が認められた。 一般に、アナリスト(証券会社が投資者への勧誘等に際し使用するアナリスト・レポートを作成する証券アナリストをいう。以下同じ。)は、発行体や証券会社から独立した、かつ偏りのない意見を投資者に提供する責務を負っているものと考えられるが、他方、発行体、証券会社及び投資者間の利益相反において、発行体や証券会社の利益を優先し得る立場にあり、また、自らの証券取引上の利害関係に基づく取引を行い得る立場にある。 上記(1)におけるアナリストの行為及び証券会社の管理状況は、当該アナリストの証券取引上の利害関係の存在を明らかにしていないなど、アナリスト・レポートの信頼性を損ねることとなる不適切なものと認められること、また、(2)における証券会社の行為は、アナリスト・レポートに係る当該証券会社からの意見の独立性に関し、投資者に誤解を生ぜしめるべき表示をする行為と認められることから、それぞれ、証券市場に対する投資者の信頼を損なうものと認められる。 このように、投資者への勧誘等に際し使用するためにアナリストにアナリスト・レポートの作成を依頼する証券会社は、アナリスト・レポートを利用して自らの営業を行っている以上、アナリスト・レポート及びアナリストに対する適切な管理や措置を講じるべき立場にあるものと考えられる。 そこで、投資者保護及び市場の公正性、透明性を高める観点から、証券会社が投資者の勧誘等に際し使用するアナリスト・レポートに関する利益相反行為等を防止するため、証券会社に対し、アナリスト・レポートの対象銘柄についてアナリスト自身の保有状況を当該アナリスト・レポートに開示させ、その内容を検証させることや、(2)における証券会社の行為が法令違反となることを周知することなど、当該アナリスト・レポート及びこれを作成したアナリストに対する適切な管理体制を構築させるための措置を講じる必要がある。 |