クレスベール・インターナショナル・リミテッド東京支店に
対する検査結果に基づく勧告について


平成11年10月22日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、クレスベール・インターナショナル・リミテッド東京支店(東京都中央区日本橋箱崎町、非会員。以下「クレスベール証券」という。)を検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、金融再生委員会及び金融監督庁長官に対して、金融再生委員会設置法第29条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


2.事実関係

(1) 特別の利益を提供することを約して勧誘する行為

 クレスベール証券は、支店長(当時)等の関与により、

マル1 平成6年9月頃から同10年6月までの間、プリンストン債の勧誘に際し、複数の法人顧客の担当者に対し、金銭の支払いを行うことを約束して勧誘を行った。

マル2 平成7年8月、プリンストン債の勧誘に際し、特定の法人顧客に対し、当該顧客の決算期末に融資の仲介を行うことを約束して勧誘を行った。

マル3 平成8年8月頃、プリンストン債の勧誘に際し、特定の法人顧客に対し、当該法人顧客とその子会社が買い付けるプリンストン債間での資金移動を行い、かつ、当該顧客に融資の仲介を行うことを約束して勧誘を行った。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第17条第1項において準用する証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第50条第1項第6号に基づく外国証券業者に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第37号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第21条第4項において準用する証券会社の健全性の準則等に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第33号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第2条第2号に規定する「特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」に該当すると認められる。

(2) 有価証券の売買その他の取引に関する虚偽表示

 クレスベール証券は、

マル1 支店長(当時)等の関与により、平成7年8月から同11年4月までの間、プリンストン債の取引に関し、複数の顧客に対し、事実と異なる社債要項や残高証明書等を交付することにより、虚偽の表示を行った。

マル2 資本市場部長等の関与により、平成7年10月から同8年5月までの間、プリンストン債の取引に関し、複数の顧客に対し、事実と異なる勧誘資料を交付することにより、虚偽の表示を行った。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律第14条第1項(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第17条第1項)において準用する証券取引法第42条第1項第9号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第50条第1項第6号)に基づく外国証券業者に関する命令第24条第15項(平成10年11月30日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令第37号による改正前の第21条第4項)において準用する証券会社の行為規制等に関する命令第4条第1号(平成10年11月30日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令第33号による改正前の第2条第1号)に規定する「有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をする行為」に該当すると認められる。

(3) 虚偽の記載をした取引報告書の交付

 クレスベール証券は、支店長(当時)等の関与により、平成8年9月及び同9年3月、特定の顧客のプリンストン債の売買に関し、意図的に実際の約定内容と異なる記載をした虚偽の取引報告書を作成し、顧客に交付した。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第37条第3号に規定する「虚偽の記載をした取引報告書を顧客に交付する行為」に該当すると認められる。

(4) 有価証券を売却する場合における引受人の信用の供与
 クレスベール証券は、支店長(当時)の関与により、平成10年4月、当支店が引受人となった株式の売却に際し、特定の顧客に対し、その買付代金の貸付を行った。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第17条第1項において準用する証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの。)第61条に規定する「有価証券の引受人となった証券会社が当該有価証券を売却する場合において、引受人となった日から6か月を経過する日までに、その買主に対し買入代金につき貸付をする行為」に該当すると認められる。

 

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