証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第100号)

平成29年9月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm


<目次>
1)新着情報
2)市場へのメッセージ
 1.証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
 2.ヤマゲン証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
 3.株式会社卑弥呼株券に係る内部者取引事件の告発について
 4.証券取引等監視委員会に対する情報提供・公益通報について
 


1)新着情報


◎アサカ理研株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170901-1.htm


2)市場へのメッセージ


1.証券取引等監視委員会の活動状況の公表について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その25回目として、平成28年度(平成28年4月1日~同29年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表します。
 なお、平成28年度の活動状況については、幅広い市場利用者に読んでもらえるよう本文編の記載はポイントを絞ったものとし、多くの図表を用いる等体裁や内容等の大幅なリニューアルを行っております。
 詳細につきましては、以下URLをご参照ください。

平成29年8月28日 証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
http://www.fsa.go.jp/sesc/reports/n_28/n_28.htm


2.ヤマゲン証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
 
 証券監視委は、平成29年8月4日、金融庁に対して、ヤマゲン証券株式会社(以下「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました(詳細は下記リンク参照)。
 
平成29年8月4日 ヤマゲン証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170804-1.htm

【事案の概要等】
 当社は、有価証券の売買等を業として行う第一種金融商品取引業者であり、市場の仲介者として、市場の公正性やそれに対する投資者からの信頼を守るべき立場にあります。そのため、顧客からの発注が自然の需給を乱すものである場合にはそれを受託してはなりませんし、そのような受託を防止するための売買管理態勢を十分整備しなければなりません。
 しかし、当社の歩合外務員Aは、複数の顧客がグループを構成し、買い上がり買付けや終値関与と呼ばれる方法で、特定の上場銘柄の株式の価格を引き上げようとしていることを知りながら、その顧客らによる一連の株式の買付注文を受託・執行していました。
 また、当社は、関連が疑われる複数の顧客を一体として捉えた売買審査を実施していないなど、上記のような買付注文の受託を防止するための売買管理態勢が十分でない状況にありました。
 このように、市場の公正性やそれに対する投資者からの信頼を害するような行為・状況等に対しては、今後も厳正に対処していきます。
 なお、当社に対しては、平成29年8月10日に、関東財務局長から業務停止命令及び業務改善命令の行政処分が発出されています。


3.株式会社卑弥呼株券に係る内部者取引事件の告発について

 証券監視委は、平成29年6月27日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、犯則嫌疑者2名を大阪地方検察庁に告発しました。

 本件は、犯則嫌疑者Aが、ジャスダック市場に上場していた株式会社卑弥呼(以下「卑弥呼」といいます。)の株券に係る公開買付けの実施に関する事実の伝達を受け、同事実の公表前に、卑弥呼の株券を買い付けたこと(第1)、そして、犯則嫌疑者Bが、卑弥呼の取締役として、その職務に関し、前記公開買付けの実施に関する事実を知り、同事実の公表前に、犯則嫌疑者Aに同事実を伝達したこと(第2)により構成されます。以下、「本件公開買付けの実施に関する事実」及び「事案の概要」を詳しく見ていきます。

【本件公開買付けの実施に関する事実】
 本件公開買付けの実施は、平成28年3月18日午後3時、卑弥呼が、日本取引所自主規制法人が運営する適時開示情報伝達システムであるTDnetを通じて公表したものです。その公表内容の概要は次のとおりです。

○公開買付者:合同会社HSH(以下「HSH」といいます。)
○実施期間:平成28年3月22日から同年5月24日まで
○買付予定数:卑弥呼の普通株式の原則全て
○買付価格:普通株式1株につき、2,059円

 なお、卑弥呼は、同時に、HSHによる卑弥呼の普通株式に対する公開買付けに関して賛同の意見を表明する旨を公表しています。

【事案の概要】
 犯則嫌疑者Bは、平成28年2月18日頃、卑弥呼の取締役として、その職務に関し、HSHが卑弥呼の株券の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実を、HSHの代表社員である株式会社リサ・パートナーズからの伝達により知り、あらかじめ卑弥呼の株券を買い付けさせることにより犯則嫌疑者Aに利益を得させる目的をもって、同事実の公表前である同年3月3日頃、犯則嫌疑者Aに同事実を伝達しました。(第2)
 犯則嫌疑者Aは、平成28年3月3日頃、犯則嫌疑者Bから、前記公開買付けの実施に関する事実の伝達を受け、法定の除外事由がないのに、同事実の公表前である同年3月7日から同月17日までの間、証券会社1社を介し、A名義で、卑弥呼の株券合計2万2,000株を代金合計1,988万9,000円で買い付けました。(第1)

