証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第46号)  平成26年9月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆最近の不公正取引事案(国際取引等調査)に係る課徴金納付命令勧告について◆

先月の当該メールマガジンでは、平成25年度(同25年4月~同26年3月)の国内における不公正取引事案に係る課徴金納付命令勧告について紹介しましたが、今回は国際取引等調査に係る不公正取引事案の平成25年度の状況について紹介します。

平成25年度においては、国際取引等調査に基づく不公正取引事案に係る課徴金納付命令勧告は7件であり、平成24年度の7件と同件数となっています。なお、平成25年度においては、内部者取引に係る勧告事案が4件、相場操縦に係る勧告事案が2件、偽計に係る勧告事案が1件となっています。

各事案をカテゴリー別に見てみると、

(1)内部者取引事案は、リーマンショック後に集中した大型公募増資案件について、証券監視委の調査の結果、主幹事証券会社等の営業員等から重要事実の伝達を受けた国内外のプロ投資家による内部者取引であることが判明したものです。証券監視委では、平成23年度及び平成24年度にも課徴金納付命令勧告を行ってきたところですが、平成25年度においても7件の課徴金納付命令勧告を行ったものです。

(2)相場操縦事案は、海外に所在する違反行為者によって行われたもので、近年の証券市場のグローバル化が進展し、クロスボーダー取引や市場参加者の国際的な活動が日常化しており、わが国株式市場においてもクロスボーダー取引が日常化している背景が伺えます。

(3)偽計事案は、これまで、証券監視委として偽計の嫌疑で告発を行ったことはあるものの、課徴金納付命令勧告を行ったことはありませんでしたが、平成25年度において、偽計事案について課徴金納付命令勧告を行ったものです。本件は、違反行為者が、発行会社株式等の価格を上昇させようと企て、虚偽の内容を含む公表や社債の払込みの仮装等を行い、有価証券の相場の変動を図る目的を持って、偽計を用い、当該価格に影響を与えた事案です。

国際取引等調査における特徴の一つをあげると、海外当局との連携があります。上記7件のうち4件については、海外当局の協力の下、証券監視委として調査を行い、事案の解明を図ったものです。海外当局とは、IOSCO等の国際会議や人材交流等を通じて信頼関係を構築しつつ、クロスボーダー事案についての情報交換を促進することで、市場監視の空白を生じさせないことが肝要になっており、今後も引き続き努めていきます。

また、直近の事例(平成26年度)では、現物取引だけでなくデリバティブ取引に係る不公正取引事案に対して課徴金納付命令を行うよう勧告した事例もあり、多様化する取引形態において不公正取引が行われないよう取り組んで行くことが重要と考えております。

証券監視委では、市場を取り巻く状況の変化に対応した市場監視の実現のため、課徴金制度の特性を活かした迅速・効率的な調査を行うことにより、違反行為に適切に対応し、市場の公正性・透明性の確保及び投資者の保護に努めてまいるとともに、国際取引等調査に欠かせない海外当局との連携を密にしていくことに努めてまいります。市場参加者の皆様におかれましても、証券監視委の活動へのご理解とご協力を引き続きお願いいたします。

なお、平成25年度の金融商品取引法における課徴金事例集(http://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/index.htm)を公表いたしましたので、ご参照ください。


2.コラム

[日本取引所自主規制法人からの寄稿]


◆上場審査等に関するガイドラインの一部改正について◆

当法人は、日本取引所グループの現物及び派生市場に係る自主規制機能を担っており、上場審査基準に基づいた新規上場申請会社に対する上場審査業務も、当該自主規制機能の一つに含まれます。

当該上場審査基準には、「新規上場申請に係る内国株券等が、無議決権株式又は議決権の少ない株式である場合」(上場審査等に関するガイドラインⅡ 6.(4))の基準も設けられており、株式の権利を尊重したスキームの議決権種類株式について上場を認めることとなっています。

東京証券取引所では、本年2月5日付で「IPOの活性化等に向けた上場制度の見直しについて」(制度要綱)を公表し、議決権種類株式に係る上場審査に関して「議決権種類株式の利用の必要性及び当該必要性に照らしたスキームの相当性について、上場審査において株主共同の利益の観点から確認することを明確化する」こととし、所定のパブリック・コメント手続きを実施しました。なお、パブリック・コメントに対しては特段の意見はありませんでした。

当該状況において、当法人は、本年2月19日付でCYBERDYNE株式会社の議決権種類株式の上場を承認し、3月26日付で同社株式がマザーズに上場しています。同社の事例は、リーディングケースとして今後の実務に大きな影響を及ぼすと考えられますので、同社の上場審査で考慮した事項も含めて上場審査の観点をより明確化すべく、「上場審査等に関するガイドライン」を一部改正しました。

なお、同ガイドライン一部改正については、7月2日に対外公表を行い、7月7日に施行をしております。

日本取引所自主規制法人 上場審査部


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