証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第108号)

平成30年3月9日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm


<目次>
市場へのメッセージ
 最近の取引調査に基づく勧告について
 


市場へのメッセージ


◆ 最近の取引調査に基づく勧告について ◆

  
 証券取引等監視委員会は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
 
平成30年2月16日 公開買付者の社員から情報を受領した者によるニッコウトラベル株式に係る内部者取引違反行為
         ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180216-1.htm
 
【事案の概要】
 本件は、株式会社三越伊勢丹ホールディングス(以下「三越伊勢丹HD」といいます。)が平成29年2月10日午後3時30分頃に公表した、株式会社ニッコウトラベル(以下「ニッコウトラベル」といいます。)の株式に対する公開買付けの実施に関するインサイダー取引です。
 本件の課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)は、 三越伊勢丹HDに勤務していた者から、同人がその職務に関し知った、三越伊勢丹HDの業務執行を決定する機関がニッコウトラベルの株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実(以下「本件事実」といいます。)の伝達を受けながら、本件事実が公表される前に自己の計算において、ニッコウトラベル株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反行為)。
 
【事案の特色等】
 平成17年4月の課徴金制度導入後、インサイダー取引による課徴金勧告を行った事案を重要事実等別に分類した場合、「公開買付け等事実」が一番多い結果となっていることは、これまでのメルマガでもお伝えしているとおりですが、本件も「公開買付け等事実」を知った者によるインサイダー取引です。
 公開買付けについては、これもまた、これまでのメルマガでお伝えしているところですが、公開買付けの当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。繰り返しになりますが、公開買付けに関わる全ての関係者において厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。
 また本件は、公開買付者である三越伊勢丹HDに勤務していた情報伝達者が、親族である対象者に対して公開買付け等事実を伝えたものです。本件では、積極的に利益を得させる目的を有していなかったということで、情報伝達違反行為とは認定していませんが、不用意な伝達によりインサイダー取引を招いてしまったものです。親族や友人等をインサイダー取引から遠ざけ、法令に違反させないためにも、親しい間柄であったとしても安易にインサイダー情報を伝えないよう、改めてインサイダー取引規制の遵守に関して注意喚起したいと思います。
 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。

 


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<発 行>
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