(別紙1) |
コメントの概要とコメントに対する証券取引等監視委員会の考え方 |
コメントの概要 | コメントに対する考え方 |
☆証券検査に関する基本指針(全体) | |
検査を執行するに当たって、行政機関としてまず念頭に置かなければならないのは、検査が行政手続であり、その執行は憲法第31条のデュー・プロセスの理念に従ったものでなければならないという点である。検査は、不利益処分につながる一連の手続であり、その手続は告知聴聞、弁解、防御の機会が保障されるべき。検査全体を支配する理念として、デュー・プロセスの尊重がうたわれる必要がある。 (国際銀行協会) |
本指針に記載したとおり、検査期間中における検査対象先との十分な議論、検査モニター、意見申出制度など、検査の中で可能なデュー・プロセスを尊重して作成した指針であることをご理解ください。 |
検査とは、改善を促進するという観点から、双方向の議論を重視し、建設的な指摘を行うことにより証券会社の自主性を促すことに留意するべきである。重箱のすみをつつくような指摘で補強性の原則、あるいは効率性の原則に反するような結果とならないよう心がけていただきたい。 (国際銀行協会) |
指摘に当たっては、様々な観点から検査対象先との間で十分な議論を行って参りたいと考えております。 |
具体的な問題点に限らず、金融機関の経営全般、あるべきリスク管理・内部管理の姿についてフランクな対話を行い、その後の経営の参考になるような双方向の議論がなされることを期待する。 (国際銀行協会) |
ご指摘のとおり、検査対象先との間で、様々な観点から十分な意見交換を行って参りたいと考えております。 |
検査における検証は、客観的な資料及び客観的事実に関する当事者の自発的証言によるべきであり、被検査機関の現場の役職員に事実の評価を強いる、いわば非を認めることを強要するような手法はとるべきでないことを基本指針において明確にすべきである。 (国際銀行協会) |
検査官の心構えとして、常に穏健、冷静な態度を保ち、相手方の説明及び答弁を慎重に聴取し、正確な実態を把握するよう記載しており、適切な検査を実施したいと考えております。 |
検査実務では、検査会場確保及び複写機、ファックス等の要請に応えること自体が、金融機関に大きな負担となっており、十分に理解していただきたい。特に、予告のない検査の場合、検査会場の確保に困難を極めることもあり、それゆえに検査会場が検査官の期待どおりの時間内に設置できなくてもそのことをもって検査に対して非協力等の評価を下すべきでないと考える。この点について言及されることを希望する。 (国際銀行協会) |
主任検査官と検査対象先との間で検査会場の確保等について十分な意見交換を行い、可能な限り検査対象先の負担軽減に努めて参りたいと考えております。 |
I 検査の基本事項 | |
検査の目的の「なお書イ」に、「投資信託委託業者」と記載されているが、直販を行う業者のみという理解で良いか確認したい。 (投資信託協会) |
そのような理解で結構です。 |
基本指針において、金融庁検査・監督部局との連携がうたわれているが、検査中に論点となった法令解釈において、過去に監督部局が行った指導、アドバイス等を十分尊重してもらいたい。また、一般に法令解釈について監視委員会と監督部局との間に見解の相違が生じないよう、統一した解釈を行ってもらいたい。 (国際銀行協会) |
ご指摘の点も踏まえて、適切な連携を図って参りたいと考えております。 |
「証券業協会などの自主規制機関の検査部門等と情報交換を図る」とあるが、「など」に該当する機関に法令等によって会員に対する立入検査権限等を付与されていない協会が含まれるか否か、明確にして頂きたい。 (日本証券投資顧問業協会) |
本指針では、法令によって会員に対する検査権限等が付与されている者を、自主規制機関と位置付けることとしております。 |
II 検査実施の手続き等 | |
一般検査については、原則として予告を行うこととしてほしい。予告を行うことにより、資料の作成、検査会場の準備、幹部職員の休暇・出張の調整等が可能となり、効率的な検査に資するものと考える。また、無予告による検査は検査対象先に必要以上の心理的な負担を与えることが懸念される。 (日本証券投資顧問業協会) (国際銀行協会) |
過去の指摘事例においても、無予告による効果が認められており、ありのままの実態を把握するために、原則として、無予告で実施することとしております。 |
