昭和化学工業株式の相場操縦に係る犯則事件の
調査結果に基づく勧告について


平成11年3月19日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容

 証券取引等監視委員会は、昭和化学工業株式の相場操縦に係る犯則事件の調査の結果、証券会社及びその役職員について法令違反の事実が認められたので、本日、金融再生委員会及び金融監督庁長官に対して、金融再生委員会設置法第29条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。

2.事実関係

○ 実勢を反映しない作為的相場が形成されることとなることを知りながら一連の有価証券の売買の受託をする行為

 下記の証券会社及びその役職員は、昭和化学工業株式の相場操縦(大阪地方検察庁に対して3月4日に告発、参考1参照)において、犯則嫌疑者が、高指値注文の連続発注による買上り買付け等の方法により当該株式の株価の引き上げを意図していることを知りながら、犯則嫌疑者から当該株式の一連の売買注文を受託、執行した。

 上記受託行為は、証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第50条第1項第6号に基づく「証券会社の健全性の準則等に関する省令」(平成10年総理府令・大蔵省令第33号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第2条第3号に規定する「実勢を反映しない作為的相場が形成されることとなることを知りながら一連の有価証券の売買の受託をする行為」に該当すると認められる。

記都証券
〔会社行為と認定〕
取扱者 常務取締役(管理本部長、当時)
新和証券
〔会社行為と認定〕
取締役(大阪支店長、当時)
丸大証券 歩合外務員

【参考1】

昭和化学工業株式の相場操縦に係る告発について


 証券取引等監視委員会は、平成11年3月4日、証券取引法違反(相場操縦)の嫌疑で、下記の犯則嫌疑者を大阪地方検察庁に告発した。

(注) 本件については、近畿財務局の協力を得て、犯則事件の調査を実施(関東・近畿・東海財務局には、証券取引法違反事件の犯則事件の調査を行う証券取引特別調査官を配置し、厳正な市場監視を行っているところ)。

〔犯則嫌疑者〕
原田文雄(こと趙文植)フレックス専務取締役(当時、現在代表取締役社長)
 ほか1名(フレックス営業課長)
フレックス(法人:株式会社)

〔事案の概要〕
 証券担保金融業等を営むフレックスの実質的な代表者であった原田文雄等は、同社の業務に関し、東京証券取引所の2部に上場されている昭和化学工業の株式につき、平成9年6月11日から同年8月18日までの間、41日にわたり、15名義を用いて、

(1) 売買取引が繁盛に行われていると誤解させるなど同株式の売買取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的で、仮装売買を反復継続し(合計167万4千株)、

(2) 同株式の売買取引を誘引する目的で、同株式の売買取引が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の売買取引を行い(買付け合計203万9千株、売付け合計199万9千株、なお、当該売買には(1)を含む)、

 株価を860円前後から1150円まで高騰させるなどして、相場操縦を行ったもの。

 〔証券取引法の適用条文〕
罪名:159条(相場操縦)1項1号(仮装売買)2項1号(変動操作)

罰条:197条(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの併科)
    207条(法人に対する両罰規定、3億円以下の罰金)

(注) 適用条文は、いずれも平成9年改正(同年12月施行)前のもの。 なお、平成11年3月5日、大阪地方検察庁は原田文雄及びフレックスを大阪地方裁判所に起訴した。

 

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