【本件の意義】
 犯則嫌疑者Aは、公表後の株価上昇が見込まれる公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けたことを奇貨として、同事実の公表前に、約1,990万円もの買付けを行い、不正な利益を得たものです。また、犯則嫌疑者Bは、卑弥呼の取締役として本件公開買付けに深く関与しながら、犯則嫌疑者Aへの情報伝達に及んだものです。双方ともに悪質性が高く、市場の公正性を歪めた程度は大きいと言えます。
証券監視委は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違反行為に対し、厳正に対応していきます。

 なお、本件は、平成25年の金融商品取引法改正で新設され、平成26年4月1日に施行された同法第167条の2(未公表の重要事実の伝達等の禁止)を適用して告発しています。同条は、不正な情報伝達に起因する内部者取引を防止するため、上場会社等の会社関係者や公開買付者等関係者による一定の情報伝達・取引推奨行為に対し規制が設けられたものです。同条を適用して証券監視委が告発した事案としては、株式会社ALBERT株券に係る内部者取引事件(平成28年8月1日告発)に次いで、2件目となります。ただし、ALBERT事案は、上場会社等に係る会社業務等に関する重要事実の伝達であることから、同法第167条の2第1項を適用し、本件事案は、公開買付け等事実の伝達であることから、同法第167条の2第2項を適用しています。

(本件に関する公表文)
平成29年6月27日 株式会社卑弥呼株券に係る内部者取引事件の告発について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170627-1.htm

平成28年8月1日 株式会社ALBERT株券に係る内部者取引事件の告発について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160801-1.htm


4.証券取引等監視委員会に対する情報提供・公益通報について
 
 証券監視委では、市場において不正が疑われる情報や、投資者保護上問題があると思われる情報を幅広く受け付け、各種調査・検査や日常的な市場監視を行う場合の有用な情報として活用しています。このため、証券監視委では、「情報提供窓口」を設置し、電話・郵送・FAX・来訪・インターネットの方法により、情報を受け付けています。
 また、年金運用の分野等に関し、実名で情報提供いただける場合、専用の窓口「年金運用ホットライン」を設置し、投資運用業者による疑わしい運用等の情報等、幅広い情報の収集に努めています。
 加えて、外部の労働者の方からの公益通報等に適切に対応するため、「公益通報等に係る通報窓口・相談窓口」を設置しています。通報されたい方は、郵送、電子メール又はFAXによりご連絡ください。また、ご相談されたい方は、電話によりご連絡ください。
 提供いただいた情報・通報は、受付窓口において内容を確認した上で、証券監視委内の担当課室に回付し、調査・検査等に有効に活用しています。

※情報の活用事例については、「証券取引等監視委員会の活動状況」に掲載しています。
平成28年度「証券取引等監視委員会の活動状況」附属資料97頁 3-2-4「情報提供が検査・調査等に活用された近年の事例」参照
http://www.fsa.go.jp/sesc/reports/n_28/n_28.htm

 
情報提供等に当たっては、証券監視委のウェブサイトに掲載されている上記各窓口のページをご参照ください。
情報提供窓口    :http://www.fsa.go.jp/sesc/jouhouteikyou/index.htm
年金運用ホットライン:http://www.fsa.go.jp/sesc/support/pension.htm
公益通報窓口    :http://www.fsa.go.jp/sesc/koueki/koueki.htm
 
 どんな些細な情報でも結構です。証券監視委では、公正な市場を守るため、皆様からの情報をお待ちしております。
 証券監視委において情報を受け付けるに当たっては、情報提供者の方の個人情報や情報内容等に関する機密管理には万全を期しております。



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<発 行>
証券取引等監視委員会 事務局総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
             中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)
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