証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第58号) 平成27年9月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆平成26年度の証券検査の状況について◆

今回のメルマガでは平成26年度の証券検査(金融商品取引業者等への検査)の状況について紹介したいと思います。

なお、詳しくは、平成26年度の「証券取引等監視委員会の活動状況」(http://www.fsa.go.jp/sesc/reports/n_26/n_26a.pdf)をご覧ください。

  • 1.検査実績及び検査結果の概要

    • (1) 第一種金融商品取引業者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した第一種金融商品取引業者等は計87業者であり、このうち36業者において問題点が認められました(不公正取引に関するものが7業者、投資者保護に関するものが16業者、財産・経理等に関するものが5業者、その他業務運営に関するものが18業者)。このうち3業者については、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分を求める勧告を行いました。

      平成26年度においては、市場デリバティブ取引の自己売買に係る売買審査態勢を適切に整備せず、相場操縦行為を看過していた問題や、利益の相反するファンド間で価格が下落した私募債を簿価で取引し、顧客に損失を生じさせていた問題が認められました。

    • (2) 第二種金融商品取引業者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した第二種金融商品取引業者は計94業者であり、このうち28業者において問題点が認められました(投資者保護に関するものが23業者、財産・経理等に関するものが8業者、その他業務運営に関するものが17業者)。このうち5業者については、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分を求める勧告を行いました。

    • (3) 投資助言・代理業者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した投資助言・代理業者は計38業者であり、このうち15業者において問題点が認められました(投資者保護に関するものが11業者、その他業務運営に関するものが9業者)。このうち6業者については、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分を求める勧告を行いました。

      平成26年度においては、無登録で店頭デリバティブ取引の媒介及び外国株式等の募集又は私募の取扱いを行う問題が認められました。

    • (4) 投資運用業者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した投資運用業者等は計15業者であり、このうち5業者において問題点が認められました(投資者保護に関するものが1業者、その他業務運営に関するものが5業者)。このうち1業者について内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分を求める勧告を行いました。

      平成26年度においては、年金基金との間で投資一任契約を締結しながら、ファンドに不利な取引に何ら対応せず年金基金に損失を与えたという忠実義務違反等の問題が認められました。

    • (5) 金融商品仲介業者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した金融商品仲介業者は計16業者であり、このうち3業者において問題点が認められました(投資者保護に関するものが2業者、その他業務運営に関するものが2業者)。このうち1業者について内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分を求める勧告を行いました。

      平成26年度においては、外務員の登録を受けた者以外の者に外務員の職務を行わせる行為等の問題が認められました。

    • (6) 適格機関投資家等特例業務届出者に対する検査

      平成26年度に検査が終了した適格機関投資家等特例業務届出者は24業者であり、このうち22業者において問題点が認められ、16業者について検査結果の公表を行いました。

      具体的には、適格機関投資家からの出資を受けずに適格機関投資家等特例業務の要件を満たさないまま勧誘又は運用する行為、運用方法や運用実績などについて実際の取扱いとは異なる事実が記載された勧誘資料等を用いて虚偽の告知を行いファンドを勧誘する行為等の金商法違反行為や、出資・運用の杜撰な管理、金融商品取引業者の合意の下、当該業者の名義を用いてファンドを勧誘する行為、ファンド出資金の会社経費や配当・償還金への流用等の投資者保護上問題のある行為が認められました。

  • 2.無登録業者等に対する裁判所への禁止命令等の申立て

    近年、無登録業者や適格機関投資家等特例業務届出者による未公開株やファンドの販売等による被害が拡大し、社会問題化している状況に鑑み、これら無登録業者等に対する金商法第192条に基づく裁判所への禁止・停止命令の申立て及びそのための同法第187条に基づく調査の活用を図っています。

    平成26年度においては、6件について、裁判所への禁止命令等の申立てを行いました。

  • 3.終わりに

    証券取引等監視委員会としては、今後とも、法令等を逸脱し、市場の公正性・透明性に対する信頼を損ねる行為や投資者の利益を害する行為に対しては、証券検査等の権限を適切に行使し、厳正に対処してまいります。


2.コラム

[日本取引所自主規制法人からの寄稿]


◆「JPX自主規制法人の年次報告2015」の発行について◆

日本取引所自主規制法人では、当法人の役割や特色、年間活動状況等について、市場関係者の皆様により一層ご理解いただくために、この度、「JPX自主規制法人の年次報告2015」を発行いたしました。

当法人の属する日本取引所グループは、わが国の最も中心的なマーケットとして国内外における資金運用及び資金調達を支える重要な機能を担っています。その中で当法人は、皆様に信頼され、安心して取引できる場であり続けられるよう、いわば取引所の品質管理センターとして自主規制業務に日々取り組んでおります。本冊子は、そうした活動について広く情報発信しようと2014年より発行しております。

この度の2015年版では、「マーケットを取り巻く環境変化及びそれに対する取組み」としまして、(1)新規公開の品質確保に向けた対応、(2)エクイティ・ファイナンスのプリンシプル、(3)アルゴリズム取引・HFTの拡がりへの対応等といったトピック的な内容に加え、自主規制法人の概要や2014年度の各種数値データ等も掲載しております。

本冊子が、取引所の自主規制業務について、市場関係者の皆さまが理解を深めていただく一助になれば幸甚に存じます。

「JPX自主規制法人の年次報告2015」は、当社グループウェブサイトに掲載しておりますのでご参照ください。

日本取引所自主規制法人 総合管理室


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