証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第98号)

平成29年7月4日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm


<目次>
1)市場へのメッセージ
 1.アセットプランニング株式会社に対する検査結果及び勧告について
 2.最近の取引調査に基づく勧告について
   フォーバル・リアルストレート株式外6銘柄に係る相場操縦
2)コラム
 日本証券業協会の協会員に対する監査結果について[日本証券業協会からの寄稿]


1)市場へのメッセージ


1.アセットプランニング株式会社に対する検査結果及び勧告について

 証券取引等監視委員会(以下、「証券監視委」といいます。)は、平成29年5月12日、アセットプランニング株式会社(以下「当社」といいます。)に対して、金融庁に行政処分を行うよう勧告いたしました(詳細は下記リンク参照)。
 ・H29.5.12 アセットプランニング株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
             ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170512-1.htm )
 
【事案の概要等】
  当社は、平成28年2月に関東財務局長が発出した報告徴取命令に対して、不動産信託受益権に投資するファンドを販売しており、顧客数が12名、合計出資金額が1億円であると同年3月に回答していましたが、今回の検査において確認できた資料によると、当該報告書を提出した平成28年3月までの間に、顧客は少なくとも延べ108名、合計出資金額が約10億円であることが確認されました。
 そこで、報告との大幅な乖離について、当社でただ1人存在が確認できた代表者に説明を求めたところ、当社の代表者は、自ら指定した検査官との面会日を合理的な理由を示すことなく、幾度も一方的に延期し検査に応じなかったことから、業務実態を解明することができませんでした。
 当社は、報告命令に対し虚偽の報告を行ったほか、検査を拒むなど法令違反行為を繰り返しており、法令等遵守意識、投資者保護意識が著しく欠如していることから、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していない状況にあると認められたものです。
 
 今後も投資家保護上問題のある業務運営については厳正に対処していきます。
 なお、当社に対しては、平成29年5月31日に関東財務局長から登録取消し及び業務改善命令の行政処分が発出されています。

 
2.最近の取引調査に基づく勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。(詳細は下記リンク参照)。
・H29.4.11 フォーバル・リアルストレート株式外6銘柄に係る相場操縦
              ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170411.htm )
 
【事案の概要】
 本件は、インターネットで株取引を行っていた個人投資家が、フォーバル・リアルストレート株式外6銘柄の売買を誘引する目的をもって、直前の約定値より高指値の買い注文を発注して株価を引き上げたり(買い上がり買付け)、下値買い注文を大量に入れるなどの方法により、上記各株式の買付けの委託を行う(いわゆる買い見せ玉)とともに、上記各株式を買い付ける一方、上記各株式を売り付け、もって、上記各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、上記各株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をし、上記7銘柄につき5取引日において、合計約72万円の売買差益を得たという事案です。
 
【事案の特色等】
 昨年11月22日勧告のクロス・マーケティンググループ株式外1銘柄に係る相場操縦事案等と同様に、本件も見せ玉等を用いた個人投資家による相場操縦事案です。本件課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)は、過去には証券会社にトレーダーとして勤務していました。公表資料にあるとおり、同一の時間帯に複数銘柄の相場操縦を行っているなど、本件違反行為の手法に手馴れていたことがうかがえます。また、取引規模が小さいことから、各取引の課徴金額はいずれも少額となっていますが、対象者は、複数の証券会社を用いれば、相場操縦行為が見つかり難くなるだろうなどと考え、意図的に取引を小口化していました。
証券監視委は、証券取引所の売買審査部門等と連携して、このような手口も見逃すことなく立件します。
 これまでにも相場操縦規制違反について多数の告発・勧告を行ってきたところですが、相場操縦規制違反は後を絶たない状況にあり、その要因・背景としては以下のようなものが考えられます。

・インターネット取引の普及及び発注システムの進歩等により、個人投資家であっても、迅速かつ大量の発注・取消が可能となっているため、見せ玉等の手法を用いて人為的に相場を変動させれば、容易に売買差益を稼げる、又は損失回避を図ることができるとの誘惑

・市場では膨大な取引が行われているため、個人が行う小規模の相場操縦行為までは市場監視の目も届かないだろうとの誤解

 相場操縦行為は証券市場の公正性・健全性を損なうものであり、証券監視委は、証券市場に対する投資家の信頼を確保するため、厳正な調査を実施しており、調査の結果、法令違反が認められた場合には、課徴金勧告や刑事告発を行っています。
 本件が広く周知されることにより、相場操縦の抑止効果が発揮されることを期待しています。


2)コラム


◆ 日本証券業協会の協会員に対する監査結果について ◆[日本証券業協会からの寄稿]

 
 今般、平成28年度の協会員に対する監査結果を取りまとめました。
 平成28年度の監査は、金融商品の説明及び勧誘状況の検証等を重点項目に掲げ、会員(証券会社)70社、特別会員(銀行等)40機関に対して監査を実施し、会員70社、特別会員40機関に対し監査結果を通知いたしました。
 監査結果について簡単にご紹介しますと、会員においては、法令違反では、重要な事項について誤解を生ぜしめるべき表示、作為的相場を形成させるべき取引を防止するための売買管理が不十分であることなどが認められたほか、協会規則違反として、売買管理体制に係る不備、店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託の販売に係る不備などが認められました。また、特別会員においては、法令違反では、顧客に対する特別の利益提供が認められたほか、協会規則違反として、役職員による有価証券の売買等に係る不備が認められております。
 平成29年度の監査におきましても、引き続き、金融商品の投資勧誘・販売態勢の検証等を重点事項に掲げ監査を実施することとしています。
 
○ 詳細の内容につきましては、本協会ホームページにおける『協会員への監査について』をご確認ください。
 http://www.jsda.or.jp/katsudou/kansa/index.html
 
○ 本件に関するお問い合わせ先:日本証券業協会 監査1部
 (TEL 03-3667-8455)



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<発 行>
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