大中証券(株)に対する検査結果に基づく勧告について


平成12年8月1日
証券取引等監視委員会

1 .勧告の内容
 近畿財務局長が大中証券株式会社(大阪市中央区、資本金644百万円、大証会員、役職員51名)を検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融再生委員会及び金融庁長官に対して、金融再生委員会設置法第31条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


2 .事実関係

(1) 向い呑み及び呑行為

 大中証券(株)は、第一営業部部付部長(当時)の関与により、平成11年4月12日、特定の銘柄の上場株式について、複数の顧客からの買付けの委託注文を受託しながら、証券取引所の会員に取り次ぐことなく、自己が相手方となって当該株式の売買を成立させた。

 上記行為は、証券取引法第39条に規定する「有価証券に関する同一の売買について、その本人となると同時に、その相手方の取次ぎをする者となる行為」及び同法第129条第1項に規定する「会員に対する売買の委託を取次ぎすることを引き受けた者が、会員に対しその取次ぎをしないで、自己が相手方となって売買を成立せしめる行為」に該当すると認められる。

(2) 有価証券の売買その他の取引に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

 大中証券(株)は、第一営業部部付部長(当時)の関与により、平成11年4月12日、当社が一定の価格で買い付けた特定の銘柄の株式について、当該一定の価格で顧客に付け替えるため、複数の顧客に対し、真実は当該一定の価格よりも安い指値の売注文が市場に出されており、顧客が当該一定の価格よりも安い価格で買付けを行うことが可能であるにもかかわらず、ことさらに当該一定の価格の売注文が市場に出されている旨を伝え、顧客が当該一定の価格での買注文を出さなければ、市場での買付けができないかのような誤解を与える説明を行った。

 上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号に基づく証券会社の行為規制等に関する命令第4条第1号に規定する「有価証券の売買その他の取引に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当すると認められる。

(3) 特別の利益を提供することを約して勧誘する行為

 大中証券(株)は、梅田支店長(当時)の関与により、平成9年6月26日、顧客に対し、当社があらかじめ買い付けていた特定の銘柄の株式について、当該買付価格で当該顧客に付け替えることにより、当該顧客が時価よりも安い価格で当該銘柄の株式を買い付けることを可能にすることを約束して、当該銘柄の株式の買付けを勧誘した。

 上記行為は、証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第50条第1項第6号に基づく証券会社の健全性の準則等に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第33号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第2条第2号に規定する「特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」に該当すると認められる。

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る