「検査基準日は、検査に際し、徴求資料等の数値の基準となる特定の日」とあるが、これまでは、検査基準日現在の数値として資料の提出を求められるケースより、特定の期間に係る取引資料等の徴求が多かったと思われる。 今後は、検査基準日現在のものを求められることとなるのか。 (日本証券業協会) |
これまでも、検査対象先の負担等を考慮し、必ずしも基準日現在での数値に固執しているものではありません。 このため、現在の記載振りですと、ご指摘のような誤解が生じかねず、以下の記載に改めることとします。 「検査基準日は、検査実施の基準となる特定の日であり、原則として、検査着手日の前日とする。」 |
5検査実施の留意事項(1)検査証票等の表示、(3)効率的かつ効果的な検査の実施、6検査資料の徴求(3)資料返却等及び8![]() ![]() 同基本方針内の「一般検査」、「特別検査」等の表現でよいのではないか。 (個 人) |
「臨店検査」は、一般検査や特別検査において、検査官が実際に検査対象先の本店、支店又はその他の営業所等を訪問して、帳簿書類その他の物件を検査することを指します。 |
検査官の臨店検査着手時に検査対象先に検査命令書および検査証票を提示することとされているが、監視委員会の職員が提示する検査証票は、金融庁の「金融検査に関する基本指針(案)」に記載されている検査官の身分証明書と違いがあるのか。 (日本証券投資顧問業協会) |
法令により、監視委員会の検査官は「検査証票」を、金融庁の検査官は「身分証明書」を、それぞれ検査対象先に提示することとされております。 いずれも、個別業法に規定する「身分を示す証票」のことであり、同じものを指しております。 |
検査における検証、指摘、改善のすべての面において、「リスク・ベース・アプローチ」を採用するべきである。即ち、各金融機関の行っている業務、組織体制等を総合的に勘案し、リスクの高い分野とそうでない分野を選別した上で、それに応じて異なったレベルの管理を求めるべきであり、検査マニュアルのすべてのチェック項目を画一的に検証し、すべての証券会社に画一的なリスク管理手法を求めるようなアプローチは避けるべき。 (国際銀行協会) |
監視委員会では、検査官の創意工夫による効率的かつ効果的な検査の実施を尊重することとしており、検査マニュアルの各項目について機械的、画一的に検査を実施するものではありません。 |
検査官が役職員にヒアリングを行う際、及び講評の際に、法令解釈等の厳密性を期すため、また双方のコミュニケーションの齟齬を回避するため、役職員に加え、顧問弁護士等の法令の専門家の同席を認めて頂きたい。また、ヒアリングおよび講評の際に、双方向の正確なコミュニケーションならびに記録を残すため、必要に応じて面談内容等の録音を認めて頂きたい。 (日本証券投資顧問業協会) (国際銀行協会) |
ヒアリングに際しては、正確な事実の把握に支障が生じるおそれがあり、役職員以外の者の立会いや録音を原則として認めることはできませんが、講評に際しては、主任検査官が特段の事情があると判断した場合には、法令の専門家の立会いや必要な録音を認める場合もあります。 |
5.検査実施の留意点「(8)」2段目1行目の「この際、検査対象先の責任者に対し、」の後に、「事実確認を行うとともに」を追加願いたい。 (投資信託協会) |
ご意見を踏まえ以下の記載に改めることとします。 「この際、検査対象先の責任者に対し、事実確認を行うとともに検査拒否等に係る理由書を求める等適切な措置を講ずるものとする。」 |
「検査官は、原則として検査対象先の既存資料等を活用するものとし、検査対象先の負担軽減に努めるものとする。なお、既存資料以外の資料を求める場合には、当該資料の必要性等を十分検討した上で求めるものとする。 」とあるが、金融庁検査局による検査では、指定の詳細な項目を有するフォーマット(様式)の作成・提出を求められるという、相当に作業負担の伴う検査実務があったものと認識している。今般、既存資料活用の原則が基本指針(案)に明示されたということは、前記の従前形の「提出書類リストと既定フォーマット」という組み合わせは今後用いない方針と理解して正しいか。 (証券会社) |
「提出書類リストと既定フォーマット」という機械的、画一的な形での資料徴求は、原則として考えておりません。 |
6.検査資料の徴求(1)1段落3行目の「当該資料の必要性」の後に、「及び作成に係る準備期間」を追加願いたい。 (投資信託協会) |
「当該資料の必要性等」には、資料作成に要する時間、携わる人員又は費用などが含まれます。 |
金融庁に提出済みの資料については、金融庁の関係部局から入手するようにし、改めて被検査機関に提出を求めることのないように要望する。 また、資料の基準日については、できる限り報告等の基準日にあわせてほしい。資料、回答書の提出期限については、極端な残業や休日出勤を要するものとならないよう十分配慮し、被検査機関と協議のうえ決定するべきである。 (国際銀行協会) |
