証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第29号)平成25年4月1日
証券監視委ホームページ http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.新着情報

2.市場へのメッセージ

3.コラム


1.新着情報


◎情報受付状況を更新しました(2月末)。
http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/shinsa.htm

◎取引審査の実施状況を更新しました(2月末)。
http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/shinsa.htm


2.市場へのメッセージ


◆不公正ファイナンスについて(その2)◆

前号のメルマガでお知らせしたとおり、今号及び次号で不公正ファイナンスの告発事例を紹介いたします。証券監視委は、これまでに7つの事件について告発したところですが、いずれの事件においても、いわゆる「アレンジャー」などに、事件の舞台となった会社が市場から不正に資金を吸い上げるための「箱」として利用され、会社の株式は上場廃止となっているほか、多くの場合、その会社自体が破産という結末を迎えています。なんとかして上場を維持させようという会社関係者が、アレンジャーや資金提供者を頼り、第三者割当増資を行って一旦資金を得たにも関わらず、結局その資金が社外に流出して、会社は破綻し、その上、アレンジャーのみならず会社関係者も刑事責任を問われることがあるのです。

さて、不公正ファイナンス(偽計)としてこれまでに告発した全ての事件において第三者割当増資が用いられていますが、キャッシュフローの面では、(1)そもそも増資払込が行われていない、(2)増資払込金が社外に流出し、資金調達元に戻っている、(3)自己資金を循環させて、増資払込金としている、など、いくつかの手法が使われています。

また、最近告発した事例では、不動産の現物出資制度を悪用し、出資対象の不動産には増資金額に相当する価値がないのに虚偽の公表を行い、キャッシュフローにほとんど影響を与えることなく第三者割当増資が行われた事例があります。

今号では、増資払込金が社外に流出し、資金調達元に戻っていた事件と、自己資金を循環させて増資払込金としていた事件をそれぞれ紹介いたします。次号では、不動産現物出資制度を悪用していた事件を二つ紹介いたします。

○(株)ペイントハウスの第三者割当増資を利用した不公正ファイナンスに係る偽計事件

証券監視委が平成21年7月14日に金融商品取引法第158条(偽計)違反の嫌疑で、投資顧問会社の代表者を東京地検に告発した(株)ペイントハウス(以下「ペイント社」といいます。)の事例では、犯則嫌疑者(アレンジャー)は、大幅な債務超過に陥っていたペイント社の事業再生や資金支援を行い、ペイント社の上場廃止を回避するため、同人が支配する投資事業組合を割当先とする第三者割当増資を計画し、実際は増資払込金の大半を直ちに社外流出させる意図であったにもかかわらず、ペイント社役員に資本充実が図られたという虚偽の事実を開示させることで株価の維持・上昇をさせたうえ、同人は株式を取得した投資事業組合に当該株式を売却させ、利益を得ようと企てました。

公判で認定された事実によれば、犯則嫌疑者は借り入れた資金を投資事業組合の口座に振り込み、その後、ペイント社の口座に送金し、送金の翌日に当該資金を流出させ、借入先に返済しました。さらに同人は、取得したペイント社の株式を売り抜け、利益を得ていました。

同人については、一審で有罪判決(懲役2年6月 執行猶予4年 罰金400万円 追徴金約3億147万円)が下され、控訴・上告しましたが、いずれも棄却され、刑が確定しています。

○(株)井上工業株券に係る偽計事件

証券監視委が平成23年12月12日に告発した井上工業(株)(以下「井上工業社」といいます。)の事例では、犯則嫌疑者4名が井上工業社の新株を発行するとともに同社の株価の維持上昇を企て、井上工業社名義の口座から出金した資金を、他の名義の口座を経由させて第三者割当先である有限責任事業組合の口座に入金し、その後、井上工業社名義の別の口座に還流させ、増資払込金の払込みを仮装した上、新株式発行増資の払込みが完了した旨の虚偽の事実を公表しました。

犯則嫌疑者4名については、いずれも執行猶予の付いた有罪判決が確定しています。(次号に続く)


3.コラム
[日本証券業協会からの寄稿]


◆法人関係情報管理の徹底などに関する自主規制規則の見直し案を公表しました◆

○本協会では、昨年大きく報道された公募増資に係るインサイダー取引事案及びそれに絡んだ証券会社における法人関係情報管理の問題の発生を受けて、これまで自主規制会議を中心に様々な方面から検討を行っております。

○このうち、自主規制規則の見直しに関する対応については、法人関係情報管理に関し発生した個別事案等を確認するとともに、証券会社のみならず幅広い市場関係者からの意見を聴取し、それらを踏まえて、昨年11月以降「内部者取引防止に関する内部管理態勢等検討ワーキング・グループ」において現行の自主規制規則の見直しを含め、検討を重ねてきたところです。

○今般、同ワーキング・グループにおける検討結果等に基づき、協会員におけるインサイダー取引防止及び法人関係情報管理のさらなる徹底を図るため、自主規制規則の見直し案を取りまとめました。

この見直し案については本協会のホームページに掲載し、3月14日から3月28日までパブリックコメントを募集しておりました。

○上記見直し案の内容については、日本証券業協会のホームページをご覧ください。
PDFhttp://www.jsda.or.jp/katsudou/public/bosyu/files/syusikossi_sinkyu_20130314JK.pdf新しいウィンドウで開きます

○本件に関するお問い合わせ先:日本証券業協会自主規制企画部
(TEL 03-3667-8470)


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