ドイチェ・セキュリティーズ・リミテッド東京支店に
対する検査結果に基づく勧告について


平成12年5月15日
証券取引等監視委員会

1 .勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、ドイチェ・セキュリティーズ・リミテッド東京支店(東京都港区虎ノ門、東証・大証会員、役職員約610名、以下「ドイチェ証券」という)を検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、金融再生委員会及び金融監督庁長官に対して、金融再生委員会設置法第29条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


2 .事実関係

(1) 特別の利益を提供することを約して勧誘する行為

 ドイチェ証券は、平成9年9月及び同10年3月、営業企画部部長(当時)等の関与により、法人3顧客に対し、当該顧客の保有するほとんど無価値の償還期日直前の債券について、専ら顧客に生ずる損失を先送りすることを目的とした、新たな債券を取得させるスキームを提示し、当該顧客が実現損を表面化させないことを可能にすることを約束して債券の取引の勧誘を行った。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第17条第1項において準用する証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第50条第1項第6号に基づく外国証券業者に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第37号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第21条第4項において準用する証券会社の健全性の準則等に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第33号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第2条第2号に規定する「特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」に該当すると認められる。

(2) 通常の取引の条件と著しく異なる条件での特定法人等との取引

 ドイチェ証券は、平成10年11月から同11年10月までの間、当支店の親法人から受託した有価証券先物取引の委託注文の一部について、当支店の自己勘定での取引として処理をし、本来、親法人が負担すべき委託手数料を徴せず、また、取引証拠金を当支店において負担した。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律第14条第1項(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第17号第1項)において準用する証券取引法第45条第3号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第50条の2第3号)に基づく外国証券業者に関する命令第25条(平成10年11月30日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令37号による改正前の第20条の4)において準用する証券会社の行為規制等に関する命令第12条第5号(平成11年3月31日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令第8号による改正前の第6号。平成10年11月30日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令第33号による改正前の証券会社の健全性の準則等に関する省令第2条の2第6号)に規定する「通常の取引の条件と著しく異なる条件で、証券会社がその特定法人等と取引を行う行為」に該当すると認められる。

(3) 取引報告書の不交付

 ドイチェ証券は、平成10年11月から同11年10月までの間、当支店の親法人から受託した有価証券先物取引の委託注文の一部について、市場において取引が成立したにもかかわらず、取引報告書を交付しなかった。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律第51条第3号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第37条第3号)に規定する「取引報告書を交付しない行為」に該当すると認められる。

 

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