検査資料については、検査対象先の負担軽減に努めることとしており、徴求する資料の内容や資料の基準日等についても、検査対象先と十分な意見交換を踏まえて決定して参りたいと考えております。 |
金融庁における金融機関の検査(証券も含む)は、すべて、「意見交換会」及び「三段表」による問題点の確認を行っているが、金融庁から検査業務の委任を受けた「証券取引等監視委員会」は、制定当初から、「講評」及び「扱者からの供述書の徴求」の方法をとっており、一人歩きしている。 今回の全面的委任を機会に、金融庁方式の「意見交換会」及び「三段表」方式に切り替えるべきと考える。 (個 人) |
検査権限の拡大に伴う検査手法の見直しに際し、これまで金融庁検査局が実施してきた検査手法で効率的かつ効果的な検査を実施するとの観点から、有効と思われるものは参考として参りたいと考えております。 |
意見申出制度の概要![]() (個 人) (日本証券投資顧問業協会) |
検査結果通知書の交付前に審理内容及び結果を被検査対象会社等にお知らせすることは考えておりませんが、審理結果につきましては、これまでも検査結果通知書交付の際に理由も含め担当者から説明しております。 |
監視委員会の各委員は、意見申出事項の審理にあたっては、事務局の意見のみによることなく中立的な立場から審理を行うことを基本指針において明確にすることを希望する。また、必要な場合には、被検査機関に陳述の機会を与えることも検討するべきであると考える。 (国際銀行協会) |
監視委員会の委員は、全ての議事に関して独立した立場で審議しており、意見申出書に記載された事項についても、十分な審理を行っております。 |
検査の結果は文書で交付する、とあるが、交付時期について一切言及されていないので、例えば「立入検査終了後原則として3ヶ月以内を目途に交付する」など、金融庁の「金融検査に関する基本指針(案)」と同様に交付時期を明示して頂きたい。 (日本証券投資顧問業協会) (国際銀行協会) |
監視委員会としては、取引の公正確保に関する検査において、行為の分析及び法令違反への該当性につき慎重な検討を要するため、標準的な処理期間を定めることは困難でありますが、極力早期に検査結果通知書を交付するよう努めて参りたいと考えております。 |
「勧告に至らない事案でも、必要と認められる事案については、適宜、公表する。」とあるが、「必要と認められる」事案とは、いかなる観点から「必要」であるのかを明らかにしてほしい。 また、公表の方法については、勧告に至った事案とは別の方法(たとえば個別に公表するのではなく、半期分をまとめて報告する等)をとってもらいたい。 (証券会社) |
「必要と認められる事案」とは、検査において把握した事実が行政処分を求めるほどの悪質性は認められないものの、検査対象先及び投資者に注意を促す必要があると判断される法令違反等を想定しております。 また、公表のタイミングについては、これまでも、勧告事案については勧告と同時期に行っているものの、勧告に至らない事案については、検査対象先の名称を伏せ一定期間分をまとめて公表するなど、検査対象先が特定できないように配慮した取扱いとしております。 |
年次報告書の公表に際しては、行政処分等により事案が終了している検査対象先の名称等については、非公表として頂きたい。 (日本証券投資顧問業協会) |
年次公表については、法令により公表が義務付けられており、公益又は投資者保護の観点から、名称等を含め、公表するものであります。 |
検査結果等の公表に「なお、公益又は投資者への影響等から、公表が不適当と判断される事案については、公表を控える等の措置を講じる場合もある。」とされているが、勧告事案は全て氏名を公表すべき。不正行為があった場合違反者には損害賠償請求の制裁が加えられるべきで、そうでなければ不正利益がそのままでやり得。課徴金の制度は出来たが被害回復が原則のはず。 市場での不正行為があった場合などオオゴトになりすぎるなどと懸念し「投資者への影響」を除外事由にしているのは金融庁はまだ業者保護優先か、と投資者から揶揄されるだけ。 (個 人) |
検査結果の公表については、原則として、これまでどおり、実施したいと考えています。 ただし、公表は、公益に資するとの判断により実施するものであり、公表を行うことで、投資者に不安を与え市場に無用な混乱を招くおそれのある事案であれば、公表が不適当であると考えます。 |