証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第109号)

平成30年3月20日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm


<目次>
市場へのメッセージ

1.ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
2.株式会社グロースアドバイザーズに対する検査結果に基づく勧告について
3.最近の開示検査に基づく勧告について


市場へのメッセージ


1.ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
 
 関東財務局がラッキーバンク・インベストメント株式会社(以下、本節において「当社」といいます。)を検査した結果、下記のとおり問題が認められたので、証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、平成30年2月20日、金融庁に対して行政処分を行うよう勧告いたしました。
 
平成30年2月20日 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
         ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180220-1.htm

【事案の概要】
 当社は、当社ウェブサイト等を通じて、法人向けローンを出資対象事業とする匿名組合(以下「ファンド」といいます。)の出資持分の取得勧誘を行い、その出資金により貸付事業を行っていますが、当社ウェブサイト等の表示に次のような問題が認められました。

(1) 貸付先の審査につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
 当社は、約款等で貸付先の審査を行うなどと表示していますが、貸付先のX社が決算書で純利益等を水増ししていることを看過していたなど、慎重な手続によって貸付先の審査が行われているとは認められない状況にあるにもかかわらず、あたかも、こうした審査が行われたかのような誤解を生ぜしめるべき表示を行っていました。
(2) 担保物件の評価につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
 当社は、X社が保有する不動産に担保を設定しており、ウェブサイト上に「不動産価格調査報告書」を掲載していますが、当該報告書は法令諸規則に準拠しておらず対外的に公表されることが予定されていない担保評価を掲載し、あたかも正式な評価がされたものであるかのような誤解を生ぜしめるべき表示を行っていました。

【根本原因】
 当社の貸付のほとんどは、当社社長の親族が経営するX社に対するものとなっており、当社とX社は密接な関係を有しています。こうした中、当社社長らは、投資者保護よりもX社の事業継続や営業推進を優先するファンド運営を行っていたことに本件の根本原因があると認められます。

  なお、当社に対しては、平成30年3月2日に、関東財務局から業務改善命令の行政処分が発出されています。


2.株式会社グロースアドバイザーズに対する検査結果に基づく勧告について
 
 関東財務局が株式会社グロースアドバイザーズ(以下、本節において「当社」といいます。)を検査した結果、下記のとおり問題が認められたので、証券監視委は、平成30年2月23日、金融庁に対して行政処分を行うよう勧告いたしました。
 
平成30年2月23日 株式会社グロースアドバイザーズに対する検査結果に基づく勧告について
         ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180223-1.htm

【事案の概要】
 当社は、主に個人を対象とした投資助言業者であり、顧客に対し電話や電子メール等により銘柄推奨を行っていましたが、検査の結果、次のような問題が認められました。

(1) 役職員が顧客取引を利用して自己の利益を図る目的をもって行った投資助言行為
 当社における投資判断者の一人であり、営業部門を統括する立場にある甲部長は、遅くとも平成27年12月から同29年3月までの間、以下の流れで不適切な行為を行っていました。

a.自らの担当顧客等の買付けにより短期的な株価上昇を期待できる出来高の少ない銘柄を選定し、自己名義の証券口座で買い付ける。
b.買い付けた銘柄について、顧客の買付けに基づく価格変動を利用して自己の利益を図る目的をもって、複数の顧客に対して、買付けを発注するよう投資助言を行うことにより株価を引き上げさせる。
c.自らの発注を意図的に顧客の発注と対当させるなどして売り抜けることにより、利益を得ている。

(2) 役職員の株式取引及び投資助言に係る管理態勢が構築されていない状況
 当社代表取締役らは、役職員の株式取引を把握・管理するための管理態勢を何ら構築していなかったことなどから、上記(1)のとおり、甲部長が社内において業務用パソコン等を利用して頻繁に不適切な行為を行っていたにもかかわらず、当該行為を把握できていませんでした。

【根本原因】
 当社役員の法令等遵守意識が欠如しており、投資助言業者として整備すべき内部管理態勢を構築してこなかったことに本件の根本原因があると認められます。

 なお、当社に対しては、平成30年3月2日に、関東財務局から業務改善命令の行政処分が発出されています。


3.最近の開示検査に基づく勧告について

 証券監視委は、平成30年2月23日、株式会社ソフィアホールディングス(以下、本節において「当社」といいます。)に係る有価証券報告書等の虚偽記載についての開示検査を行い、その結果、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
平成30年2月23日 株式会社ソフィアホールディングスに係る有価証券報告書の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
         ( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180223-2.html

【事案の概要】
 当社の連結子会社(以下「A社」といいます。)は、得意先に協力を依頼してテレビ受信機器(以下「チューナー」といいます。)の架空売上を計上することによって、当時の当社の会計監査人(以下「会計監査人」といいます。)との事前の合意(販売計画が達成されなければ、当該チューナーに係る棚卸資産評価損を計上する旨の合意)に係る販売計画が達成されたように偽り、本来計上すべき棚卸資産評価損を計上しませんでした。
 この結果、当社はこの不適正な会計処理による連結財務諸表を記載した有価証券報告書を提出したものです。この有価証券報告書は金融商品取引法第172条の4第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書に該当すると考えられます。

【不適正な会計処理】
 A社のチューナーの販売が振るわず、A社の監査役(以下「監査役」といいます。)は、会計監査人からチューナーに係る棚卸資産評価損の計上を示唆されたことから、チューナーの販売計画を作成して会計監査人に提出しました。監査役は会計監査人から、販売計画を達成できない場合は全額評価損を計上する必要があると指摘を受けました。
 これを受けて、監査役は、A社の得意先であったB社に、棚卸資産評価損の計上を回避するためにはチューナーの販売実績が必要である旨を説明し、監査役がB社の販売先を確保することを条件としてチューナーの購入を依頼し、了承を得ました。
 その後、監査役は、B社の大半のチューナーの販売先について確保したものの、残りのチューナーの販売先は確保できませんでした。監査役は、B社に対して、その残りが販売できた場合にA社へ代金を支払うよう伝えたものの、販売先を確保できなかったチューナーについては、B社のA社に対する支払義務が未確定であり、売上は実現していないことから、販売計画は達成できておらず、チューナーに係る棚卸資産評価損を計上すべきでした。
 しかしながら、A社は、販売されていないチューナーの売上を架空計上することで、実際は達成していない販売計画を達成したように偽り、当該チューナーに係る棚卸資産評価損の計上を適正に行いませんでした。

 



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