フィンランド銀行
 ・ フランス金融市場委員会 ・ ギリシア資本市場委員会
 ・ ドイツ連邦証券取引監督庁 ・ ハンガリー金融監督庁
 ・ 香港証券先物委員会 ・ アイルランド中央銀行
 ・ インド証券取引委員会 ・ 日本・証券取引等監視委員会
 ・ イタリア企業・取引所委員会 ・ マレーシア証券委員会
 ・ 韓国金融監督委員会 ・ ニュージーランド証券委員会
 ・ メキシコ銀行証券委員会 ・ ノルウェー金融監督庁
 ・ オランダ証券委員会 ・ ポルトガル証券市場委員会
 ・ ポーランド証券取引委員会 ・ スペイン証券市場委員会
 ・ シンガポール通貨庁 ・ スイス連邦銀行委員会
 ・ スウェーデン金融監督庁 ・ イギリス金融サービス機構
 ・ トリニダードトバゴ証券委員会 ・ 英・マン島金融委員会
 ・ 英・ガーンジー金融委員会 ・ アメリカ商品先物取引委員会
 ・ 英・ジャージー金融委員会 ・ アメリカ証券取引委員会
 ・ アメリカ全米先物協会

(別添) インターネット・サーフ・デイの結果等について

1.実態把握の方法
 インターネット・サーフ・デイの実施に当たって、証券取引等監視委員会は、不公正取引への悪用が懸念されるような複数のサーチタームを予め選定した上で、これらを複数のサーチエンジンに入力し、検索を行った。

2.結果の概要
 監視委員会は、上記1.の方法により検索されたサイトのうち、1,888サイトについて実態把握を行い、そのうち、クロスボーダー取引が関連すると考えられる7サイトを含めた、21サイトを今後監視委員会としてフォローアップすべきサイトとしてIOSCOへ報告した。なお、敢えて当該サイトをその特徴ごとに分類すると、概ね以下のとおり。

(1) 不正取引行為の疑いがあるもの

○ 将来値上がりするなどとして、未公開株、新規公開株、外国企業株を勧誘しているもの
   →7件


(例)1.

5年で元手が50倍になるような投資ができるとし、未公開株を売るという情報が掲載されているもの。
2. 3年後株式公開予定であり、出資金が数十、数百倍になるとして、未公開株を売るという情報が掲載されているもの。
3. 無料で外国企業の株主になれるとの情報が掲載されているもの。

○ オフショアファンドを含めた、高利回り商品等に係る情報を提供するなどとしているもの
   →7件


(例)1.

1年で2倍の利回りとなる元本保証型のオフショア商品を勧誘しているもの。
2. 年利43%、2年で約2倍となる株式投資ツールを提供するとしているもの。
3. 年50%の利益が安全・確実に生まれる転換社債などの投資ツールを提供するとしているもの。

(2) 個別銘柄に関する噂や個別銘柄の推奨など、風説の流布等の疑いがあるもの
   →6件


(例)1.

「グループ会社社員の一部だけが知っている極秘情報」として、某社が夏に民事再生法申請を行うべく準備を進めているとの情報が掲載されているもの。
2. ナスダック銘柄の米国企業が「倒産する」、「1年後には間違いなくなくなっている」との情報が掲載されているもの。

(3) その他(無登録営業の疑いがあるもの)
   →1件

3.外国証券規制当局への情報提供
 なお、クロスボーダー取引が関連すると考えられるサイトのうち、外国証券規制当局へ情報として提供し得るものについては、適宜、情報提供を行った。

 

サイトマップ

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