証券取引等監視委員会は、金融庁設置法第21条の規定に基づき、本日、金融庁長官に対して、下記のとおり建議を行った。 |
記 |
監査法人の責任のあり方について |
上場会社が重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出していた犯則事件に関し、当該上場会社の会計監査を担当した監査法人の公認会計士が、当該犯則行為に深く関与していた事例が複数認められた。 当委員会は、これらの事例について、当該上場会社及び同社の役員に加え当該公認会計士についても共同正犯(刑法第60条)として証券取引法第226条の規定に基づき告発した。 一方で、現行の証券取引法には、虚偽有価証券報告書を提出した上場会社の役員らと共謀した公認会計士が所属する監査法人の刑事責任を追及できる規定はないなど、上記公認会計士が所属していた監査法人に対しては、刑事責任を追及することは困難である。 しかし、当該上場会社との監査契約の当事者は監査法人であり、また、監査法人は、所属する公認会計士による業務の公正かつ的確な遂行のため、業務管理体制を整備しなければならない立場にある。 公認会計士法上、監査法人の社員が虚偽又は不当な証明をした場合に、監査法人に対して行政処分を行うことが可能であり、また監査法人の社員は民事上の責任も負うこととされているが、監査法人による厳正な監査を確保していく観点から、民事・行政責任のほか刑事責任を含めた監査法人の責任のあり方について総合的に検討を行い、必要かつ適切な措置を講ずる必要がある。 |